広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

高速バス 能代線・大館線

2021-06-21 19:29:20 | 秋田の地理
当ブログコメント欄でも話題になったように、2021年6月16日から、秋田市内へ乗り入れる秋北バスの高速路線バスに、変更が2点。
1.能代~秋田線の秋田市側の運転区間延伸
2.大館~秋田線の新規運行開始
なのだが、若干ややこしい。

能代線は、2002年(※)から秋田中央交通と共同運行していて、現在は秋北バスが4往復、中央交通が2往復担当。※高速道路がなかった1993年以前にも2社で運行されていた。
これまではすべて、秋田市内では、(秋田北インター)-運輸支局入口-幸町交番前-山王十字路-川反入口-秋田駅西口-県庁市役所前-山王交番前 と停車。

今回延伸されたのは全便でなく、秋北バス担当のうち2往復。能代発が2便目8時台と4便目13時台、秋田発が3便目11時台と5便目16時台。
延長されて新たに停車するのは、2つの停留所だが、曜日で異なる。
「広面蓮沼(ひろおもて はすぬま)」は毎日、「イオンモール秋田」は土日祝のみ。
イオンモール秋田は御所野なわけで、けっこうな距離になる。広面蓮沼は、秋田大学医学部附属病院の最寄りという名目。

平日は、川反入口-秋田駅西口-広面蓮沼-県庁市役所前-山王交番前 の順になる。
広面蓮沼のために、いったん線路を越えて、また従来ルートへ戻る形。県庁~西口は従来便が10分のところ、能代発が22分、秋田発が24分かかることになっている。

休日は、川反入口-秋田駅西口-広面蓮沼-イオンモール秋田
県庁方面へ向かわずに、線路を越えずに南進して御所野が起終点に。

運賃は、延長前の秋田市内各バス停(運輸支局~西口~山王交番同額)と比べて、大人で広面蓮沼が+100円、イオンモールが+200円。能代市内からだと1100円と1200円。
秋田駅などで降りて、タクシーや一般路線バスに乗り換えることを考えれば、楽だし安い。ただ、後述の通り、広面蓮沼と大学病院の間は500メートル程度歩かないとならないし、広面蓮沼バス停には上屋などないので、足腰の悪い患者が冬に通院する時などは、つらそう。


大館線は、秋北バス単独の運行で、平日のみ2往復。予約不要。
秋田市と大館市を結ぶ路線バスは、史上初(秋田~鹿角は大昔にあったらしい)。高速道路が延伸して運行しやすくなったのだろうが、実車距離125.3キロ、所要時間2時間32分(ホームページより)の長丁場。
※盛岡行き高速バス「みちのく号」は129.6キロ、2時間半なのでほぼ同じ。なおみちのく号も、16日から岩手医科大学まで一部便が延長されているが、これは延伸以前・杜の道南までの数値のままのようだ。
車両はみちのく号と共通の車両のようで、Wi-FiやUSB充電が提供(古い車に後付け対応もあり)。初日は大館市長も出席する出発式を行うなど、力が入っている。

秋北バスエリア側では、
いとく大館ショッピングセンター北口-いとく鷹巣ショッピングセンター前-道の駅ふたつい
の3か所に停車。この3停留所相互間の利用はできない。
出発式は、大館駅前の秋田犬の里で開催され、バスの客席に数人座って手を振りながら発車していったのだが、あれはサクラだったことになる。
大館市だけでなく、北秋田市鷹巣、能代市二ツ井の利用も想定していることになるが、どれもJRの駅周辺ではない所にバス停。特に道の駅ふたつい(関連記事)など、市街地から歩いて乗るのは少々大変。自家用車でのパークアンドバスライドや送迎での利用を考慮、というか前提にしている。
地元住民の利用に特化して、JR駅を切り捨てた格好だが、地理を知らない旅行客がうっかり利用してしまったら大変かもしれない。

秋田市側では運輸支局入口~西口~山王交番(起終点)と、能代線と同一。※広面蓮沼やイオンモールへは行かない。

ダイヤは大館発5時50分、10時00分、山王交番発12時48分、17時43分。
大館のバス会社だから当然ながら、秋田市側からは往復しづらいダイヤ。県庁などへの用務、秋田市への通勤通学を想定しているそうで、始発だと秋田駅8時10分着、山王交番8時22分着で、たしかに間に合う。【2021年10月から1往復に減便された。末尾追記参照】

運賃は大館~秋田1800円。今のところ、往復割引のような運賃優遇はなさそう。能代線では2社の回数券での支払いも可能なのだが、大館線では少なくとも中央交通の回数券は使えないだろう。
JR奥羽本線だと、普通列車で1時間40分程度、1980円。意識した設定だ。

秋田県は、秋田市一極集中ながら、秋田市対ほかの市の間の公共交通機関網が脆弱。秋北バスとしては、新型コロナウイルスによる減収を、比較的安定した県内輸送で補いたい狙いもあるようだが、どうなるか。JRも対抗して車両や割引きを見直すなどしてくれればいいのだけど…



ところで、大館線に秋田中央交通が参加せず、秋北バス単独となったことについて。なお、中央交通のホームページでは、能代線延伸の告知は掲載されたが、大館線の言及はなし。
2社の交渉が決裂したとか、そういうことではないと思う。逆方向に秋田市から大館へバスで往復する需要が少ないと判断したか、中央交通に余裕かやる気がないのだと思う。
しかしながら、中央交通としては、秋北バスへの“後方支援”を惜しんでいないように感じる。
なぜなら、まずはダイヤを見れば分かるように、能代線と同じ停留所であり、秋田市側で4時間以上の折り返し待機がある。この待機は、能代線同様に、中央交通の秋田営業所を借りていると思われる。

もう1つは秋田市内のバス停の状態。
中央交通が羽後交通と共同運行する秋田~横手・湯沢の高速バスでは、中央交通一般路線用と別に羽後交通がポールを立てている。※ただし、一部バス停では中央交通側で羽後交通分の時刻表を作成・掲出している気配もある。
しかし、能代線では、中央交通の一般路線バスのバス停に、時刻表を貼って対応し、秋北バスのポールはこれまでなかった。
親密さの違いなのか、取り決めの違いなのか、同じ共同運行でも扱いが違っていた。

今回、秋北バス単独の大館線、そして秋北バス担当便のみが停まることになる広面蓮沼(とイオン)では、バス停がどうなるか興味があった。秋田市内初となる秋北バスのポールが立つのではと期待した。
能代線に加えて大館線の乗車ができることになった、幸町交番前(※)下り側はどうなったか。
※幸町交番前は、昔の「いすゞ前」。交番は近いうちに泉外旭川駅前へ移転するので、この名称も変えないといけなくなりますね。
こういう時刻表
中央交通スタイルの時刻表。以前は能代線単独で1枚だった。
現在は、上が高速能代線、下半分が「高速 大館線」になった。運賃も掲載。
連絡先として、能代線は秋北バス能代営業所、大館線は同大館営業所の電話番号も掲載。能代線は中央交通自身も運行しているのに、連絡先がない。市外通話で能代へ問い合わせろとは…
一般路線も含めて、中央交通では時刻表に電話番号を記載したがらない。
単独運行なのに中央交通が時刻表を作ってやって、中央交通のバス停に貼って使わせてやるほどなのだから、仲が悪くはないでしょう。

広面蓮沼。
広面蓮沼は、大学病院方面の一般路線バスのバス停。2018年10月に、谷内佐渡の旧道からバイパスへ経路が変更された時に、新しく設置され、歴史は浅い。
秋田駅西口から手形陸橋・県道28号を東進すると、「広面小南」交差点で旧道が分岐、その次の無名交差点で県道41号・横山金足線を越え、その次が「秋田大学付属病院」交差点。※この辺の交差点について
無名交差点と秋田大学付属病院交差点の間に、広面蓮沼バス停がある。

「秋田大学付属病院」交差点といっても、附属病院の正面までは北へ400メートルもある(交差点より西にある広面蓮沼バス停から病院だと、もう少しかかる)。
一般路線は、その交差点を曲がって病院内へ乗り入れる(そして戻ってくる)のだが、大学病院内はきゅうくつ(関連記事)。高速バスの大きい車では支障があるので、乗り入れずに広面蓮沼に停まることにしたのだろうか。

広面蓮沼バス停。奥の信号が横金の無名交差点
写真は能代線乗り入れ後の撮影だが、新しいポールはなく、以前のままの光景。

広面蓮沼では、もう1つ気になることがあった。どちら側にどちら行きのバスが停まるか。ここは一般路線バスも少々ややこしいルートなのだが、新路線ではさらに複雑そう。大まかには、
西口~(手形陸橋)~手形蓮沼~(横金線・城東十字路)~御所野/(秋田中央道路地下トンネル)~山王か?
でも蓮沼一帯は、旧道とバイパスが近接していて、どれにも信号機があるので、それらを周回すれば方向転換もできるので、なかなか難しい。

単純に考えると、一般路線バスと同じ向き、西口へ向かう側が、能代へ行く乗車バス停になるかと想像した。
しかし、上の写真の、一般路線で西口行きの側には、高速バスの時刻表や説明書きは何もなかった。
では、向かい側・一般路線で西口から来る側は、


こちらにはあった
小さい紙に、やはり中央交通スタイルで「高速 能代線」。高速能代線という路線全体としては中央交通も関わっているのだし、これも共同運行事業者としての役目なのだろう。

予想に反して、一般路線で西口から大学病院へ向かって来る側(道路の北側)が、高速能代行きの乗車用だった。
じゃあ、能代から着くのが、最初の写真の側かもしれないが、意表を突いて降りるのも乗るのと同じ側という可能性もなくはないかも。これは実際を見るか、問い合わせるかしないと分からないな。
【7月18日追記】コメントで、乗降とも同じ側で行っているとの情報をいただいた。

ということは、能代行き、山王/御所野→広面蓮沼→西口方向の蓮沼周辺での回りかたは、こういうことになる。
Googleマップに加筆。赤い線が推測した運行経路
横金線を北進してきて、無名交差点を県道28号へ右折、広面蓮沼で乗車させて、次の「秋田大学付属病院」を右折[東口方向の谷内佐渡バス停通過]、また次の「大学病院入口」を右折して旧道へ[かつての路線経路]、その次の交差点で横金線に当たる。という時計回り1周。
逆回りなら右折が1回で済むのに、3回も右折が必要なルート。横金線から県道28号へ右折する交差点には右折矢印信号がある(反時計回りの場合、旧道への右折交差点にはない)ので、それを意識したのか。
その後は直進して、「広面小南」を左折すれば手形陸橋→西口となるのだろう(左折して再び横金線を戻って、明田地下道経由はないでしょう)。【12月24日追記・コメントによれば、広面蓮沼を出た能代行きは上の画像「←秋田駅西口へ」とある交差点を、直進ではなく右折して、いったん横金線へ。次をすぐ左折して県道28号・手形陸橋方向へ向かうらしい。】


ともかく、広面蓮沼での乗車位置が分かりにくい。バス停は真向かいだが、道路横断は信号まで回らないとならない(交通量が多いので、横断歩道以外の横断は危険で無理)から、バスが見えてからでは間に合わない。あと、表示板に「秋北バス」と書いていないのも、戸惑う客はいるかもしれない。
ホームページでの告知や、乗れない側のバス停に「能代行きは向かい側からご乗車ください」の掲示をしてはどうだろうか。


【10月3日追記】10月1日から大館~秋田線が1往復減便された。一時的な運休なのか、ずっとこのままなのかは不明。
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要の減少により」としているが、運行開始時点と感染状況は大して変わっておらず、単純に利用が少ないことが理由ではないだろうか。
減らされたのは、大館発10時の2本目と秋田発12時台の1本目。したがって、大館を基準に運行しているから、朝秋田へ行った車が大館へ帰るまで、秋田に9時間も滞在することになる。まさか片道回送するわけでもないだろうし。効率が悪い。

【12月7日追記】秋北バスホームページに12月6日付で「高速バス「大館・秋田線」の廃止について」が掲載。
2021年12月15日の運行をもって、大館~秋田線が廃止されることになった。「新型コロナウイルスの影響が続く中、運行を継続することがかなわず大変心苦しい限りでございます」としている。ちょうど6か月間の短命に終わる。
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