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今後はhttps://taic02.hatenablog.jp/で更新します

伊勢参り計画

2015-01-10 23:58:53 | 旅行記
日本人ならいつかは行かなければと思っていた伊勢神宮。
だけど、なんとなく踏ん切りが付かず、というか積極的に行く気にはなれず、いつかきっと行こうと考えるくらいだった。

ところが、成り行きでお伊勢参りに行く機会を得た。
同行者がいるのでいつもほど気ままではないし、20年ごとの式年遷宮も終わった(遷宮は2013年、その翌年である2014年はご利益が増す「おかげ年」とされた)とは言え、まだ正月気分の頃なので混雑しそうなのは気になったけれど、これも縁、出かけてきました。

結論としては、思った以上に良い旅ができました。
というわけで、これから旅行記をアップします。今回は計画編。

旅行に先立って、ネットで情報収集。(←成り行きで行くことになったのに、計画は自ら進んで立てるという…)
他の観光地なら、ガイドブックには載っていないトクだったりマニアックな情報がネットで得られるものだが、伊勢に関しては、ガイドブックでも分かるごく基本的なものが多かった気がする。
時々拝見している鉄道旅行好きな方々のホームページなどでも、JRでのアクセスは不利(後述)なエリアであるためか、伊勢旅行記は多くはなかった。
そんなこともあって、ここでは初めて伊勢を訪れようとする方々の参考になるような情報も載せておきたいと思います。
※2015年1月現在の事実と経験に基づくものであり、今後変更になる可能性があります。

秋田から伊勢へ旅行する人は、修学旅行で行った人(高齢世代?)もいるようだし、職場旅行などで行く場合もあるが、総数では行ったことがある人はあまり多くなさそう。
後述の通り名古屋まで行ってしまえば、後は単純で時間がかかる行程ではないのだが、心理的には遠いのだろう。
一部旅行会社では、秋田発のツアーやパックも出しているようだが、制約もある。自分でそれぞれ手配しても価格的にはそんなに違わないし、現地での融通も効くので、そうした。
結果としてはツアーより安く付いたと思うし、じっくり参拝できて良かった。


巨大な紀伊半島の東側にある伊勢へ公共交通機関で行くには、名古屋、京都、大阪から入るのが一般的。京都と大阪からは、近畿日本鉄道(近鉄)を利用。北・東日本からは、名古屋から入るのが効率的

名古屋までは新幹線、飛行機はじめお好みで行くとして、名古屋から伊勢までは、近鉄のほかJR線(3セクの伊勢鉄道経由)があり、ほぼ並走している。(※以前津へ行った時の記事参照)
約100キロの道のりで、所要時間は近鉄もJRも約1時間半で互角なのだが、JRは2人掛け座席の指定席があるものの、ディーゼルカーの快速で見劣りする。列車本数も毎時1本と近鉄の半分。
また、JRの乗車券の運賃は距離が長いほど割安になるものの、近鉄では鉄道の往復と伊勢周辺の路線バスでも使えるフリーきっぷを発売しており、それを使ったほうがトータルでは安くて便利。(JR側でもフリーきっぷを出してはいるが、バスではなくタクシーしか使えないなど、使い勝手が良くない)
したがって、名古屋から伊勢までは、JRをあえて利用する理由はないので、近鉄を利用することにした。(近鉄に乗ってみたかったという理由もあります)
近鉄は特急並みの速さで乗車券だけで乗れる「急行」もあるが、「特急」利用が一般的。特急は全席指定

近鉄のフリーきっぷについて。
伊勢神宮参拝向けの企画乗車券は、期間限定でよりおトクなものが出ていることがあるので、都度、ホームページ等で要確認。
今年1月初旬に名古屋から往復するには、次の3つがあった。(いずれも名古屋発・8%消費税込みの価格)
有効日数やフリー区間の範囲、受けられる特典(各種施設の入場割引のほか、伊勢神宮で置物がもらえたり、赤福3個もらえたり)が異なるが、それを別にして以下のような違いがある。
・伊勢神宮初詣割引きっぷ 4700円【発売終了・1月いっぱい利用可】
2回分の特急料金込み、12月中の購入が必要
・伊勢神宮参拝きっぷ 5900円【3月いっぱい利用可】
往復の特急料金込み、利用前日までの購入が必要
・伊勢・鳥羽2dayフリーきっぷ 3920円(下記の通り特急券を買い足せば計6560円)【通年発売】
特急料金は別途、利用当日購入可

4700円か5900円のを使いたかったが、利用当日は買えない。今回は日程的に前日に名古屋入りはできない。
全国の近畿日本ツーリスト、JTB、農協観光などでも購入できる(手数料がかかる店もあるらしい)のだけど、今回は秋田-名古屋のきっぷはJR駅で、宿泊はネットで予約したので、近鉄分だけを代理店で頼むのは気が引けた。

ということで、3920円の「伊勢・鳥羽2dayフリーきっぷ」しか選択肢がなく、乗車直前に近鉄の駅で買うことにした。往復の特急券と合わせれば、6560円。
単純に名古屋から伊勢神宮参拝だけして戻るとすれば、外宮-内宮のバス代を含んでも正規料金で6400円(片道 近鉄乗車券1450円+近鉄特急券1320円+バス代430円=3200円)だから、モトは取れない。
鳥羽や二見ヶ浦など近隣の観光地へも足を伸ばす場合などに使うべきフリーきっぷだが、今回の行程ならモトが取れると判断。※地名についての詳細は後述

近鉄の特急券も一部旅行会社で手配できるほか、ネット予約ができる。ネット予約はチケットレスでポイントも貯まるが、次にいつ乗るのか分からない。
乗車直前でも満席にはならないらしいし、秋田からの遅れなど突発的な事情で予約列車に間に合わない可能性もあるので、これも当日現地で購入することにした。


伊勢周辺のどの駅で乗り降りしてどう動くか。
伊勢神宮は「外宮(げくう)」と「内宮(ないくう)」と呼ばれる2か所に分かれている。
外宮→内宮の順番に両方を参拝することが基本とされており、お伊勢参りをするのなら、最低限ここは外せない。
伊勢神宮外宮は、伊勢市駅(近鉄・JR)下車、徒歩
伊勢神宮内宮は、宇治山田駅(近鉄)・伊勢市駅・外宮から路線バス
近鉄では五十鈴川駅を内宮の最寄り駅としているが、徒歩ではやや距離がある。バスはあるが、それだったら宇治山田や伊勢市駅から乗ったほうが便利。

路線バスは、宇治山田駅-伊勢市駅-外宮前-内宮前の経路で、臨時便も含めて頻発しており、経路が違うものもあるが基本的にはどれでも構わないので、あまり悩まくてもいい。
近鉄はすぐ近くに伊勢市駅と宇治山田駅2つがあって、どちらも特急が停まるので紛らわしい。基本的には伊勢市駅を利用するのが無難だと思う。
ただし、伊勢市駅は外宮と反対側の離れた位置にホームがあり外宮側改札口へは長い跨線橋を渡る必要がある。また、宇治山田駅は趣きのある駅舎であることと、内宮行きの路線バスが宇治山田駅前始発なので座れる可能性が高いので、宇治山田駅を利用してみる価値もある。

さらに周辺に散在する神社や、夫婦岩がある二見浦(ふたみがうら)も伊勢市内だし、隣の鳥羽は海に関する観光地や宿泊場所が多い。ちょっと足を伸ばせば賢島(かしこじま)など志摩地方も視野に入る。※賢島方面は近鉄路線(JRは鳥羽止まり)だけだが、フリーきっぷエリア外のものがある。
二見浦はJR二見浦駅(駅名の読みは「ふたみのうら」・JRだけで近鉄は通っていない)下車か、伊勢市内から路線バス(フリーエリア内)。
伊勢市内-鳥羽はJRと近鉄、本数は多くないが路線バスもある(近鉄とバスはフリーエリア内)。

ということで、東京で秋田新幹線と東海道新幹線を乗り継いで名古屋へ行き、近鉄特急で伊勢へ。鳥羽と名古屋に1泊し、行きの逆コースで秋田に戻る2泊3日の旅程とした。
実際の旅行記は後日

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2008年 梅林から玖村

2014-10-07 23:59:44 | 旅行記
8月20日、広島市で豪雨による土砂災害が発生、74名が亡くなり、多数の人が避難生活を余儀なくされた。
その後、御嶽山の噴火などもあって、全国版ではほとんど報道されなくなったが、復旧はどうなっているだろうか。【11月1日追記】11月1日現在、いまだに10世帯15人が公民館などで避難生活をしているとのこと。

今回の災害は、広島市街地から北方向の山間部に入った、安佐南区や安佐北区で散発的に発生した。
中でも、安佐南区八木地区(特に三丁目)で大きな被害が出たという。


テレビや新聞で、山手から流れてきた土砂が、駅舎や線路まで達した八木地区の映像・写真を見て、自分がここに行ったことがあるのを思い出した。
駅は、JR西日本・可部(かべ)線の梅林(ばいりん)駅。
当ブログの最初期に広島旅行記をアップしているが、訪れたのはその時、2008年7月のことであった。

好奇心と時間つぶしで訪れ、特に観光地などでもなかったので忘れかけていたが、今回、地図・ストリートビュー、当時撮影した写真を改めて見ると、よみがえってきた記憶もある。
「旅行記」とするにはふさわしくないかもしれないが、記録として、ここに残しておきたい。


まず、相変わらず回りくどくなりますが、梅林駅を訪れた理由から説明。
Google航空写真より。黄色い丸が梅林駅(安佐南区八木)付近
広島市街地から北の山間部に向かって、JR西日本の2つの路線が伸びている。西側の可部線(上の写真で赤い線)と東側の芸備線(同青い線)である。

当時、ネットの情報で、芸備線の玖村(くむら)駅にネコが住み着いていて、そのネコが、自動改札機の上に乗っていることがあるということを知った。暖を取っているのだろうが、ネコは乗客のジャマにならない位置に座り、乗客も邪険にせずに普通に改札を通っているとか。(2014年現在はいなくなったらしい)
広島市内から遠くないこともあって、旅行の空き時間にそれを見に行こうと考えた。

さらに調べると、玖村駅付近では、川を挟んで両岸近くを可部線と芸備線が走っていて、芸備線・玖村駅と可部線・梅林駅の間は橋を渡って徒歩でも行き来できる距離だという。
※青春18きっぷの旅行者などの中には、できるだけ効率的に移動したり待ち時間を節約したりするため(もしくは僕のような物好きのため)、違う路線の駅と駅の間を徒歩で移動することがある。

往復とも同じ路線ではおもしろくないし、見知らぬ町を歩くのもおもしろそう。
その時利用したきっぷ(今はなき周遊きっぷ)が、両路線ともフリーエリア内であることもあって、広島市内→(可部線)→梅林駅→(徒歩)→玖村駅→(芸備線)→広島市内という行程にしてみた。
今にして思えば、列車本数は芸備線より可部線のほうが多く、徒歩の時間が読めないことを考慮すれば、玖村→梅林のほうが効率が良さそうなのに、どうして逆コースにしたんだろう? 我ながら分からない。(横川駅で路面電車から乗り継ぐため?)

可部線は、広島駅の西隣「横川駅」が起点ではあるが、全列車広島駅発着。
末端は他路線に接続しない、いわゆる”盲腸線”で、近年は末端部が廃止されたり、それを一部復活させようとしたりしている。広島寄りは都市圏内の交通手段として機能していて、昼間でも1時間に3本が運行されている。14.0キロの単線で電化路線。
広島駅から梅林駅までは12.6キロ、約30分。(元私鉄で駅が多いせいか、時間がかかる)

芸備線は、広島駅と岡山県の備中神代駅を結ぶ159.1キロの非電化ローカル線。
全線通して走る列車はなく、可部線同様広島市街地寄りでは都市圏の輸送を担っていて、区間運転を含めて毎時2本運行。
広島駅から玖村駅まで12.3キロ、約18分。


記憶をたどって、旅行記を始めます。
可部線の列車には、広島から乗ったか横川から乗ったか、どんな形式の電車だったのか、すっかり忘れていた。
時間帯のわりにだいぶ混んでいて、途中まで立っていたような記憶がある。
 あっけなく梅林駅に到着
写真から、乗った電車は「105系」の2両編成らしかった。(車掌乗務あり)
2010年頃から濃い黄色への塗装変更が進んでいて、災害後運転再開のニュースには黄色くなった105系が映っていた。
可部線の主力車両は105系で、朝夕は113系・115系も入るそうだが、先ごろ、広島地区にもやっと新型車両が入ることが明らかになったので、遠くないうちに変化があることだろう。

町の作りか、元私鉄だったという事情によるのか、梅林駅ホームは1面2線の島式の質素なもの。弘南鉄道大鰐線の弘前学院大前駅と大して変わらない(利用客数は別)。
先頭側の構内踏切を渡った山側に駅舎があった。
JR西日本直営ではなく、子会社の駅員がいる。休日は無人扱いになるようだ。
たしか自動改札機は未設置(IC乗車券は使えたはずだから、その装置はあったはず)で、女性駅員が集札していて、周遊きっぷを見せても動じずに通してくれた。(利用者が少ないきっぷを提示すると、慌てたり固まったりする人がいるものだけど)
駅舎はけっこう立派(間口は広いが奥行きはあまりない)
梅林という駅名は、かつて「八木梅林」があったことが由来。
近くに広島市立梅林小学校があるように、地名ではないもののエリアの呼称として認知されているようだ。秋田市の「高清水」のようなものか。

一部報道では、今回の被災地は「新興住宅地であり、無理な宅地開発が災害を招いた」とするものがある。知らない人には、山を切り開いたまったく新しく開発された土地だと思われてしまうかもしれない。
しかし、僕が現地を訪れて持った感想は、大都市・広島の市街地からは離れているものの、平地で瓦屋根の古めの家が多く、古くからの旧農村部が住宅地になった土地のように思えた。
実際には、その奥の山が宅地開発され、災害が起きて、それが下の古くからの町にも到達してしまったようだが、当時は山のほうには気が向かなかった。

土砂災害後には、「線路の向こうにピンク色の大きな家が奥に見える」場所からテレビ中継が比較的多く行われていた。おそらく、そこがいちばん被害が大きかったのだろう。
そこは、梅林駅から広島駅方向に500メートルほど戻った地点。
その途中の線路沿いには、避難場所になった梅林小学校もある。(大量の土砂に襲われなかったから避難場所になって授業も再開できたのだろうが、紙一重だったのかもしれない)
列車を降りた僕が歩いたのは逆方向だった。

ネットの情報をざっと見た限り、小学校同様、梅林駅も壊滅的な被害は逃れたようで、駅業務を再開しているようだ。
可部線は9月に入ってすぐに運行が再開されているが、今なおレール周辺には、流れてきた泥が堆積して乾いて固まって、枕木やバラスト(砂利)が見えないほどだそう。

梅林駅周辺は、簡単に言えば、山-住宅地-線路-道路-川という配置。
線路の駅舎と反対側(川側)には、歩道なし・対面1車線の道路が走っていて、路線バスも通る。沿道には、ちょっとしたお店やオフィスが点在する、地方都市の中心地から外れた一角によくある光景。
お食事処と会計事務所が見える

駅舎側
駅舎側の奥には、瓦屋根の昔からあるような家があり、(当時は意識しなかったが)その向こうに新しい住宅街があって、さらに山がそびえる。
駅舎の前は狭い道、その奥に山
駅舎の前には広場などなく、細い道路が住宅地と山のほうへ続いていた。
この時は、雨模様で山は煙っていた。今年8月20日には、山から道路を伝って大量の水や土砂が流れてきたのだろう。

梅林駅の1日平均乗車人員は、1200人ほど。30年ほど前は500人に達していなかったのが、平成に入ってから急増し、今も微増傾向。
この間に、山を削って宅地化が進んだということだろうか。


この時は、玖村駅に向かうことしか頭になく、梅林駅周辺はこの程度にして先を急いだ。
駅前の道路を川方向へ渡ると、すぐを国道54号線が並行し、さらに南東を太田川が流れている。

玖村駅へは、54号線を少し進んで曲がり、太田川に架かる橋を渡り、川をさかのぼれば到着する。直線では1.3キロだが、道のりでは2キロほど。
国道54号線
国道に出ると、カーディーラーや路面店【2023年5月10日訂正】ロードサイド店が建ち並ぶ、どこにでもありそうな幹線道路の光景。
上の写真では、線路の先・川の上流方向にも山が連なっている。当時も「けっこう山深いな」と感じた。安佐北区の方向だと思うが、これらでも土砂が流れたのだろうか。

県道271号線に架かる、長さ273メートルの「高瀬大橋」で太田川を渡る。
一級河川・太田川は下流で分流し、その1つが原爆ドームの前を流れる「元安川」である。
高瀬大橋手前で来た方を振り返る。斜面にも家が建ち並んでいる

高瀬大橋を渡る
高瀬大橋は、上流側に塔状のものが並んでいる。
これは「高瀬堰」というダムの一種で、ルーツは江戸時代からあった。高瀬大橋は高瀬堰の管理用通路を兼ねている。
川を越えると、安佐北区。安佐南区側よりも川近くまで山が迫っている。
安佐北区側から。対岸が安佐南区
川を渡ると、建物がほとんどなく、堤防に小さい道路が伸びるだけで、急に田舎へ来たよう。
上流側へ進み、高瀬堰を振り返る
堤防のすぐ外を芸備線が走っていて、玖村駅も見えた。
架線がないし、小さい駅なので目立たない
駅の近くになると、住宅地に入る。梅林駅側よりも新しい町並みで、店やオフィスは少ない。
梅林駅から30分ほどで玖村駅到着。
簡素な駅舎
玖村駅は無人駅。1日乗車人員は平成に入ってから1000人ほどをキープしており、梅林駅より“効率がいい”かも。近くに高校があるからだろうか。

期待していた、自動改札機の上のネコさんは…
不在!
※これは簡易型の自動改札機。扉がない上、周りがスカスカで、(ICカードの記録用としてはともかく)磁気きっぷ用としては、あまり意味をなさなそうだけど、JR東海やJR西日本の無人駅では、たまに見かける。
 ホームは1面1線、向かいは堤防
広島駅へ戻る列車は「快速みよしライナー」。2007年までは「急行みよし」だった。
全国各地でおなじみのキハ40系の2両(これは暖地向けのキハ47形)がワンマン運転で来た。
それなりに乗る人がいて、行きの可部線ほどではないが、わりと混雑していたはず。車窓を眺めた記憶がない。
快速を名乗るものの、ここから先は各駅に停車して、広島に戻った。


一見、地方の大都市としては珍しくもないような場所で、大きな災害が起きるとは思わなかった。
一度しか訪れていない場所で、もう訪れることはないかもしれない場所だけど、この先もずっと同じ町があり続けると、漠然と思っていたのに。
うまくまとまらないけれど、普通に人が暮らし続けられる町であり国であってほしい。


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運休前のリゾしら

2014-08-09 23:54:03 | 旅行記
8月6日の大雨により、五能線の秋田・青森県境の岩館-大間越間で線路の盛土が流出、線路が宙吊りの状態となった。このため、岩館-深浦が運休となり、復旧までに1か月程度かかる見込み。
「リゾートしらかみ」は1往復が運休、2往復は当該区間でバス代行→その先は後続列車に振り替えとなり、通しで乗ることはできない状態(秋田側、青森側それぞれではリゾートしらかみの所定時刻で運行されるので、時間がかかるバス代行では乗り継げない)。
夏の観光シーズンだけに、影響が心配されている。
※この後、8月30日に運転が再開された。


先月下旬に弘前に行った帰り、図らずも、五能線の快速「リゾートしらかみ」に乗ることができた。夕方の上り。夕日には少し早かった。
五能線を通しで乗るのは4回目(うち1回は夜。他にも区間乗車は数回)なので、海が見える区間では「ここでこの風景」というのがなんとなく頭に入っていて、予測できるようになっていた。
県境付近(十二湖-岩館のどこか)

今は楽しめない車窓ということになる

今回はブナ(正しくは木偏に「無」)編成。2度目か3度目の乗車。
ハイブリッドにはかなわないが、あのキハ40系気動車にしては、ずいぶんと快適に改造されているなという感想を持った。
窓が大きいこともあり、西日が入って少々暑かったけれど。
おかげで車内販売のスジャータのアイスクリームがおいしかった。バニラとリンゴを扱っていたが、どちらも増税で価格は10円上がって270円になっていた。
販売員のハンディ端末が新しくなっていて、Suicaをタッチする位置が機器上面から画面そのものに変わり、レシートの書体も角ゴシックから丸ゴシックに変わった。

ハイブリッドの青池編成では、窓ガラスが緑色に着色されており、景色が少々おかしな色に見えたものだが、こちらは黒く着色されているので、違和感は少なかった。

「リゾートしらかみ」には、特急列車のような2人掛けリクライニングシートの席と、ボックスシートがある。
ボックスシートは、今は稀少となった客車式B寝台の昼間の状態に似ている。リゾートしらかみでは、大きなテーブルがあり、座面をフラットな状態にして靴を脱いで足を伸ばすことができる。
そんなボックスシートに魅力を覚える方も多いようだが、僕はどうも好きになれない。昔のB寝台の印象に引きづられていることもあるが、きゅうくつだし、背もたれの角度を調節できないし。

弘前出発時には海側の席はほぼ埋まっていたが、ほとんどのお客はウェスパ椿山辺りまでに降りた。
すると車掌さんが来て「ボックス席が空いております。よろしければお移りください」と勧めてくれたけれど、そんなわけでお断りさせてもらう。
実は後でちょっとだけ座ってみたのだけど、B寝台よりは柔らかくて座り心地は良かった。でも、閉塞感とか窓が1つしか見えないこととか好きになれず、やっぱり開放的な普通の席ほうがいい。閉所恐怖症ではないつもりですが…

ハイブリッドの青池編成の普通の席は、座面スライド機構がなかったが、ブナ編成ではあった。操作ボタンは四角いものをスライドさせるタイプ。(くまげら編成も同じようだ。いずれもリクライニング用はよく見かける丸いボタン。他にデッキへの通路ドアがレンガ風なのも同じ)


歴代のリゾートしらかみ用の編成の中で、2番目にできたブナ編成であるが、ブナ編成だけの相違点がある。
まず、現行3編成のうちでは唯一、通常の席とボックス席の車両が2両ずつついていること(他は通常席3両+ボックス1両)。これは他編成と車両のやり繰りをしたことが原因。

もう1つは、通常の席の車両に装備された「ファンタジーライト」なるもの(ボックス席の車両にはない)。話には聞いていたが、今回初めて経験できた。
深浦駅停車中、「これからファンタジーライトを点灯します。車内が暗くなりますので、足元にご注意ください」という放送があり、通路中央の蛍光灯が消灯。(荷棚そばの電球色ダウンライトは点灯したまま)
深浦を発車すると、やや長いトンネルが5つ(かな?)続く。すると、
これがファンタジーライトだ!
蛍光灯が灯っていた部分に、星空が浮かび上がるのだ。
星空というより、宇宙空間の光景かな? 人工衛星みたいなのがいたし。

蛍光灯のカバーに蛍光塗料で絵を描き、カバーの中にブラックライトの蛍光灯が入っているということだろう。
運転台には「ファンタジーライト」と書かれたメインスイッチやブラックライト用らしき子スイッチがあった。
※伊豆急行や北越急行で似たような車両があるが、それらはプロジェクターで投影をするもので、ブナ編成とは異なるやり方。
トンネルの外でも、わずかに見える

ブラックライトが消えて通常の蛍光灯が点灯した状態。ゴミか汚れが付着したように見えるのが、蛍光塗料で描かれた星
5分もしないうちに、「トンネルが終わりましたので、照明を点灯します」とファンタジーライトは終了。
ファンタジーライトは、深浦から南側のわずかなトンネル内だけで使うことになっているようなので、他のトンネルでは体験できない。
でも、なかなかムーディーな雰囲気で、かつ極端に暗いわけでもないので、他の区間の夜の列車でやってもおもしろいかもしれない。


深浦の次の停車駅がウェスパ椿山。その次の十二湖付近では、線路はやや高い位置を走る。湾状の海と浜辺の集落を見下ろし、その先に白神山地が横に伸びる光景が楽しめる。
(再掲)以前の光景
この辺りで少々気になった光景が2つあった。
1つは、2か所で見かけた自衛隊の姿。
ウェスパ椿山近くの木が生い茂った所で、自衛隊のトラックが停まり、パラボラアンテナを海の方へ向けるなどしていた。訓練か業務なのか分からないが、場違いな光景に見えてしまった。(意味があっての活動であり、頭ごなしに否定するわけにはいかないのでしょうけれど)

もう1つも場違いな光景。
海の中に…
2隻の大きな船が浜近くにいるように見えた。

よく見ると、1隻の船が真っ二つになって、本体である船尾側が傾いているのだった。座礁船だ。そう言えば報道で耳にしたことがあった。
2013年3月1日、秋田から室蘭へ向かっていたカンボジア船籍の貨物船「アンファン号」(1996トン)が、深浦町の笹内川河口(陸奥岩崎駅)付近で座礁。そのまま放置され、2013年11月26日の強風と高波で船体が2つに断裂し、さらに放置されて現在に至るもの。
船の所有者である中国人のうち一部と連絡がつかず、さらに法律上の縛り(海岸でなく海中に当たる場所で座礁している等)があって、撤去できないでいたそうだ。
法改正が行われることになり、解決の糸口が見えてきたようではある。
【追記】その後、2015年6月16日から解体作業が始まった。海中からの撤去は8月までかかり、以後、陸上で解体や売却をする手順。


2011年秋に乗った時は、各座席前の網袋に時刻表や沿線ガイドの小冊子(パンフレット)が差し込まれていたが、現在は車両隅のラックだけに置かれていた。その代わり、
黄色いファイルが入っていた
「五能線ガイドブック」という名称で、持ち帰りはできない。
「東能代運輸区 サービス品質推進委員会」という所が作ったらしい。今年4月の作成のようだった。以前もここが作った1枚ものの案内は入っていたか。
車窓のビューポイントから、青池編成のハイブリッドシステムの紹介までいろいろ書かれていた。その中にいたのが、
「ひのちゃん」
「ひがしのしろ」で「ひの」ちゃんということか。
鉄道内部では「電報略号(電略)」といって駅名などをカタカナ2文字で略して表記することがある。「秋田」は「アキ」、「土崎」は「ツサ」などと決まっていて、必ずしも頭から2文字ではない。「東能代」は「ヒノ」が電略だから、それが由来かも。
そういえば、昨秋のこころ旅で火野正平さんがブナ編成に十二湖から森岳まで乗車した。
なお、東能代運輸区には実際に女性車掌がいて、リゾートしらかみに乗車している。

東能代駅ホーム(2番線を1番線側から)
積雪地のホームではおなじみの、ホーム頭上に掲げられた乗車位置を示すプレート。
東能代駅では、そのすべての裏面に「しらかみ3兄弟」がいた。※しらかみ兄弟この記事中ほど参照。

彼らの敵は「エッパー」と「キョウフーン」だが、現在は「オオアメーン(?)」にやられてしまっている。
今回も長いとは感じたが、のんびりと車窓や乗車を楽しめた五能線の旅だった。安全に、できれば早めに、全線で運行再開されることを願う。
※その後、8月30日に運転が再開された。



最後に奥羽本線の話題を少々。
弘前から雨の奥羽本線を上る(乗客が立ち入りできる、ワンマン電車後部運転台から)

碇ケ関に到着
秋田県境に近い、青森の碇ケ関駅
地名(旧村名、現在の平川市の町名)としては「碇ヶ関」、駅名は「碇ケ関」と表記するのが正当らしい。
違いは「ヶ」と「ケ」。
地名としては小さい「ヶ」(「箇」または「个」の略字らしい)、駅名としてはカタカナの「ケ」を使う。

同様に、鰺ヶ沢、保土ヶ谷、茅ヶ崎などがあるが、保土ヶ谷は地名も駅名も大きい「ケ」、鰺ヶ沢と茅ヶ崎は地名は「ヶ」、駅名が「ケ」だそう。
つまり駅名は一律にカタカナを使うようだ。
駅名は明治時代に定められたこともあって、現地の呼称や表記と一致していないケースがあるが、これもその1つか、あるいは昔の印刷や電信など技術的な制約があったのか。

現在、JR東日本ホームページの駅紹介や、きっぷ券面の表記は正しく「ケ」で表示されている。
弘前駅の発車標や701系電車側面の行き先表示は、
 
もちろん正しく「碇ケ関」。さすがJR。
と思ったけど、701系の正面の表示は、
「碇ヶ関」? ※スペースが限られているので、やむなくこうしているのかもしれない
また、特急「つがる」のE751系電車の車内の文字情報装置では「碇ヶ関」と表示されてしまう。

JRが関与しない時刻表検索サイトなどでは「ヶ」を使っているところが多い。
どっちでも読めるし、バランスとしては「ヶ」のほうがきれいに見えるからかもしれないが、(文書内・ブラウザの表示されたページ内などで)検索した場合は別々の文字として扱われるので、情報を見つけられないおそれもある。

駅舎の表示については、この記事末尾。
コメント (2)
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1000円高速バス乗車記

2014-06-18 00:31:45 | 旅行記
だいぶ前の高速バス乗車記。
僕は高速バスに積極的に乗りたいとは思わない。予約方法や乗り場が不慣れな者には分かりにくいこと、遅延の可能性、車内が窮屈なこと、そして何よりもやっぱり(バスも嫌いじゃないけど)鉄道が好きだから。
他に交通手段がないとか、時間的・経済的に相当のメリットがないと、高速バスを利用する気にならない。四国に行く時に淡路島経由の高速バスに乗ったような。


以前から、ちょっと乗ってもいいかなと思っていたのが、東名高速道路を通るバス。
国鉄時代からの伝統があるJRグループの「東名ハイウェイバス」のほか、各地のバス会社が運行していて、選択肢は多い。
日本の大動脈の1つである東名高速道路を通ってみたい思いもある。

だけど、時折行く静岡県東部~中部辺りなら、JRの在来線普通列車や小田急電鉄を使った移動のほうが良さそう(上記のような際立ったメリットが感じられない)に思われて、これまで機会がなかった。

ところが、今年2月から3月の平日限定で、東京-沼津間の高速バスが1000円で乗車できる利用促進キャンペーンを行うことを知った。(2013年にも実施されたようだ)
通常運賃2100円、いちばん安い回数券でも1500円相当の区間だから、格安。沼津からJRなどに乗り継いで周辺の他の町へ行くにしても、トータルでかなり安くなる。

安すぎて不安になるが、運行するバス会社は富士急行の子会社「富士急シティバス」。
同社の一般路線バスに乗ったことがあるし、親会社の社長は日本バス協会の会長を務めているくらいだから、おかしなことはしないだろう。ネットで調べた限りでは、ボロっちいバスが使われるわけでもなさそう。
ということで、乗ってみた。


ここで、静岡県東部の隣り合う三島や沼津と東京を結ぶ高速バス事情を整理。※いずれも旧ツアーバス系ではなく、元から路線バスとして運行。
東名高速は、三島は通らず、沼津の郊外をかすめるように通る。JRの東名ハイウェイバスは、各駅(バス停)停車の急行便しか利用できないし、高速から下りないのでバス停から市街地までが遠くて、旅行客が使うのは限定的。
両市街地を発着する高速バスは、JRバスではない2陣営が競合している。小田急・東海バス陣営と富士急・京王陣営である。小田急は予約不要、富士急は予約制だったり、市内での乗降バス停が異なるといった違いがある。

富士急陣営に着目すると、渋谷・新宿-三島、 渋谷・新宿-沼津、東京駅-沼津の3路線が運行されている。
そのうち、1000円で乗れたのは、東京駅-沼津の「さんさんぬまづ・東京号」だけ。京王は担当しない富士急単独路線であり、本数も多くなくて、ややマイナーな路線なのかもしれない。それでキャンペーンをしたのだろうか。

1日4往復運行されているが、上りは13時台より前始発、下りは16時以降と、時間帯が偏っているのが特徴。沼津の人が日帰りで上京することを想定したダイヤのようだ。
1000円に惹かれたよそ者としては利用しづらい設定だが、下りの初便である東京駅八重洲南口発16時00分→富士急沼津営業所18時22分の便に途中の沼津駅北口18時07分まで乗ることにした。

他の多くの高速バス同様、コンビニやネットで予約・発券できる。
僕は「座席を指定して」かつ「クレジットカード決済」したい。両者の条件を満たすには、「発車オーライネット」で予約した上で、「日本旅行・高速バスぷらざ」で決済するしか方法がないようだ。
「インターネット乗車票」なるものをプリントして持参する。乗車時のクレジットカード提示は不要。
払い戻す場合は、バス会社の手数料(富士急シティバスがいくらなのかは不明)に加えて、高速バスぷらざの手数料として525円(消費税率5%当時)もかかってしまうので注意。

座席を指定したのは、どうせなら富士山が見えるかもしれない、右側の窓際にしたかったから。予約方法ごとに車両をいくつかに分けて売っていたようで、前から6列目の右側を取れた。

乗車票には、「発車時刻15分前には」来いとある。
東京駅のような大きい駅は、バス乗り場が複数あったり、目立たない位置にあったりして、初めてだと迷う恐れがある。当時、東京駅のバス乗り場は移動など工事中で、情報も少なかったので、余裕を持って東京駅へ。

東京駅八重洲口は、再開発で「グラントウキョウ」ができるなどしており、バス乗り場も新しくなった。
2013年9月にできた「グランルーフ」という2階のデッキとそれを覆う大屋根の下に、2013年12月に移転したばかりのバス乗り場があった。
グランルーフペデストリアンデッキからバスターミナルを見下ろす
とても分かりやすい場所で、これなら迷わない。
八重洲南口バス乗り場
だけど、乗り場に入っているバスはほとんどが青いラインにつばめマークのJRバス。スカイツリーシャトルや関東一円に向かう高速バスが多い。
JRバス専用乗り場ではないかと不安になるが、たまに他のバス会社の高速バスが肩身が狭そうに出入りしている。乗り場の1つに「沼津行き」と表示があった(さんさんぬまづ号とは書いてなかった?)し、ここで間違いなさそうだ。

バスターミナルは、大きく開放的な造り。
高速バスの乗り場は8番(9番は当時は工事中)まであり、バスが頭から斜めに突っ込んでドアを開き、バックせずにハンドルを切るだけで発車できるという、なかなか合理的な構造。
一般路線バスでは中ドアを使うから頭から入るのは難しいだろうし、秋田では強風や雪を考えるとこんな開放的な構造は無理。

時刻と連動した乗り場別の発車を表示する液晶画面、すなわち鉄道でいう「発車標」があり、ちょっと奥まって分かりづらかったが、JRバスの発券窓口と待合室(座席数はそれなりにあったが満席だった)もあり、バスターミナルなのに「駅」のような趣きもある。

バスはひっきりなしに入って・乗せて・出て行く。(降車は別の日本橋口で行う路線が多い)
乗車票にあった「発車15分前」に素直に従っても、肝心の乗るバスが入って来られない。

発車10分前を切って、「Resort Express」と書かれた富士急の白いバスが現れた。
さんさんぬまづ・東京号(どこにも「さんさんぬまづ」とは表示がない)
「E4804」という社番で、ナンバープレートも沼津ナンバーの希望番号で同番。いすゞガーラの2008年式とのこと。
2人掛け座席(4列シート)でトイレ付き。

乗り場にはけっこうな列ができていた。予約なしで乗る人も少なくなかったが、予約の有無に関わらず並んだ順に改札。
予約なしの人も断られずに運転士に座席を指定されて座っていたので、満席ではないようだ。(予約なしでも1000円)

僕の前後の席には人がいたが、隣は空席。グループ客以外で相席になる人はいないが、なかなかの乗車率。
買い物帰りの奥様グループなどもいて、運賃1000円を狙って利用している人も多そう。


※以下、走行中の写真はありません。
バスはワンマン運転で、途中休憩なし。
時刻通りに発車。
河口湖行きとしてターミナルに入るバスとすれ違う。日野セレガのJRバスのようだが、ラインが薄い水色だし、つばめマークが小さい。しかも「国鉄」や「JNR」ロゴがある?!

JRバス関東では、「国鉄デザイン復刻バス」を走らせていて、何台かあるうちの1台だったようだ。
僕が覚えている国鉄バスの塗装は、たしかに小さいつばめマークだったが、色は現行と同じ濃い青だったはず。水色はごく初期の塗装ということのようだが、現代のバスにも似合っているように見えた。できればじっくり見たかった。


車内の自動放送は、JR東日本秋田支社のワンマン列車と同じ声。
【8月17日追記】「レゾナント・システムズ」というメーカーの装置のようだ。元は「ネプチューン」という社名で、1962年に日本初のテープ式放送装置を開発し、国鉄バスと取り引きが多く、1986年には日本初の音声合成式放送装置を富士急へ納入。2007年に富士急の関連会社と合併して現社名になった。そんな経緯から、JRや富士急はお得意様のようだ。

有楽町方向へ進んで線路をくぐって皇居沿い・日比谷通りへ。
外務省の前など初めて通る街を眺めつつ、すぐに「霞が関」から首都高速に入る。16時15分。
首都高を通るのも初めてかな。渋谷など所々流れが滞っていた。

16時30分 多摩川を渡り、16時33分 東京料金所(といっても川崎市に所在)からいよいよ東名高速道路へ。すぐ「東名向ヶ丘」バス停を3分遅れで通過。誰も乗らず。
16時36分 3分遅れで「東名江田」バス停。予約なしで2名乗車。
乗車を扱うバス停はここまでで、降車できるバス停はここから1時間ほどないので、しばらくは東名高速をひた走る。

天下の東名高速はさすがに車が多い。特にパネルバンのような貨物車が目立った。バスはほぼずっと追い越し車線を走り、そうした車をぐんぐん追い抜いて行く。

雪化粧の山(丹沢山地?)が見え、町田を過ぎて16時47分「大和トンネル」を通過。渋滞情報で聞く場所だけど、トンネル自体は短い(280メートル)。
17時07分 大井松田インターチェンジ。下り坂になっていて、正面に富士山があるらしいが、残念ながらまったく見えず。
ここから足柄サービスエリアまでの下り線だけは、「右ルート」と「左ルート」に分かれている。
バスは旧上り線を転用した「右ルート」へ。左ルートよりも空いているようだ。左ルートを走るJRバスを追い抜いた。東名ハイウェイバスの各駅停車便だろうか。

進行方向左側が開けていて、眺めが良さそう。小田原がある「足柄平野」だろうか。
17時21分 左右ルートが合流し、足柄サービスエリア通過
17時24分 東名高速の最高標高である454m地点通過
17時27分 新東名高速道路が分岐する御殿場ジャンクション通過

沼津へ行くには、沼津インターチェンジで高速を下りるのが近くて早いが、富士急シティバスの高速バスの多くは、その1つ(距離にして10キロ)手前の裾野インターチェンジで下りてしまう。
一般道で沼津市内へ向かいつつ、途中の裾野市や長泉町のバス停で乗降を扱うためである。

17時31分 裾野ICから一般道へ。あっという間の東名高速だった。
すぐ最初の降車バス停「トヨタ自動車東日本前」を通過。降車なし。
ここでは2分遅れで順調だが、夕方のラッシュ時間であり、この先の県道・国道は渋滞気味。【7月1日追記】雰囲気は秋田市の秋田南インターチェンジから国道13号線秋田市街方面に似ている。
以後の6つの各バス停では、いずれも数人ずつが下車。
乗客向けの無料駐車場が用意されたバス停もあるし、車が迎えに来ていた人もいた。
すっかり暗くなった
沼津駅北口着は18時18分。11分遅れ。
終点の営業所まで乗ったのは3~4人のようだ。

なんやかんや言って、僕はモデルチェンジ後の日野セレガ・いすゞガーラに乗るのは初めてだった。
乗り心地・座り心地(背もたれがやや貧弱か)は良かったし、足元も広かった。車内は静かで、外で聞こえる「ぷつーぷつー」というギヤチェンジの音も中ではほとんど聞こえない。


約130キロを、新幹線(三島で在来線乗り換え)なら1時間強、普通列車(直通は少なく、熱海で乗り換えが多い)なら2時間前後。
料金は普通列車と普段の高速バスはほぼ同額。僕だったら、時間が正確に読める普通列車のほうを選ぶ。
でも、1000円だったら、高速バスのほうを優先して選ぶ。大渋滞で大幅に遅れる可能性はあるけれど。
などと思っていたが、この後、仙台から金沢に向かっていた宮城交通の夜行高速バスが、乗客が亡くなる事故を起こした。原因は完全に解明されていないが、労働環境も一因であるようだ。
バス会社も乗客も、切り詰めてギリギリのところで運行して利用しているような面がある。
安いのもうれしいけれど、安全に快適に移動できてこそ、公共交通機関だと、改めて思っているところ。



ところで、御殿場から沼津・三島にかけての一帯は、大企業の工場や研修施設が多数存在する。
そこへ通勤や来訪する人の足として、沼津駅や三島駅から送迎バスが運行されている。多くは、富士急シティバスなど地元バス会社に委託しているようだ。
秋田では、ノースアジア大学の送迎バスくらいしか事例がない。
【18日追記】送迎バスのダイヤは、各企業が公開していたり、乗り場に掲出されたりしていて、部外者でも知ることができる。
三島駅にて
路線バス車両を使っているが、路線バスではなく送迎バス。富士通沼津工場へ行くようだが、行き先表示が上段に英字が入る「FUJITSU/富士通」なのが独特(側面も同様)。「富士急」と1文字違いなのは何かの縁でしょうか。
前のドアから乗車させていたようだが、有料なのか? 部外者でも利用できるのか?

同じ乗り場から、キヤノンの「富士裾野リサーチパーク」へのバスも富士急が受託して出ていたが、こちらは貸切車両だった。
コメント (6)
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北海道の特急2013夏

2014-06-08 23:30:25 | 旅行記
今さらながら、昨年夏の北海道旅行記として特急列車の話。※前回の記事
記憶が薄れて不正確な点があるかもしれません。

昨今のJR北海道は、車両火災などの不具合と、それに伴う車両の使用停止や減便、さらには社員による不適切な保守や(車両不具合とは関係ないが)規律違反行為が問題になっている。
訪れた時は、車両不具合はあらかた“出揃って”おり、ダイヤ変更や車両減の影響を受けた。
旅行後の昨年11月には最高運転速度を引き下げる異例のダイヤ改正が行われた。さらにその後、大規模な運休を引き起こしたキハ183系(の一部)については、出火の原因究明と対策が終わり、8月から運行を再開することが先日発表された。

北海道の広大な面積とまばらな人口、厳しい気候、国や国民の道路偏重志向など、JR北海道に同情できる点もある。
しかし、この一連の事態はひどすぎる。
今年5月になっても「車掌が走行中に漫画を読んでいた」ことが明らかになった。以前にも同様の事象が発生していて、この期に及んでまだこんなことが起きるとは、不信感が募るばかりだ。2年後には新幹線を運行することになるけれど、大丈夫なんだろうか。



今回紹介するのは、札幌→帯広→札幌→函館と、いずれも車両不具合による間引き運行が行われた区間。
トップシーズンではないが旅行客が多い時期の減便で、混雑は覚悟していた。使ったのは自由席乗り放題のきっぷだったけれど、不安な列車は指定席を取ったら、窓際の席は確保できた。

まず帯広往復。
札幌-帯広の「スーパーとかち」、さらに東の釧路まで行く「スーパーおおぞら」がある。
スーパーおおぞらとスーパーとかち(一部)にはキハ283系、スーパーとかちにはキハ261系という、比較的新しい、高速運転できる気動車(ディーゼルカー)が使われている。
以前、キハ283系に乗って、その高速走行と快適さに感動したものだった。

ところが、2011年5月にキハ283系が走行中に脱線、トンネル内で停車して火災を起こし、列車1本が全焼する事故を起こした。
まだ新しい(15年経っていたけど)列車が黒焦げになった姿をテレビで見て、21世紀になってもなお、日本でこんな鉄道事故が起こることに衝撃を受けた。

その後、原因が解明されて運行を再開したところに、昨年の一連の問題。
キハ283系でも大事には至らなかったものの、出火だか何だかの不具合が発生。それによって車両不足が生じ、この時はスーパーおおぞらの一部が運休していた。

行きはキハ261系のスーパーとかち指定席。
札幌-帯広は220.2キロ。新千歳空港方面が分岐する南千歳-帯広は176.2キロなので、50キロ刻みの特急料金が1段階安くなる。
札幌-南千歳は空港行きの快速などが多く走っているので、それに乗って先回りして南千歳から指定席に乗車。
案の定、満席で隣にも人がいた。しかも天気が悪い夕暮れで、少々息苦しい中、約2時間乗車。
キハ261系。正面のマークは「Super Tokachi」の「ST」
帰りもキハ261系スーパーとかち。
帯広始発だから、早めにホームに出て自由席に乗ることにした。
秋田新幹線は全席指定だし、他の秋田の特急は発車ギリギリでも自由席に座れる状態だから、早く行って自由席の席取りをするのは久しぶり。
これは指定席ですが
4両編成中、自由席はたった1両。
僕が行った時はガラガラだったが、発車時にはほぼ満席になっていた。

キハ283系をスペックダウンしたキハ261系ではあるが、俊足ぶりは遜色ない。
石勝線に入ってトマム、新夕張などに停まるが、ここは普通列車が走らない区間なので、特例として乗車券だけで特急の自由席に乗車できる。青春18きっぷや東日本&北海道パスの利用者だろうか、この区間内で10人くらいが乗って降りて行ったが、多くの皆さんは通路に立っていた。

高規格の石勝線を130km/hで進む。
 


山深い所もあるが、広大な牧草地や畑が見えて、いかにも北海道らしいさわやかで雄大な光景。

キハ283系によるスーパーとかち。キハ261より細身で正面がLED


札幌から函館へ。
この区間は「スーパー北斗」または「北斗」だけど、キハ183系が使用停止・運休中なので、やはり混雑しそう。

途中の東室蘭までは「すずらん」という特急が運行されている。
札幌-苫小牧-登別-東室蘭と、乗客が多い区間で北斗を補完する位置づけの特急。これは5両中4両が自由席だから座れるはず。
スーパー北斗の約1時間前を先行するすずらんに乗った。
785系電車による「すずらん」
電化区間だけを走るため、北海道では珍しい電車特急。785系と789系が共通で使われていて、この時は785系。
785系は1990年の登場当時は画期的な車両だった。正面下部がふっくらしているので、当時人気が出つつあった「アンパンマン」と呼ばれたそうだ。
LEDは後にフルカラーに交換されている

東室蘭から先は普通列車となって支線に入り、室蘭が終点
今では珍しい「L特急」。(東日本では制度が廃止された)
ただ、1日5往復しかないのに、L特急と呼ぶべきかは疑問。
「本数が多く、ダイヤがパターン化され、自由席が多い特急」がL特急だったはずだけど。

予想通り、車内はガラガラ。
落ち着いた雰囲気
車内のデザインは789系と共通のはず。同じく789系を使っている「スーパー白鳥」の色違いといった感じで、座席の形状は同一。
背もたれが少々低いけれど、快適。
気動車に乗った後だから、電車の車内が特に静かに感じた。

列車の性格上、停車駅は北斗よりも多い。
北斗では、登別停車時に「登別温泉へは駅前からバスをご利用ください」と放送があったはずだが、今回のすずらんではなかった。

東室蘭駅で下車して、時間をつぶす。
東室蘭駅東口。実際には“南南東口”といった位置

赤いのは「わたれーる」という東西自由通路(南南東-北北西自由通路?)

東室蘭から函館までは「スーパー北斗」の指定席。札幌からよりは料金が安くなるメリットもある。
この当時のスーパー北斗は、専用車両のキハ281系気動車と、スーパーおおぞらと共通のキハ283系が使われていた。両者が混ざって連結される列車もあった。
その後、2013年11月からはキハ281系だけが使われるように変わっている。

来た列車は、8両編成の全部がキハ283系のようだった。
キハ283系のデザインは、カメラを縦に構えたくなってしまうらしい
所定7両に1両を増結していたらしく、中間に運転台がボコッと出っ張ったのが1台入っていた。
スーパーおおぞら減便のご時世、スーパー北斗へ回せるキハ283などないと思っていたが、そういうわけでもないのか。

割り当てられた席は1号車の若い番号。
上り列車は先頭側が号車・席番とも小さい数字のはずだから、1号車に入って前方へずんずん進んだら、席番は逆に後方が若い番号で、あわてて引き返す。
列の後ろに続く人がスムーズに乗車できるように気を遣ったつもりが、かえってご迷惑をかけてしまった。
新幹線など固定編成の列車とは異なり、気動車は1両単位でつないだり外したりするし、その先頭車は向きが逆転している場合があるのだった。

これも案の定ほぼ満席。東室蘭まですずらんでゆったり来て正解だった。
夕暮れの大沼公園
キハ283系は相変わらず快調な走り。でも、どうしても火災事故が頭をよぎってしまう。
すると、後方から何かがぶつかるような異音がする。スーパーおおぞらの火災では、落下した部品に後続車両が乗り上げて脱線・出火したとか聞いていたので、何か部品が落ちそうになっているんじゃないかと不安になった。
振り返ると、車内末端(デッキでなく客室側)に荷物置きスペースがあり、そこに置かれた荷物がぶつかってカチャカチャ言っていたのだった。
無事に函館到着。
キハ283系は側面のLEDが贅沢
スーパーおおぞらの場合、列車が駅を出発する時は、側面のLEDにタンチョウヅルが羽ばたいて飛び立つアニメーションが表示されるという、凝ったものだった。
スーパー北斗やスーパーとかちではどうなるのだろう?

正面のマークは「+」「メ」「*」で北斗七星
キハ283系によるスーパー北斗に乗車できて、いい記念になったということにしておきましょう。



ところで、JR北海道の車内販売では、バニラアイスクリームと「月替りアイスクリーム」を売っている。
この時は、「ひまわりの種を使用した『ひまわりアイス』」320円だった。バニラは280円。
食べてみたかったけど、通路側に他の人がいる状態で、購入して食べる勇気がなかった。


最近の新幹線や特急列車では、車内の通路ドアの上に文字情報装置がある。
JR東日本では、新幹線ではニュースも流れるが、在来線の特急では案内や広告だけで、ニュースは流れないものが多い。(ミニ新幹線では流れる)
JR北海道のキハ283系やキハ261系では、ニュースも流れていた。

JR東日本の新幹線(JR東海もほぼ同じだったか)では、「【○○新聞ニュース】東北北部も梅雨入り。気象庁は6日…」といったように、全国紙各紙のニュースが流れる。同じ文面が2度繰り返して表示される。
広告や通過駅名の表示とは重複しないよう、タイミングが調整されているようだ。

一方、JR北海道では、「FM北海道見えるラジオ」による北海道新聞のニュースだけが流れていた。ローカルなニュースがあるのはおもしろいが、少々困った点が2つ。
1つはニュースは繰り返しなしで1度しか表示されないこと。
もう1つは、ニュースの途中でも、駅到着など別の情報が割り込んで入って来てしまうこと。

だから、こんなことがあった。
ふと顔を上げた時「…娘は歌手・宇多田ヒカルさん。」と読めた。
ということは藤圭子さん関係のニュースだと分かったが、亡くなったということを知るのは、だいぶ後に再度表示された時だった。
これは、JR東日本でも、顔を上げた時が2度目の表示だったら同じことだけど。

今度は冒頭からニュースを見ていると、「タレント・みのもんたさんの次男で日本テレビ社員の」と来たから、おやどうした? と思ったとたん、「まもなく 占 冠」。
駅発車後に再びニュースが表示されるとしても、最初のニュースに戻って表示されてしまうので、かなり待たないといけない。
「まもなく○○」ならともかく、スーパーとかちでは「○○まであと10km」なんていうのも割り込んで表示された。距離で言われてもピンと来ない。

「見えるラジオ」サービスは、今年春で終了したという。今はどうしているのだろうか。


次に北海道の特急に乗る時は、心から安心できる快適な旅になっていることを切に願う。
食べ物の話なども残っているので、続きはいずれ

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ドアボタンを比較

2014-03-12 23:24:30 | 旅行記
この記事この記事に続く、電車の半自動ドアボタンの話。

まず、秋田地区の701系電車に従来から設置されているボタン。
以前、車内側の「ドア」表示灯の文字が、細めの丸ゴシック体ではなく、太い角ゴシック体のものが存在するはずとしていたけれど。
これ
「N103」編成だった。
 太い「ドア」と多数派の細い「ドア」※ボディの色の違いは撮影条件の違いによるものです
N101~N106編成は、他の編成より1年ほど遅れて製造され、搭載機器が若干異なる。
さらに、N102~N104は一時期仙台に転出して再度秋田に戻ってきた経歴がある。(余談だがN105は秋田→仙台→秋田→仙台、N106は秋田→仙台と異動)
このような時期や所属の違いで発生した差だろう。
【30日追記】ずっと秋田にいる「N101」編成も太文字だった。製造時からの差異ということになりそう。【2018年7月31日補足】100番台と同時期製造の、盛岡や仙台の701系も太文字。


秋田以外のドアボタン。
半自動対応の車両が増えたこともあり、首都圏周辺においても始発駅などでは半自動扱いが実施されている。
東京駅では東海道本線普通列車において2013年8月19日から実施(時間帯限定)しているそうだ。
2月に訪れた、反対側の始発駅・熱海駅でも半自動扱いを実施していた。ホームのLED式発車標では「一部始発列車で車内空調を快適にご使用いただくため」実施すると説明していた。

見たところ、客が近くに乗っているのに開けっ放しのドアも少なくはないが、予想以上に「自分で開けて乗って」「乗ったら自分で閉める」ことが乗客に浸透していた。
どっちみち発車1分前には、すべてのドアが開いてしまうため、半自動による保温効果は限定的なのだが。

国府津車両センター所属のE231系電車「K-13」編成のモハE231-1554。2004年製造。
701系とよく似た車内側ドア周り(よく見ると違いはけっこうあるけど)
ドアボタンの位置も701系と同じようだが、ドアボタン自体は、
701系とは違うけれど、似ていて見覚えがある
男鹿線のキハ40系で半自動改造されたものに設置されているのと、同じボタンだと思う。
701系のものとは、ボタンのある面の角度が異なり、外向きになっている。降りる時に「閉」を押しやすいようにだろうか?
若干薄くスリムになった感じもする。
「ドア」ランプは少し大きくなり、外側と同様に黒地に赤文字で点灯する。ボタンの出っ張りはほとんどなくなり、ボタンはほんの少し大きいようだ。
ボディの色は、701系ではややベージュがかっていたが、こちらはほぼ純白。内装の色に合わせたのか?(キハ40では合っていないことになる)表面の光沢感、質感がやや違う(こちらのほうがツヤがない)気がする。

ボタンの上に貼られた注意書きのシールは、秋田地区701系で新タイプボタンに更新された車両に貼られているのと同じ文面・レイアウトではあるが、書体は異なる。

E231系のドアチャイムは、701系やキハ40系とは違う、柔らかな音色。
ドアの動作との関係も異なり、チャイムが鳴り始めて少ししてからドアが動き始める。701系の2両編成(鳴ってから動く)ほど遅くなく、男鹿線のキハ40系(鳴るのと動くのが同時)ほど早くもないという感じ。
(鳴っている途中に逆のボタン操作をしたらどうなるかは不明)
【2018年10月11日補足】秋田地区のキハ40系のドアボタンは、701系(旧タイプ)よりもバネの力が強いらしく、押し続けていると指が少々疲れる。また、男鹿線で半自動化かつワンマン対応改造された車でも、ドアチャイムが鳴らないものもある。施工時期や工場の違いはなかなか複雑。


E231系をモデルチェンジしたE233系では、仙台で既に導入されていた、ランプ周囲が光る新しいタイプのドアボタンに変更。
中央線快速の豊田車両センターT21編成・モハE233-421。2007年製造
後付けの秋田の701系とは違い、きれいに丸いボタンが設置されている。
縁取りが黄色でなくオレンジ色。中央線のラインカラーに合わせたわけではなく、東海道本線向けの3000番台でも同じようだ。
日に焼けて退色したのか、少しくすんでいるようにも見え、あまり目立たない気がする。
車内側はLEDだけで、色の縁取りはないはず。
【2020年8月18日追記】上の車外ボタンは、ボタンそのものの形状やアイコンも秋田の701系とは違う。これと同じものが、後年、仙台や秋田地区でも採用された


JR東海エリアへ飛んで、静岡電車区の313系2000番台。2006年から導入。
前2両が313系
東海道本線で運用されるが、2両または3両編成が基本でオールロングシートであることなど、701系電車と共通する点も少なくない。(ただしワンマン運転には対応せず、連結して5両とか6両で走ることが多い)※2000番台以外では、2人/4人掛けシートやワンマン対応のものもある
313系2000番台が701系と大きく異なるのは、(東海道本線の線路状態の良さもあるのかもしれないが、)加速性能と乗り心地の良さが両立されていること。【16日補足】701系も加速性能は悪くないが、乗り心地があまり良くない。
普通列車用車両としては最高レベルではないかと、個人的には思う。(これで座席や運用編成数が適切であれば言うことはないのだが…)

この電車にもドアボタンがある。使っていないようだけど。
矢印がドアボタン

車内側
東日本の「ドア」表示灯に相当するものは、それぞれのボタンの上に四角いランプがあり、使える時は両方ともオレンジ色に点灯する。

車内から見たドア周り
車内側の設置位置の高さは、東日本より低くて良い。
ただし、取っ手より外側に、角度を付けずに、開/閉が左右に並んで設置されているので、降り際に「閉」を押すには難易度が高そう。
車内からドアに向かって右側にボタンがあるドアと、左側にあるドアが混在するのも、ややこしい。
JR西日本の車両でもほぼ同じボタンを見たことがあるが、実用的ではない配置だと思う。

JR東海でも、2010年頃からはJR東日本のものに似た、新タイプのドアボタンを導入しているそうだ。地方路線で運用される313系1300番台やキハ25形では、ボタンに縁取りを付けている。東日本では黄色やオレンジ色だが、東海では「あける」を緑、「しめる」を赤で縁取っている。LEDが点灯しなくても直感的にどのボタンを押せば分かって良さそうではあるが、赤と緑の識別がしづらい人もいるから、その配慮としてはどうなんだろうか。



色の違いは別として、現状では、ボタンを大きくして縁を色付けたり点灯させたりして目立たせるやり方が主流のようだ。
タッチパネルが普及したといっても、ドアボタンのような不特定多数が使い、瞬時に単純な操作が求められる場面では、物理的なスイッチのほうが確実で安全で長持ちするだろう。
これ以上、ドアボタンが進化・改良されることはないのかもしれないが、進化するとすればどんなボタンになるだろうか。

【5月14日追記・画像追加】最初の記事で少し触れた、弘南鉄道で後付け改造で設置されたドアボタン。
再掲)大鰐線7000系電車(弘南線の7000系も同じはず)
「ドアスイッチ」というラベルが貼られている。
表面はゴムの質感で、その下が硬いボタン本体。感触は701系の従来のものよりはずっと固くなく、押しやすい。使える時は(たしか赤に)点灯する。車内側も同じボタン(閉めるボタンと2つ縦に並ぶ)。
【5月17日さらに画像追加】
弘南鉄道7000系の車内側ボタン。ドアが開けられる状態
開閉のうち、使える側だけが点灯するようだ。両方点灯してしまうJR各社のものより分かりやすい。【その後2017年頃から、JR東日本仙台支社では、開く側だけを点灯し、閉めるボタンは押している間(瞬間)だけ点灯するように変更された。】
左側ではあるものの、角度をつけて設置しているので、降り際に閉めやすい。

【6月11日追記】テレビ朝日「世界の車窓から」に映っていた、ポルトガルの普通列車も半自動式ドアだった。
まだ新しそうな車両で、JR東日本のものとよく似た黄色で縁取りされた丸いボタンが1つだけ、両開きのドアそのものに設置されていた。LEDが点灯するかどうか、車外側はどうなっているかは不明。
【10月5日追記】イギリス・ロンドンの地下鉄の新しそうな電車にも、丸いドアボタンが、車内外ともドアそのものに付いていた。(テレビで見た途中駅では、ドアボタンを使わずに自動開閉していた)
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2度目のE6系

2014-02-08 22:12:50 | 旅行記
旅行してきました。

秋田新幹線「こまち」のE3系からE6系への完全置き換えまであと1月ちょっと。
現在E3系で運行されるのは、28号(秋田発8時56分)、36号(秋田発13時03分)、45号(東京発17時56分)、47号(東京発18時56分)の2往復だけ。
2月14日から36号、15日から47号がそれぞれE6系に置き換わり、E3系のままダイヤ改正を迎えるのは、わずか1往復だけになる。
E3系に惜別乗車したいと思いながらも、気が付けばそんな状況になってしまっていた。

今回は旅程を無理に調整しないとE3系には乗車できなかったので、仕方なくE6系の列車を秋田-上野で予約。秋にE6系に初めて乗った時は、あまりいい印象を受けなかったこともあって、あまり気が進まないながらも。
さらに帰りは都合のいい時間の「こまち」の「えきねっとトクだ値」が売り切れ(指定席自体は空いている)で、1つ前の「スーパーこまち」を予約。割増料金を取られるスーパーこまちに乗るのは不本意だったけれど、トクだ値の割引額を考慮すればそのほうが安いし、この機会に300km/h運転も体感しておこうということで…

前回は、座席数がいちばん少ない(32席)17号車に乗ったので、今回は一般的な(60席)の16号車の後ろのほうを往復とも予約。(トクだ値でも、号車・座席位置を指定できるようになってうれしい)


それでは、E6系のセカンドインプレッション。E6系での長時間移動は初めてであり、盛岡以遠のフル規格区間で乗るのも初めて。
結論から述べると、前回のような悪い印象はほとんど受けなかった。前回は体調が万全ではなかったせいなのかもしれない。
一方で、多くの人が言っているような「E3系よりも乗り心地(もしくは座り心地)が良くなった」ということは、別段感じなかった。
我ながら、繊細なのか鈍感なのか…

前回は感じた新車のにおいは、今回は感じなかった(前回はこれが良くなったのか?)。座席の黄色もうるさくは感じなかった。
改めて座席に座ってみると、以前ほどスカスカ感は感じず、悪くないと思ってしまった。E3系より「良い」とも感じないけど。
可動式枕(ヘッドレスト)はクッション性は足りないけれど、ないよりはいいと居眠りして感じた。枕がない時は首が痛くなっていたので。
頭の左右がせり出しているのは、並びの席との視界を遮る効果がある程度あり、これによってE3系よりも落ち着ける気がした。

盛岡から先の新幹線区間も、快適で安定した乗り心地(=座席の座り心地ではなく、車両の揺れなどに対する印象)。E5系とよく似ている。車体傾斜装置とやらが作動しているおかげなのかもしれないが、よく分からない。
ただ、E3系やE2系でも、それほど乗り心地が悪いとは感じなかったのではあるが…(印象に残っていないだけかも)
昔、初めて200系(初代東北新幹線)に乗った時は、車内での走行音がけっこううるさかった記憶がある。それを思えば、かなり静かになったなあとも感じた。

スーパーこまちの300km/h運転でも、275km/hとの差を感じず快適。300km/h運転は宇都宮以北なので、宇都宮駅通過前後に意識していても、加速していることは感じられなかった(E3系では加速しているのが分かった)。減速も滑らか。これが来月からの320km/hではどう変わるのか、楽しみ。

以上、4時間座りっぱなしでも苦痛には感じず、これならこれからも乗っても大丈夫だと思った。
ただ、この程度の乗り心地改善・速度アップ・時間短縮に対して、割増料金を選択の余地なく適用するのは、個人的にはやはり納得できない。実質的には「単純な値上げ」に思えてしまう。


出発は、冷え込んでうっすらと新たに雪が積もった朝。E6系「Z7」編成の長い鼻にも雪が積もって(付着して)いた。
大曲まで最後尾の11号車

大曲まで先頭の17号車
比べてみると、17号車側のほうが着雪量が少ない。これは、秋田車両センターにおいて11号車側が北西向きに留置されているからかもしれない。北西向きの信号機に雪が多く着くように。
秋田駅東口から。太平山のすそだけ見えた
平年よりも気温が下がった日ではあったが、秋田の冬としては穏やかな天候で、時刻通りの運行。大曲、角館と雪が増えるものの、極端に驚くほどの多さでもない(地元の皆さんは例年通り、除雪に苦労されているわけではありますが)。
角館駅ホームには、サザエさん?

角館-田沢湖間。下は国道46号線

再掲)秋はこんな風景の場所
盛岡で「はやて」と連結。ここで、この時期恒例の「こまち」の車体(床下)に付着した雪を落とす作業が行われる。
ホームと反対側の席だったので窓から下を見ていると、10人近い作業員(反対側にも同じだけいるのかも)が、金属製の大きなヘラみたいなのを持って歩いていた。台車周辺の雪を叩き落としているようで、「ごんごん」という音と衝撃がかすかに伝わってきた。
4分遅れて発車。

「はやて」と「こまち」が連結している時は、車内放送ははやて側から一括で行う。(こまちの車掌は放送中に既に車内を巡回することも多い)
以前は、車内販売の案内放送もはやて側からしていたが、今回は行き帰りとも、こまちではこまち側で単独で行っていた。考えてみれば、準備ができるタイミングや品揃えはそれぞれで違うだろうから、放送も別々のほうがいいのかもしれない。
だったら、車掌の放送も、特に下り列車では、はやてとこまちで行き先が違い、通り抜けできないことを明確にすれば、別々に放送したほうが分かりやすい気もする。秋田行きの列車に乗っていて、「新青森には何時に到着します」「トイレは何号車です」と聞かされるのは、余計な情報だから。
盛岡
盛岡市は青空がのぞき、車道は路面が見える程度の積雪。岩手山は見えず。
新花巻付近から吹雪になり、真っ白な中を進む。車内の文字情報では、新花巻駅で新幹線が凍結のためオーバーランしたニュースが報じられる。
古川駅手前で、ぐぐっと減速。車内放送が入り「今朝、古川駅でポイント不転換があった影響で、いったん停車する」とのこと。通常のホームのない通過線ではなく、ホームのある線路に入って15秒ほど停車。
車両基地のある宮城県利府町辺りは雪がほとんどなくなり、仙台は4分遅れのまま到着。
福島に入ると再び吹雪。大宮付近まで来ても、屋根や日陰などにはそれなりに積雪があった。大宮には定刻着。上野駅で降りると、鼻に積もっていた雪はすっかりなくなっていた。

帰りのスーパーこまちは、福島駅をかなり減速(75km/hくらい?)して通過。「つばさ」と連結する14番線に、上り「やまびこ」が到着してドアが開くタイミングだった。(連結相手のつばさは、高架手前で待たされていたのか、上ってくるところだった)
福島駅は、上り列車が14番線(つばさは14番線にしか入れない)に入るには、下り通過線を横切らないとならない構造だそうで、やまびこが遅れて通過線を塞いでしまい、スーパーこまちが減速させられたのかもしれない。


さて、今年度1年限りの愛称だった「スーパーこまち」もあとわずか。
上野駅のフルカラー発車標
「スーパーこまち」は2段の組み文字。記事欄には「スーパーこまち全車指定席」と「はやぶさ~」が交互に表示。

待合室の液晶画面
停車駅ははやぶさとスーパーこまちが2段で別々にスクロール表示される。英語表示から切り替わってすぐは「大宮・仙台・盛岡…」と頭が揃っているが、分割以降の駅は違うので、お尻は揃わない。そのため、2巡目からは、
頭がズレて表示される
上下別列車だからこれで問題ないけれど、ちょっとモヤモヤする。(英語表示も同様)

ホームの乗車位置表示

 車両の行き先表示(英語は秋田到着後に撮影。結露していた)

車内の文字案内。
停車中の2段組

発車直後の大きな文字の「スーパーこまち」

「SUPER KOMACHI」
文字案内、自動放送とも、英語では「SUPER KOMACHI Super Express」としていた。

さらに、来月からは「こまち」の連結相手が「はやぶさ」に統一される。
「はやて+こまち」の組み合わせも、見納め

帰りのスーパーこまちも、行きと同じZ7編成だった。
秋田駅にて。右が乗ってきたZ7編成
左は仙台へ向かう最終列車。この時も、車両基地にいた間に鼻に雪が積もったようだ。
【9日追記】あと1日遅ければ、関東地方・太平洋側の大雪の影響で、ひどい目に遭っていたことだろう。

旅行記は続きます

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帯広いろいろ

2013-12-09 23:59:02 | 旅行記
すっかり忘れていた、夏の北海道旅行記。※前回の記事
先日、消火栓をちょっとだけ取り上げた、帯広市中心部で見たいろいろ。
人口17万人弱の帯広市は、道東の拠点都市。北海道らしい広大な街並みで、それなりに活気がある。本州のとは少し違うものの、標準的な地方都市の1つと言えよう。
イオンとイトーヨーカドーは、駅から歩いて行くにはやや遠い立地。中心市街地の駅から500メートルほどの所に地元百貨店がある。
駅からいちばん近い大型店として、中心市街地とは反対の南(西)側に長崎屋帯広店がある。
道路を渡ればすぐ
北海道では、主要都市の駅近くに長崎屋が多い印象があったが、今は他地域と同じくドン・キホーテ化されたものが多く、長崎屋のままで残るのは、帯広店と中標津店の2店舗だけらしい。(ホームページでは、小樽と室蘭にも長崎屋があることになっているが、実際にはドン・キホーテに転換している模様)
帯広店はそう古くはなさそうな店で、食品フロアは地元の「フクハラ」というスーパーが入っていた。秋田の長崎屋も昔は地元の「なかよし」が入っていた。

帯広店の屋上看板
かつての秋田店と同じものだけど、だいぶ色が薄れている。
夜になると…
おや?
壁面に3つ見える「Nagasakiya」のサインがボロボロ。
左端は「N」の右側縦棒が消えている。その右側は「Naga akiya」。手前右にいたっては「Naaasakiy」?
駅からはこう見える
もう少し、手入れしてはいかがでしょうか?(あるいはドン・キホーテに転換する予定でもあるのか?)


帯広市や近郊の路線バスは、「十勝バス」と「北海道拓殖バス」の2社で運行。
十勝バスは黄色い車体が標準のようだが、ラッピング広告バスもいた。
地元時計店の広告
水色主体の広告で、側面の窓ガラスにもフイルムを貼ってラッピング。
さらに、後部に「Thanks Day Platinum」という斜めの帯状のデザインがあるが、それが行き先表示器と重なっていて、系統番号が読めない。
これでいいの?
あと、ナンバープレートが希望番号の「29-10」となっている。
十勝バスでは希望ナンバーを使って「何年に導入した何台目」を識別できるようにしているそうだ。別に識別番号を振ればタダで識別できるのに、登録費用が無駄なような…

拓殖バス
拓殖バスの車両は、車体正面・向かって右側に巻き込み防止の確認用と思われる小窓が設けられている車両が目についた。オプションで付けているのだろう。
日野ブルーリボン・小窓付き
三菱エアロスターではそれが標準だけど、路線バスでは運賃箱に遮られるし、ミラーで確認したほうが早くて、あまり意味がないと認識するバス会社やドライバーもいると聞くけれど。
正面が真っ赤なのはノンステップバス
これは日産ディーゼル製のノンステップで、東京の関東バスの中古だそう。小窓は関東バス時代からあった。

古めの三菱エアロスター
この車は行き先表示に注目。
「非営業」!? だいぶ汚れてますな
要は「回送」ということらしい。
全国的には車庫の出入りなどの際は「回送」もしくは「回送車」と表示するのが多い。最近は気を利かせて「すみません回送中です」と謝りながら走る会社もある。
一方、北海道方面では「非営業」を使う会社が見受けられるようだ。

回送だけでなく、故障や乗務員の訓練運転時(他社では「研修車」などと表示)にも兼用できるという利点はあるけれど、客にしてみれば「営業にあらず」とちょっと冷たい感じもするかな。


帯広市中心部の信号機
帯広市の車両用信号機は、横型と縦型が混在していた。秋田、あるいは道内の札幌や函館よりは横型の比率が高い感じがした、縦型化が遅くて移行途中だろうか。
緑の縦型。なかなか凝ったデザイン。歩行者用が上に付いているのは、車による引っ掛け防止か
緑色ボディの信号機は秋田にもあるけれど、初めて見たボディカラーだったのが、
赤というかワインレッド!

 
存在が目立つし、悪くない色かも。

※続きはこちら
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増税後の運賃は?

2013-12-04 23:53:55 | 旅行記
来春からの消費税率引き上げが決まってしまった。
6月に記事にした通り、JR東日本など首都圏の鉄道事業者はICカード乗車券利用者に限って運賃を1円刻み(きっぷ購入より安い)にしたがっていた。
それじゃあ、JR東日本という同じ鉄道会社のエリアでありながら、IC乗車券が使えない地方では、選択の余地なく高いほうの運賃を払うことになるのかと、腑に落ちないでいた。
ところが、その後、別の情報が少しずつ出てきて、少しずつ詳細が分かってきた。分かった順番にまとめてみます。※すべて、発表または報道当時の内容に基づくもの。来春までに変化するかもしれません。

●仙台・新潟でも1円刻み
10月9日付河北新報「JR東日本のIC乗車券スイカ 仙台圏も1円刻み導入へ」。
JR東日本が1円刻み運賃を導入するのは、首都圏だけでなく仙台と新潟のSuicaエリアも対象にすることが分かった。同じ会社なんだし、それはまあ当然。
その記事では「JR東日本によると、仙台エリアのIC乗車券の対象区間は宮城、福島両県の東北線、仙石線、仙山線、常磐線などの約100駅と、仙台空港アクセス線の各駅。」としている。仙台空港アクセス線は「仙台空港鉄道」というJRとは別の第3セクター鉄道なのだが、そちらも1円刻みになるということだろうか?

来年度からIC乗車券を導入する仙台市営地下鉄の扱いについても触れている。「「仙台は首都圏ほどIC乗車券が普及していない。導入後の普及状況をみて判断したい」(市交通局)」だそう。
ちなみに、その愛称が11月8日に「イクスカ」に決まった。


●国の方針
10月29日には国土交通省が「消費税率引上げに伴う公共交通運賃(鉄道、バス)への1円単位運賃(ICカード利用)の導入について」を発表し、運賃に増税分を転嫁する際の基本的な考え方が分かった。
1円刻みのほうが正確に転嫁できるし、お客も納得しやすいから、国交省としては認めるという前提。(考えてみれば、今までの話は鉄道会社が勝手に言ってただけだったね)
1円刻みを実施する場合には「ICカード運賃の方が現金運賃より安くて然るべきという消費者感覚を前提に、利用者にとって分かりやすいものとして、ICカード1円単位運賃が常に「現金運賃以下」となることを基本とする」とし、端数処理については「事業全体として108/105以内の増収を前提に、各交通モードの利用特性を踏まえて現実的に対応。」することとしている。
※「交通モード」というのはバスか鉄道かといった交通機関の「種類」のこと。ちなみに、船、タクシー、航空事業者で1円刻み導入を考えている所はないとのこと。さらに、大阪など首都圏以外の鉄道、バス事業者でも検討していない(一部報道では、具体的にJR東海やJR西日本では検討していないとした)。

詳しく資料を見ると、
「現金よりICのほうが安いか同額」になるようにし、
鉄道では、IC利用者が多いため、現金の1円単位は「切り上げ」を認める
バスは、現金利用者が多いため、現金の1円単位は「四捨五入」を基本とする
という。
そして、定期券の値段等も含めて調整して、全体でちゃんと8%分の消費税になるようにしなさいとのこと。

これを読んだ限りでは、IC乗車券利用者の便宜と国が取りっぱぐれないことばかり考えていて、IC乗車券を使いたくても使えない地方の利用者のことは考えていないように感じた。
「会社全体として8%になるように」ということだが、それはお客の立場にしてみれば「8%以下の負担で済む客」と「8%以上を負担させられる客」がいても構わないということ。多くの客は決まったいつも同じ区間の同じ運賃額を払う人が多いはずだし。何かすっきりしない。


●現行×108/105
ちょっと話が逸れて、地方のバス運賃。青森市企業局交通部(青森市営バス)が10月30日付で消費税転嫁方針(案)を発表している。
7月5日付で国交省自動車局旅客課から出された事務連絡に基づくもの。現金払いでの転嫁方法については、ずっと前に示されていたことになる。

その事務連絡では、2通りの転嫁方法を見解として示していたそうだ。(文書の実物は見ていない)
1つは、「現行運賃(5%税込み)×108/105」。1997年の税率が3%から5%になった時も、これが(当時は105/103)基本だったようだ。
もう1つ、「現行の税抜き運賃×108/100」も可能としている。

青森市営バスでは、現行運賃×108/105を採用する方針で、現行運賃170円以下は据え置き、520円以下は10円アップ、870円以下は20円アップ、それ以上(990円が最高)は30円アップとするつもりだそう。(案なので変わる可能性もあるでしょう)
基本方針は108/105だそうなので、他のバス会社でもこんな感じになるのかもしれない。

短距離利用者としては値上がりがない、またはわずかでほっとしたいところだが、このやり方って、高額運賃を支払う人にしてみれば不公平だ。
10円の端数処理もあるので、どんなやり方でも完全に公平にはできないけれど、税抜き運賃に8%を掛けてイチから計算し直したほうが、まだ納得できそうな気もする。


●Suicaエリア内外で2本立て
11月6日の定例記者会見において、JR東日本の社長が新たな方針を示した。
11月7日付秋田魁新報総合面では、左下にわずか8行の簡潔な記事で伝え、「Suicaが使えない地域での消費税増税に伴う運賃値上げは「(10円未満の一律切り上げではなく)四捨五入で行おうと思っている」と述べた。」という。

なるほど。
現金払いの運賃を、Suicaエリアとエリア外で、切り上げと四捨五入で別々に設定するのか。四捨五入が適用されるエリア外のほうが安くなる区間が出てくるから、これなら多少は納得できるかも。

ただし、切り上げ/四捨五入前の運賃を「現行運賃×108/105」とするか「現行の税抜き運賃×108/100」とするかで、その差額が違ってくる。
JRの本州3社における幹線1~3キロ区間の運賃140円は、国鉄最後の1986年9月から3%も5%も転嫁されず、ずっと変わっていない。これに8%を掛けると、151円になってしまう。IC乗車券なら151円、エリア内できっぷを買えば切り上げだから160円、エリア外なら四捨五入で150円ということになるのだろうか? それともまたまた140円で据え置きだろうか?
結局は具体的な運賃表が明らかになるまでなんとも言えないか。


エリア内外で2本立ての運賃にするとは、考え付かないアイデアだった。それはそれで心配なことも。
実際の発券操作はコンピュータがやってくれるからいいとしても、今でさえ簡単ではない運賃体系がさらにややこしくなりそう。
両方の運賃体系が混在することになるSuicaエリアの末端に近い駅(甲府、いわき、黒磯、長岡、郡山、小牛田等々)、乗り入れ先の私鉄で乗り越し精算する時とか、面倒が起こらないだろうか。

それから、新幹線にはSuicaでは乗車できない。(一部の定期券や割引乗車券を除く)
したがって、東京-那須塩原・高崎では、新幹線ではSuicaが使えないけれど並行する在来線はSuicaが使える。今は、きっぷを買えばどちらにも利用(もちろん特急券は別)できるけれど、ここは増税後はどうなるだろう。在来線と新幹線で運賃計算が異なるという、山陽新幹線の小倉-博多(これは運賃体系が異なる別会社経営のため)のような感じになるのだろうか。
【12月12日追記】12月12日に公式発表があり、上記とは違う考え方だった。切り上げとするのは、都心に近い電車特定区間内のみ。他はSuicaエリアであっても、エリア外と同じ四捨五入の運賃体系となる。要は、従来からの電車特定区間内の運賃を8%・切り上げ、他を8%・四捨五入にするということ。


なお、この時の共同通信の報道(魁では使わなかったようだが)では、これは使えない地域の利用者の不公平感を解消するための措置であり、今後は「増税分を正確に転嫁できるスイカが利用できる地域の拡大を急ぐ考えをあらためて表明。」したそうで、それが次の項目。


●面でなく点で拡大
11月29日、JR東日本が「Suica の一部サービスをご利用いただける駅が増えます」というリリースを出した。33駅において4月1日からSuicaで列車に乗れるようになるという。さっそく上記の「スイカが利用できる地域の拡大」が行われるわけか。
ただ、今までのような「“エリア”を広げる」ではなく「使える“駅”を増やす」のが違う。既存エリアの延長線上にある駅の一部だけをかいつまんで対象にするイメージ。途中の駅では引き続き使用できず、「面」でなく「点」での拡大ということ。従来通り、エリアをまたがっての利用は不可。

新たに対象となる駅では「使うこと」だけができ、カードの発売・払い戻しはできない。Suica定期券も発売しないとのことで、あくまでも簡易的な扱いのようだ。(チャージについてはできないとしても、コンビニでできるから問題は少なそう)

使えるようになる33駅は、既存Suicaエリア内と在来線(特急含む)で行き来する人が多そうな駅。松本など「あずさ」停車駅。新幹線駅との接続駅である一ノ関、古川。新幹線から乗り継いだ観光客が降りる、平泉、鳴子温泉、会津若松、喜多方。エリア内の大都市との移動が活発な山形、直江津、村上。といった感じ。

現段階では示されていないはずだが、この区間の運賃設定はどうなるんだろう。Suicaが使える駅と使えない駅が入り乱れた状態だから、Suicaエリア内の運賃体系にしてしまうと、逆転現象が起きておかしくなりそう。運賃はエリア外のを適用するかもしれない。
あと、山形-福島間で「つばさ」の乗車には(乗車券として)使えるだろうか。「あずさ」同様の在来線特急扱いならば利用できていいはずだけど、途中駅はSuicaが使えないし、福島駅では「つばさ」を使う時に出入りする新幹線改札口では使えない。


既存エリアを延長するというこのやり方では、秋田を対象とするのは無理だろう。仙台エリアだって新幹線を使って行くのが普通だから。本格的なエリア拡大を待つことになりそう。


●大都市近郊区間
上記、Suicaが使える駅の拡大に伴い、「大都市近郊区間」が拡大されたり、仙台周辺で新たに適用される。※新幹線、山形新幹線を利用する場合は対象外
大都市近郊区間とは、区間内相互を移動する際、実際に乗車する区間に関わらず、常に最短の距離で運賃を計算する【5日適正】もっとも安くなる運賃が適用されるエリアのこと。【5日追記】正確には、安いほうの運賃を「選択できる」ということだが、好き好んで高いきっぷを買う人は少ないし、特にICカードを利用した場合は強制的に最安運賃が適用されることになる。

例えば、山形と鳴子温泉の間を新幹線を使わずに移動する場合。
現状では、仙山線・東北線回り(仙台・小牛田経由)では2520円。奥羽線・新庄回りでは1890円。
来春以降は、どちらを通っても、あるいは福島なんかまで遠回りしても、常に新庄回りの運賃が適用される。
なお、山形や鳴子温泉が仙台Suicaエリアの端であり、新庄回りだといったんSuicaエリア外に出てしまう形になるが、仙台の大都市近郊区間からは出ないことになるし、Suicaエリアをまたがっているわけではない(どちらも仙台エリアに属する)から、Suicaを使っても問題なく適用されるはず。


この大都市近郊区間適用によって、不便になることがある。エリア周辺の旅慣れた人には痛手かもしれない。
それは大都市近郊区間内相互では、途中下車ができないこと。
「途中下車」とは、100キロ以上の乗車券(特急券等は別)において、後戻りしない限り、途中の駅でいったん改札の外に出ることが可能な制度。
例えば、今は上記の山形-仙台-鳴子温泉のきっぷを使っていれば、途中で山寺を観光して、作並で温泉に入って、仙台に一泊して、鳴子に行くことができた。これが来春以降はできなくなる。
大都市近郊区間が韮崎から松本まで拡大される東京でも、新宿-松本などで途中下車できなくなる。※秋田-鳴子温泉や仙台-松本など、近郊区間外からの乗車券では引き続き途中下車可能
【12月12日追記】上記、新宿-松本のような近郊区間末端との利用なら、1駅先の近郊区間外の駅まで(orから)購入すれば、途中下車が可能になる(運賃もほとんどのケースで変わらない)。

ICカードでは途中下車の概念がないし、今どきは旅慣れた人以外では途中下車制度を知らない人が多いのかもしれない。
そもそも途中下車制度は、大昔の列車が遅くて移動に何日もかかる時代、都度手作業で計算して乗車券を発券する手間を省くという意味もあったかもしれない。
列車が高速化し、運賃が瞬時に計算できるようなり、さらに「えきねっとトクだ値」のような特急券とセットになって大幅に割引されたきっぷをJR自身が発売するようになった現代では、途中下車なんて時代遅れのものになってしまったのだろうか。(一方で、割安なきっぷがない地域ではありがたい制度だし、JR側では自動改札機の普及で途中下車を正確に管理できるようになったはず)



増税後、具体的にどこからどこまでの運賃がいくらと分かるには、まだ時間がかかりそうで、発表を待つしかない。とにかく複雑になりそうな予感がしてしまい、面倒になりそう。
そして、長い目で見れば、消費税増税やICカード乗車券の普及が、永年続いてきたの鉄道運賃制度の考え方が変わるきっかけになってしまうのかもしれない。
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485系いなほの旅

2013-10-16 23:35:41 | 旅行記
9月28日のダイヤ改正で、特急「いなほ」に新しい車両が投入された。
前から言っているように、「フレッシュひたち」から転用されたE653系電車だから「新車」ではない。また、外観の塗装は変更され、内装の改造でグリーン車が新たにできたものの、普通車の車内はフレッシュひたち時代のままだと思われる。
今回は新潟-秋田のいなほ7号と8号の1往復だけがE653系化され、他のいなほは485系電車のまま。来年夏までにはすべてがE653系で統一される。
たまに、E653系が「新車」だとか、485系がいなほから完全に撤退したかのようにとらえている人(マスコミ)がいるので、誤解なきようにお願いします。

485系のリニューアルされていない車両のヘッドマーク。近いうちに見られなくなるだろう
E653系置き換え目前の9月中旬に新潟から秋田まで、「いなほ7号」に乗車した。
乗ったのはリニューアルされていない「T11」編成で、それから1か月もしないうちに運用離脱・廃車となってしまった。(その後秋田まで回送されて秋田総合車両センターの公開で展示されたが、近々解体されるのだろう。)

新潟駅万代口
新潟駅は高架化工事中。ずいぶん工期が長く、周辺の整備を含めれば完成まであと10年かかるらしい。


2番線から発車。
今はなきT11編成
「いなほ」は、新潟市(あるいは上越新幹線からの乗り継ぎ)と新潟県内各地、山形県の鶴岡や酒田の間の利用が多く、秋田県内まで通しで乗る人は多くない。ということは、下りの新潟始発の時点では、けっこう乗っているわけなので、今回は指定席を利用。
割り当てられた2号車は、「モハ484-1085」。
 昭和54年川崎重工製
リニューアルされていないT編成でも、座席だけはリニューアルされたR編成(3000番台)と同じ座面スライドするものに交換されているのが原則。この車両もそうだったが、足元が暖房器か何かで塞がっていて、ややきゅうくつだった。
この車両では、荷棚がオリジナルのパイプではなく、板にスリット状の切り込みを入れた、見たことがないタイプに交換されていた。(下のほうの写真参照)

秋田行きの幕
夕方から夜にかけて秋の日本海側4時間弱の旅。
車内放送のチャイムは、オリジナルの「鉄道唱歌」のオルゴール。たまにあるけれど、1音のピンが欠けていて、若干間抜けなメロディだった。
秋田運輸区の車掌が通しで1名乗務。車内検札はなかった。

いなほの車内販売は、秋田発着の列車でだけ実施。酒田止まりの列車では行われない。これは、担当がNRE(旧・日本食堂)秋田営業所だからかもしれない。
酒田止まりでも、それなりの利用客と所要時間なのだから、時間帯によっては需要はあるのではないだろうか。
【2014年5月22日追記】その後、2014年4月25日付でJR東日本新潟支社ホームページに「お客さまの声から改善しました【いなほ車内販売拡大】」がアップされた。
「特急列車なのに、車内販売がないのは不便です。」という声を受けて、2014年3月15日ダイヤ改正から、酒田発着のいなほでも車内販売が始まったそうだ。(一部区間および臨時列車では実施しない場合あり)
NRE側での対応が必要(というか大部分)になる事案で大変そうなのに、一挙に全列車で車内販売が実施されるようになるとは、全国的に車内販売が縮小傾向にある中、積極的だ。(以上追記)

この時は、新幹線では恒例の車内販売員による放送の案内はなかったが、頻繁に車内を巡回していた。
特に在来線では車内販売が縮小傾向にある中、ありがたいこと。スジャータのアイスクリームを購入した。
JR東日本の新幹線と同じく、バニラとりんごの2種類を扱っていた。Suica決済可能で、200円ごとにSuicaポイントも付く。
価格は260円。考えてみれば、コンビニのハーゲンダッツもいつの間にか277円だかに値上がっているのに、スジャータのアイスは量も変わらなかったから、値上げはしていないことになる。やはりアイスクリームは車内販売でこそ購入するべきアイテムかもしれない。
※ちなみに、JR東海の新幹線では、沿線の愛知県・静岡県産のメロンを使ったスジャータのアイスを売っている。食べてみたい。

この列車の車内販売員の売り方がちょっとおもしろかった。
アイスを注文して箱から商品を出す間、「新幹線でもおなじみのスジャータのアイスでございます」とかなんとか、宣伝文句をしゃべるのだ。
笹だんごを買った人には「つぶあん10個入りでございますね」と確認してから「新潟名物笹だんご」と言っていた。
周りの乗客への宣伝効果を狙っているようで、たしかに効果はありそうだけど、買った人としては若干恥ずかしいかも。


新発田駅で白新線から羽越本線に入る。新潟駅から50分ほどで村上駅に到着。
村上駅を過ぎると海沿いに出て、車窓から「笹川流れ」を楽しめるのだが、その前にちょっとしたイベント(?)がある。
「電源切り替え」である。

JRの在来線の電化方式は、直流、交流50ヘルツ、交流60ヘルツの3つがある。(交流の周波数の違いは電力会社に起因するわけだけど)
それぞれに対応した車両でないと走行できないけれど、485系電車はどれにも対応する。

村上以南は直流、以北は交流50ヘルツであり、村上駅-間島駅間にその境界がある。
境界では「デッドセクション」と言って架線に電気が流れておらず、電車はそこを惰性(モーターを止めて)で通過。その間に、運転士が切り替えスイッチを操作する。
485系では、デッドセクション通過中は空調や照明の通電も止まる。家庭用照明の常夜灯(ナツメ球)みたいなのが所々灯るだけなので、夜間は真っ暗に近くなる。

今回に限らず、秋田運輸区では昼夜問わず事前に「まもなく電源切り替えのため車内の照明がしばらく消えます」といった放送を入れることにしているようだ。さらに消灯中に放送する人もいる(停電中も放送は使えるようだ)。
いなほでも、酒田や新潟の車掌は、放送しないほうが多い気がする。常連客にはそれでいいだろうが、初めて乗る客だっているんだから、秋田運輸区の対応のほうが適切だと思う。

順調に走行中(上記、荷棚の構造にも注目)
村上駅を出てしばらくすると、「しゅん」と何かが止まった音がし、続いて空調の送風が停止。そして、
蛍光灯が消灯
オレンジ色の小さな灯りが、車内で5か所ほどだろうか、点灯した。子どもの頃読んだ「鉄道ものしり百科」みたいな本では「予備燈」と表記していた。
この程度の灯りじゃあ、夜はほとんど役に立たない

薄暗い静かな車内
モーター音もしないので、客車列車のように静かに進む。30秒程度はこんな状態。
万一、何かの事情でここで停車してしまったら、自力で再び動くことは不可能(他の列車に救援してもらわないと)。また、万一、電源切り替えの操作をしないで異なる電源の区間に進入してしまったら、故障してしまうだろう。

無事に電源切り替えが終わったようで、やがて照明が点き、空調が動き、走行用のモーターもうなりだして、さらに北へ進む。
日本海の眺め
E653系電車では、電源切替の操作は自動化されていて、照明も消えない。したがって、薄暗い車内の光景もやがて過去のものになってしまうだろう。
【17日追記】同区間を走る臨時快速「きらきらうえつ」や、同様の切り替えがある新潟県糸魚川を通過する特急「北越」では、当分は485系を使用するので、それらでは引き続き同じ光景が見られる。なお、改造で照明の形状が変更された485系3000番台でも、暗くなるのは同じ。

新潟から酒田までは120km/hで走行できる。485系電車の営業運転としては最高速度(青函トンネル等特例の例外は除く)。
モーターは「ぶーん」とうなり、通過駅のポイントを通過する時は「ボコボコ」と音を立てて車両が揺れる。発車時はガクガクとぎこちなく加速。
乗り心地としては良くはないけれど、国鉄時代と僕の子どもの頃の旅の記憶をそのまま今に残し、まだまだがんばれる力強い走りだと感じたのは、世代交代を目前にしての感傷に過ぎないのだろうか。
個人的には、大きな窓とホールド感のある座席は、スーパーこまちなんかよりずっと好み。(この点はE653系でもほぼ同じかと思われる)

平日の夕方だったが、沿線の人が振り返ったり写真を撮ったり、定期列車にしては注目されていたように感じた。皆さん、車両交代を知っているのだろう。


指定席の乗客は多くはなく、村上まででだいぶ降りてしまった。近距離で指定席利用なのは、企画乗車券やパック商品の利用なのか。【17日追記】この日は閑散期なので、新幹線からの乗り継ぎ割引適用だと自由席+150円で指定席に乗れる。正規料金での利用もあったかもしれない。
残りも鶴岡や酒田で降りて、秋田まで指定席に乗ったのはごくわずか。(酒田以北から乗る客は、ほぼすべて自由席利用)

酒田発車後、車掌から「秋田駅で接続する「つがる7号」には車内販売や自動販売機はございません。乗り継ぎのお客さまは、お飲み物などはこの列車の車内販売をどうぞご利用ください」と放送。気が利いているし、結果的に車内販売の収入増にもなる。乗り継ぐ人がどのくらいいるのか知らないけれど。
そういえば、かつての大阪発青森行きの下り「白鳥」のダイヤを引き継いでいるのが、このいなほ7号~つがる7号だった。

曇っていて夕日は見えず、いつの間にかとっぷりと日が暮れて、沿線の黄金色もしくは稲刈り後のはずの田んぼも見えなくなって、秋田駅に到着した。
日本海側の「いなほ」の旅って、好き。小さな窓で割増料金を取られる「(今年度はスーパー)こまち」なんかより、のんびりと旅できるし。485系の「いなほ」には、もう乗れないかもしれないが、E653系になっても折を見て乗りたい。


ところで、今夏の秋田新幹線の豪雨による運休時には、「いなほ」が迂回路として活躍した。お盆期間中だったこともあり、酒田止まりの列車を秋田まで延長する対応が取られた。
東日本大震災の時もそうだったが、他県や首都圏との経路が1つしかないというのは心細い。同じくらいの規模(運転本数)の複数の経路を日頃から確保しておくべきだと思う。羽越本線は冬期の強風による運休も少なくないから、その対策も強化してほしいものだ。

次にいなほに乗った時は、E653系になっていた。
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札幌市交通資料館

2013-10-08 23:49:36 | 旅行記
北海道旅行記。※前回の記事
バスの日にこじつけて少し紹介した「札幌市交通資料館」を、今度は鉄道の日にこじつけて。
1972年にオープンした、札幌市の交通事業に関する展示施設。札幌市交通局の外郭団体「札幌市交通事業振興公社」が運営する。入場無料。
前から見に行きたいと思っていたのだが、開館するのは5月から9月の土日祝日と札幌市立学校の夏休み中だけなのでタイミングが合わず、今回やっと行くことができた。

場所は、市営地下鉄南北線の終点・真駒内の1つ手前、「自衛隊前」駅。
駅の西側出口を出て南へ向かい、川を渡ってすぐ。
向かい側は自衛隊
地下鉄のシェルター付き高架の下を利用した、細長い施設。

あまり大きくない建物内には約1000点の資料、高架下には路面電車10両、地下鉄5両、バス4両の車両が展示される。
「22」
形式は「10形」。明治末期製造の名古屋で使われていた中古車で、1918(大正7)年に札幌市に初めて路面電車ができた時(当時は民営)にやって来た木造の車両。市営化後も引き継がれ、1936年まで運行された。
集電装置がパンタグラフではない
架線に接する部分が滑車状になった「トロリーポール」というもの。進行方向が変わる時は、紐を引っ張ってポールを旋回させて向きを変える。
秋田市電でも1965年の最後の運行までこれを使っていて、公営の路面電車では最後だったそうだ。

「D1041」
これはぐっと近代的。端正なスタイルの路面電車のように見えるけれど、路面「電車」ではない。なんと、ディーゼルエンジンで動く「路面ディーゼルカー」!
札幌市電には、国内唯一の非電化の路面電車(電車じゃないけど、なんて表記すればいいんだ?)があった。
1964年に製造されたこの車両は、路面ディーゼルカーとしては最後の形式。その後、非電化区間も電化されたため、1971年には廃車されてしまった短命な車両。

路面ディーゼルカーというのもすごいけれど、窓が大きく洗練されたデザインの車体も特徴的。
札幌市では、こういうデザインの車両が多かったようだ。

これは
札幌の冬の訪れを感じさせる風物詩といえば、路面電車の除雪車両「ササラ電車」。(例年10月中旬に報道公開をするそうだ)
資料館には、3両の除雪車両(2両がササラ、1両はプラウ式)が展示されている。上の写真奥が「雪8」、手前は1961~1971年に使われたディーゼルカーの「DSB1」。
DSB1のササラ
見た目は、シュロ製のホウキに似ているけれど、竹製だそうでかなり固い。どちらかと言えば茶道で使う「茶筅」みたいな感じか。


最後に地下鉄。
1000形(後に2000形に改形式)
1971年の開業時からの初代の営業車両が展示されていた。
全体的なデザインや地下鉄としてはかなり大きい窓が、路面ディーゼルカーとも共通する。緑色だからバッタとか、仮面ライダーにも似ているような。
2000形は1999年まで走っていたので、中学校の修学旅行でこの形式に乗ったかもしれない。

札幌の地下鉄といえば「地上を走る部分はシェルターに覆われている」ことと、「ゴムタイヤで走行する」のが大きな特徴。
シェルターは分かるけれど、ゴムタイヤについては地下鉄駅は暗いし、今はホームドアがあるので、見ることは難しい。乗り心地でレールとは違うと感じることしかできなかった。
交通資料館では、
ちゃんとタイヤが見えた!(市章が、正面・ドア・ドア間とやたらと付いている)
車体のわりには小さめに感じたが、トラック並みの大きさのタイヤを履いていたのを確認できて、感動。

鉄道好きとして恥ずかしいのだけど、僕は今まで札幌の地下鉄が「ゴムタイヤで走行する」という仕組みをうわべだけで、よく理解していなかったことを今回知った。※それでもなお、勘違いしているかもしれません。
ゴムタイヤで走る=レールがないと思い込んでいて、溝状の部分にゴムタイヤがはまることで、レールの代わりをしているのだと勝手に妄想してしまっていた。

ところがそれは間違いで、札幌の地下鉄にもちゃんと「レール」があり、そのレールが車両が道を外れないように“ガイドレール”として誘導しているのだった。
ただし、そのレールは2本ではなく中央に1本だけ。しかも、そのレールを走行用とは別のゴムタイヤで挟んで走行するのだった。
「案内軌条式鉄道」といって、台場の「ゆりかもめ」のような新交通システムもほぼ同じ仕組み。

文章だと分かりにくいので、他の車両の写真で。
「はるにれ」

「すずかけ」
地下鉄開業前に作られた試験車両。「はるにれ」は1965年製の第3次試験車。「すずかけ」が1967年製の第4次試験車で、作業用車両のような外観ながら、走行システムは南北線の営業車両とほぼ同じとのこと。
この2両の足回りを拝見。
 
走行用とは別の少し小さいタイヤが、横に倒れた状態で車体の底に付いている。
そのタイヤが、1本だけのレールを挟んでいる。
走るためのタイヤを「走行輪」、横向きのを「案内輪」と言い、両方にゴムタイヤを使ったのは札幌が世界で初めて。

屋内には、タイヤが展示されていた。
説明板には「寄贈 ブリヂストンタイヤ(株)」とあった。同社は現在は「株式会社ブリヂストン」なので、改名された1984年以前に寄贈されたのだろう。
左が東西線、右が南北線
南北線用のタイヤは表面がツルツルで、後に開通した東西線用は溝がある。(もっと新しい東豊線は東西線と同じ?)
説明板では南北線のは「駆動輪」、東西線は「主輪」と表記が異なるが、どちらも走行輪ってことでしょ。
どちらも「スチールラジアルタイヤ」。南北線用は外径1090ミリ、幅290ミリ、重量60キロ。「タイヤ表面模様がなめらかな地下鉄用ゴムタイヤは世界で初めてのもの」。
東西線用は外径1000ミリ、幅370ミリ、重量65キロ。「特殊開発された扁平なスチールラジアルタイヤ」で、「世界最大の地下鉄用ゴムタイヤ」。

タイヤの履き方も違い、南北線はバスやトラックのように同軸に2本履くダブルタイヤ。東西線・南北線では1本だけで、パンクに備えた金属製の補助輪があるそうだ。
南北線と東西線・東豊線では、タイヤ以外のシステムにもいろいろと差異があるそうで、車両を共通化することできない。

ブリヂストンのロゴ(昔の)がちゃんと入っている
雪国では今シーズンのスタッドレスタイヤのテレビCMが9月から始まっている。ブリヂストンでは「札幌のタクシードライバーの70%がブリザックを選んでいます」というのを放送している(最近見ない?)けれど、札幌の地下鉄は100%ブリヂストンだ。
【10月19日追記】スタッドレスタイヤのCMを改めて見た。札幌のタクシードライバーの「10人中7人がブリザック」と言っており、字幕で小さく「71.6%」であるとしている。


資料館の敷地は細長いため、途中で狭いながら信号機付きの横断歩道で公道を渡る。
「真駒内」交差点。向かいが陸上自衛隊真駒内駐屯地

百聞は一見にしかず。おもしろく、ためになった。
展示物の維持管理のためには、有料にするとか、駅構内扱いにしてきっぷ所持者だけに公開するようにしてもいいのではないだろうか。
※札幌の地下鉄の仕組みについては、新さっぽろにある札幌市青少年科学館のホームページ(http://www.ssc.slp.or.jp/science-qa-box/qabox-traffic/919.html)も参考になります。

「かけこみは危険!」
自衛隊前駅構内にあった、駆け込み乗車をしないよう呼びかける看板に描かれるのは、2000形?


40数年前に札幌市が独自に新たなシステムの地下鉄を開発したことは、画期的で意欲的な挑戦だったのが伺える。
でも、今にして思えば、普通のレールによる地下鉄にしておけば、技術開発や建設の費用が抑えられたはずだし、JRとの相互乗り入れなど利便性が向上していたかもしれない。独自のシステムというのは「ガラパゴス化」したということだし、さらに路線によって規格が違っていては、車両の開発や運用の効率が悪い。
結果的には、北の200万都市を支える重要な交通機関として立派に機能しているわけであり、これはこれで間違っていなかったのではあるけれど。

※北海道旅行の続きはこちら(カテゴリーが違います)
※北海道のちょっとした話題(消火栓について)はこの記事後半でも
※旅行記カテゴリーとしての続きはこちら
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札幌市交通資料館のバス

2013-09-19 23:18:44 | 旅行記
バスの日便乗記事。今回は北海道旅行記(前回の記事)の続きとして。
「札幌市交通資料館」という施設がある。札幌市交通局に関する資料や車両の実物を展示・公開する。札幌市交通局は、路面電車、地下鉄、バスの3部門があったが、バス事業は2004年に民間移管して撤退しているが、資料館にはバスに関する資料もいくつか展示されている。

資料館は、地下鉄(が地上を走る区間)の高架下を利用した細長い土地で、車両の実物は、路面電車10両、地下鉄5両、そしてバス4両。他の資料も含めて、バスの展示はさほど多くない感じだったけれど、全体的になかなか見応えのある施設だった。
施設全体や地下鉄関連の展示については後日(来月の鉄道の日あたり?)別記事にするとして、この記事ではバス関係を紹介します。
※天気の悪い日に高架下で撮影し、他の入館者もいたため、写りの悪い写真があります。

交通資料館の門を入って、最初に出迎えてくれるのは電車ではなく、バス。
丸っこいマイクロバス
昭和38(1963)年11月三菱重工(当時は三菱自動車はなかった)製。27人乗り。
郊外や山間部の輸送用として4台導入したうちの1台。その後増備して23台になったものの、昭和49年でなくなったという(この車両自体も昭和49年3月廃車)。

Wikipediaによれば、「新三菱重工」製。現在に続く「ローザ」の初代モデルで、そのデザインから「だるまローザ」と呼ばれたそうだ。
丸っこくておもちゃみたいでかわいらしい
現行のローザもどちらかと言えば丸みを帯びたデザインだし、屋根に突き出た行き先表示なども同じで、通ずるものを感じる。
ちなみに弘南バスのローザ「31906-5」。2007年式(現行モデルと同じかな)

薄れた行き先表示は「円山動物園」と書いてあったようだ
星は札幌市章。ガラスの下には「FUSO」の表示があったのだろうか?
一方、後部は
かなり独特。人の顔(頭)みたいだし、切れ長のランプは初めて見た
車内にも入れた。
 
運転席も客席もシンプル。床は板張り、座席はビニール張りのコの字配置(三方シート)、つり革なし。
入り口ドアには「ワンマンカー」の表示があったので、これでワンマン運転していたこともあったのだろう。小さいバスとはいえワンマン機器がなくては大変そう。

秋田市交通局では、道路が未整備の住宅街向けとして小型バスを1975年に導入し、現在も運行されている。弘前の弘南バスでは、現在はローザをはじめとする小型バスが主流となって活躍している。


その次は、
ボンネットバス
昭和30(1955)年5月いすゞ・川崎航空機工業製。62人乗り。
※現地の解説板にある「川崎航空機工業」製は誤りで、正しくは「金沢産業」製だそう。金沢産業は後の日野車体工業。川崎航空機は後のいすゞバス製造。現在は両者は統合して「ジェイ・バス」になっている。
運行された期間は長くなく、サービスカー(事業用車ってこと?)に転用されたものの、昭和39年に廃車された。

これはどこかで見たことがあるような典型的なボンネットバス。濃い青とオレンジの塗装が独特。
車体に「402」と数字が書いてあるけれど、あまり古くなさそうな書体。秋田市営バスのに似ている。
ボンネットのフタに丸に「ISUZU」の見慣れぬマーク

後部。このライトの形はなじみがある
市章は側面に付いていた。

車内。
 
こちらもシンプル。運転席の横(ドアまで)だけロングシートで、他は2人掛けでつり革なし。
床は前が板張りで、後方は鉄板。2人掛け座席の形状は現在のものとさほど違いはないが、よく見ると肘掛けや取っ手の配置がおかしい。
元サービスカーだったとのことなので、いったん座席が撤去されたり床が張り替えられたりして、廃車・展示に当たって、復元したのかもしれない。現役当時とは違っている可能性がありそう。


残り2台。以前は、ステンレスボディに天窓が付いた独特の貸切車両が展示されていたそうだが、状態が悪く、2006年に撤去。
代わりに、札幌市営バス最後の日まで走っていた2台の大型路線車両が展示された。
おなじみ「いすゞLVキュービック」
塗装は1990年代中頃以降に使われたものらしい。市章はなく「ST」のロゴが入る。
この車は1994年式だそうで、秋田市営バスから中央交通に譲渡されて今も走っている車両と同年代。内外の仕様もよく似ている。「低床車」と表示されているが、ツーステップ。
真四角で一枚窓が特徴
行き先表示は「貸切」。秋田市営バスの「貸切」と同じ書体のようだ。

「IK COACH」製(上は「ISUZU」のはずだけど剥がれた?)
上のほうで出てきた「川崎航空機」はその後、川崎車体→アイ・ケイ・コーチ(いすゞが出資した)→いすゞバス製造→ジェイ・バス(日野と統合)と変遷した。LVキュービックは、川崎車体~いすゞバス製造にかけての3つの時代に製造されているはず。

もう1台は、
日野ブルーリボン。向かって右側のミラーが大きいのが札幌市バスの特徴か?
キュービックより古い1987年製で、最初のマイクロバスと同じ塗装。これも市営バス最終日まで走っていた。
時期的には、秋田市営バスで塗装が変わった頃だから、202~204号車と同型だろうか。


長くなるので、今回はここまで。続編で車内などを紹介します。
※旅行記としての次の記事はこちら

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孤高のマックスバリュー

2013-09-17 23:33:26 | 旅行記
日本国内には様々なスーパーマーケットが存在する。ローカルスーパーから全国チェーンまでいろいろと。
北海道に行った時、日本中でただ1つのスーパーがあるとのことで、行ってみた。我ながら物好きです。※北海道旅行記の直近の記事はこちら

それは、「マックスバリュー恵庭(えにわ)店」。
それだったら全国各地、あちこちにあるじゃないかって? 秋田なら広面とか茨島とか。

いえいえ。それは「マックスバリュ」。ここで言っているのは「マックスバリュ“ー”」と最後が伸びる。
じゃあ、「マックスバリュ」はイオン系列だけど、その「マックスバリュー恵庭店」は何者か。マックスバリュをパクった?
いえいえ。マックスバリュー恵庭店も、ちゃんとしたイオングループのスーパー「マックスバリュ」の一員なのです。

どういうことかというと(Wikipediaを参考にしました)…
「MAXVALU」の店舗ブランドが初めて登場したのは、1994年10月の岩手県の店舗。その時は「マックスバリュー」と伸ばしていた。
その後、「マックスバリュー」が次々と開店していったが、1998年11月開店の店舗からロゴを変えて「マックスバリュ」と伸ばさなくなり、以後、「マックスバリュー」だった既存店舗も順次「マックスバリュ」に改称されて今に至る。

今のマックスバリュの看板などのロゴは、枠で囲ったブロック体の「MaxValu」の「V」の右上が枠の外に突き出ているもの。一方、「マックスバリュー」当時は、全部大文字で手書き風の「MAXVALU」だったそうで、そういえば以前、旅行先で見かけて記憶がある。

そんな経緯があって、「マックスバリュ」に改称されずに、現在ただ1つ残っている店舗が「マックスバリュー恵庭店」ということらしい。

※秋田のマックスバリュ東北運営の店舗では、1990年代はどれも「ウエルマート」だったはずで、2000年前後から「マックスバリュ」化された。したがって、秋田では「マックスバリュー」を名乗った店舗はなかったと思われる。


マックスバリュー恵庭店の運営会社は、「マックスバリュ北海道」。(伸ばさない)
同社経営の他店舗は、もちろん「マックスバリュ」。

公式サイトでは、
マックスバリュ北海道ホームページの店舗一覧より抜粋
サイトの店舗一覧では、「マックスバリュ○○店」は単に「○○店」と記載されている。(ザ・ビッグなど異ブランド店舗はブランドから記載)
マックスバリュー恵庭店も、「恵庭店」と掲載されている。
ところが、クリックして詳細を見ると、
なるほど。確かに「マックスバリュー」
左上には現行ロゴが出ているが、地図の中では旧ロゴで「マックスバリュー恵庭店」になっている。
【18日追記】地図内では、「36」も「46」も国道のような逆三角形っぽいマークになっているが、正しくは36号線が国道、46号線は道道なので、46は六角形でないといけない。(国道46号線だったら、秋田・岩手の県境の道だ)


では、現地へ。
マックスバリュー恵庭店があるのは、北海道恵庭市。
快速エアポートで札幌と新千歳空港を移動する時、新札幌-北広島-恵庭-千歳と停車する、その恵庭。札幌市の南方にあるベッドタウン。
百万都市に連なるベッドタウンというと、線路沿いに延々と家並みが続くのを連想しがちだけど、そこは北海道。市と市の間には、原野や牧草地みたいなのが広がる。

マックスバリューの最寄り駅は、恵庭から1駅札幌側に戻った「恵み野」駅。快速は停車しないので、1時間に3本ほどの普通列車に乗り換え。(※今回はフリーきっぷを使ったので、行ったり戻ったりできた)
恵み野は駅東側のニュータウン開設に伴って、1982年に開業した駅。ニュータウンはガーデニングの街として知られ、民家の庭を開放している人が多いという。
駅東側はイトーヨーカドーがあったりするが、目指すマックスバリュは西側。橋上駅舎から西へ出た。
 恵み野駅西口
西側はロータリーはあるけれど、何もない!
といっても、周りにはほんとうに何もないわけではなく、すぐ南側からは住宅街が続く。恵み野ではなく、恵庭市本体の住宅街の北端ということだろうか。
その南方向へ向かって、線路沿いに進む。適当な所で線路から離れて、西へ進めばマックスバリューなのだが、目立ったランドマークがなく、駅側からは店の裏側に出るので迷わないかと心配したものの、あっさりと到着できた。駅から15分ほど。

秋田などのマックスバリュにもよくある、異業種の店舗が隣接して駐車場を共有するショッピングモール形式。
ショッピングモールは道道46号線に面しているが、モール自体が他の店舗に隠れるようにやや奥まって位置する。ショッピングモールは、道道側からオートバックス、ホーマック、マックスバリュー、セリアという配置。オートバックスが混ざるのが珍しい。
で、これがマックスバリュー恵庭店。
看板は旧ロゴ
入口のドアは、
ほんとに「マックスバリュ“ー“恵庭店」だ!

平屋の店内には「ツルハドラッグ マックスバリュ恵庭店」が同居。他には最近まで(【11月4日追記】8月18日で閉店?)マクドナルドが「マクドナルド 恵庭マックスバリュー店」という名称で入居していたそうだが、この時は撤退して空き空間になっていた。
マックは正しく「マックスバリュー」だったようだけど、ツルハは「マックスバリュ」という名称のようだ(ツルハドラッグ公式サイトより)。
他のテナントはなく、インストアベーカリーもなかったはず。(とすると、秋田のマックスバリュは、どこも写真屋、アイス屋、ミスドなどあって同居店舗が充実している)
【9月24日訂正】恵庭店には、インストアベーカリーはあったのを思い出したので、訂正します。一般的なインストアベーカリーは、スーパー部分の手前の右か左にあるかと思うが、ここはいちばん奥の惣菜とか精肉、鮮魚売り場があるような並びにあった。

店内は、どこにでもあるマックスバリュ。(品揃えや商品の配置が運営会社の方針なのか少し違って戸惑うのは、どの店でも同じこと)
トイレなどは新しくはないというか、わりと古そう。「マックスバリュー」のままだから1998年以前に建てられたのは確実だけど、もう少し古い(それ以前は別の名称だった)ような気がする。
レジの台数はあまり多くなく、セルフレジはなし。

興味があったのが、「マックスバリュ“ー“」であることがどこまで徹底されているか。ツルハドラッグは間違っているし。
外にあった店長名の掲示は、
ありゃ。「マックスバリュ恵庭店」になってますよ!
自分で自分の名前を間違っちゃあ、いけません。

でも、感心なことに、見た限りで他は「マックスバリュー」で統一されていた。
惣菜のラベルの製造者名は「マックスバリュ北海道株式会社 マックスバリュー恵庭店」だったし、レシートも「マックスバリュー恵庭店」(カタカナは半角)。
上は函館市の「堀川店」のレシート。こちらは「マックスバリュ」が全角、URLの最後のスラッシュの有無が異なる
※ちなみに、秋田市内のマックスバリュ東北の各店舗のレシートは、「MV港北店」「MV茨島店」「マックスバリュ広面店」と、統一されていない。

マックスバリュー恵庭店にも、イオン銀行ATMとwaonステーションが設置されていたので、ひと通り使って、それが履歴にどう表示されるか調べた(←ほんとに物好き)。
上からレジでの決済、ATMでの現金チャージ、waonステーションでのポイントチャージ
イオン銀行ATMは「MV恵庭」、レジとwaonステーションでは「恵庭店」と表示されてしまい、「マックスバリュー」の名は出てこなかった。

最下段の函館の堀川店も「マックスバリュ」が省略されてしまっている。
一方、マックスバリュ東北の店舗は「MV茨島店」などと「MV」を店名に冠して表示され、静岡のマックスバリュ東海の店舗は「MV」が付かない店舗名のみだった。おそらく運営会社によって異なるようだが、イオン本体と区別できるようにしてほしい。

色あせてきたマックスバリューの看板
孤高の存在のマックスバリューは、いつまで存在するのだろうか。
看板を替えて、あとはレジとかを少しいじれば済みそうなので、天下のイオンさん(のグループ企業)にしてみれば、すぐにでも「マックスバリュ」にできそうな気がする。
あえてこのまま残しているのか、あるいは大掛かりな店舗改装時期まで待って変更するつもり(ザ・ビッグなど他ブランドへの転換もあり得そう)のか。

旅の途中のくだらない寄り道でした。
【18日補足】↑「くだらない」としましたが、個人的には楽しめました。
それから、ブログやツイッター等を見ていると、恵庭店以外のマックスバリュを指して、「マックスバリュー」と表記している方々が多数いらっしゃる。
上記の通り、かつては「マックスバリュー」だったことや伸ばしたほうが言いやすいことによるのだと思う。当分はこんな調子だろう。
考えてみれば、どうしてイオンは「マックスバリュー」を「マックスバリュ」にしたんだろう?(いただいたコメントの通り、プライベートブランド「イオントップバリュ」も、1994年の発足時から2000年のリニューアルまでは「トップバリュー」だった)

※旅行記の続きはこちら

【2021年6月18日追記】気が付けば、この店も「マックスバリュ恵庭店」に変わってしまっていた。2021年時点では建物は同じで、店内リニューアルや看板交換がされているようだ。
1997年開店で、2015年2月28日に大規模リニューアル、2019年4月11日にもリニューアルされていた。2015年の告知ですでに「マックスバリュ恵庭店」となっているので、その時に変更されたかもしれない。
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徐行/E5系乗車

2013-09-14 21:12:57 | 旅行記
前回に続いて、E6系初乗車。
秋田新幹線(田沢湖線)では、秋田・岩手県境付近において大雨により土砂が流出したため、8月9日から11日まで運休した。その後は、その箇所で徐行運転が行われていて、若干の遅れが生じている。

上りこまちの車内では、秋田駅発車時から「復旧工事は終わっているが安全確認のため、田沢湖-赤渕間で徐行運転を行うので、盛岡到着は3~5分程度遅れる見込み。すれ違う反対列車の関係で、さらに遅れる可能性もある。」といった放送がされていた。
「田沢湖-赤渕間」と言っていたが、仙岩トンネルを含み県境を越える両駅間は18.1キロもあり、北海道以外の在来線では最も駅間距離が長い区間。そこを全部徐行するわけではない。【26日追記】秋田駅改札口の到着案内では、徐行区間を「雫石~田沢湖駅の一部区間」と案内している。赤渕駅は秋田新幹線が停車しないためか。

実際には、岩手県側に入ってから、赤渕駅直前の数キロほどの区間で徐行した。
線路の左側が山の斜面、右の木々の向こうに志戸前川という川が見え隠れする場所。
 
復旧工事跡らしき箇所が複数あり、流木が多数集まっているのも見えた。

予定通り、3分ほど遅れて盛岡着。
車内放送では「仙台には時間通りに到着する」と案内していた。盛岡の停車時間で取り戻せるのだろうか。ホームページや各駅(首都圏の駅や車内でも)では、「下り盛岡~秋田の一部」に遅れが生じているとだけ案内している。

盛岡では、前に停まっている「はやて」と連結するため、2度停車して3度目の停車時にドアが開くのは、E3系と同じ。
盛岡駅ホームの停車位置目標
「秋」がE3系、「Z」がE6系用の停止位置だと思われる。

盛岡駅には、
E3系が前照灯を点けて停まっていた
このE3系は「R3」編成だから、初期に製造された車両。検査期限の関係か、古いものから廃車というわけでもないようだ。
E3系の後ろには、
E5系U21編成が連結されていた
※連結部の中間に当たるE3系↓とE5系↑の尾灯がそれぞれ点灯しているので、厳密には連結を解除した状態のようだ。
なんとも奇妙な組み合わせ
E3系は「回送」、E5系は盛岡止まりの「やまびこ」の表示を出していた。

この後、僕が乗る「やまびこ」もこのホームから出るのだが、いったん改札を出た。
再びホームに戻ると、さっきから停まっているE5系が折り返し上り「やまびこ」となり、E3系はいなくなっていた。
改めて、乗車したE5系「U21」編成
E6系とは似ているようで違うが、どちらも鼻が長い。向こうのホームのE2系が、まるで昔の丸鼻の0系新幹線かのように時代遅れに見えてしまった。

E5系の側面
最近の新幹線は、パンタグラフは小型化され、その周りに騒音防止のカバーが付いている。
上の写真の通り、E5系はでっかい板みたいなカバー。シンプルな構造だが、色がグレーで車体に不釣合い。色をなんとかすれば良さそうな感じ。

車内へ。
E5系の先代に当たるE2系の車内は、良くも悪くも特徴がないシンプルなものだった。E3系と比べると、無機質。でも、フル規格サイズの大柄な車体と相まって、すっきりして広々としていた。
それでは、E5系は、
フル規格車両は長い!
E2系と比べると落ち着いた雰囲気。照明が柔らかいのと、座席の色ためか。
でも、全体的にはシンプルな印象だし、E6系と比べると無機質。
E5系でも可動式枕が装備
座席の色はグレーで統一されているが、濃いグレーと薄いグレーが互い違い(?)に配置されている。
E6系と同じ、ファスナーの原理で上下する枕が装備され、枕カバーは白からE6系と同じベージュに変わった。


先代のE2系の座席は、こういうのだった。
八戸開業時に製造された「J51」編成
E2系の座席の柄は、暗めの色(青、紫、緑など)に不規則な柄が入るカジュアルというかどことなく毒々しいもの(でもうるさいとかドギツイ感じはしない)。座席形状はE3系と異なり細長い感じで、腰から背中にかけての湾曲が大きくて包み込まれるような感覚がして、わりと好きだった。
3人掛けの大きな座席を回転させるため、標準で座席がやや前のめり気味になっていて、特に3人掛け中央のB席は前傾角度が大きく、ボタンを押さなくても座って背もたれに力をかけるだけで、自動的に少しリクライニングする機構を備えていた。
※E2系は製造時期や使用路線によって、内装に差異がある。

E5系の座席
E6系と同じく、やはり窓の小ささが目立ってしまう。
あと、背もたれがとても薄っぺら。
写真では分かりづらいけれど、E5系で画期的なのが、座席間隔が104センチに広がったこと。
東海道・山陽新幹線は国鉄時代の100系で既に104センチだったが、JR東日本の各新幹線車両は98センチであり、E6系でさえ同じ。わずかな差ながらも、たまに東海道新幹線に乗ると、足元がとても広く感じられるものだったが、ついにJR東日本の新幹線でもそれが味わえる。
座席の3人掛け各席の横幅も拡大されたそうで、真ん中のB席は46センチ(E2系は43.5センチ)、A、C席は44センチ(同43センチ)になったとのこと(2人掛けD、E席は44センチ)。

座り心地は、E2系から受け継いだ背もたれの湾曲によるホールド感は多少あるが、やはりE6系同様にどこか安っぽい座り心地。ぺらぺらしたような。
E6系同様座面スライドはしないリクライニング。E6系と違うのは、リクライニングすると連動して座布団が前にせり出して来ること。
昔の特急(485系など)の「簡易リクライニングシート」を連想してしまった。(簡易リクライニングはON/OFFだけで途中で止められないが、E5系はどの角度でも止まるフリーストップリクライニングです)

背もたれの装備
キノコみたいな突起状の取っ手、小物掛け、テーブル、網袋、ペットボトルホルダー。窓下の壁には、コンセントが1つある。
E6系と違うのは、取っ手の形状と網袋に輪っか状の紐がないこと程度。
E2系では、テーブルと網(上のほうの写真で分かるが、底が抜けていて「袋」ではなかった)しかなかったので、充実した。

荷棚はE2系、E6系同様、板状。E6系と同じく、荷物の置き忘れを防止するであろう金属の帯(荷物が映って見える)が天井にある(E2系ではなかった)。棚から天井までの高さは、E6系よりある。
テーブルの裏に貼ってある注意書きは、E6系と同じく座席回転時にテーブルをたたむこととキーボード操作音などで迷惑かけるなというものと、「枕は上下に動かすことで高さを調節できます。」。
なんでE6系には枕の使い方を表示しないんだろう。


現時点の最高運転速度は、E5系単独で走る「はやぶさ」は320km/h、「スーパーこまち」連結時は300km/hで、それ以外(はやてややまびこ)は従来と変わらない275km/h。
だから、「やまびこ」運用では余力があるのかもしれないが、乗り心地はなかなか良かった。
新しく採用された車体傾斜機能はよく分からなかったが、高速走行時も安定して静かに感じた。発車時が滑らかかつ力強いのは、E6系と同じ。
※乗ったやまびこはE3系やE6系を連結しない、単独走行だった。E3系を連結した場合は、E3系の性能に合わせて起動時の加速度を抑えるシステムになっている。

というわけで、E5系とE6系を比較すれば、なんといっても足元が広いのは大きなメリット。選択できるのなら、僕だったらE5系を選びます。


上野駅にて。
E6系Z2編成とE5系U16編成の連結列車(回送)
地下駅で見ると、ボディの光沢が妖艶。特にE6系のライト周りの銀色の辺り。
ホームに入線するときの音は、従来の車両よりも派手で鋭く未来的(?)だった。

さらに上野では、
久々に「East i」に遭遇!
ホームの発車標には表示されなかったが、自動放送と肉声放送では「回送列車」と呼ばれていた。少なくとも10分ほど停車して、下り方向に出発していった。

East iはE3系がベース。
2001年製造なので、時期的には秋田新幹線用E3製の後期導入分(2002年以降)の直前。発車時のインバータ音からすれば、前期型に分類できそう。
E3系の前期導入車両が廃車になれば、E3系一族(East iは厳密にはE3系ではなく「E926形」だけど)でいちばん古いのがEast iということになるだろうか。
コメント (3)
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定山渓温泉

2013-09-05 23:55:31 | 旅行記
ヌプリ号の旅を終えて札幌に到着。ここからほぼ丸2日間の北海道滞在。順不同で記事にします。
僕が旅行する時の宿泊先は、(カプセルホテルとかネットカフェは別として)できるだけ安く、公共交通機関でのアクセスが良い場所が第一条件。だから、駅前や市街地のビジネスホテルになることが多い。
でも、今はネットの宿泊サイトで念入りに検索すれば、こんな宿もあったのかと発見できることがある。たまにはそんな場所にも泊まってみる。

今回、札幌市内の宿を探したが、トップシーズンは過ぎたとはいえ夏休み中。(だから強気な価格設定にしてあることもあるだろう)安いところは見つけられなかった。ただのビジネスホテル素泊まりで7000円とか。
そんな時に見つけたのが、「定山渓(じょうざんけい)温泉」。札幌市南西部にあり「札幌の奥座敷」と呼ばれる温泉地。

20数年前の中学校の修学旅行では、留寿都村のルスツリゾートに宿泊した。そこから札幌市へ向かう途中、バスガイドさんが「ここが定山渓温泉(の入口)です」と案内してくれたのは記憶に残っていた。
その時は、けっこうな山奥で、札幌市街地まではわりと距離がある地点だと思っていたが、所在地は札幌市南区。(秋保や作並も仙台市内なのと同じことか)

今回は、朝食付きで7000円台のプランを予約(貯めに貯めたポイントを使ったので、支払額はもっと安い)。宿の無料送迎は時間的に合わないため、往復の足代がかかってしまい、トータルでは市街地よりは高くつきそうで本末転倒のような気もしたけれど、のんびりできそうなので決めた。


定山渓温泉への公共交通機関は、路線バスのみだが、こういう温泉地にしては本数が多い。
「じょうてつバス」が、札幌駅・すすきの方面から毎時ほぼ2本(70分強、750円)と市営地下鉄真駒内駅から毎時1~2本(40分強、600円)を運行している(他社による空港や都市間バスの一部も乗り入れ)。
どちらも、車両は一般路線バス仕様だという。
札幌駅からだと1時間以上かかり、秋田駅前から五城目までと同じ。さすがにツラい。また、札幌市街地で渋滞に巻き込まれることもあるらしい。
札幌から市営地下鉄南北線で終点の真駒内まで移動(約20分)して、バスに乗り継げば、バスの乗車時間は少なくて済む(それでも40分だから、秋田駅から追分三叉路くらい)ので、そのルートで行くことにした。
運賃は高くなるが、地下鉄とバスの乗継割引制度があって、後に乗るほうの運賃が80円引きされ、計800円で済むらしい。


いざ、定山渓へ。
今春から、札幌市営地下鉄でも、乗り継ぐバスでも、Suicaで乗車できるようになった。ICカードでは、普通にタッチするだけで自動的に乗継割引が適用されるのも便利。

札幌市営地下鉄は相変わらず急加速。冷房がない(送風機はある)けれど、開け放たれた窓からトンネルの空気が入ってきて、快適。荷棚がないのは、ちょっと不便。
南北線は全駅にホームドアが設置され、今春からワンマン運転になっていた。昔は、車掌と運転士の間で「チン」とベルで合図していたものだった。
シェルターに覆われた地上へ出て、真駒内着。
ホームドアは邪魔だけど安全になった。地上だから当然だけど地下鉄の駅にしては明るい
真駒内駅のホームの窓の外は、
うっそうとした林?! 網戸があるのが家庭的。虫がたくさんいるんでしょう
駅前は、アパートやマンションが多くて店は少なく、あっさりした感じ。でも地下鉄のターミナルだけに人は多く、分散した乗り場にはバスが多く発着していた。
真駒内駅。後ろがホームから見えた林
中学校の修学旅行では、自由行動の出発地点がこの真駒内駅だった。(集合地点は中心部のテレビ塔)
真駒内出発にした理由について、「真駒内の近くにある『札幌芸術の森』に、多くの生徒に訪れてほしいから」だと話していた先生がいたけれど、それ以外に札幌市街地での渋滞を避けたい意図もあったのかもしれない。

ところで、上の写真中央に写っている、札幌オリンピックのマーク付き時計塔を見て、はっとした。
この時計塔付近でのスナップ写真が、中学校の卒業アルバムで修学旅行の1シーンとして掲載されていたのだが、どこでいつ撮影されたのか疑問だった。それが解決したのだ。バスを降りて自由行動に向かおうとするシーンだったことになる。

定山渓行きのバス乗り場は、横断歩道を渡らず、駅舎からすぐ。
事前の調べでは、すぐにバスがあることになっているが、なんとそこには、30人ほどの行列ができていた!
果たして乗り切れるか不安になっていると、大型バス・日野ブルーリボンシティ(日野純正の最後の車で、秋田にはない)がやって来た。(人の多さにおののいたので写真はありません)
当然席は埋まって、通路にも多くの人が立ったけれど、意外にも余裕があった。ぎゅうぎゅうではないので、これなら耐えられる。
道が広い北海道の大型バスは、本州のより少し長い仕様のものがあるそうで、この車がそうなのかは分からないけれど、大型バスの収容力を実感。

車内を見渡せば、温泉に行くような人はほとんどいない。用事を終えて帰宅するような人ばかり。
バスはすぐに片側2車線の国道230号線へ出て、ひた走る。郊外型店舗が並び、その裏に住宅街が続き、バス停ごとに車内が空く。
途中で国道を外れて集落に入ってまた復帰したりしつつ、真駒内駅から30分近く走って、車内の立ち客が解消。車窓はいくぶん郊外っぽくなったが、まだ家が多い。

さらに進んで、片側1車線になった(拡幅工事らしきものが行われていた)と思っていると、いつの間にか国道を外れて、「定山渓温泉へようこそ。これより温泉街に入ります」と放送が流れた(白糸の滝)。
幹線道路から、突然、温泉地にワープしたような感じ。短くはなかったけれど、あっけない移動だった。中学校の修学旅行の頃より、開発が進んだのだろう。
【7日追記】昔は、地下鉄を真駒内から定山渓方面まで(温泉までということでなく、途中の住宅地まで)延伸する構想があったらしい。具体的になっていないのは、おそらく、地形、沿線人口、財政面がネックになっているのだろう。ただ、バスの利用状況を見ると、さすが大都市札幌だと感心するとともに、地下鉄(あるいは何らかの鉄道)がもっと先へ続いていたら…と想像してしまった。

定山渓行きのバスは、温泉街の中をぐるりと周って終点の車庫へ入るようだが、泊まる宿の最寄りバス停はその名も「定山渓湯の町」。
温泉街は谷状になった川沿いで、カーブした坂(秋田のバス路線で例えれば、手形山団地線の秋田高校の坂よりは短く、新屋西線の栗田神社前の坂よりは長いけど、似ている)を下って入る。
冬はたいへんそうな坂ですな
ほぼ定刻で到着。降りたのは2人だけだった。夕方なのに、札幌市街地へ向かうバス停には5人ほどが待っていた。温泉街で勤務して帰宅する人とかだろうか。
「定山渓湯の町」(上り側停留所)
バス停にあるマークは、東急のロゴ。(ローマ字は「JOTETSU CORPORATION」)
この「じょうてつ」は、元は定山渓鉄道といって、札幌と定山渓を結ぶ鉄道を運行していたが廃止(線路跡の一部は地下鉄南北線に転用)。鉄道時代から東急傘下にあった。バス事業を廃止した札幌市交通局(札幌市営バス)の路線の一部が移管されていて、乗ってきた真駒内-定山渓の路線もその1つのようだ。

バスは大型バスばかりで、4メーカーが揃っているようだが、日野と三菱が多い印象。特に日野(いすゞと同設計を含む)が圧倒的に多い気がした。東急や小田急の中古車もあるとのこと。
日産ディーゼルのバスはこの1台しか見なかった
さすが都会のバスだけに新しい車が多かったが、ノンステップよりワンステップをよく見かけたのは、積雪地だからか。運賃箱はICカードに磁気カード、自動計数機能付きと重装備。
昼間もヘッドライトを点灯し、すれ違う時の挙手はしていなかった。
 
豊平川沿いが温泉街で、26の宿泊施設がある。収容人数が多い宿が多く、修学旅行や団体旅行に使われるそうだ。
近くには、ライオンズマンションがあったりする町もあるのだが、温泉街からは見えない。

河童の伝説があり、イメージキャラクターとしてカッパがあちこちにいる。
 
少し歩けば、自然の風景が広がる。
林の中の遊歩道は一部通行止めになっていたし、けっこう険しかったので、すぐに戻ってきたが、その気になればいい運動ができる。
ミンミンゼミが鳴いていた。(旅行中、ほとんどセミの声を聞かなかったけれど、定山渓は大合唱だった)

宿泊した宿は、団体客向けの古い部屋を、空いたシーズンに安く個人向けに売っている感じ。川沿いだけど眺めは悪い。でも、8畳の部屋を独り占めできるし、広い温泉に何度ものんびり入れるのが何より。
温泉はなかなか。塩化物泉に分類されていて、無色透明で湯の花が漂う、優しいお湯。
川から冷たい風が吹いてきて、気持ち良かった。(その真上の部屋では風を感じなかったのが不思議。谷の底を川風が流れてるから?)
団体客とかち合ったりするとうるさくなりそうだけど、そうでなければ個人的には悪くないと思う。


帰りも、真駒内までバス。今度はいすゞエルガとの共通車種「日野レインボー2【2014年11月30日訂正・レインボーは中型。これは大型なので】ブルーリボン2」のワンステップ。
温泉街からは5人ほど乗って、白糸の滝を過ぎると「このたびは定山渓温泉においでいただき、まことにありがとうございました」と放送。
以後は、来た時の逆でバス停ごとに人が乗ってくる。
真駒内まで行かずに途中で降りる人もちらほら。定期券や高齢者向けバスカードの利用者が多く、ICカードを使う人は少なかった。
札幌のバスでは、降りるバス停に近づくと、到着前の走行中に席を立って前方に歩いて来る人が、よく見受けられた。秋田とか土地によっては運転士に怒られそうな状況だし、実際問題として車内事故の可能性があり、日本バス協会の呼びかけにも反している(車内にもシールは貼ってあった)。客が多く、長い車体なので、スムーズに降車するための地域性だろうか。

そんな調子で立ち客が増えるかと思っていたら、途中から直前に別の真駒内行きのバスが合流。2台で客を分けあって、さほど混雑せずに、真駒内駅に到着した。
後ろにいるのがもう1台のバス
ただ泊まっただけだったけど、満足できた定山渓温泉だった。札幌の宿泊地の1つとして候補に入れておいて、また泊まってみたい。


最後に、ここに限らず、温泉宿の部屋におけるタオルの扱いについて、僕はいつも迷うというか困る。
一般に、宿泊客1人に対して、フェイスタオルとバスタオルが1枚ずつ割り当てられる。(温泉宿はフェイスタオルは持ち帰って良い所が多いが、今回の宿は持ち帰れなかった)
部屋には、タオル掛けが1部屋に1台置かれている。
これ
このタオル掛けは、フェイスタオルを掛けるものだろう。まず困るのは、多人数で泊まると、誰のタオルがどれか分からなくなること。【2016年2月29日追記】この点については、タオルを掛ける棒を色分けしている宿があった。この記事最後参照。
もう1つ困るのは、バスタオルってどこに掛ければいいんだろう。
今回は1人だったので、このタオル掛けに掛けてみたけれど、なんかしっくり来ない。
バスタオルはある程度乾いていたほうが気持ちいいし、湿ったタオルを例えばクローゼットのハンガーに吊るしておくのも、良くなさそうで気が引ける。

そういえば、ビジネスホテルのユニットバスでも、フェイスタオルのタオル掛けはあるけれど、バスタオルを掛ける場所がない所が多い(新品はたたんで洗面台の上の棚に置いてある)。結局、バスタブの縁に掛けてしまっている。
宿泊業界の皆さん、バスタオルのちゃんとした置き場所を設けてもらえないでしょうか。

※北海道旅行記の続きはこちら
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