goo blog サービス終了のお知らせ 

広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

1000円高速バス乗車記

2014-06-18 00:31:45 | 旅行記
だいぶ前の高速バス乗車記。
僕は高速バスに積極的に乗りたいとは思わない。予約方法や乗り場が不慣れな者には分かりにくいこと、遅延の可能性、車内が窮屈なこと、そして何よりもやっぱり(バスも嫌いじゃないけど)鉄道が好きだから。
他に交通手段がないとか、時間的・経済的に相当のメリットがないと、高速バスを利用する気にならない。四国に行く時に淡路島経由の高速バスに乗ったような。


以前から、ちょっと乗ってもいいかなと思っていたのが、東名高速道路を通るバス。
国鉄時代からの伝統があるJRグループの「東名ハイウェイバス」のほか、各地のバス会社が運行していて、選択肢は多い。
日本の大動脈の1つである東名高速道路を通ってみたい思いもある。

だけど、時折行く静岡県東部~中部辺りなら、JRの在来線普通列車や小田急電鉄を使った移動のほうが良さそう(上記のような際立ったメリットが感じられない)に思われて、これまで機会がなかった。

ところが、今年2月から3月の平日限定で、東京-沼津間の高速バスが1000円で乗車できる利用促進キャンペーンを行うことを知った。(2013年にも実施されたようだ)
通常運賃2100円、いちばん安い回数券でも1500円相当の区間だから、格安。沼津からJRなどに乗り継いで周辺の他の町へ行くにしても、トータルでかなり安くなる。

安すぎて不安になるが、運行するバス会社は富士急行の子会社「富士急シティバス」。
同社の一般路線バスに乗ったことがあるし、親会社の社長は日本バス協会の会長を務めているくらいだから、おかしなことはしないだろう。ネットで調べた限りでは、ボロっちいバスが使われるわけでもなさそう。
ということで、乗ってみた。


ここで、静岡県東部の隣り合う三島や沼津と東京を結ぶ高速バス事情を整理。※いずれも旧ツアーバス系ではなく、元から路線バスとして運行。
東名高速は、三島は通らず、沼津の郊外をかすめるように通る。JRの東名ハイウェイバスは、各駅(バス停)停車の急行便しか利用できないし、高速から下りないのでバス停から市街地までが遠くて、旅行客が使うのは限定的。
両市街地を発着する高速バスは、JRバスではない2陣営が競合している。小田急・東海バス陣営と富士急・京王陣営である。小田急は予約不要、富士急は予約制だったり、市内での乗降バス停が異なるといった違いがある。

富士急陣営に着目すると、渋谷・新宿-三島、 渋谷・新宿-沼津、東京駅-沼津の3路線が運行されている。
そのうち、1000円で乗れたのは、東京駅-沼津の「さんさんぬまづ・東京号」だけ。京王は担当しない富士急単独路線であり、本数も多くなくて、ややマイナーな路線なのかもしれない。それでキャンペーンをしたのだろうか。

1日4往復運行されているが、上りは13時台より前始発、下りは16時以降と、時間帯が偏っているのが特徴。沼津の人が日帰りで上京することを想定したダイヤのようだ。
1000円に惹かれたよそ者としては利用しづらい設定だが、下りの初便である東京駅八重洲南口発16時00分→富士急沼津営業所18時22分の便に途中の沼津駅北口18時07分まで乗ることにした。

他の多くの高速バス同様、コンビニやネットで予約・発券できる。
僕は「座席を指定して」かつ「クレジットカード決済」したい。両者の条件を満たすには、「発車オーライネット」で予約した上で、「日本旅行・高速バスぷらざ」で決済するしか方法がないようだ。
「インターネット乗車票」なるものをプリントして持参する。乗車時のクレジットカード提示は不要。
払い戻す場合は、バス会社の手数料(富士急シティバスがいくらなのかは不明)に加えて、高速バスぷらざの手数料として525円(消費税率5%当時)もかかってしまうので注意。

座席を指定したのは、どうせなら富士山が見えるかもしれない、右側の窓際にしたかったから。予約方法ごとに車両をいくつかに分けて売っていたようで、前から6列目の右側を取れた。

乗車票には、「発車時刻15分前には」来いとある。
東京駅のような大きい駅は、バス乗り場が複数あったり、目立たない位置にあったりして、初めてだと迷う恐れがある。当時、東京駅のバス乗り場は移動など工事中で、情報も少なかったので、余裕を持って東京駅へ。

東京駅八重洲口は、再開発で「グラントウキョウ」ができるなどしており、バス乗り場も新しくなった。
2013年9月にできた「グランルーフ」という2階のデッキとそれを覆う大屋根の下に、2013年12月に移転したばかりのバス乗り場があった。
グランルーフペデストリアンデッキからバスターミナルを見下ろす
とても分かりやすい場所で、これなら迷わない。
八重洲南口バス乗り場
だけど、乗り場に入っているバスはほとんどが青いラインにつばめマークのJRバス。スカイツリーシャトルや関東一円に向かう高速バスが多い。
JRバス専用乗り場ではないかと不安になるが、たまに他のバス会社の高速バスが肩身が狭そうに出入りしている。乗り場の1つに「沼津行き」と表示があった(さんさんぬまづ号とは書いてなかった?)し、ここで間違いなさそうだ。

バスターミナルは、大きく開放的な造り。
高速バスの乗り場は8番(9番は当時は工事中)まであり、バスが頭から斜めに突っ込んでドアを開き、バックせずにハンドルを切るだけで発車できるという、なかなか合理的な構造。
一般路線バスでは中ドアを使うから頭から入るのは難しいだろうし、秋田では強風や雪を考えるとこんな開放的な構造は無理。

時刻と連動した乗り場別の発車を表示する液晶画面、すなわち鉄道でいう「発車標」があり、ちょっと奥まって分かりづらかったが、JRバスの発券窓口と待合室(座席数はそれなりにあったが満席だった)もあり、バスターミナルなのに「駅」のような趣きもある。

バスはひっきりなしに入って・乗せて・出て行く。(降車は別の日本橋口で行う路線が多い)
乗車票にあった「発車15分前」に素直に従っても、肝心の乗るバスが入って来られない。

発車10分前を切って、「Resort Express」と書かれた富士急の白いバスが現れた。
さんさんぬまづ・東京号(どこにも「さんさんぬまづ」とは表示がない)
「E4804」という社番で、ナンバープレートも沼津ナンバーの希望番号で同番。いすゞガーラの2008年式とのこと。
2人掛け座席(4列シート)でトイレ付き。

乗り場にはけっこうな列ができていた。予約なしで乗る人も少なくなかったが、予約の有無に関わらず並んだ順に改札。
予約なしの人も断られずに運転士に座席を指定されて座っていたので、満席ではないようだ。(予約なしでも1000円)

僕の前後の席には人がいたが、隣は空席。グループ客以外で相席になる人はいないが、なかなかの乗車率。
買い物帰りの奥様グループなどもいて、運賃1000円を狙って利用している人も多そう。


※以下、走行中の写真はありません。
バスはワンマン運転で、途中休憩なし。
時刻通りに発車。
河口湖行きとしてターミナルに入るバスとすれ違う。日野セレガのJRバスのようだが、ラインが薄い水色だし、つばめマークが小さい。しかも「国鉄」や「JNR」ロゴがある?!

JRバス関東では、「国鉄デザイン復刻バス」を走らせていて、何台かあるうちの1台だったようだ。
僕が覚えている国鉄バスの塗装は、たしかに小さいつばめマークだったが、色は現行と同じ濃い青だったはず。水色はごく初期の塗装ということのようだが、現代のバスにも似合っているように見えた。できればじっくり見たかった。


車内の自動放送は、JR東日本秋田支社のワンマン列車と同じ声。
【8月17日追記】「レゾナント・システムズ」というメーカーの装置のようだ。元は「ネプチューン」という社名で、1962年に日本初のテープ式放送装置を開発し、国鉄バスと取り引きが多く、1986年には日本初の音声合成式放送装置を富士急へ納入。2007年に富士急の関連会社と合併して現社名になった。そんな経緯から、JRや富士急はお得意様のようだ。

有楽町方向へ進んで線路をくぐって皇居沿い・日比谷通りへ。
外務省の前など初めて通る街を眺めつつ、すぐに「霞が関」から首都高速に入る。16時15分。
首都高を通るのも初めてかな。渋谷など所々流れが滞っていた。

16時30分 多摩川を渡り、16時33分 東京料金所(といっても川崎市に所在)からいよいよ東名高速道路へ。すぐ「東名向ヶ丘」バス停を3分遅れで通過。誰も乗らず。
16時36分 3分遅れで「東名江田」バス停。予約なしで2名乗車。
乗車を扱うバス停はここまでで、降車できるバス停はここから1時間ほどないので、しばらくは東名高速をひた走る。

天下の東名高速はさすがに車が多い。特にパネルバンのような貨物車が目立った。バスはほぼずっと追い越し車線を走り、そうした車をぐんぐん追い抜いて行く。

雪化粧の山(丹沢山地?)が見え、町田を過ぎて16時47分「大和トンネル」を通過。渋滞情報で聞く場所だけど、トンネル自体は短い(280メートル)。
17時07分 大井松田インターチェンジ。下り坂になっていて、正面に富士山があるらしいが、残念ながらまったく見えず。
ここから足柄サービスエリアまでの下り線だけは、「右ルート」と「左ルート」に分かれている。
バスは旧上り線を転用した「右ルート」へ。左ルートよりも空いているようだ。左ルートを走るJRバスを追い抜いた。東名ハイウェイバスの各駅停車便だろうか。

進行方向左側が開けていて、眺めが良さそう。小田原がある「足柄平野」だろうか。
17時21分 左右ルートが合流し、足柄サービスエリア通過
17時24分 東名高速の最高標高である454m地点通過
17時27分 新東名高速道路が分岐する御殿場ジャンクション通過

沼津へ行くには、沼津インターチェンジで高速を下りるのが近くて早いが、富士急シティバスの高速バスの多くは、その1つ(距離にして10キロ)手前の裾野インターチェンジで下りてしまう。
一般道で沼津市内へ向かいつつ、途中の裾野市や長泉町のバス停で乗降を扱うためである。

17時31分 裾野ICから一般道へ。あっという間の東名高速だった。
すぐ最初の降車バス停「トヨタ自動車東日本前」を通過。降車なし。
ここでは2分遅れで順調だが、夕方のラッシュ時間であり、この先の県道・国道は渋滞気味。【7月1日追記】雰囲気は秋田市の秋田南インターチェンジから国道13号線秋田市街方面に似ている。
以後の6つの各バス停では、いずれも数人ずつが下車。
乗客向けの無料駐車場が用意されたバス停もあるし、車が迎えに来ていた人もいた。
すっかり暗くなった
沼津駅北口着は18時18分。11分遅れ。
終点の営業所まで乗ったのは3~4人のようだ。

なんやかんや言って、僕はモデルチェンジ後の日野セレガ・いすゞガーラに乗るのは初めてだった。
乗り心地・座り心地(背もたれがやや貧弱か)は良かったし、足元も広かった。車内は静かで、外で聞こえる「ぷつーぷつー」というギヤチェンジの音も中ではほとんど聞こえない。


約130キロを、新幹線(三島で在来線乗り換え)なら1時間強、普通列車(直通は少なく、熱海で乗り換えが多い)なら2時間前後。
料金は普通列車と普段の高速バスはほぼ同額。僕だったら、時間が正確に読める普通列車のほうを選ぶ。
でも、1000円だったら、高速バスのほうを優先して選ぶ。大渋滞で大幅に遅れる可能性はあるけれど。
などと思っていたが、この後、仙台から金沢に向かっていた宮城交通の夜行高速バスが、乗客が亡くなる事故を起こした。原因は完全に解明されていないが、労働環境も一因であるようだ。
バス会社も乗客も、切り詰めてギリギリのところで運行して利用しているような面がある。
安いのもうれしいけれど、安全に快適に移動できてこそ、公共交通機関だと、改めて思っているところ。



ところで、御殿場から沼津・三島にかけての一帯は、大企業の工場や研修施設が多数存在する。
そこへ通勤や来訪する人の足として、沼津駅や三島駅から送迎バスが運行されている。多くは、富士急シティバスなど地元バス会社に委託しているようだ。
秋田では、ノースアジア大学の送迎バスくらいしか事例がない。
【18日追記】送迎バスのダイヤは、各企業が公開していたり、乗り場に掲出されたりしていて、部外者でも知ることができる。
三島駅にて
路線バス車両を使っているが、路線バスではなく送迎バス。富士通沼津工場へ行くようだが、行き先表示が上段に英字が入る「FUJITSU/富士通」なのが独特(側面も同様)。「富士急」と1文字違いなのは何かの縁でしょうか。
前のドアから乗車させていたようだが、有料なのか? 部外者でも利用できるのか?

同じ乗り場から、キヤノンの「富士裾野リサーチパーク」へのバスも富士急が受託して出ていたが、こちらは貸切車両だった。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 墜落騒動 | トップ | トップバリュのアイス »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (送迎バス)
2014-06-18 19:27:59
秋田で企業の送迎バスといえば、最近は知りませんが、中央交通がリムジンバスの車両を使って東北電力の送迎(将軍野~火力)を毎朝やっていました。東北電力の自家用バスと両用していたようでしたが、今はどうなんでしょう?
返信する
秋田でも? (taic02)
2014-06-18 23:35:39
火力発電所の送迎が、しかも中央交通に委託して運行されていたとは知りませんでした。

そういえば、10年以上前ですが、朝の同じ時刻に竿燈大通りを中央交通の貸切バスが走っていて、バス停でない同じ場所で人を乗せているのを何度か見かけました。どこかの送迎バスだったのでしょう。

三島・沼津の各社やノースアジア大では、ダイヤが部外者にも告知されているのですが、そうでない形の送迎バス(従業員通勤専用の)は、秋田でもある程度走っているのかもしれません。
返信する
Unknown (静岡)
2014-06-27 20:46:37
静岡までバスで来られるとは、なかなかのつわものですね。

ブログをみると過去にも静岡に何度も来られているようで、東京観光のついでかと思いきや静岡目的で来られているのはうれしいです。

東京横浜名古屋に存在を消されている静岡ですが、
人口減少全国ワースト2位を抜け出せず衰退著しい静岡ですが、これからも是非お越しを!!
返信する
ぜひまた (taic02)
2014-06-28 00:15:10
大阪や名古屋でない地方行きの高速バスでは、その客層はやはり地元の人中心になってしまうのでしょうか。

秋田からすれば、静岡は気候風土に恵まれているし、大都市圏に挟まれているからこそ、地方としては活気があるように感じていますが…
いずれしてもこれからは、地方はとても厳しい時代になりますね。

富士山、茶畑、みかん畑、温暖な気候等々、秋田では見られないものばかりで、東京などよりずっと魅力的な土地です。特に雪に埋もれてしまうこちらの冬からすれば。
また、おじゃまさせてもらいますよ!
返信する
Unknown (静岡)
2014-07-07 23:40:06
ありがとうございます。お越しの際は是非楽しんで行ってください。

そういえば静岡朝日の新人女子アナが秋田のかたです。番組で見たら東北の人らしく大人しくてでゃばらないので印象良かったですよ。

宿泊先ではテレビをSATVに!
返信する
秋田出身の (taic02)
2014-07-10 00:02:27
相場さんという方ですか。
いちおう高校の後輩に当たるようですので、どうぞよろしくお願いします(笑)

最近は、地方局でも遠方出身のアナウンサーが増えてきましたね。
ご本人の意志なのか、契約上の制約なのか、入れ替わりも激しい感じもしなくはないのは、少々残念ですけれど。
返信する

コメントを投稿