goo blog サービス終了のお知らせ 

広く浅く

今後はhttps://taic02.hatenablog.jp/で更新します

ヌプリで山線を行く

2013-09-01 23:23:38 | 旅行記
前回の記事最後で、ホームから車内を覗きこんでいたのは、この方。
まんべくん!
蟹、ホタテ、アヤメを組み合わせた、長万部町のイメージキャラクター。
そういえばこういうのもいたなと思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここ何年か、ご当地ゆるキャラが乱立している。
最初は秋田県の「スギッチ」や彦根の「ひこにゃん」のような、単にかわいいだけだったのが、やがて奇抜な言動をするものが現れて人気を呼ぶようになった。そんなキワモノゆるキャラとして、今は「ふなっしー」が全盛だけど、走りがまんべくんだったのではなないだろうか。
まんべくんは2003年に登場。やがてツイッターを使い始め(札幌の企業に委託していた?)、毒舌で話題を集めるも、2011年にその発言内容が物議を醸して、その後は町と委託会社でごたごたしたらしく、どうしていたかと思っていたが、ご本人は元気に出迎えてくれた。

ヌプリが長万部に到着する前、車内放送でヌプリスタッフが「ホームでまんべくんが皆様をお迎えしております」と放送した。たしかに、事前の情報でもそんなことが書いてあった。
ところが、列車が駅に到着しても、ホームには誰もいなかった。

それから数分経って、やっと、まんべくんがホームにやって来た。
“重役出勤”みたいで、さすがまんべくん。しかも、普通こういう場合って、役場の人とか誰かが付き添って来るものだが、まんべくん1人で現れた。1人で跨線橋を上って下りたのか。
前回の写真の通り車内を覗いたり、カメラに急接近したり、ゆるキャラらしからぬ奇抜な行動は健在。


長万部では降りた人はほとんどなく、新たに乗り込んだ人のほうが多い(10人もいないけど)。
札幌から来た「ワッカ」号が到着し、10時21分、入れ違いにヌプリが発車。まんべくんが1人で見送ってくれた。(この後、まんべくんはワッカの出迎えに回ったのだろう)

ヌプリは、いよいよ“山線”区間へ入り、観光列車らしくなる。
小樽までは140.2キロ。停車駅は、黒松内、ニセコ、倶知安、余市。かつてここを走った、急行「ニセコ」や特急「北海」とおおむね同じようだ。
黒松内以外は聞いたことのある地名だが、こんな場所にあったのか。

北海道の車窓といえば、広々とした、あるいは荒涼なものを連想するけれど、山線は山線というだけにそうではなく、線路沿いすぐまで木々が生い茂る区間が多いように感じた。でも、本州とはどこか違い、やはりこれも北海道の風景の1つなんだろう。
所々、木々の間に広いトウモロコシ畑が広がる。
穂が出ていた
国土交通省の「清流ランキング」上位の常連である、「尻別川」と寄り添うように進んでいく。
たぶん尻別川
1分停車の黒松内(10時43分)を出ると、「みなさん、こんにちは」と年配の男性による車内放送が流れた。
上りワッカと下りヌプリの黒松内-倶知安間で行われる、「羊蹄まちしるべ研究塾」による地域紹介のガイド。
ガイドの内容は地名の由来、アイヌや方言などの文化、動植物など多岐にわたり、とてもためになった。走行中はしゃべっていない時間のほうが短いくらい熱心に話してくれたが、決して耳障りでなく、飽きなかった。
この日ガイドしてくれた男性は、話し方もメリハリがあって聞きやすかった(ご本人は「年寄りなので声がしわがれていますが」などと謙遜されていたが)。ひょっとしたら、元学校の先生だった方とかじゃないだろうか。
本来ならJR側でガイドをするべき(バスガイドとかJR東日本のリゾートしらかみを考えれば)なのかもしれないし、地元の好意に甘えているようにも思えるが、これはこれでユニーク。今回のヌプリの旅で、いちばん印象的なものだったと言っていい。

ガイドで知ったことをいくつか。
・長万部以前から、沿線の所々で小さな赤い実を付けた低木があったが、それは「エゾニワトコ」。
・北海道弁(アイヌ語でなく)として、「あずましい」「がおる」「ばくる」「じょっぴんかける」を紹介。→あずましいは、津軽弁でもおなじみ。じょっぴんかけるは施錠すること。
・キタキツネは近年、青森でも見つかっている。青函トンネルを通って渡った(監視カメラで目撃されている)。→青函トンネル開通時、新聞で専門家がそういう可能性を指摘していたのを読んだ記憶があって、子どもながら信じられなかったが、現実になったとは!
・狩猟民族であるアイヌの人々は、野生動物を神聖視した。ただし、エゾリスだけは忌み嫌い、姿を見ると猟を中止して帰るなどしていた。→この後、エゾリスを目撃してしまった!(別記事にて)


動物といえば、先頭の自由席・1号車に、「ヌプリシート」なるものが設置されていた。
 

 
春・キタキツネの草原、夏・エゾヒグマの山、秋・エゾリスの散歩道、冬・クマゲラの森
記念撮影用に、北海道の四季と動物のぬいぐるみなどで装飾された座席。譲り合って撮影する場所で、ずっと座っていてはいけない。4種類あり、本来は4両に1つずつ設置する(指定席の場合は発売しない席となる)のだろうが、車両変更に伴って1か所にまとめたようだ。また、本来は壁面にも装飾(イラスト)があるらしいが、それは省略されていた。
ヌプリでは、1つ前の座席も「撮影用スペース」として、座れないことになっていたので、1号車では12名分の席が減っていた(着席できなくなっていた)ことになる。それでも充分に空席があったけれど。


左車窓にニセコ連山が見えてきて、11時29分ニセコ着。9分停車。
右がニセコ連山
国鉄時代は、カタカナの駅名といえばニセコと滋賀県のマキノしかなく、ニセコのほうが先にできたので元祖・カタカナ駅と言える。
隣は「昆布」駅
この列車の本来の目的地であり、専用観光バスが接続する駅だけに、降りた人も乗って来た人もいるが、僕のように乗り通す人もいる。全体の客数は、函館発車時よりはやや増えたが、空席のほうがずっと多い。
のどかなホーム
山あいの町の駅といったたたずまいのホームでは、停車時間を使って「ニセコ駅前温泉綺羅乃湯」による特産物の販売。ニセコミルク工房の飲むヨーグルト(車内販売があれば、ここのアイスクリームも食べられたのに)や地酒やお菓子が並ぶ。
長万部からはサラリーマン風の一団も乗っていたが、その方々も含めてほぼ全員がホームに出て来たので、それなりに売れていた。
濃厚なのむヨーグルト(150円)。ホルスタインと「ブラウンスイス」という品種の牛乳らしい
ここでも、
ゆるキャラが登場
ニセコ町マスコットのアカゲラ(クマゲラではない)の「ニッキー」。こちらは正統派ゆるキャラか。



羊蹄山が右側に見えるのだが、上は雲がかかっていて山すそしか見えない。
それでも、富士山のような大きな山であることをうかがわせる。

11時53分、倶知安に1分停車。
途中、銀山駅で5分運転停車して、普通列車と交換。


12時39分、余市着。8分停車。久々に大きな町という感じ。ニッカウヰスキーの創業地であり、ソーラン節の発祥地(有力な説ということらしい)やリンゴなど農業もニシンなどの漁業も盛んな土地でもあるという。

ここでも、ホームで「余市町観光物産センター・エルラプラザ」による販売。
地元産のリンゴを使ったアップルパイが名物(山本観光果樹園で製造し、エルラプラザで焼いた)だそうで、その焼きたてを1個300円で売っていた。
車両変更によって車内販売が中止となった「ヌプリ」の下りでは、函館を出て以来初めての食べ物を入手できる場所となる。(ニセコのは、酒粕どら焼きと酒まんじゅうとか、基本的にお土産用お菓子なので)
アップルパイ
シナモンが入っていない、サクサクタイプ。リンゴも大きいのが入っていて、おいしかった。

でもエルラプラザ自体が駅の中にあって、そこでリンゴやワインのアイスクリーム(ジェラート)を売っているらしい。8分停まるんだったら、改札を出て買えば良かった…

ホームでは、役場か観光協会か何かの人が何人も出て町のPRが熱心に行われ、宅地の分譲まで宣伝していた。
「どうぞ」と何かを手渡された。ポケットティッシュ? いや、赤くて丸いものが入っているからあめ玉?
ミニトマト「アイコ」でした
申し訳ないけれど、僕はトマト(ミニトマト含む。煮たのは大丈夫)がかなり嫌い。
でも、もらってしまったからにはいただきました。旅行中の野菜不足解消にもなるし。
たしかに甘くて、昔のトマトよりは食べやすい。でも、やっぱりトマト独特の味と食感はする。(トマトが苦手な人って、食感がダメという人が多い。だから、いくら甘くなったとしても、好きにはなれないと思う)

そして、またまた、
ゆるキャラ!
リンゴの顔でニシンを腰にさした「ソーラン武士」。これはテレビで見たことがある。
運行初日だけ出迎えとリーフレットにあったが、それ以外の日でも来てくれたらしい。


余市を出ると、わずか21分で終点(北海道式の言い方では「終着」)・小樽。
左車窓に日本海が見え隠れするようになった。(アップルパイを食べるのに集中していたため、写真はありません)
3時間前には右側に太平洋を見ていたのを思えば、長いようで早い旅だった。1つの列車で太平洋と日本海が見られるのって、他にはあまりないのではないだろうか。

国鉄型気動車に標準搭載されているオルゴール「アルプスの牧場」が中途半端に鳴って、252.5キロ、5時間の旅が終わった。
※国鉄では、客車は「ハイケンスのセレナーデ」、電車は「鉄道唱歌」と放送で使うオルゴールの曲が決まっていた。客車と電車では曲の終わりでオルゴールが自動で止まるが、気動車のは止まらない構造なのでフルコーラス流れないことが多い。ちなみにJR北海道の新しい特急車両では、種類にかかわらず3曲とも電子チャイムで搭載(アルプスの牧場もフルコーラス演奏される)されており、終着駅の放送などで聞くことができる。
車両変更で車内販売がなくなったのは残念(アイスクリームが食べたかった! それに昼食の駅弁も)だけど、沿線のガイドやホームでの出迎えなど、楽しんで乗車できた。観光路線として今後の発展に期待したい。
【4日追記】今期は函館-小樽の「ヌプリ」と長万部-札幌の「ワッカ」で運転区間を分けて刻んで運転したが、昨年度は「ヌプリ」単独で札幌-函館間を通しで運転されていた。利用状況や所要時間、そもそも通しでなくニセコへの観光客輸送が目的という列車の性格を考えれば妥当なんだろうけれど、特にヌプリが長万部止まりでは、その先(大沼や函館)へつながりづらい。函館方面へは通しての運転があっても悪くないのではないだろうか。

【2014年6月12日追記】翌年2014年夏の状況。
当初から毎日「ニセコエクスプレス」車両での運転。(キハ183系は8月から運転再開予定なので、車両に余裕はできているはずだが)
函館-札幌で1往復(札幌発7時57分、函館発13時55分)と、減便・区間延長となった。札幌発が「ヌプリ」、函館発が「ワッカ」と上下で愛称が異なる。



この後、道内で3つの(臨時でない定期の)特急列車の指定席に乗ったが、いずれも隣の席にも人がいた。車内販売が買いにくいし、弁当も食べにくい。
今回の旅行で、のんびりと列車の旅を楽しめた数少ない列車でもあった。



小樽から先も函館本線は札幌方面へ続くが、電化されて列車本数が増える。すぐ接続の快速電車で、札幌へ向かった。
小樽を出ると、石狩湾(日本海)すれすれを走る。
すぐ外が海
海の家らしきものがあり海水浴をしている人たちがいた場所もあった。

小樽から40分ほどで着いた大都市札幌は、先ほどまでののんびりした旅とは別世界の喧騒に包まれていた。
次の記事はこちら

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロプラでヌプリ

2013-08-31 00:07:28 | 旅行記
いよいよ北海道内の移動。※前回の記事
エリアが広くて特急列車を使わないと移動しにくい北海道でJRを利用する場合、フリーきっぷを使うと効率的。「北海道フリーパス」という、25500円で7日間(特急自由席に乗車可。指定席は6回まで)全線乗り放題のきっぷが常時発売されているけれど、今回の日程では無駄になる。

JR北海道では、期間限定のフリーきっぷを比較的よく発売していて、今回もあった。「コロプラ☆北海道乗り放題パス」というもので、特急自由席に乗車できる(指定席を利用する場合は、乗車券としてのみ有効)。
有効エリアと期間が違う3タイプあって、札幌近郊だけが2日間有効の「道央版」が8000円、全線で利用できる「全道版」が2日間で17000円、3日間で19000円。全道版は有効期間が1日違うだけで価格が2000円しか違わないのがおもしろい価格設定。
今回は、全道版3日間用を購入。

JR北海道の駅と旅行センターでしか発売しないため、北海道外では仙台と東京でしか入手できない。郵送もしてくれるらしいが、面倒だし、函館駅のみどりの窓口で購入。当日購入も可能だった。
函館駅のみどりの窓口は、本来の窓口は20時で閉まってしまう。以後は、改札口の精算窓口で発売するのだそうだ(道外でも小規模な駅ではわりとやっている方式)。

ところで、このきっぷの名称にある「コロプラ」って何?
携帯電話の位置情報を使って行うゲームのこと。これのきっぷは、それとタイアップしたもので、「コロカ」というゲーム内で使えるアイテムのカードが1枚ついてくる(大人用のみ)。コロプラをやらない人でも、きっぷは購入・利用できる(コロカは無用になるが)。
たしか青森の弘南鉄道でも、前に同趣旨のきっぷがあったはず。

本来は購入時にコロカ引き換え券が発券され、それを特定の駅でコロカに換えてもらうシステムだが、函館駅ではコロカ(「乗車記念カード」とあった)を直接くれた。
コロプラきっぷとコロカ


まずは札幌へ。本来なら、「スーパー北斗」または「北斗」で3時間ほど。鉄道利用なら他に選択肢はない。
しかし、昨今のJR北海道はトラブル続きで長期運休が発生し、それによって混雑が激しい列車も出ているという。
北海道の広さ、自然環境や経営状態を踏まえると、相次ぐ車両不具合には同情したくなる点もなくはないが、やっぱりJR北海道の企業としての体質には疑問を抱かざるを得ない。鉄道好きとしては、複雑な心境なのだが。
旅行中にはニュースになるような新たな車両故障などはなかったが、運休していた特急の運転再開が発表されるも、その2日後にそれを撤回する(10月いっぱいまでは運休継続)という迷走ぶり。乗客への案内や対応(臨時列車の設定方法等)についても、もう少しなんとかできそうに感じることもあった。
数年後には新幹線を運行することになる企業が、これで大丈夫なのか、不安になってしまう。

7月6日に「北斗」のキハ183系気動車のエンジンから火災が発生。これに伴って、同型エンジン搭載車両の使用が停止され、1日4往復あった「北斗」は運休。(※1本だけ「北斗」が引き続き運行されているが、それはダイヤの都合上、スーパー北斗の車両で代走しているもの。その分、スーパー北斗が1本運休)
※列車や駅の放送では、北斗運休の理由について「先日の(出火)事故の影響により」と言う場合と、「車両点検のため」と言っていた場合があった。「車両点検」で片付けられることだろうか…
ホテルから見た函館運輸所。キハ183系が所在なげにたたずむ
函館駅隣接の車両基地・函館運輸所構内には、大量のキハ183が留置されていた。おそらく使用停止になっている車両だろう。

このため、現在は7往復の「スーパー北斗(1本は代走の北斗)」と臨時の北斗1往復で函館-札幌の輸送を賄っている状態。お盆は過ぎたので大混雑ではないだろうが、自由席の利用はリスキーだし、指定席も混み合っている予感がした。


実は、運休前から、目をつけていた臨時列車があった。
スーパー北斗・北斗は、函館-長万部-東室蘭-苫小牧-札幌という経路で、函館本線・室蘭本線・千歳線を走る。
今は直通列車はないのだけど、函館-札幌間には、もう1つルートが存在する。函館-長万部-ニセコ-倶知安-小樽-札幌と、函館本線だけを通るもの。通称「山線」と呼ばれる。

昔は急行や特急列車が行き交っていた山線も、今はローカル線に成り下がっていたのだが、北海道新幹線開業を控えて、ニセコ周辺の観光に結びつけようと、昨年から臨時特急列車が運行されている。
今夏は、8月10日から25日まで、札幌-長万部で「ワッカ(アイヌ語で「水」)」、小樽-函館で「ヌプリ(同「山」)」が毎日各1往復運転された。
当初の予定では、どちらの列車もキハ183系4両編成(出火で使用停止中のもキハ183だが、エンジンの型式が異なるので走行できる)が使われる予定だったが、7月26日にヌプリは別の車両3両編成に変更されることになった。おそらく、運休分を補う臨時列車用に、4両編成を捻出する目的だと思われる。

また、当初は観光列車に過ぎなかった2つの列車だが、北斗の運休を受けて、函館-札幌間の輸送力の1つとしての使命も持たされ、「お盆期間等の移動手段としてもご利用いただけます」と告知が行われた。
ヌプリなら小樽-札幌間を本数の多い普通列車で移動すればいいし、ワッカでは長万部-函館間で連絡バス(予約制・1000円)が運行されることになった。いずれにしても、北斗より時間はだいぶかかる。


急ぐ旅ではないし山線に乗ってみたいし、スーパー北斗ほど混雑しないだろうと踏んで、函館から小樽まで「ヌプリ」に乗ることにして、秋田で指定券を買っておいた。一般に8月は繁忙期で指定券料金が高くなるが、JR北海道内では8月20日で繁忙期が終わるので、通常期料金。

下りヌプリは、函館8時12分発、小樽13時08分着。5時間の旅。(小樽で接続する快速に乗れば、札幌13時52分着)
ちなみに函館を8時30分に出る「スーパー北斗3号」は、札幌に11時47分に着いてしまう。

代走でヌプリに使われる車両は、「ニセコエクスプレス」という1988年に製造されたジョイフルトレイン。外見は異なるがこれもキハ183系気動車の一員(例によってエンジンが異なるので使用停止されていない)で、日頃から富良野方面などの臨時列車に使われることがある。
「ニセコエクスプレス」という名称の通り、もともとは札幌とニセコを結ぶ目的で造られた車両のようだが、このヌプリもニセコを通るから、ある意味「ニセコエクスプレス」で間違いじゃない。
ニセコエクスプレス。前後には列車名の表示なし
小樽寄り1両が自由席、残り2両が指定席。僕は2号車に割り当てられた。
側面の行き先表示もないため、ドアに紙を貼って対応
車両変更にともなって、車内販売が中止された(車内にソフトドリンクの自販機はある)。ニセコの「ミルク工房」のアイスクリームが食べたかったのに…
こういう場合、JR東日本秋田支社辺りなら、ホームでも車内でも、発車前に「この列車には、車内販売(と自販機)はございません。ホームの売店や自動販売機をご利用ください」と耳にタコができるほど放送されるものだが、ヌプリでは車内だけで最低限の回数しか放送されなかった。(車両が変更されたことや車内販売が中止されたことには触れなかった)
しかも、
ホームの売店が閉まっている(隣のスーパー北斗のホームでは営業していた)
自社の車両トラブルが原因で、客に不便をかけているのだから、もう少し気を利かせるべきだ。


やはり、車内は自由席・指定席ともガラガラ。
発車する時にスーパー北斗の自由席を覗いた限りでは、こちらも空席があったようだが、途中駅から多く乗車してくるはず。

ジョイフルトレインといえば、床がかさ上げされるなど、普通の列車より豪華な仕様になっているもの(JR北海道のノースレインボーエクスプレス)。
このニセコエクスプレスも、多少床が高くなっているものの、階段でなく緩いスロープなのでそれほどでもない(むしろ天井が高く感じられる)。先頭でも運転席越しに前方がよく見えるというわけでもないようだ。
 ニセコエクスプレスの車内

グッドデザイン賞受賞
座席は腰がきゅっと固定されるような、独特の座り心地。悪くはないが、それほどでもない。窓が大きく、ちょうどいい位置にあって、眺望は良好。

荷棚に各席ごとの読書灯があるのはいいとして、車内放送のスピーカーと冷房の吹き出し口までがあるのが、ミョーに豪華。
 
冷房吹き出し口は、同時期のバスや一部鉄道用気動車でも見られる、半球形の部分が動いて風向きを変えられ、ネジで風量を調節(停止も可)できるもの。ただこの車両の場合、席と席の間にライン状の吹き出し口もあって、こちらは停止できない。


列車には、車掌と「ヌプリスタッフ」と呼ばれる女性が乗務。(本来ならさらに車内販売の客室乗務員もいるんだろう)
ヌプリスタッフは、要所要所での観光案内(車掌もやっていたけど)や乗車証明書の配布を行う。

函館から長万部までは一本道だから、北斗で何度か通っている。
スーパー北斗は1時間10分ほどなのに、ヌプリは2時間04分もかかる。車両の性能差もあるが、臨時列車の宿命・運転停車があるため。
大沼公園で駒ヶ岳を望む
大沼公園の次の赤井川駅で10分停まって後続のスーパー北斗3号に抜かれ、3つ先の姫川駅で5分停まって快速とすれ違い。
車窓に海(内浦湾・噴火湾)が広がる
いかめしで有名な森駅(1分停車で販売などはなかった)の次は、「八雲」という駅に停車。
その八雲町について、ヌプリスタッフから「2005年に合併で新しい八雲町が成立し、国内唯一の太平洋と日本海両方に面する町となった。この合併は「支庁」を越えた合併で、2つの海に面することにちなんで「二海郡(ふたみぐん)」が新設された。」といった案内があった。こういう情報が楽しい。

その八雲駅の手前(山越-八雲間)で、列車が減速(25km/h)した。8月17日に貨物列車が脱線した事故現場。線路の砂利が流出し、復旧まで3日かかった。
大きな土のうが積まれている
もっと山の中かと思っていたが、すぐ近くが国道5号線と海で、家も点在していた。
また、とても細い川(だからこそ、すぐあふれてしまったのだろうけど)だった。


長万部に到着。5分停車して、いよいよ山線へ進む。
長万部といえば、駅弁の「かなやのかにめし」。北斗・スーパー北斗では、客室乗務員が車内で予約を取って、長万部で積み込んで席まで届けてくれる。
ヌプリではそのサービスはなく、各自で予約すればホームまで業者が届けてくれるだけだった。(この日はいなかった)
停車時間を利用して、直接駅前の店舗へ行って買ってきた人(ヌプリスタッフが場所を教えたようだ)はいた。ホームで立ち売りしてくれてもいいんじゃないだろうか。
【9月1日追記】長万部始発の下り「ワッカ」では、車内販売でかにめしを扱っていたらしい。(上りでは小樽の駅弁を販売)
だから、ヌプリでも(車両変更されずに)車内販売があれば、売っていたのかもしれない。(だからこそ、車販が中止になった分、ホームで売れば良さそうなものだけど…)

長万部駅のホームで、
車内を覗きこむ、ゆるキャラは誰?
続きます

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まずは函館へ

2013-08-27 23:36:20 | 旅行記
今回の北海道旅行は、札幌や帯広が主な目的地。道内ではJR北海道のフリーきっぷを使用する。その有効期間をフルに活用する意味もあって、まず函館に一泊して、翌朝から道内の移動を始める行程とした。
秋田から北海道への旅行では、航空機(千歳)やフェリー(苫小牧)を使う人が多いと思われるが、航空便がなくなった(昔はあった)函館や大沼辺りだけの旅行ならJRを使う人が多数派かもしれない。そんな人には、JR東日本のびゅうの旅行商品など、宿泊と往復がセットになった安いパックがある。あるいはJR往復の乗車券分だけの「函館フリー乗車券」が秋田駅発着で9000円(4日間有効。特急券は別途必要)。

今回は、それらは使わず、秋田から函館までの通常の片道きっぷを使用した。(帰りの分はフリーきっぷでJR北海道エリア内ギリギリまで乗って安く上げるため別に購入。詳細はこの記事末尾)
特急は、秋田から青森まで「つがる3号」の自由席、青森から函館まで「スーパー白鳥25号」の指定席。
「つがる」の自由席が、お盆が過ぎた平日に混雑するとは考えにくいので自由席で充分。「スーパー白鳥」はある程度混雑しそうだし、JR北海道では自由席を増結することはないので指定を取ったほうが無難と考えた。

新青森または青森で奥羽本線の特急と津軽海峡線の特急・急行を乗り継ぐ場合、「乗継割引」が適用され、海峡線の特急料金が半額になる。(余談だが、東北新幹線から海峡線へ乗り継ぎ、さらに函館本線・札幌方面に乗り継ぐ場合は、函館本線の料金も半額になる)
だから、繁忙期で指定席料金が200円増し(自由席+700円)といっても、実際にはその半額で白鳥の指定席に乗れる。つがる自由席1680円+スーパー白鳥指定席2390円の半額=計2870円。


秋田始発の「つがる」の2両の自由席は、予想通り空席のほうが多い状態。
青森運輸区の車掌が1名乗務と言っていたが、実際にはもう1名乗っていて、車内検札をしていた。車内販売はなし。

つがるのE751系電車は、個人的には日本の在来線車両で屈指の乗り心地の良さだと思う。(線路状態のために95km/hしか出せず、車両としては余裕があるせいかもしれないけれど)滑らかな加減速、安定した走行、適度なホールド感のあるシート。
フジテレビの堺さんによる自動放送の「二ツ井」と「大館」のアクセントも安心して聞ける。

昨日の記事の通り、雨雲を振り切って青森県へ入るが、岩木山は見えず。
弘前からは新幹線へ乗り継ぐ人がまとまって乗ってきたが、それでも余裕あり。そして、新青森で降りていった。

つがる3号は新青森15時39分着、青森15時46分着。
乗り継ぐスーパー白鳥25号は、始発の新青森15時35分発、青森15時42分着・51分発。
つがるから乗り継ぐ者としては、新青森で乗り継げるように白鳥の発車を後回しにしてほしいものだが、新青森駅のホームの数が上下1本しかないため、こういう順番にせざるを得ないのだろう。

青森駅では、同じホームで乗り換えができたものの、既に皆さん座っている中に遅れて慌ただしく入っていく感じで、ちょっと恥ずかしい。ほぼ満席で、隣の席にも人がいた。
久しぶりの789系電車。この電車も悪くない車両だと思っていたが、つがるのE751系と比べると、特に居住性ではつがるの方が上に感じた。
座席の腰のあたりが柔らかくてしっくり来ないし、背もたれはE751系よりやや低くて、視覚的にうるさく(他のお客の動きが目に入って)感じた。
JR北海道の自動放送は、5年ほど前に落ち着いた話し方の男声アナウンスに変わったが、どうも好きになれない。ボソボソとしゃべっているとも受け取れ、トンネル内などでは聞き取れない。

蟹田駅でJR北海道の乗務員に交代。北海道新幹線の工事現場をかすめながら進む。
スーパー白鳥では、下り列車で青函トンネルの説明を重点的に行うようだ。自動放送では、2015年度開業を目指して北海道新幹線の建設が行われていることにも言及していた。
この列車では、車掌も熱心に案内してくれ、「この先10個目のトンネルが青函トンネルである」こと、「中に入ると、下の方で紫色の照明が光っている」ことなどを放送。
スーパー白鳥では、通路ドア上のLED文字情報装置で、通過する各トンネルの名前や「次が青函トンネル」と表示されるが、タイミングが若干遅く、青函トンネルに入ったのに「次が青函トンネル」としばらく表示されてしまって、紛らわしい。
今回は、直前に車掌が「青函トンネルに入ります」と放送を入れてくれたので、分かりやすかった。

トンネル内の「竜飛海底」駅に停車し、見学ツアーを終えた人たちを乗せる。
北海道新幹線開業時には、海底駅に停車する列車がなくなる(見学ツアーが廃止)見込みで、もう1つの「吉岡海底」駅は既に全列車が通過して休止駅になっている。

トンネルを抜けて、約4年半ぶりに北海道へ。

木古内を過ぎて海沿いに進むと、遠くに函館山が見えてきて、北海道へ来たことを実感する。
函館山と函館の街、そして港へ向かう船
車掌から函館山についての案内放送(牛が寝そべっているように見えるので「臥牛山」とも呼ばれる等)があり、これまた分かりやすい。
※帰りの「白鳥」については、この記事末尾参照。

こんな具合で秋田から約5時間。夕方の函館駅に到着。函館駅前のホテルに宿泊。

申し訳ないけれど、僕は函館に観光地としての魅力はあまり感じない。函館って、横浜とか神戸と同じように、おしゃれな街自体が観光地であり、他の北海道の観光地とは、観光地としての性格が違って感じてしまうからだと思う。
そんなわけで、函館の街を歩いたり宿泊するのは、小学生の頃と中学校の修学旅行以来。といっても、今回も駅周辺をざっと歩いただけ。
夜の松風町(まつかぜちょう)
函館駅近くの繁華街。北島三郎の「函館の女」の2番で「♪灯りさざめく松風町は」と歌われている。
裏通りは暗くて寂れていたが、この通りはアーケードがあって今時の地方都市としてはそれなりに賑わっていると言えるかな。

翌朝はいい天気。
函館駅
函館駅前の広場は、花がたくさん植えられていてきれい。

函館駅の向かい、路面電車が曲がる所に、「棒二森屋(ボーニモリヤ)」という地元百貨店がある。
棒二森屋
前夜、地下食品売り場に行ってみたら、価格がわりと安め(ランチパックが98円とか)で、イオンのトップバリュ製品が置いてある。さらに、お惣菜は函館市内の「ダイエー湯川店」で製造したもの。(函館周辺には、ダイエーがいくつか残っている)
レシートでは、
「株式会社ダイエー グルメシティ 棒二森屋店」
ダイエーが運営する食品スーパー(小型店舗)「グルメシティ」が棒二の地階に入っている形になっているらしい。

棒二森屋は、ダイエー傘下なのだそう。(ダイエーは今日8月27日にイオンの連結子会社化されたから、これからはイオン傘下とも言えるのか?)
現在は、福島の「中合」が経営しているようだ。

ほかに函館駅の周辺には、
函館朝市
外から見ただけ。

朝市の海側、青函連絡船・摩周丸(函館市青函連絡船記念館)のそばに、「ふれあいイカ広場」なるものがあるそうなので、行ってみた。
ただの広場
イカっぽいオブジェみたいなのがあるけれど…
文字が一部判読できなくなった、平成6(1994)年2月付の看板があり、モニュメント(=オブジェ)はイカが群れ合う姿をイメージし、ブルーとグリーンのパネルが海を表現しているらしい。
こんなレリーフもあった

イカ広場からの眺め
海越しに函館山がよく見えた。左は漁港だろうか。
気温はそう高くないものの、やはり動き回っていると汗ばんでくるので、海風が気持ち良かった。


函館を後に、列車で北へ向かう。
函館駅改札口上の発車標
函館駅は自動改札機が導入されているが、昔ながらの列車別改札を行っていて、該当列車には「改札中」が点灯するようになっている。ただし、少なくとも昼間は改札開始前に入場しても、とがめられたりはしない。
上の写真の3行目のスクロールしている案内文に注目。「7時40分ごろ6番のりばに準備できます。」と出ている。これは、8時08分発のスーパー白鳥22号について。
つまり、「スーパー白鳥22号には、7時40分頃に乗車できるようになります」という意味。
秋田駅で「こまち○号 入線時刻○時○分」と表示しているのと同じことだ。(秋田駅の場合、微妙に時刻がずれることが多いような)
親切だけど、列車を「準備できます」という表現がおもしろい。

続きはこちら

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

IC乗車券の地方への導入

2013-06-11 23:02:58 | 旅行記
すっかり普及した電子マネー。
といっても、鉄道会社などの交通系電子マネー(IC乗車券)は、秋田県など地方においてはあまり普及していない。
秋田の状況を2009年10月に記事にしたが、それ以降は、電子マネーとして使える店が少し増えた(生鮮市場や秋田駅ビル)程度で、乗車券としては相変わらず使えず、変化はない。
※こんな状況なのは秋田「だけ」というわけではなく、JR東日本エリア内では首都圏、仙台・福島、新潟以外の各地で共通だし、他社でも似たようなもの。

今年3月23日から、全国の多くのIC乗車券が相互利用できるようになり、それに伴ってその相互利用先のさらに相互利用先も一部で使えるようになったので、Suicaがあれば名古屋、福岡、静岡などの地下鉄・私鉄やバスにも乗車できるようになった。将来的には、札幌市や仙台市の地下鉄、広島電鉄とも相互利用の計画がある。(電子マネーが既にあるのにSuicaと相互利用の計画がないのは、関西のバスや富山、鹿児島くらいのようだ)
そんな動きも、地方は蚊帳の外。こんな点でも、大都市と地方の格差が広がってしまう。
人口が少なく、公共交通の利用者(新幹線や定期券以外)も多くない地域において、各事業者がIC乗車券の設備投資に躊躇するのは分からなくもないけれど。
そんな中、IC乗車券について、気になる報道や情報をいくつか目にした。


まずは、いつの間にか確実視されてしまっている来春の消費税率引き上げへの対応。各所で報道されているからご存知の方も多いはず。
消費税込みの鉄道運賃は、1円刻みでは煩雑なため10円単位で設定されている(鉄道の運賃自体が、そもそも距離を区切って10円刻みでもある)。これを覆して、来春の消費税増税時には、IC乗車券での利用時の運賃に限って1円刻みにする-つまり現金とICで異なる運賃を適用する-ことを、JR東日本など複数の鉄道会社が検討しているという。当然、IC乗車券のほうが安くなるのだろう。

これを報道した一部テレビ番組において、「乗客が適正な消費税額を支払うことになるので、歓迎」といったコメントをする出演者がいたが、それはIC乗車券が使えるエリアでのお話。ICが使えない地方では、同じJR東日本エリアの同じ運賃体系が適用される路線なのに、差がついてしまう(選択の余地なく高いほうの運賃を払うしかない)ことは眼中にないようだ。
別の報道では、「IC乗車券を持たない乗客やエリア外の乗客の不公平感をどうするかが課題」と言及する所もあったが、それもやはり東京の視点なのか、いまいち盛り上がらない感じ。増税まで残された時間は少ないのだから。
※首都圏と地方で運賃体系が同じこと自体、おかしいという向きもあるかもしれない。地方のほうが列車運行にコストがかかるだろうから。しかし、この点については、既に「幹線」と「地方交通線」という2つの運賃体系が存在している(国鉄時代にできた制度なので見直しの余地はあるかもしれないが)。
そこにICかどうかで差をつければ、さらに差がついてしまうことになるし、そもそもICの件は消費税分をどうするかが目的のはず。消費税増税を口実に地方から多くのカネを取るのでは、それは便乗値上げだ。

地方の側でも、鉄道にIC乗車券が導入されることに現実感がないのか、あきらめているのか、まったく話題にならない。
と思っていたら、青森県の「陸奥新報」が5月9日付の記事「地方でもIC乗車券を/JR東社長前向き」と5月30日のコラム「冬夏言」でこの件を取り上げていた(冬夏言は全文を公式ホームページで見られます)。
詳細は分からないが、5月8日の定例会見において社長が「「将来的には地方線区でもIC乗車券をもっと利用してもらえるような方式を取り入れたい」との展望を語った。」そうだ。これは初耳。
その記者会見で具体的にどのような話があって、JR東日本がどう考えているかは分からない。「地方にIC乗車券を導入する(=エリアを増やしたり拡大したりする)」という直接的な表現ではなく、「もっと利用してもらえるような方式」とまどろっこしい。もしかしたら、オレンジカード発売終了時に望んだように、自動券売機でのきっぷ購入にSuicaを使えるようにするとかだろうか。(そうだとすれば、消費税分はどうなるんだろう?)
※その後、2013年12月時点での動き

ちなみに、冬夏言では「小さな駅でも駅員の目が行き届いている大都市圏とは異なり、本県は無人駅も少なくない。」ので、今から対策を考えないといけないと結んでいるのだが、それにひとこと。
首都圏でも郊外には無人駅はあるし、仙台、名古屋、静岡など比較的多く無人駅が存在するエリアでもIC乗車券は導入されている。無人駅用のカードリーダー(簡易改札機)というのがあるし、ワンマン列車では車内で運転士にカードを見せ下車して、それにタッチすることになっている。(バスのように車内の運賃箱にリーダーをつければいいような気もするが、路面電車以外の鉄道では一般的でない)
再掲)JR東海・富田浜駅(三重県四日市市)の簡易改札機(ゴミ箱みたいな装置。JR東日本のは脚が細くてスマート)
青森や秋田でも、無人駅に簡易改札機を設置するのは難しいことではないはず。問題点を強いて挙げれば、潮風や吹雪、寒さで故障しやすそうなことか。


次は、現地以外ではほとんど報道されていない情報。
5月15日にJR東日本仙台支社と盛岡支社から「BRTへのICカードの導入について」というリリースがあった。
BRTとは、東日本大震災で被災して不通になった気仙沼線と大船渡線の一部区間を、専用路を走るバスで仮復旧しているもので、8月3日からそれらでICカードが使えるそうだ。

JR東日本のICカードといえば「Suica」。SuicaはPASMOなどとの相互利用でバスでも使えるのだから、これはBRTでもSuicaが導入されるのかと思ったが、そうではなかった。
Suicaとは別の「odeca(オデカ)」という名のカードを新しく立ち上げるという。
このodecaとやらは、Suicaを含む他のIC乗車券との相互利用、店での電子マネーとしての利用、クレジットカード(ビューカード)でのチャージは、どれもできない。回数券的な仕組みやPASMOの「バス特」のような割引特典もなさそう。
これでは、BRTだけの閉鎖的なIC乗車券であり、メリットはスムーズに乗降でき、紛失再発行・履歴印字ができることくらい。

JR東日本としては2つめのICカード乗車券が誕生することになるが、どうしてSuicaではないのだろう。
どうせなら、東北本線などの周辺のJR線、宮城交通や岩手県交通などの一般路線バスも巻き込んでSuicaエリアを拡大すれば、観光客の呼び込みや既にSuicaエリアである仙台との行き来に活用できそうにも思うのだが。
相互利用先が多いSuicaでは、それらに対応する装置・ソフトの導入や利用料みたいなのがかかり増しになり、その負担を嫌って、安く上がる独立したシステムにしたのだろうか。

JR東日本が率先して地方の鉄道にSuicaを導入してくれれば、その土地の各バス会社や私鉄も追随しやすくなるかもしれないと思っていたが、odecaの登場を思えば、そう簡単な話でもないのかもしれない。
青森の弘南バスでは、10年ほど前にICカード乗車券を導入すると言い出したことがあった。当時はSuicaもさほど普及していなかったので驚いたが、結局撤回されて(立ち消えて?)現在に至っているという例もある。首都圏の磁気式バスカードとPASMOのように、IC化によって特典の割引率が下がってしまうことも考えられる。
こんな具合にハードルは高そうなので、諸手を挙げて、地方(の特にバス)にIC乗車券を導入してちょうだいと思えない気持ちもある。

【2015年1月15日追記】2015年3月から、BRTでodecaと並行してSuicaとその共通利用カードが使用できる(BRTで完結する乗車とチャージ)ようになる。引き続き、odacaをSuicaエリア等で使用することはできない。こうなるんだったら、odacaの存在自体意味がないことになってしまうような気もする。



最後は、以前乗って便利さに感心した鳥取市の循環バス「くる梨(くるり)」から。
今年4月から、3つめの「緑コース」ができたほか、電子マネーでの運賃の支払いが可能になったという。
使える電子マネーは、IC乗車券すなわち交通系電子マネーではない。楽天Edy、WAON、iD、QUICPayという、本当の(買い物をするための)電子マネー。珍しいケースだと思う(少なくともWAONでバスに乗れるのは全国初らしい)。

基本的に店のレジでしか使われない電子マネー専用のカードと違い、IC乗車券は改札口の通過やバス乗降時の瞬間的で確実な読み取り・引き落としが要求されるため、よりシビアな仕様(カードに埋め込まれたアンテナの配置とか)になっていると聞く。
だから、ICカード乗車券を電子マネーとして使うことはできても、電子マネー専用カードで乗り物に乗るのは難しいと思っていた。

実際にくる梨でどういう装置が使われていて、エラーが発生していないかどうかは知らないが、下車時に一律100円を引くだけの単純な仕組みだから、実現できたのだろうか。(整理券方式・後払いの地方の一般路線バスでは、乗車時のタッチで整理券の番号をカードに記憶させ、降車時にそれを元に運賃を差し引かないといけないから、そういう複雑なことには対応できないかもしれない)
交通系でない電子マネーを使うことで、定期券とか相互利用に関してはきれいさっぱり除外して、コストを下げたとも考えられる。くる梨の沿線にはイオンがあるので、WAONを利用する人は多そうだし、こういうやり方もアリなんだろう。思い切った発想の転換に、また感心させられた。


さて、秋田や青森でIC乗車券で鉄道やバスを利用できる日はいつ、どんな形で実現するだろうか。

【2015年6月27日追記】2020年の東京オリンピックを控え、国土交通省が全国すべての都道府県でIC乗車券を使えるようにすることを計画。2015年4月に鉄道会社や有識者からなる検討会を発足させ、同年夏までに方向性を示す。
結局は各事業者が導入費用を負担することにはなりそうだが、やっと青森、秋田などでも使えるようになるかもしれない。

※2016年になって、秋田のバスで導入のきざし(?)が。
コメント (24)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国鉄色つがる

2013-02-12 23:18:21 | 旅行記
10日・日曜日に弘前へ出かけた。
3連休中だから、ある程度混雑しそうだし(他に諸般の事情もあって)、特急「つがる3号」の指定席を取った。
つがるといえば、E751系電車の4両編成がすっかり定着した。指定席は1号車と2号車(1号車の半分はグリーン車)。

しかし、ネット上の情報によれば、前日の9日から「つがる」の一部列車が、485系電車6両編成で運転されているという。しかも、リニューアル車のほか、新潟の車両基地所属の国鉄時代の塗装(通称・国鉄色)の車両も使われているという。
E751系には予備がないため、1本でも点検や故障で使えない時は、旧来の485系電車(4両編成)が代走することはよくある。それに2両を増結して6両編成にするのも、3連休だと思えば分からなくはない。
でも、新潟の国鉄色の車両がつがるに使われるとは、信じられないような、ちょっと期待するような気持ちで秋田駅へ。


青森からの「つがる4号」が秋田駅に到着後、わずか20分で折り返し3号となる。
穏やかな天候ではあるが、構内放送では「4号の到着は数分遅れるものの、3号は時間通りに発車予定」とのこと、さらに「本日は6両編成で運転します」と言っている。
ということは…
485系国鉄色!(5番線から撮影)
普段は、特急「いなほ」で他の塗装の車両に混ざって使われている、新潟の「T18編成」だ。
先日のE6系の報道向け試乗会の日にも来ていたから、秋田駅ではさほど珍しくはない車両ではあるが、これが奥羽本線で、定期列車に使われるとなると、とても珍しい。
さすがに「つがる」のマークがセットされているわけはなく、真っ白い幕。

反対側の先頭車(1号車・半室グリーン車)。連結器カバーが緑色なのが残念(他の塗装の車両用の使い回し)
上の両端の先頭車の写真を見て、わずかに違いがあるのがお分かりでしょうか。
6号車側は、屋根の上の前照灯(ヘッドライト)が2灯ある。これは、かつて北海道向けに製造された(けれど耐えられなくて本州に戻された)「1500番台」と呼ばれる車両だけの特徴。もう1点、尾灯が出っ張っている(他は平ら)のも特徴。
雪で隠れにくいように出っ張っている
1500番台の先頭車(クハ481形)はわずか8両しか製造されず、現在もそのままの出で立ちで活躍するのは、このT18編成の6号車「クハ481-1508」だけ。(他は廃車や改造された)
T18編成は、国鉄色だからというだけでなく、貴重な1500番台も組み込まれていることもあって、鉄道ファンには人気のある車両。
秋田駅。左奥にE3系こまち。右端3番線のいなほはリニューアル車だった

久々の485系国鉄色の旅となった。4~5年前に、いなほで、同じT18編成に乗って以来か。
この日の6両の内訳は、1・2号車が指定席、3~6号車が自由席。つまり増結された分は、自由席として使われる。
「特急」表示はあるものの
側面の行き先表示も白幕で、これが「つがる 青森行き」であることは分からない。
秋田駅では、放送のほか、ホームに駅社員を配置して案内に当たっていた。車両変更に伴う座席配置の関係で、「指定された席がない」お客さんがいたようだ。


僕の席は、2号車。東急車輛製の「モハ484-1082」。天井のクーラーは、プロジェクターみたいな形のもの。交換したのだろうか。以前乗ったのもこの車両だったような気がする。
内装は国鉄時代とそう変わっていないものの、座席はリニューアル車両と同じ、座面がスライドする黒系統のシートに換えられている。(自由席側の車両はスライドしないシートかもしれない)
座席の枕カバーは、布ではなく、「JR東日本」ロゴ入りの不織布。盛岡支社(青森車両センター)はこれを使っている。

青森運輸区の車掌は「本日、車両が急遽変更になりまして」と車内放送で説明していた。
さらに「6号車のトイレが故障している」とのこと。リニューアル車では、水回りは2両に1か所くらいに集約されているが、国鉄設計のままのこの編成は全車両にあるから、1つくらい使えなくても問題はないでしょうけど。


長年、東北地方を走り続けている485系電車だけに、国鉄色「つがる」は、雪の奥羽本線を快調に進んだ。
でも、若干ぎこちない加減速、天井のクーラーがビリビリと振動する音、床下から時々「ビヨヨン」とバネみたいな音がするなど、やっぱり新しい車両には見劣りしてしまう。

指定席の車内はそんなに混雑してはいなかった。でも、自由席はもっと空いていたはず。いつもの4両編成でも収まる範囲だったと思う。
510円とはいえ指定席料金を余計に払っている客を通常通りの1両半に押し込めておいて、自由席を4両も付けるのは腑に落ちず、ちょっぴり不満だった。


この翌日・11日も同様に4号→3号でT18編成が使われていた。結局3日とも同じダイヤで使われたことになる。(3日も使うのなら、側面だけでも「特急つがる 青森←→秋田」という表示をパソコンで作ってラミネートして張るぐらいしてほしい)
一方で、2号→1号では青森の485系リニューアル車6両編成が使われ、通常ならそのまま回るはずの6号→5号には、E751系(4両編成)が使われていた。大館折り返しの臨時つがるは485系リニューアル車4両だった。
弘前駅に到着する11日の3号
わざわざ新潟から借りてまでして、一部列車を6両編成にし、しかも指定席ではなく自由席を増やした意図は何だったのか。

この3連休には、青森の485系リニューアル車両を使う、臨時「白鳥」が運行されたので、青森の485系の運用が1つ増えていた。
それに、悪天候で遅延が生じた場合に備え、予備の車両を多めに確保したかったのかもしれないから、これらの解決策として余裕のある新潟から借りたのか。

秋田往復「つがる」の一部が6両になったのは、リニューアル車では「白鳥」との運用の兼ね合いや、たまたま新潟から借り入れたのが6両編成だったからに過ぎず、つがるは別に4両でも6両でもどっちでも良かったのかもしれない。それで、臨機応変に対応できるように増結分を自由席にしたのではないだろうか。(以上、憶測です)

ちなみに、とある鉄道情報サイトで、T18編成の代走が「9・10日の2日間」で「大館アメッコ市に伴う輸送量増加に対応するため」などとあるが、上記の通り、11日も代走し、アメッコ市は10日までだったから、正しくないと考えられる。

指定席に乗った客としてはやや不本意だったものの、雪景色の中の国鉄色を見る分には、とても美しかった。



翌日の帰りは、大館から秋田まで普通列車を利用した。
平日なら下校時間帯で混雑しそうだが、祝日でしかも5両編成。空いている車両を選べば、ほぼ貸切状態。
この日は、時折雪が激しく吹き付け、ホワイトアウト状態の区間もあった。
吹雪が車体を取り囲む
鷹ノ巣駅で、ドアが閉まらなくなり(雪や氷を挟んだのか)、3分ほど遅れ。反対列車の遅延もあって、秋田駅には10分ほど遅れて着いたが、この程度の遅れなら優秀。
華奢そうな701系電車だけど、こういう状況にはけっこう強く、力強く秋田まで運んでくれた。
先頭だった車両
雪が中央の幌部分にだけ、四角く付いているのがおもしろい。(関連記事

ということで、これから弘前の話題をアップしていきます。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オレカ発売終了

2012-12-04 23:21:50 | 旅行記
今日、JRグループ旅客各社から、来年3月末をもってオレンジカードの発売を終了することが発表された。4月以降も使用は可能。

「オレンジカード」は、JRの自動券売機などで使える、磁気式のプリペイドカード。通称「オレカ」(だったけど、今は通じないかな)。
「テレホンカード」発売開始の2年後、1985年(一部地域)から発売されていて、国鉄分割民営化後は各社が引き継いで発売し、共通で使用できる。
かつては、発売額以上の金額分使える(プレミアム)5000円と1万円のカードもあった(それぞれ300円と700円上乗せ)が、偽造カード対策として、廃止された。

昭和末~平成初期頃は、テレカと同様、アイドルの写真などがデザインされたカードが出て、コレクションアイテムになっていたと記憶している。
首都圏などでは、景品や贈答品として使われていたとも聞く。特急列車などで、車掌が車内を巡回してカードを売っていたこともあった。最近は、「エコポイント」の引き換え商品リストにも名を連ねていた。
今の秋田駅舎開業当時には、近距離自動券売機の隣に、埋め込み式のオレンジカードの販売機(カード自体を売る自販機)があったが、いつの間にか撤去された。
新潟駅と仙台駅では、Suicaのカードの販売機で、オレンジカードも売っていた(数年前にはあった)が、今はどうなっているか。


現在はSuicaなどICカード乗車券が普及し、発行数や利用者は減っている。
JR東日本では、今年春から、首都圏の駅でオレンジカードの発売をやめていた。JR東日本のクレジットカード「ビューカード」や予約サイト「えきねっと」でたまったポイントでもらえる景品のラインナップからも外された。
一方で、首都圏以外では発売が継続されていたし、首都圏を含めた主要各駅の自動券売機で使うことはできる。

JR東日本秋田支社では、比較的多くの駅で発売されている。JR直営の駅(関連会社委託駅は除く)で、対面式のみどりの窓口がある駅なら、羽後本荘以外のほとんどで扱っているはず。
とはいえ、数年前に秋田駅で購入しようとしたら、驚くことに在庫が1枚もなかったということがあった。今年10月の弘前駅では、3種類あるというPOPが出ていたが、2種類は「売り切れ」(残る1種類の在庫はたくさんあった)。
買う方も売る方も、あんまり興味がなさそうな状況だから、販売終了はある意味当然か。
考えてみれば、現在IC乗車券が未導入のエリアは、近距離の移動に鉄道を使うことが少ない地域であるのだから、オレンジカードの需要は少ないだろう。


いつかは廃止されるとは思っていたが、意外に早いと感じた。
個人的には、オレンジカードは重宝しているので、発売終了は惜しい。
ここ15年間ほどで使ったオレンジカード。我ながらかなりの枚数です…
【5日追記】上の写真の右側に、同じデザイン(紫色のジョイフルトレイン「華」)のカードが何枚もあるが、これはビューカードのポイントでもらったもの。

まず、財布にオレンジカードを1枚入れておけば、スムーズにきっぷを購入できる。Suicaが導入されていない区間において、定期券や回数券を購入するほどではなく、たまに近距離を利用するのなら、かさばらなくていい。

また、ビューカードでオレンジカードを購入(現在はビューカード以外のクレジットカードでは購入不可)すれば、きっぷを購入した時と同じ1.5%分のポイントが付くのが、ちょっとうれしい。
多くのクレジットカード同様、ビューカードのポイントは1か月間の利用額1000円刻みで付与されるので、ビューカードで直接きっぷを買った場合は、端数が出て損してしまう(還元率1.5%未満になる)ことが多いが、オレンジカードは1000円刻みなので無駄なくポイントがもらえる。

ちなみに、秋田市内の駅では、秋田、土崎、追分、羽後牛島、新屋の各駅の近距離券売機でオレンジカードを使用でき、自由席特急券(こまちは特定特急券)や回数券の購入にも使える(一時期できないこともあった)。【5日追記】乗車券以外(特急券など)をオレカで購入できるかは、各社・各支社・各駅ごとに異なり、購入できない場合もあります。
ただし、同時に使えるカードは2枚なので、高額なきっぷは現金の追加が必要。四ツ小屋と上飯島駅の食券券売機みたいな券売機では、使用できない。

来春以降、手持ちのオレンジカードを使い切った後、秋田などでJRに乗る時は、現金かクレジットカードできっぷを買うしかないのだろうか。
来春までにICカード利用可能エリアを広げる(きっぷを買わずに、カードで直接乗車できる)というのは、無理だろう。せめて、現在オレンジカードが使える自動券売機に、ICカードできっぷを購入できる機能を追加してほしい。(ビューカードからSuicaにチャージすれば、ポイント還元率1.5%なので)


最後に、使用済みオレンジカードコレクションから。カード裏面を見れば、発行年が分かるのですが、面倒なので見てません。
10年ちょっと前のもの
右下のリニューアル編成の「はつかり」は、盛岡支社発行だろうか。縦使いなのが珍しい。
他は秋田支社発行。この頃はラインナップが豊富で、右上のような津軽地区バージョンや、秋田の夏祭りシリーズなどもあった。左下は「こまち」6両化(1998年)を「バージョンアップ」と称している。
遠方のカード
左上は仙台支社発行で、「E2'」系の試験走行の模様(導入当初は、東北新幹線向けのE2系を「E2'(ダッシュ)」と呼んでいた)だという。試験走行だから1995~1997年頃のはずだが、そんな昔に買った覚えはない。売れ残りか。
右上は長野支社のE257系あずさ。右下はJR北海道のスーパー白鳥。札幌近郊の駅で買ったはず。
左下はJR東海のワイドビューふじかわ。静岡支社管内の駅で何度か買ったが、特にPOPもなく、どの図柄にするか聞かれることもなく、いつもこのカードを渡されたものだ。

【2019年2月8日追記】忘れていたけど「オレカメイト」というのがあった。1997年からJR東日本の一部の駅に設置されていたもので、当時ブームの「プリクラ」のオレカ版、つまりその場で写真を撮影してオリジナルカードを作れるという装置。1000円払って500円分のカードだったことなど、あまり広まらずに終わった。
このオレカメイトが最初に設置されたのが、秋田駅ともう1駅(松本駅?)だった。ちょうど秋田新幹線開業で駅舎が新しくなった時かな? 駅ビル1階にあったような??
秋田のほかには、松本駅、東京駅八重洲地下、上野駅中央コンコースにはあったようだ。カード券面全部がオリジナル写真でなく、列車の写真メインの中に、ワイプのように顔写真が入るような感じだったのかもしれない。
コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

えきねっとが重い

2012-12-03 23:18:49 | 旅行記
最近、JR東日本の予約サイト「えきねっと」が、異常に重い。
原因は分かっている。トップページなどにも掲載されているように、年末年始の予約受付が始まっているからだ。「12月6日頃までの間」だという。

反転部分

でも、サイトに出ているような「ページの表示が遅くなったり、「混み合っている」旨の表示がされる場合があります。その際は時間を置いてご利用下さい。」なんていうレベルじゃない。
ログインすらなかなかできないし、奇跡的にログインできても、次の予約ステップに進めない。

ログイン後最初の画面が10分以上経ってもこんな状態。画像が表示されず、クリックしても進まない

ネット上の情報によれば、特に今日がひどく、午前中からずっとこんな状態が続いているらしい。携帯版えきねっとなら、何ともないという話もあるが。
これでは、予約できない。
年末年始の帰省などで利用する人よりも、今日とか明日とかに利用する人はもっと困っているだろう。

僕は、帰省シーズン前に、JR東日本の指定席を利用しようと計画していて、今日アクセスしたのだが、この調子では無理かもしれない。
同じようにあきらめて旅行を取りやめたり、自由席や他の交通機関に変えた人もいることだろう。


みどりの窓口を一部駅で廃止(自動券売機化)したり、駅あたりの窓口数を削減したり、割引率のいい企画乗車券をえきねっとのみで発売したり、JR東日本はネットでの販売に重点を置きたいようだ。
その点については、時代の流れだし、より便利に安くなるのなら、個人的には反対ではない(年代や場所で不便な方もいるとは思いますが)。
この点からすれば、JR東日本にとって、えきねっとは重要な販売ツールであるはずだ。

また、帰省シーズンに利用が増えるのは、毎年恒例で明らかなこと。だからこそ、JR東日本でも列車を増発し、事前予約を受け付けるなどして、それに備えている。
えきねっとでも「12月6日頃までの間」なんて表示があるわけで、つまりアクセスが集中する時期を予測できている。

重要な販路において、特定の時期に混雑が予想されるのなら、サーバーを増強するとか、アクセスを分散させる方策を考えるとか、お客に快適に使ってもらえるような対策を、どうして取らないのだろう。世界最大の鉄道会社ともあろう、JR東日本が。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

快速きりたんぽ

2012-11-01 23:49:37 | 旅行記
秋の弘前の話題(前回の記事)はまだあるのですが、都合により弘前からの帰り道の話を先に。
今回は、「秋田・津軽由遊パス」を利用して、額面以上に乗り倒せた。
横長のきっぷなので自動改札は通れない
多少はゆったりと移動したいので、帰りは料金券を追加して、弘前→大館:特急自由席(500円)、大館→秋田:臨時快速・指定席(510円)という行程にしてみた。
弘前から秋田までを通しで特急自由席に乗ると1300円かかるが、これだと1010円なので多少安くつく。
待ち時間を含めた所要時間はけっこうかかるが、時間よりも快適さ優先です。

まずは弘前15時23分発の特急「つがる54号」。
何度か触れている、青森始発大館止まりの“毎日運転の臨時列車”。12月からの冬ダイヤでも引き続き運行される。
通常なら、定期つがると同じ、E751系電車が使われるのだが、やって来たのは、
485系電車(リニューアルされた3000番台。大館駅で撮影)
E751系は3編成(3本)あるが、それらがフル稼働しないとつがるの全運用(=臨時分を含めて)をまかなえず、予備がない。現在、E751系のうち1本が定期検査で郡山総合車両センターへ入場しているため、大館往復分に限定して485系が代走しているようだ。
弘前駅ホームには仮設の乗車位置案内が下がっていた(E751と485でドア位置が異なるため)

弘前駅に到着したつがるからは、多くの人がぞろぞろと降り立った。新青森で新幹線から乗り継いだ人たちだろうか。
乗り込んだつがるの車内は、予想していたとはいえ、
ガラガラ
弘前止まりにしてもいいんじゃないか(あるいは逆に秋田まで延長して新規客を取り込むか)と思ってしまうような状況。
16時01分に終点大館着。なんとなく3番線に入りそうな予感がしたが、秋田方面直通列車と同じく1番線に入った。階段を使わなくて済むので結構なことです。(3番線を使うのは始発列車だけのようだ)

1時間ほど待ち時間。周辺を歩こうかと思ったけれど、やや寒いし疲れたので大きな待合室で過ごす。
大館駅の以前の記事では、待合室のABS秋田放送のテレビがアナログブラウン管テレビだったけれど、地デジ化完了した今は、
台や表示板はそのままで、液晶化
若干角度をつけて設置されたが、これは奥行きに余裕ができたことを活かし、右隣にあるNHK総合のテレビの邪魔にならないようにだろう。
※その後2013年2月11日には、昔のように真正面を向いていた。2018年6月でも同様。


さて、この日と翌日(10月13~14日)に、大館市で「本場大館きりたんぽまつりin大館樹海ドーム」が盛大に開催された。
会場と往復する無料シャトルバスが次々に駅に入っては出ていった。全部がいすゞの大型バスなのはさすが秋北バス。利用者はそんなにいなかったけど。(こういうイベント輸送にこそ、大型バスを使うという姿勢は、中央交通さんにも見習ってほしい)

2008年にホーム内の装飾を紹介したけれど、今回は改札の外にあった。


巨大きりたんぽ鍋!(手前の焼いているきりたんぽは以前の使い回しか)

せり、ねぎ、まいたけ、ささがきごぼう、鶏肉
しらたきとか油揚げとかを入れることもあるが、あまりごちゃごちゃと入れないのが、本場のやり方のようだ。
“具材”を拡大。まいたけの下のほうは軍手?
せりは造花で菊っぽく、鶏肉は鴨肉のように見えなくもないけれど、紙、ビニール、布などを使った手作りでなかなかリアル。
【2013年2月12日追記】2013年2月11日時点でも、まだ設置されていた。
【2014年12月20日追記】2014年12月14日付秋田魁新報県北地域面によれば、「毎年この時季に展示しており、今年で5年目。」だそうなので、2010年から始まったようだ。


列車に話を戻します。
つがる54号から接続する奥羽本線上り列車は、16時34分発普通列車秋田行き(秋田着18時26分)、17時23分発特急「つがる8号」秋田行き(秋田着18時57分)がある。
さらに、13、14日は、きりたんぽまつりに合わせて、17時08分発の臨時列車が運行された。その名もズバリ「きりたんぽ号」!
元リゾートしらかみ「青池」編成(初代)で、現在は各種臨時・団体輸送に重宝がられて活躍している「クルージングトレイン(キハ48形改造車2両編成)」を使った快速列車で全席指定。

以前は、きりたんぽまつりに合わせて、たしか「きりたんぽまつり号」という列車が秋田-大館間で運行されていた。
今回の「快速きりたんぽ」は、大館止まりでなく、花輪線に乗り入れて鹿角花輪まで行って折り返す。(つまり秋田-鹿角花輪)

特に鹿角でイベントがあるわけでもなさそうなのに、延長されたのはなぜだろう? きりたんぽの発祥は鹿角という説もあるので、それに配慮したの?
2008年3月までは、秋田-鹿角花輪の直通快速(以前の急行よねしろ)があったが、それが廃止(大館で分断)されて以来の、鹿角と秋田を結ぶ直通列車ということにはなるが。

上り「きりたんぽ」は、鹿角花輪15時51分発。途中の大滝温泉で20分も停まったりして、大館3番線に17時00分着。8分停車。
クルージングトレイン
花輪線から奥羽本線上りに入るには、進行方向が変わる。座席は、最初から奥羽本線内で正面を向くようにセットされていた(こまちの秋田発車時と同じ)。

案の定、鹿角から乗ってきたお客は、極めて少なかった。

大館からは、1号車がJR主催のツアー客枠らしい。大館駅員が出てきて見送っていたので、きりたんぽまつりのツアーのようだ。
僕が買った指定券は2号車。一般客は2号車に割当てたようだが、10人もいなくて寂しい。
(ただし、僕が券売機で指定を取った時は、1号車の席を購入することもできたので、団体専用ではなく団体優先ということか)

僕はこの車両には、リゾートしらかみ時代に乗ったことがあるが、クルージングトレイン化されてからは初。

といっても車体の表示以外は、目立った変化はなさそう。
黒いヘッドレストが、中央に寄り添って配置されているのが特徴だが、あんまり意味が…
ハイブリッド駆動の現行の青池編成と比べると、窓の大きさとか車内の開放感は、むしろこちらの先代のほうがいいと感じた。(現在の青池も、快速列車としては充分すぎる設備であり、不満ではないです)
座席の色は、現青池は同形式の他編成と共通のベージュ系だが、こちらは青くていかにも青池らしい。※改造当初は「青池」という編成名はなく(後のブナ編成登場時に命名)、「日本海の色をイメージした色」としての青色だった

秋田運輸区の車掌が1人乗務で、車内販売はなし。検札が済むと、静かな空間。
暗くなった奥羽本線を秋田を目指して快調に飛ばす、といきたいところだけど、単線が多い区間の臨時列車となると、そうもいかない。

大館から先の停車駅は、早口、鷹ノ巣、二ツ井、東能代、森岳、八郎潟、大久保、追分、土崎。快速としては妥当だろう。(追分、土崎を除けば、昔の急行「津軽」と同じのようだ)
時刻は大館17時08分発で秋田着が19時30分。2時間22分もかかる。(ディーゼルカーと電車の違いはあるにせよ、)定期の各駅停車では2時間かからないのに。

途中駅で長時間停車するのは、二ツ井の15分。ここで特急「つがる8号」に追い抜かれる。
ほかに、ドアを開けずに停車する「運転停車」が3駅あった。いずれも反対方向の列車との交換。
駅名・およその停車時間・交換した列車に、鶴形・3~4分・貨物列車、鯉川・4分・大館行き快速?、羽後飯塚・2分・普通大館行き
上記以外には、長時間の停車はなかったと記憶しているが、それにしてはずいぶん時間がかかっている。
そういえば、車内が静か=エンジン全開で走っていた場面が少なかった気がするので、相当に余裕を持ったダイヤだったのだろう。


途中の乗降も極めて少なかった。たしか東能代から1・2人乗ってきて、大久保でツアーのご夫婦が降りたくらいではないだろうか。
旅の最後をゆったりのんびりと移動できたのはいいけれど、せっかくの臨時列車・せっかくのクルージングトレインをもっと利用してもらえるような工夫が必要ではないだろうか。


それにしても、「きりたんぽ」という列車名って考えてみればすごい。
名前(愛称)が付いた列車はあまたあれど、「料理名の列車」など過去に存在しただろうか。(「いなほ」とか「食材となり得るもの」は結構あるけれど)
指定券にも「きりたんぽ」

ところで、奇抜な表示でおなじみの秋田駅の発車標
本荘へ行ったついでに、翌日朝の下りを見てみた。
中央改札口の2行目
「きりたんぽ号」か。「快速」はないけれど、まあ無難なところ。
英語表示の時は、
相変わらず日本語オンリーですか
っていうか列車名はいいとして、行き先の「花輪」って…そんな駅はありませんよ!
ちびまる子ちゃんの花輪くんが現れて「花輪じゃなくて鹿角花輪じゃないのかい? ベイビィ。気をつけたまえ」なんて言いそう…


前の列車が発車すると、最上段(1行目)に表示されるわけだが、その時は改札内に入ってしまっていたので、改札口の表示は確認できなかった。
おそらく、ホームの乗り場案内の発車標には、中央改札の1行目と同じ内容が表示されるはず。
こっちはローマ字で「Kazunohanawa」と出る

日本語でも「鹿角花輪」。「快速」の種別も表示
でも、今度は列車名が「キリタンポ」と片仮名でしかも半角!
なんだかなぁ…

※この列車の翌年の運転形態については、この記事中ほど
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三島のバス

2012-06-26 23:57:02 | 旅行記
人口約30万人の秋田市には、市内の路線バスを運行する会社が1社しかない。秋田中央交通の独占。
かつては秋田市営バスもあったわけだが、行政改革の一環で市営バスのあり方が議論されていた時、中央交通の社長が「秋田市の規模の都市なら、路線バス会社は1社でよい。うちが全路線を引き受けます」と言って、現在の体制となった。(要は自分の会社の保身のような気もするけど…)そして、今のありさま…


静岡県三島市は、人口11万人。※旅行記が中途半端でしたが、直前の記事三島市についての記事
某社長さんの理屈だと、バス会社は1社で充分なことになるが、主に3つのバス会社が路線バスを運行しているようだ。(各バス会社の関連会社が運行している路線もあり、実際の企業数としてはもっと多い)
秋田と三島では、周辺市町村の人口や施設・観光地の分布、人の動きが異なるという事情(三島のほうが活発)があるのだろう。
一方で静岡市のようにもっと大きな都市なのに1社独占の町もあるわけで、単純に人口がいくらだから何社と決め付けることはできないと思う。そういう意味で、ワタナベ社長さんのおっしゃった理屈は、僕には理解できない。

そんなわけで、冒頭の写真のように、三島駅南口にはいろいろな塗装のバスが待機している。
三島の路線バス各社の車両の塗装は、復刻カラーや組織再編で以前の会社の塗装をそのまま使っているなどしているため、会社の数以上に何種類もあって、把握し切れない。※以下に紹介するバス会社名は間違っている可能性があります
オレンジ色の「沼津登山東海バス」

同じく沼津登山東海バスだけど、「箱根登山バス」から移籍し以前の塗装のままのもの

レオくんがいる“ライオンズカラー”の「伊豆箱根バス」

車両の行き先表示のスタイルも、各社で異なる。顕著なのは車両側面の矢印式の表示。
表示器のメーカーごとの差異が大きく、さらに各バス会社で使い方が異なるため。
 伊豆箱根バス
秋田中央交通利用者には、親しみを感じる表示だ。
それは、メーカーが同じ(降車ボタンでおなじみのオージ製)であり、4つの縦書き経由地が左から右の順(→)であるため。
中央交通と異なるのは、上段の横書き部分。秋田では系統番号と経由地が表示されるが、伊豆箱根バスでは「JR沼津駅 行」と行き先が表示される。
でも、上の写真の場合、縦書き右端にも「沼津駅」があってダブっていて、意味がないと思う。
なお、始発バス停の発車前は、両社とも、案内文がスクロール表示される。
伊豆箱根バスの80周年記念復刻塗装らしい
このバスは、
縦書き経由地が右から左と逆(←)! ※始発発車前なので上段はスクロール表示
オージの側面LED装置は、矢印の向きを左右両方に変えられることが特徴。
実は、全国的には左向き(←)で使っているバス会社のほうが多いような気がするが、伊豆箱根バスは右向きと左向き両方を混在させている。
もしかして、上り下りで使い分けている(文字の表示場所を固定して)のかもしれない。
秋田のような駅と団地などの終点を単純に行き来する路線形態ならともなく、ここは三島駅-沼津駅のように駅どうしを結ぶ系統もあるので、どっちが上りでどっちが下りか分かりづらく、戸惑いそう。

富士急グループ各社
富士市の記事でも登場した富士急バスグループ各社。
これは三島でなく富士市~富士宮市の路線の表示
富士急ではレシップというメーカーの表示器を使っていると思われる。
オージと並んで高いシェアを誇るが、矢印がLEDではなく蛍光シールみたいなのであるため、向きが左向き(←)で固定されている。
レシップの装置は文字が大きくて太いものの、視野角が狭く、角度によっては読みづらい場合がある。(個人的にはこっちのほうが好き)
上の写真では、上段は伊豆箱根バスと同じく、行き先を表示している。やはり側面とダブっていて無駄じゃないでしょうか。また、側面には系統番号が表示されていない。

富士急のハイブリッド車
富士急のハイブリッドやCNGなど低公害車両は「エバーグリーンシャトル」として専用の塗装になっている。
それにしても、行き先表示の内容がおもしろい。「遊園地 ぐりんぱ YETI イエティ」。
「遊園地」以外はどれも何のことだか分からない。「イエティ」ってヒマラヤの雪男?

答えは、どれも施設の名称。
裾野市に富士急行系列の「フジヤマリゾート」という観光施設があり、その中の施設。
「ぐりんぱ」は遊園地。イエティは正式には「スノータウンYeti」でスキー場。
その側面表示
今度は「サファリー」が出てきた。サファリ→イエティとなアフリカ経由ヒマラヤ行きみたいだ。
「サファリー」とは、有名な「富士サファリパーク」のことのようだ。
施設名は「富士サファリパーク」だが、運営企業名は「富士サファリーパーク」で、「リー」と伸ばすようだ。なぜか企業名を表示してしまっている。
富士サファリーパークは、富士急系列ではない。だから正面には表示せず、側面だけの登場なのだろうか。
そして、上段の行き先は「YETI」と英語(なのか正式名称なのか)。

富士急の表示は、けっこうアバウトみたいだ。
最後にこちら
縦書きの左端が「GPO」。ってなんだ?

上段の日本語で分かってしまうけれど、これも有名な「御殿場プレミアム・アウトレット」。
上のほうの写真のように、正面の表示も「プレミアム/アウトレット」と小さい字で2行に分けて、やや苦しい表示。
御殿場プレミアムアウトレットを「GPO」と訳すことは、なくはないようだが、一般的ではないようだ。表示器の文字数・ドット数の制限があるのでしょうけれど…
※秋田では、以前「ニュータウン御野場」を「ニュー御野場」と表示していたことがあった。


三島市に限ったことではないが、装置メーカー、地域や自治体内、共同運行するバス会社の間で書式や表示内容・方法について、もう少し統一された基準があってもいいかもしれない。

※静岡旅行の関連記事(食べ物編)はこちら
2017年春の三島のバス

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

静岡と岩手のテレビ

2012-06-05 23:29:18 | 旅行記
静岡と岩手のテレビ(テレビ局)の話題をいくつか。
●ご当地CM
静岡旅行記の続き。※前回の記事はこちら
旅先で見るテレビでは、ローカル番組やローカルCMが楽しい。
静岡でこんなCMを見た。
「♪うなされない うなぎ」
歌っているのは、あの小椋佳氏(小椋佳&アルザ)。
この曲は、秋田のスーパーの鮮魚売り場? でかかっているのを聞いたことがあるので、歌は知っていたが、踊りもあったとは!
これは「うなぎのじゅもん」という曲で、春華堂の「うなぎパイ」のCMソングとして2005年に作られたもの。(だからスーパーで流れているのは本来の使い方ではない)
小椋氏が第一勧銀浜松支店長をしていた縁で、作って歌ってもらったようだ。

製造元の春華堂は、うなぎパイばっかりではなく、
とろりんろ~る
洋菓子や和菓子も作っている。こっちのほうがおいしそう。

●各局のロゴ
以前の記事で、「静岡朝日テレビ」の画面右上に表示されるウォーターマークやリモコンを押した時に表示されるマーク(アイコン)が、ズバリ「あさひ」でとても分かりやすいことを紹介した。
他の静岡の放送局はどうだろうか。
静岡の民放4局のロゴ
上の写真の番組表の順序は違っているが、リモコンボタンの番号はキー局のものと一致している。番号順に紹介。
日テレ系の静岡第一テレビ。略称SDT、愛称「だいいちテレビ」。1979年の開局で静岡県のテレビ局でいちばん新しい。
ウォーターマークは無難に「SDT」ロゴ。
アイコンは、
猿?
局のマスコットキャラクター「ダイちゃん」だそうだが、何者かは不明。

静岡朝日テレビは前回紹介したので省略。

TBS系列は静岡放送。略称SBS。ラジオ兼営。
いかにもTBS系列の老舗局らしい局名・略称だ。(ABS秋田放送のテレビが日テレ系になったのは、開局当時の回線事情に制限があったためだという)
 表示も無難
マスコットキャラクターはいないそうで、ちょっとお固い。(秋田放送には「ヨンチャン」なるキャラクターがいる)

フジ系列はテレビ静岡。略称SUT、愛称「テレしず」。
ウォーターマークは「テレしず」
アイコンは、
富士山?
これもマスコットキャラクターで、名は「テレシーズ」。
なんと犬で、種類はシーズーだそうだ(で顔が富士山)。ファミマでおにぎりやアイスとして発売されたこともあるという。

●テレしずいろいろ
静岡といえば「ちびまる子ちゃん」。※ラッピングバスの記事
日曜18時のアニメは、静岡ではもちろんテレしずで放送されているだけでなく、劇中でまる子たちがフジテレビ系列の番組を見ているシーンは、テレしずを視聴していることになる。(テレしずはまる子の舞台である1974年時点で既に開局していた。朝日テレビと第一テレビは開局前だったので、両キー局の番組も、テレしずで放送していたものがあっただろう)
テレしずで見るまる子こそ“本場モノ”(この時は999回目の放送。データ放送画面ではテレシーズの全身像も映ってます)

テレしずのニュース「FNNテレビ静岡ニュース」のオープニングで、いかにも静岡らしいタイトル映像が流れていた。
 
3Dの富士山!
 しばらく上空を旋回(時間帯によってはここで「提供」が流れるのだろう)
Wikipediaによれば、このCGは2001年から使われている(途中でロゴは変更)という。
フジテレビからの全国ニュースも、オープニング部分はこのタイトルに差し替えているようだ。

なお、秋田のフジ系列局AKTのニュースは、ローカルは秋田県地図の静止画CGだっけ? 全国版はフジテレビからの映像をそのまま。

【8月4日追記】テレビ静岡の小林豊代表取締役社長は、フジテレビやその関連会社でディレクターなどをしていたことがあり、「笑っていいとも!」を担当したり出演したこともあったそうだ。2012年夏の27時間テレビにはテレしず社長として出演し、当時のことが話題になっていた。


ちなみに、静岡放送のニュース番組は「静岡新聞ニュース」。
地元新聞社との関係が強い局であり、秋田の「さきがけABSニュース」、青森の「東奥日報ニュース」、岩手の「岩手日報IBCニュース」と同じ形式だ。
でも、オープニング画面はだいぶシンプル

静岡のテレビについてはここまで。
※旅行記の次の記事はこちら

●It's my channel.
最後に秋田ケーブルテレビで再送信している、岩手県のTBS系列局、岩手放送(IBC)。
ゴールデンウィーク明け頃から、ちょっとした変化がある。

どこの民放局でも、番組の合間に自局の名前などを流すCMみたいなのがある。正式には何て呼ぶのか知らないので、以下「ソレ」とします。
昔は「ABS秋田放送です」といった程度のものだったが、最近はキャッチフレーズやキャラクターが登場するものも多い。

IBCの以前のソレは「みちゃおきいちゃおIBC」という、メロディ付きのだったはずだが、新しいソレに変わった。
IBCサイト内の冨田奈央子アナウンサー(今春入社)のブログで5月8日の記事(http://www.ibc.co.jp/announcer/tomita/index.php?itemid=16738)で、ばったり会った上司から「’みちゃおきいちゃお’今日から新しくなるから」と言われたという記述があり、時期的にもソレの更新のことを指していると考えられる。


新しいソレは、番組宣伝CMに続いて流れる短い版と、ソレ単独の長い版の2種類がある。【8日訂正】3種類ある。
どちらも、映像は「IBC」のロゴ(以前からの青い文字のもので、上記静岡放送の「SBS」に少し似ている)を立体的に眺めたもの。映像の視点としては、開局当時の秋田朝日放送の「AAB」のソレにどことなく似ている。

気になるのは、その音声。
外国人の男性がしゃべっていると思われ、短い版では「アイビースィー(IBC)」。長い版では「アイビースィー イッツマイチャヌゥ(IBC. It's my channel.)」と言っているようだ。
【8日追記】「IBC」と言わずに「It's my channel.」だけのバージョンも確認。
背景には、ぴよーんというかぴゅーんというような、効果音も入っている。
【6日補足】↑「長い」「短い」としたが、実際にはトータルの時間(業界用語の「尺」ってやつ)は同じかもしれない。番宣に続くか/ソレ単独かの区別もないかもしれない。したがって、「It's~」があるバージョンは、びっちり詰まっている感じで余裕がない。

声の質は、パナソニックのCMの最後のサウンドロゴ「Panasonic」に似ている。
それに「It's~」という文章もあって、昔(1982年~2000年)のソニーのサウンドロゴ「It's a Sony」も彷彿させられる。


震災のために遅れていた、岩手県での完全地デジ化が終わった(3月末)タイミングで新しいソレを作ったのだろう。
他の局や以前の「みちゃおきいちゃお」のようなくだけたものでなくお固いもので、現代的ではあるが正統派の作りのソレにしたのは、老舗局のIBCらしい。
でも、見るたびに、パナソニックとソニーを連想してしまうのが、ちょっと…
【6日追記】上記補足の通り、余裕がないことと、従来より流れる頻度が上がった(例えば1分間の番宣の最初と最後両方で流れる)ような気がして、個人的には内容の割には「しつこい」という印象も持ってしまう気がする。前の「みーちゃお、きーちゃお、アイ・ビー・シー」のほうがよかった。

それに、今のところ、IBCのホームページには「It's my channel.」の文言は見かけないし、上記新人アナウンサーのブログでちょっと触れた程度。AABのロゴ変更でもそう感じたけれど、変えたからには、もっとしっかり周知したほうがいいと思う。

【9月23日追記】IBCでは、自局イベント等のスポットCMなど内容によっては、従来の「みーちゃお、きーちゃお、アイ・ビー・シー」を使う場合がある。
【2014年7月5日追記】その後(2013年頃以降)、「It's my channel.」はまったく見聞きしなくなった。2014年7月頃には、以前とは異なるメロディの「みーちゃお、きーちゃお、アイ・ビー・シー」が流れるようになった。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あさぎり号

2012-05-23 22:49:00 | 旅行記
2月の静岡旅行記が終わっていません。今さらですが、続きです。※前回の記事
今回は、帰りに乗車した、「ロマンスカー」でありながらJRに乗り入れる列車「あさぎり」について。

この記事のように、行きは新宿から小田原まで、小田急電鉄の特急「ロマンスカー」に乗った。(乗車したのは「はこね」号、車両は30000形「EXE」)
計画当初は、帰りも同じルートで戻ろうかと思っていた。ところが、時刻表を眺めていると、時間的に沼津発小田急新宿行きの「あさぎり」が使えそうなのを発見。
実は、今年3月のダイヤ改正で「あさぎり」の車両の交代と運転区間の短縮が行われることになっていたこともあり、この機会に乗ってみることにした。
路線図
「あさぎり」は、小田急電鉄小田原線とJR東海の御殿場線を直通する列車。直通列車の起源は1955年までさかのぼり、長い歴史がある。
運転区間や使用車両は変遷があるが、1991年から今年3月までは、新宿-沼津間で4往復が運転され、使用車両は小田急とJR東海が折半していた。
今年3月からは、運転区間は新宿-御殿場に短縮(御殿場-沼津が廃止)、運転本数は3往復に削減(土日は1往復増発)、使用車両は両社担当分とも引退して小田急側の別の車両のみで担当することにそれぞれ変更された。
3月まで使われていた車両は、JR東海の「371系」と小田急の「20000形」。371系は団体用に転用され、20000形は廃車となった。
【2014年12月18日追記】その後、小田急20000形は山梨の富士急行へ譲渡。塗装変更・3両に短縮され、2014年夏から「フジサン特急」で運行開始。JR東海の371系も、JRでの運用終了後の2015年に富士急へ譲渡されることになり、小田急時代のコンビのまま富士山の向こう側を走ることになった。


今回乗ったのは沼津発10時30分、新宿着12時30分の「あさぎり4号」。使用車両は小田急20000形・RSE(Resort Super Express)。
運賃と特急料金合わせて3480円。今回の旅行で小田急を使ったのは「料金を安く抑える」というのが本来の目的であったはずだが、それはほとんど意味がなくなってしまうけれど(新幹線を使うよりは1000円ほど安い【24日訂正・1000円ほど安いとしたのは新幹線料金を指定席で計算していました】500円弱安い)。

面倒だったのが、きっぷの購入。「あさぎり」の指定席特急券は、かつてはJR東日本など全国の駅で購入できたが、2009年以降は場所が限られている。乗車券も2社にまたがる「連絡乗車券」だから、どこでも買えるものではない。
今回、指定席特急券は、行きに新宿駅の自動券売機ですんなり購入できた。細かな座席位置の指定はできなかったと思ったが、Suicaで決済できた。でも、乗車券の購入はできないようだった(窓口なら当然できるはず)。
乗車券は静岡県内に行ってから、JR東海の窓口で購入。「(小田急線)新宿」までと表示された乗車券が出てきた。沼津駅などでも券売機(近距離用・指定席券売機とも)では購入できない模様。


沼津駅へ「あさぎり」が乗り入れるのは、この時点であと1か月ほどとなっていた。
現在は、沼津には寝台列車「サンライズ」以外の特急は1本も通っていないことになる。
ホームへの通路の「発車ご案内」

ホーム。原則全席指定だが、沼津-御殿場だけは自由席が1両だけあった

ホームの発車標には「すてきな旅を」。行き先は「小田急」がつかない「新宿」だけ
ホームの「発車ご案内」では、下段に「特急「あさぎり」号の新宿までの所要時間は2時間です。すてきな旅をご満喫ください。」とスクロール表示され、心憎い。

車両は、おそらく朝いちばんに新宿から来たものの折り返し。いったん引き上げて整備されて、入線してきた。
現在はもう見られない光景

20000形RSE
あまり古さは感じない気もするが、どことなく1990年代チックな雰囲気が漂い、最新型ではないことは分かるのではないだろうか。
そして、JRの車両とも、小田急の他のロマンスカーともあまり共通性がないような、異質な印象も受ける。これは「あさぎり」の特殊性からして、仕方ないものだろう。
フォルムはロマンスカーっぽい?
白・ピンク・水色という、明るい色だけの組み合わせも珍しいが、嫌いじゃない。登場当時、時刻表の写真か何かでこの車両を見て、好感を持ったのを思い出した。
※3色は「スーペリアホワイト」「オーシャンブルー(タヒチアンブルー)」「オーキッドレッド(ピンク)」というらしい
側面には「odakyu」ロゴと「THE LAST RUNNING」のエンブレム
7両編成のうち、2両が2階建て、残りはハイデッカー構造。そのため、車内に階段がある。
ドアをくぐってすぐに階段
これがバリアフリーの妨げになり、比較的早期に廃車されることになってしまったそうだ。
行き先表示のLEDは画素欠けが目立つものも

車内へ。
 
車内は同年代のJRの特急とあまり違わないけれど、床がカーペット敷きなのと、座席がやや重厚感があるのは普通車にしては珍しいかな。
ただし、カーペット敷きなのに、通路を人が通る振動がどしどしと伝わってくるのが気になった。
平成2年 日本車輌製

車内の通路のドアの上にこんなものがあった。
右側
「自動」「手動」という押しボタンがあった。これで、通路のドアを手動扱いすることもできるのだ。
初代東北新幹線の「200系」にも同じ物がついていたが、今の列車にはないアイテム。


沼津を出ると、裾野、御殿場、松田の順に停車。松田までがJR御殿場線で所要時間50分。
乗車した車両の乗客は御殿場までは10人以下。みんな車内後方の席に偏って割り当てられていた。

東海道本線の駅どうしである国府津(こうづ)と沼津を遠回りで結ぶ御殿場線は、丹那トンネルが開通するまでは東海道本線だった。箱根の山越えの急勾配の路線で、かつては難所だった。
僕は以前、国府津-御殿場間は乗ったことがあったので、今回で残りの区間にも乗車できたことになる。
天気がよければ、車窓に雄大な富士山が望めるはずだが…
この日は厚い雲の中

座席には、他のロマンスカー同様、るるぶブランドの車内誌が備えられていた。(この車両が小田原方面のロマンスカーにも使用されるから、当然なのだけど)
それには、車内販売のメニューも掲載されている。JRとは違う、オリジナルのお弁当などが並び、これを食べながら旅を楽しみたいもの…
しかし、「あさぎり」には車内販売も自動販売機もない(乗車当時。現在の車両は自動販売機はあるそうです)。
車内販売は2011年春でやめてしまったそうだ。


御殿場駅には、訓練運転のためだろうか、3月から使われることになる小田急のメタリックブルーの電車「60000形・MSE」が1本停まっていた。
何人も乗り込んできたが、まだ空席が目立つ。「高速バスよりもこっち(あさぎり)のほうがゆっくりできていいね」と話す方々も。

昔は難所だったであろう急勾配をすいすいと下って、静岡県を後に神奈川県へ。松田からは小田急線に入る。
JRの松田駅に隣接して、小田急の「新松田駅」がある。
「あさぎり」はJRの駅に停まり(きっぷなど制度上はここを小田急新松田駅とみなす)、2社を結ぶ「連絡線」を通って、小田急線へ進んでいく。
連絡線通過中の車窓(列車は左へ向かって進んでいる)
御殿場線が上、小田急線が下にあり、連絡線で緩やかに下って行く感じ。

ここからは行きのロマンスカーと同じ。徐々に家が増え、街が大きくなっていくが、やはり思ったほどスピードは出ない。
小田急線内では本厚木と町田に停車。両駅で多数の人が乗り込んできて、ほとんどの席が埋まった。小田急線沿線では、「あさぎり」も新宿へ行くロマンスカーの1つに過ぎないのだ。

この列車では、日本語と英語の自動放送が流れていた。女声で、もしかしたら日本語と同じ人が英語もしゃべっているかもしれない。
だいぶ前に収録されたものらしく、話し方がどことなく“1990年代っぽい”。今、平成初期のテレビ番組を見ていて感じるような感じ?
禁煙や携帯電話使用に関するアナウンスが、その変更の都度、追加収録されたようで、それらの部分の継ぎ接ぎが目立った。
あと、「松田」の日本語でのアクセントを「ま」に置いていた。地元ではそうなのだろうか。それから英語の「本厚木(Hon-atsugi)」が「ホネツギ」に聞こえてしょうがなかった。【25日補足】「ホネツギ」に聞こえるのは「英語の」アナウンスでした。文中「英語の」が抜けていたので追加しました。
新宿に到着。このRSEに乗ることは、もうできない
乗り換えなしで、ゆっくりと座って沼津から新宿まで来てしまえたのは便利で快適。
でも、沼津駅で「すてきな旅を」と送り出してくれた割には、「そっけない旅」だった。もうちょっと、旅らしさ、特別な列車らしさの演出があれば、観光客には受けると思う。きっぷの発売場所とか車内販売を工夫すれば、もっと集客が見込めるかもしれない。
でも、そんなことよりも、御殿場や小田急沿線と新宿を結ぶ日常の交通手段としての利用のほうが多く、そちらをターゲットにしたほうが妥当なのかもしれない。

静岡での小ネタがいくつかあるので、おいおいアップするかもしれません。※次の記事はこちら
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三島市中心部

2012-04-18 23:22:29 | 旅行記
だいぶ間が空きましたが、2月初めの静岡旅行記。※旅行記カテゴリーではありませんが前回の記事
今回は三島市の話。三島市は静岡県東部・伊豆半島の付け根にある、人口11万の三嶋大社の門前町。
富士山と三嶋大社をモチーフにしたという、JR三島駅南口(在来線側)駅舎
三嶋大社のある三島市中心部は、新幹線・東海道本線のJR三島駅から南へ1キロ弱の一帯。道路が一直線や格子状でないこともあり、慣れないと迷いがち。
三島駅からはいちおう徒歩圏内だが、途中で迷ったり複数の目的地がある場合は、ちょっと大変かもしれない。
Googleマップより三島市中心部
上の地図を見ると、JR三島駅から南方向へ私鉄が延びている。これは「伊豆箱根鉄道」の「駿豆(すんず)線」。
伊豆半島の温泉地である伊豆長岡や修善寺へ至る路線で、JRから特急「踊り子」も乗り入れるが、三島市中心部にも2つの駅がある。列車本数が多く(少なくとも毎時3~4本)、初乗り運賃(130円)範囲内で利用しやすいので、駿豆線で移動するのもいいかもしれない。(三島市内は100円バスもあるようだ)

宿泊するホテルに荷物を預けて、散策。
三嶋大社
以前、列車の待ち時間に三嶋大社へ参拝したことがあったので、ここだけは再訪。JR三島駅からだと神社の裏側に当たり、事前に調べておかないと、迷う。
「福太郎」という赤福餅の草餅版みたいなものが名物で、草餅&こしあん好きの僕としては好物。境内でも購入できるけど、帰りに駅のキヨスクで買いました。

三嶋大社の正面を東西に走るのが、静岡県道22号線で「三島大通り商店街」。
以前少し取り上げた、「都市型の小型マックスバリュ」があったのがここ。
空き店舗は少なそう

2月5日は「三島宿地口行灯」という行事が行われていた。10年ほど前に始まった新しい行事で、商店街などの主催らしい。
「地口」とは駄洒落のような言葉遊びで、それと絵を描いた行灯を、商店街などに飾って展示する行事。
全国各地に同じ行事があり、秋田市保戸野の勝平神社のものは歴史もあって、(秋田では)有名。※秋田のものはこちら
地口行灯
秋田の勝平神社では、たった1人の地元の人が何十個もの灯籠を創作・制作していたはずだが、三島のものは全国から公募したり地元の高校生などが作ったものだった。
「おやじギャグやめて地口でほめられる」どっちも同じようなものですが…

三嶋大社から東へ700メートルほど進むと、駿豆線の「三島広小路」駅。
三島広小路駅
地方私鉄の駅らしく、大きくはなく、道路に面していきなり改札口があるようなきゅうくつな駅。
踏切の向こうが駅舎。踏切ぎりぎりに電車が停まる
駅前にミスタードーナツがあった。三島市唯一の店舗「三島広小路ショップ」。
ショップNo.0038(右端のドア上に表示)
秋田市にある23番目のミスドと15番違いだから、ほぼ同時期に開店したと思われる。(秋田のほうは途中で移転しているが)

一方、三嶋大社から南へ進んで三島市役所前を通り、東へ折れて少し進むと、駿豆線の次の駅「三島田町」駅。(神社から徒歩500メートルほど)
三島田町駅
こちらは駅前に大きなヤシの木があったりロータリーがあるが、やはりきゅうくつ。駅の隣に小さなスーパーがあり、イトーヨーカドー三島店も遠くない。
「三嶋大社前」という副駅名が付いており、たしかに三島駅から歩くよりは近いし、迷う可能性が低そう。

富士山のふもとの三島市は、市内の至る所に湧き水があり、そこから清流が街中を流れている。
 
湧水は「柿田川」が有名だけどそれ以外にもいくつもあり、ホテルに置いてあった観光地図に掲載されていた。それによれば、三島田町駅からそう遠くない場所にも1つありそうで、三嶋大社から歩いてそこへ行こうとしたが、途中で道が分からなくなってしまった。
後で確認したらその道で正しかったのだが、案内看板などがなくて不安になり、道を間違えたと思い込んで引き返してしまったのだ。
三島ならではの自然の観光資源なのだから、もうちょっと分かりやすくしてほしいし、いつか訪れてみたい。
途中、エンドウマメが咲いて実っていた。2月上旬なのに!
2017年3月に三島市を訪れた時の水辺の植物について
結局、うろうろして三島駅へたどり着き、三島広小路駅まで駿豆線に乗ってホテルへ向かった。

伊豆箱根鉄道三島駅の自動改札機がおかしかった。
自動改札機は、内外両側から通れる入場と出場兼用のものが設置されている駅もあるが、そんな駅でも最低1台ずつは入場専用と出場専用のものがあり、どちらか片方向が混雑していても最低限1通路は逆方向の改札機を使えるになっているもの。
しかし、ここは、
(改札外から)入れないじゃないか!
(上の写真左から)出場専用・入出場兼用・入出場兼用という配置で、入場専用の改札機がない!
ちょうど電車が到着し、出場する客がどっと出てきて3台ともフル稼働。人の波が収まるまで、入場できなかった。(上の写真では左端の改札機が空いているが、それは出場専用)
改札内から
人の波といってもたかが知れているし、これでなんとかなっているのだろうが、こういう配置の駅があったとは、びっくりした。
三島広小路駅の駅名標は毛筆文字

旅行記はもう少し続きます。※次の記事
※三島市のバスについてはこちら

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

興津のイベント

2012-03-03 21:16:18 | 旅行記
※旅行記の前回の記事はこちら
静岡市の西端【2023年4月8日訂正】静岡市の東端が「清水区」。かつての清水市。
由比町・蒲原町が合併(清水区に編入)する5年ほど前まで、清水市の西端【2023年4月8日訂正】清水市の東端だったのが「興津(おきつ)」地区。
さった峠と港町清水(江尻)の間にある旧東海道の宿場町の面影を残す町。かつては「清見潟」という景勝地、避寒地でもあったそうだが、埋め立てられて現在はない。1961年に清水市に合併している。JRで清水駅から1駅のところに興津駅がある。

興津駅の裏手に、国のカンキツ類の試験研究機関があり、以前何度か外から覗いたことがあった。※2008年秋2009年春
ミカン好き、そしてカンキツ類が育たない寒い土地に住む者として、とても魅力的な場所。

その試験場が年に1度、2月に1日だけ一般公開されることを知った。それを見るのが、今回の旅行の大きな目的だった。


試験研究機関の正式名称は長ったらしくて「独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点」。
現在の名称・体制になったのは2006年から。独立行政法人化(農水省管轄)されたのは2001年で、それ以前は農林水産省直轄の「果樹試験場カンキツ部(の興津支場?)」だった。
現在は独立行政法人全体の本部も、果樹研究所の本所もつくば市にあり、興津は出先機関扱い。
しかし、興津の試験研究機関としての歴史は古く、開設は1902(明治35年)6月(農商務省農事試験場園芸部)までさかのぼり、この時点を果樹研究所の創設としている。
現在流通しているカンキツ類の中には、ミカンの「興津早生」やミカンとオレンジの雑種の「清見」など興津で作られたものもあるし、さらにそれらが親となった品種(デコポン、せとかなど)も多い。
果樹試験場の他の試験地は、移転している所も多い(「ふじ」を作ったリンゴ部門は青森県藤崎町→盛岡市)が、興津は同じ場所で一貫して我が国の果樹栽培に貢献し続けていると言えよう。

長ったらしい独立行政法人の名称は「農研機構」と略するのが公式に認められているようだ(公式サイトのロゴがそうなっている)。
「果樹研究所カンキツ研究興津拠点」の名前は、少なくとも地元の方々などは旧称から「試験場」などと呼ばれていると思われ、正式名称を言っても通用しないかもしれない。以下、記事中では「試験場」とします。

余談だけど、農研機構の組織は、秋田県大仙市にもある。
元は国の「東北農業試験場」で、現在は「東北農業研究センター」。略称「東北農研」。(以前は別の独立行政法人で、2006年に農研機構に統合)
大曲のは「大仙研究拠点」といい、平成の大合併で誕生した市名を冠している。
一方、元は違う組織とはいえ、興津のほうは昭和の大合併のままの名称で、ちぐはぐ。
なお、大仙研究拠点は米や大豆を研究していて、例年8月下旬の土曜日に公開される。



興津の試験場の公開日には、例年、「興津宿寒ざくらまつり」というイベントも同時開催される。過去数年の開催日を調べてみると、2月の第1か第2土曜日。

今年はいつかと、昨年末あたりからいろいろネットで調べてみたが、簡単には分からなかった。
正月明け頃、Yahooなどのイベント告知サイト(個人などが情報をアップするもの)に、試験場公開が2月5日であるという情報が出た。
また、JR東海のウォーキングイベント「さわやかウォーキング」(JR東日本の「駅からハイキング」に相当)でも、2月5日に興津周辺のイベントが告知された。

ところが、その2月5日は日曜日。
過去に日曜日に開催されたことはないようだし、主催者発表ではないのでにわかには信じられなかった。

その後、1月10日過ぎに、農研機構果樹研究所のサイトに2月5日に公開される告知が出て、確実なものとなった。

その後、静岡市清水区役所のサイトや静岡新聞・静岡放送共同のイベント情報サイトや、寒ざくらまつりの主催者の静岡市清水商工会のサイトなどに告知が出た。
しかし、どちらか片方のイベントにしか言及していなかったり、静岡市役所(本庁)のサイトの市全体のイベント情報には掲載されなかったりと、知らない人が正確な情報を収集するのは難しかったと思われる。
それに、名称も長ったらしい施設名や「カンキツ」「興津”宿”」「寒”ざくら”」など、混同されやすい表記を使っていて、検索しづらい。
秋田市の「あらや大川散歩道雪まつり」の告知と似た状況に感じてしまった。
地元の皆さん向けで、毎年恒例のイベントなので、大々的に告知しなくてもいいのかもしれないが、やり方次第で新たなお客さんも来るはずだと思いますが。


さて、当日。清水駅前のホテルに泊まっていたが、薄曇りで富士山は霞んで輪郭が見える程度。

試験場公開も寒ざくらまつりも、9時から15時30分まで。早いほうがいいだろうと9時半前には興津駅に到着。
興津駅3番線から東京方向。線路のすぐ左のフェンスの向こうが試験場の敷地
興津駅の北側に試験場があるが、駅出口はない。南側の出口を出て踏切を渡らないとならない。

駅前の100メートルほど先を国道1号線が走っていて、さらにその100メートル先が1号線の静清バイパスと海。海に近いけれど埋め立てられたりバイパスがあったりして、きれいな海が望めるわけではない。

「果樹試験場」は駅を出て左へ
果樹試験場までの道のりは知っている。なんとなくまだ早いような気がして、先に寒ざくらまつりの会場へ。
会場は「興津生涯学習交流館 東側広場」だそうだが、そっち方面はよく分からない。
駅からまっすぐ進めば「寒桜まつり会場」(「桜」表記はスペースの都合でしょう)
海へ向かって進み1号線を渡ると、バイパスの手前で細い道と交わる。
この道は以前通ったことがあったが、そこを右へ曲がれ(清水駅方向へ)という。
こんな住宅地の一角みたいなところでおまつりをやるのかといぶかしく思いながら400メートル。
ヤシの木が並ぶ公園(手前の「園」文字、四角の中に「エン」と縦に書いている!)
公園の隣に広場があり、
大行列!
ところで、静岡で早咲きの桜といえば、伊豆の川津桜が有名だけど、興津と早咲きの桜には、こんな関係がある。
日本から贈られてワシントンのポトマック河畔に桜が植えられたのは有名な話。ちょうど100年前の1912年のこと。
その桜(の一部?)は、興津の試験場で育成されたのだそうだ。
その時、アメリカへ送られずに余った苗木が、試験場内に植えられた。つまり、ポトマック河畔の桜の「兄弟」が興津にあるということになる。

品種名としては「薄寒桜」(寒桜としては花色が薄い)で、これを指して「興津寒ざくら」などと呼んでいるようだ。
現在は、興津地域の各所に同じ桜が植えられており、まつりの会場にも植えられているのだが、今年はまだつぼみだった。

そんなわけで興津と寒ざくらの歴史は古いけれど、「興津宿寒ざくらまつり」は今年で15回目で、まだ新しいイベントのようだ。
上記の通り、寒ざくらまつりを主催するのは「静岡市清水商工会」。
静岡市には「静岡商工会議所」があるが、興津地区は管轄外で別に商工会がある。(なお、蒲原や由比にも別に商工会がある)秋田市でも、雄和や河辺は商工会管轄なのでそれと似たような状況。

上の写真の行列はおしること餅の無料配布のようだった。
ほかにも、テントが並んで地元のお菓子などが販売されたり、ステージで郷土芸能などが披露され、とても賑わっていた。
花はまだ咲いてないから「花より団子」なわけで、そうでなくても花見より地元振興イベントの意味合いが強そうだったが、とにかく朝早くからこれだけ人が集まるのにびっくり。
JRのウォーキングのゴール地点にもなっていたようだが、由比駅での出発受け付けが8時半からなので、この時点ではまだ到着した人はいないはず。この後、さらに賑わったことだろう。

会場隣にきれいな建物があった。寒ざくらまつり関係者の控え室やトイレとして使われていたようだ。
静岡市興津生涯学習交流館
2004年にできたもので、清水興津図書館を併設。
覗いた感じとしては、秋田市の西部と北部の市民サービスセンターに似ていた。(行政窓口機能はないのかな)
「津波ひなんビル」
「津波発生時は2~3階に避難してください」とあるが、これは2階建てで、3階は塔みたいな部分だけなんじゃ?
それよりも、秋田市北部市民サービスセンターもまったく同じことなのだが、ここは海からとても近い場所。万一、大きな津波が来たら、2階だろうが3階だろうが、本当に大丈夫なの? と不安に感じてしまう。

「日本のまん中に おきつ がいた イメージキャラクター“あゆむ”」
検索してもよく分からないが、興津のキャラクターらしい。
興津川では、東日本でいちばん早く鮎漁が解禁になるそうなので、その関係だろうか。

あまりに人が多いのと、今、お菓子などを買っても荷物になるので、早々に退散。
細い道を通らなくても、交流館からまっすぐ国道1号線に出ることもでき、興津駅までの距離は同じ。
国道沿いのお店などでも出店やイベントをやっていたし、細い道は歩道がないのに車がけっこう通っていたので、国道を通ったほうがいいかもしれない。
なお、国道を興津駅と反対方向に進めば、マックスバリュ、清見寺、清見潟公園などがある。国道は清水駅からの路線バスが通る。

興津駅に戻って、試験場へ。
一般公開の出入り口は2か所あったようだ。興津駅のすぐ裏の正門と200メートル北東の角の門。
どちらも門のそばに踏切があるが、道幅は狭く、特に北東側は車が多く通る。
この日は、一般公開とJRのウォーキングに対応するため、踏切に誘導スタッフが何人も張り付いていた。警備員の服装の人はJRからの派遣だろうか。オレンジ色の「果樹研究所」のジャンパーを着た人もいて、試験場としてもかなり気合が入った行事のようだ。
駅からすぐのJAのスーパー「ふれっぴー」の角を曲がった踏切
踏切の先が試験場の門で、まっすぐ並木が続いている。背後には山。

踏切を渡って、試験場内へ足を踏み入れる。門にもオレンジジャンパーのスタッフがいて迎えてくれた。
並木道を進む
この木は、「モミジバスズカケ」。街路樹の「プラタナス」としておなじみの木。
プラタナスというのは、スズカケノキ科スズカケノキ属の植物の総称であり、固有の種名ではないそうだ。(「クリスマスローズ」と同じか)
日本でプラタナスと呼ばれる木はこの「モミジバスズカケ」が多い。モミジバスズカケは、スズカケノキ(ヨーロッパ種)とアメリカスズカケノキ(アメリカ種)の雑種。

試験場のモミジバスズカケは1902年に植えられたもので、試験場の開設当時を知っていることになるが、それだけでなく日本で最初に植えられたプラタナス
日本で植えられているプラタナスは、すべてここの木の子孫とのこと。
また、東大のイチョウ、北大のポプラと共に、明治時代に作られた「日本三大並木」だそう。


並木の先には、建物があり、その前が受付。
といっても、簡単な案内地図を渡されただけ。
順路に従って、2階建ての研修棟という建物に入る。小さい建物で、通路が狭い。見学者がけっこう多くて、やや混雑。
研修棟では、技術相談コーナーで農家らしき方が熱心に説明を受けていたり、研究内容のパネル展示などもあったけれど、噂に聞いていて楽しみにしており、かつ実際見て圧巻だったのが、「カンキツの展示」。
「珍しいカンキツ、新しいカンキツをじっくりご覧下さい。」とのことで、
 (再掲)
大きな机の上に一面にカンキツ類の果実が散りばめられて(ぶちまけられて?)いた!
これには、老若男女誰もが目を奪われていた。
しかも、
「持って、傷つけて香りをかいでね」
なんと手を触れたり香りを確かめることも可能。
ただし、研究用の果実であり、食べたり持ち出したりはできません。

並べられたカンキツ類は大きさも形も色もさまざま。リンゴではここまで個性的ではない。
何といっても色がきれい。
光沢のある暖色が目に鮮やかで、暖かくて明るい気分になる
いつの頃からか、こんな色合いを総称して「ビタミンカラー」というらしい。これを見て、そう呼ぶのもなるほどなと、感覚としては納得。
β-クリプトキサンチンを始めとするカロテノイド系色素によるものであり、種によって組成や量が異なることによるものなわけであるが、植物の進化の不思議さを感じる。

大きさもさまざま。
ピンポン玉くらいから、ヘルメットみたいなのまで
巨大なのは、ザボン(ブンタン)の一種らしい。
2.8キロ!

形もさまざま。
洋梨みたいないびつな形だったりゴツゴツだったり

でっかくてゴツゴツなのは、
「シシユズ(獅子柚子)」。ユズと同じように使えるらしい
上の写真右下に写っている、シュウマイみたいな筋の入った形の黄色のは「キクダイダイ(菊橙)」という種だと思われる。次回、紹介するかもしれません。

一部だけだけど種名を書いたシールが貼られていたし、試験場のスタッフがそばにいて聞けば説明してくれていた。

「紅まどか」
果樹研究所のもう1つの研究拠点である、長崎県にある口之津の試験場で20年ほど前に作られたブンタンの品種。重さは1キロ弱くらいとのこと。
ピンクグレープフルーツほどではないけど果肉が少し赤いから「紅まどか」なんでしょうね。白いところ(中果皮、アルベド)がずいぶん分厚い。
【4日追記】果樹研究所の公式サイトの「一押し旬の話題」というページで、紅まどかが1日付でアップされていた。
「糖度が高く、苦みが少ないので、食味は非常に良い」「長崎県でわずかに作られているだけ」「入手できた人は幸運ですね」とのこと。(興津では研究用にごくごくわずかに栽培しているのだと思われる)

こちらは、
はかりに乗っていた巨大なのと同じもの(たぶん)
これも果肉が赤くて、やや中果皮が厚い。で、種がすごく多い。
どんな味がするんだろう?

お言葉に甘えて表面を傷つけて香りをかいでみた。
どれもカンキツ類のいい香りはするのだが、たくさんかいでいると、よく分からなくなってしまった。

次回は、屋外の様子を紹介します。※次の記事は、旅行記ではなく動物・植物カテゴリーです。
※旅行記カテゴリーとしての続きはこちら
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富士市大渕

2012-02-22 23:54:49 | 旅行記
2月23日は「223」=「ふじさん」ということで「富士山の日」。山梨県と静岡県が条例で定めている。
それを祝して、旅行記は前回に続いて、富士市内からの富士山の風景です。

富士見台から吉原中央駅へ戻って、次の場所へ。
出版物などで「富士山と茶畑」の写真を目にすることがある。その中には「富士市大渕(大淵)」という場所で撮影されたものが少なくないという。
人工物がアングルに入り込まなかったり(と言っても茶畑自体が人工物なわけですが…)、地域の人が環境維持に尽力している場所もあり、撮影地として有名・人気らしい。

富士市立大淵中学校ホームページの地域紹介によれば、「大淵地区は富士市の北部に位置する斜面地で、47平方キロメートルにわたる広大な面積で、全市の35%を占める。地区の南部は茶畑が多く、北部は森林地帯になっている。」という。
地図で見ても、かなり広い地域なのが分かる。富士山に近い北部では、雪が積もることがあるそうだ。
【23日追記】明治初期の大渕地区の開墾には、あの清水の次郎長が関わったそうだ。
地図サイトでは見つけられないが、今も「次郎長町」という地名があるようだ。場所は大渕地区の西端(富士宮市境)の北寄り、下記中野交差点から北西に3.5キロほどのあたり。路線図などには出ていないが、地図では「次郎長」というバス停もあることになっている。スクールバスか何かの停留所だろうか。【5月13日追記】「次郎長」バス停は2011年に廃止になったとのコメントをいただいた(この記事コメント欄参照)。


行ってみたいけれど、写真から判断するに、おそらく“山奥”で交通の便は悪いのかと思っていた。
しかし、地図と時刻表を見ると、地区を通るバスが1時間に1本程度は運行(秋田市の「下北手線」「太平線」あたりよりは多い)されていて、そう行きづらい場所でもなさそうなので、行ってみることにした。

大淵中学校の最寄りでもある「中野」というバス停周辺は、住宅が多く、店や公共施設がある地区の中心的地域のようだ。
富士急静岡バスの公式サイトの時刻表はちょっと分かりにくく、路線図はさらにちんぷんかんぷん。富士市のサイトにある「富士市バスなび(バスマップ)」である程度は分かった。
吉原中央駅からは「富士急大渕団地・曽比奈(そびな)行き」と「(中野経由)富士宮駅行き」の2系統が中野を通るらしい。
なお、吉原中央駅と富士宮駅を結ぶバスは中野経由ではなく「大月線」というのがメイン。中野経由は本数が少なく、運賃も高い。吉原中央駅の乗り場は両者で異なり、下記の通り時刻が近接しているものもあるので、利用時は注意。


富士見台から吉原中央駅に到着すると、すぐに大月線経由の富士宮行きが出ていった。その10分後、中野経由が発車。
どちらも大型バスで、大月線は何人も乗って行ったが、僕が乗った中野経由は乗客3人ほど。

西へ進んだ後、北へ進路を変え、富士見台団地線と同様に富士山へ向かって緩い坂を上り続ける。
石坂下→石坂→石坂上という順番のバス停があった。その名の通り、坂の下から上へ上る。
バスには研修中の新人運転士が乗っていた。指導役の運転士が運転しながら、要所要所で注意点を教えていた。
「この路線と富士見台(団地線)はずっと坂だから。発車する時は気を付けないと後ろに下がっちゃいますからね。特に日産(ディーゼルの車両)なんかは…」といった指導も。たしかにさっき乗った富士見台団地線とこの路線は坂道発進の連続で大変そうだ。(今のバスはアシスト機能が付いているそうだけど)
日産ディーゼルのバスは他社製と比べて扱い方にクセがあるという話を聞いたことがある。なるほど。

富士見台へ行くよりは、やや狭くて古い道のようだが、ほぼずっと家や店が立ち並ぶ。
東名高速富士インターチェンジの東側をくぐり、富士市総合運動公園の横辺りから、中野地区と大淵地区が入り組んだ一帯となる。開通間近の新東名高速を越えてさらに進む。
家がまばらになって郊外部っぽくなって、秋田市で言えば大学病院を過ぎて太平地区へ進む道みたいな雰囲気だろうか。田んぼはないけど。
途中で他のお客は降りて、最後は僕1人。
吉原中央駅から17分ほどの「中野」で下車。350円。富士見台団地までと30円しか違わず、意外に安い。

ここで中野・大渕周辺のバス路線網を紹介。下の図・写真は、左が富士市バスなび、右が吉原中央駅掲出の図からいずれも抜粋。
 分かるような分からないような…

県道どうしが交わる「中野」交差点は交通量が多く、交番・小学校・中学校・スーパーなどが集まる。「中野」バス停は交差点の西と北にあり、僕が乗った富士宮行きは交差点を左折して西側のバス停に停まった。
中野交差点から北を見る。左が大淵第一小学校と手前に中野町交番
ここは吉原中央駅から真北へ5キロ強、富士山頂上までは17キロ。標高は250メートル弱と、けっこう高い。でも、富士山が見えるほかは思っていたよりずっと“普通の町”っぽく、茶畑があるような雰囲気ではない。

とりあえず、収集した情報に基づいて、東(南東)へ歩いてみる。
道幅は狭くなり歩道がなくなり、そばをトラックが通る。「ハイキングコース」という立て札もあったけど、どこからどこへ行くのかよく分からない。だんだんのどかになって、茶畑も出現した。
逆光だけど、遠くに海が見えた
そば屋とか製茶工場を過ぎて、北側の小道へ入ると、
一面の茶畑の向こうに富士山!
贅沢を言えば富士山に少し雲がかかっているし、防霜ファンや電柱が写り込むとかして本当の撮影地ではなさそうだが、いい風景。
 
茶畑の中の道を、バス通りである西へ戻るイメージでしばし進む。低い岡があったりして、ずっと富士山が見えるわけではないが、すそ野まで見通せる場所もあって爽快。
 (再掲)
道は曲がりくねっていて思い通りに進めず、行ったり戻ったりした所もあったけれど、道の傾斜の具合と富士山の位置で、方向感覚を失わずにすんだ。
帰ってきてから改めて調べて分かったが、もう少し進んでいればいい風景が見られた場所もあったようで、残念。
やがてバス通りへ復帰。
中野交差点から北へ1.3キロほど、標高320メートルの「八王子町」バス停。
茶畑沿いのバス停。富士山にかかっていた雲は流れた
200メートルほど先が「曽比奈」バス停だが、坂がきつそう(10メートル高くなる)なので行くのはやめた。
曽比奈よりさらに北も大渕地区。住宅はまばらになるようで、現在は路線バスもない(代替で予約式タクシーがある)。どんな風景なのだろう。

結局1時間ほど歩いた。帰りのバスまでは30分近くあるので、中野交差点に向かってバス路線沿いに坂を下ることにした。
八王子町の次は、
「曽比奈西」。なんで「西」なのかよく分からない命名
この道は「富士急大渕団地・曽比奈行き」の折り返し、吉原中央駅行きのバスが通るはず。
路線図では中野・穴原入口・大渕団地・曽比奈とぐるりと一周する線が引かれているし、バス会社サイトの時刻表では「吉原中央駅→中野→大渕団地→曽比奈→中野→吉原中央駅」と1往復が1つのダイヤとして掲載されている。おそらく、これも富士見台団地線と同じ、循環路線だと推測できる。(ただしサイトの時刻表では富士見台団地線は往復が分かれて掲載)
とすれば、この道は、吉原中央駅へ戻る時しか通らないと予想していたのだが、バス停は両側に立っている??
曽比奈西の時刻表を見る。
上下両方分が掲載されているようだ
「吉原中央駅」行きはあって当然だが、本数は少ないものの「曽比奈」行きもある。ということは、曽比奈行きでも環状運行する便としない便があるということ??
また、路線図やホームページの時刻表では存在が分からない、中野行き、富士駅行きの系統やさらには富士宮行きまで通るのか??
まったく、ちんぷんかんぷん。
秋田中央交通もそうだが、富士急静岡バスもまた違った意味で分かりづらい。
バス路線はよそ者には分かりづらいものだが、各社とももっと工夫してほしい。

次が、
「曽比奈下」。これは分かりやすいネーミング
親会社の「富士急行」も併記されている。昔は路線があったのだろうか。
曽比奈西は標高300メートル、曽比奈下は290メートルと徐々に低くなっていく。

中野交差点に戻った。
学校やスーパーがあるが、通学や買い物に歩きや自転車で来るのは大変そうだ。
さっきと逆に南を見る
案内標識の「東名」の横が空いている。
「新東名」が隠れていた

バス時間までまだあるので、交差点を越えてもう1つ先の「中野南口」バス停まで進んだ。
このバス停、どうして「中野南口」なんだろう。中野地区の中ではむしろ北(北西)に位置するのに。「中野」バス停よりは南という意味なんだろうか?(「地名+方位+“口”」というネーミングは弘南バスが好むけど、あちらはちゃんと方位と合っている)
ここは標高227メートル。八王子町バス停から距離にして1.6キロ、標高差にして100メートル弱を下ってきたことになる。
歩いた距離はそれほどでもないが、やはり上り下りの連続は堪えた。秋田市にいてこんなアップダウンは体験できない。足のヘンなところがヘンなしびれを感じた。

中野南口バス停前には新しそうな「富士信用金庫大渕中野支店」があり、ベンチが置かれていた。ありがたく座らせてもらって、バスが来るまで10分ほどジュースを飲みながら富士山を眺めて休憩。
向かい側を、自転車を押した少年が、しんどそうな顔をしながら坂を上っていった。どこから来てどこへ行くのか分からないが、なぜ、こんな坂の多い所へ自転車を持ってきたのか?
 中野南口の時刻表。ここは全便吉原中央駅行き
来たバスは、珍しく中型バスで行き先表示がLEDでない幕式だった。(たしか三菱製ワンステップの寸詰まりサイズ)
今度は既に数人の客が乗っていて、その先からも乗ってきたので、そこそこの乗車率。
【3月3日追記】中野南口の整理券番号は「13」。運賃表示器は「7」番以降が表示されていた。

吉原中央駅で下車。運賃は350円だが、Suicaからは250円しか引かれなかった。富士見台の帰りと同じく、謎の値引き。
この時点で、乗車した正規料金はトータル1640円分で、Suicaから引かれた額は1380円。この後、富士駅までバスで戻ったが、そこは正規運賃300円が引かれた。

吉原中央駅には、これから大渕・曽比奈へ向かうバスが待機していた。
今度は大型バス
正面の表示は「大渕団地 曽比奈」。側面を拝見すると、
「大渕曽比奈循環」ですか
どうも路線名は「大渕曽比奈循環」というらしい。だったら、公式サイトなどにもそう書いてほしい。
で、通過順としては大渕団地→曽比奈か。う~ん、分からん。

バス路線網はイマイチ分からなかったが、Suicaで気軽に利用できたのはよかった。
機会があれば、運行経路の謎の解明と、また違った茶畑と富士山を見てみたい。

今回は富士市からの雄大な富士山を堪能できて満足。次回は、カンキツ類を紹介します。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富士見台で富士見

2012-02-18 21:05:02 | 旅行記
前回の旅行記の続き、富士山のすそ野に街が広がる富士市。
もう少し踏み込んで富士山を見てみたいと思って、ネットや地形図などから選んだ、富士市内の2つの場所へ行ってみた。

まずは、吉原中央駅から3キロほど北東にある「富士見台」地区。
「富士見」という地名は各地にたまにある。でも、富士山が見えない場所のほうが少ないであろう富士市において、あえて「富士見」と名乗るからには、素晴らしい富士山が見られるかもしれないと期待して出向いた。
とは言うものの、訪れた最大の理由は、富士市内では比較的バスの便がよく、距離のわりに行き来しやすい場所だからということなのですが…

吉原中央駅から「富士見台団地」行きのバスが、毎時1~3本運行されている。所要時間15分、320円。なお、富士駅始発で中央駅経由の便もあり、富士駅からは520円。

中央駅から乗ったバスは、大型ノンステップバス。
富士急静岡バスは4メーカーすべてと取引があり、ノンステップバスが多く、CNGバスもあった。比較的新しいバスが多く、秋田で走っているような旧型車は大型バスでは1台も見かけなかった。(秋田のバスが古すぎるのか)
5人強の客を乗せて中央駅を発車したバスは、前回紹介したアーケード商店街を進み、途中(吉原本町駅より手前)で左折して狭い道へ。すぐに広い道(県道24号線)へ出て、道なりに進む。沿道にスーパーなどが点在し、そこから乗ってくる人も。
左前方から正面に富士山がずっと見えている。高い建物が少ないせいか、あるいは実際に富士山に近づいているためか、富士駅~吉原中央駅よりも迫力を感じる。
バスは富士山に向かって進んでいく感じ。それだけに、県道はずーっと緩い上り坂が続く。地形図を見ても等高線が密に引かれている。バス停や信号待ちで発車する時は、毎回坂道発進状態だった。

東名高速を越え、富士東高校を過ぎて、右折。いよいよ富士見台地区に入っていく。
同じルートで来て富士見台に入らず直進する「桑崎」「ぐりんぱ・イエティ」行きのバスも1~2時間に1本、反対に曲がって「運動公園」へ行くものも少数あるらしい。※他に県道を通らずに富士見台へ行く系統もわずかにある

富士見台への入り方は、秋田市の「桜ガ丘線」で、横金線から桜ガ丘を経て大平台に入っていくのにどことなく雰囲気が似ている。
富士見台は住宅が立ち並ぶ。集合住宅もあるけれど戸建住宅が多いようだ。
地区の外周の道をたどっているようで、逆方向に進んで下り坂になる。途中にバス停がいくつかある。
「次は富士見台団地」という案内があった。終点だから降りなきゃと思っていたが、車内放送はそっけなく、まだ続くような感じ。他のお客さんが降車ボタンを押した。??
バスは下り坂→左折して等高線沿いに走り→左折して坂を上り→右折、と複雑な経路でバス停に到着。
バス停表示は「富士見台」。「吉原中央駅方面」とも書いてある?
「富士見台団地」バス停では、僕を含めてほとんどが降りたが、降りなかった人もいる。そして、新たに乗った人もいる。バス停には「吉原中央駅方面」とあるし、回転場や反対側にバス停がない??

実は、富士見台団地線は、秋田市の「二ツ屋福島線」「泉ハイタウン線」、弘前市の「茂森線」のように、末端部で環状運行し、往路と復路が重複する運行形態だったのだ。
そんなことは富士急静岡バスの公式サイト(時刻表と路線図)ではぜんぜん分からず、富士市が作成した「富士市バスなび」という路線図ではなんとなく予感がしていたが明示(矢印で示すとか)されておらず、確証が持てなかったのだ。
富士見台地区の外周を反時計回りにぐるりと回るルートで、一周する部分は約4キロにも及び、上記の通り高低差が激しい。秋田の二ツ屋福島線、弘前の茂森線は、どちらも平坦な場所を一周3キロ弱なので、それより規模が大きいと言えよう。

新たなお客を乗せたバスは、少し進んで右折して別の坂を下って行った。その後、さらに坂を上るルート。
降りたバス停は、スーパーの「マックスバリュ」裏。坂を少し下って振り返ると、富士山が見えた。
バスが通ってきた道を戻って撮影。突き当りを右折してすぐが、降りたバス停
坂を上ってマックスバリュの表側へ。
マックスバリュ富士富士見台店
店名は「マックスバリュ富士富士見台店」といい、「富士富士」とダブっていてヘンな感じだが、「富士(市)富士見台」の店という意味。マックスバリュ東海の店舗名は原則「(平成の大合併前の)市町村名+所在地名」という命名になっている。
ここは1階が駐車場で店舗は2階にある「ピロティ式」。マックスバリュ東海ではこの構造の店が多いようだ。秋田では最近の家電量販店でよく見るが、スーパーでこの形式は土崎のナイスくらいだと思う。秋田は土地が潤沢にあるということか(除雪が大変そうだけど)。

帰りのバスを待つ間に店内に入ってみた。
秋田のマックスバリュ東北の店と比べると、スーパー部分はほとんど同じだが、テナントが100円ショップくらいしかなく、ファストフードなどはないので、トータルではやや狭い感じ。セルフレジはなし。
秋田県産のきりたんぽとだまこ餅の真空パックが売られていたのにはびっくりしたのと、インストアベーカリーのメロンパンがおいしかった。


一丁目から七丁目まである富士見台地区は、東西1キロ、南北800メートルほどのほぼ長方形の地域。マックスバリュのある場所が、ほぼ中央。富士山の山頂までは、直線でちょうど20キロ。
「富士見“台”」というと、そこだけ周りより高い「台地」のような気もするけれど、実際は今まで来た道と同じく、富士山に向かって標高が高くなる「坂」の途中の一部といった感じ。地域内はほぼすべてが南北方向の坂になっている。南端の低い所で標高100メートル弱、北の方では150メートル超の箇所があり、バスに乗ってきた道中よりも坂は急なようで、家が段々に並んでいるような所も。
ちなみに、富士駅や吉原本町の標高は10メートル前後、マックスバリュ付近では110メートル。

富士見台を歩いてみる。
この日の富士市は快晴。朝はマイナス2度台まで下がったが、昼は10度台まで上がった。坂のある道を歩いていると、うっすらと汗ばんだけれど、弱い風が吹いて気持ちいい。地元の皆さんは寒いと感じるのだろうけど。
もっと精密な“事前調査”をしていれば穴場的ないい場所があったのかもしれないが、住宅が建て込んでいるだけに、思ったほど富士山が見えない。
でも、時折、家や電柱・電線の向こうに大きな富士山が見えるのが、やっぱり気持ちいい。
東側の市立富士見台小学校付近。坂になっているのが分かる

いつの間にか北側に隣接する「三ツ沢」地区に入った。富士見台と連続した住宅地だが、ややまばら。新しそうなアパートや建設途中の家も見かけたので、新しい住宅地なのだろう。
今のところは北側の視界が開けていて、今までよりも富士山がよく見える。所々に茶畑がある。新芽ではないので、くすんだ緑色だけど。
茶畑と住宅地と富士山
秋田では田んぼ、弘前ではリンゴ畑、静岡では茶畑やミカン畑が当たり前に存在する。(ミカン畑はもっと急な斜面にあることが多い)
富士見台も、以前は茶畑だったのかもしれない。

富士見台の北西端は標高160メートル近い。
富士見台と三ツ沢の境目付近の西側、市立吉原北中学校付近
富士見台の西側より向こうは宅地化されておらず、山林や農地が広がるようだ。
北(富士山の方)へ進んでいくと、すぐに盛り土が立ちはだかっていた。
富士山の頭がちょっと見える
以前は第2東名と呼ばれていた「新東名高速道路」だ。
まだ開通前だけど、今年4月14日にここを含む静岡県内のほぼ全区間が開通するので、もう完成しているようだ。
この辺りにはインターチェンジなどはできないようなのでメリットはなさそうで、富士山が見づらくなったのと、騒音と下を走る道路がなんとなく危なそうな点での影響を受けるかもしれない。
高速の下を潜って向こう側へ行ってみたが、低い岡があって富士山があまり見えないのと、勾配がきつそうなのですぐに戻ってきた。

マックスバリュで時間をつぶして、帰りのバスに乗った。
富士見台から県道に出た「一色」バス停で、車内放送がちょっと改まった言い回しになり、運賃表示器の整理券番号4番以前の金額が消えた。ここが往路の終点(二ツ屋福島線でいう南部公民館前)ということのようだ。

吉原中央駅まで乗車したので、行きと同じく運賃は320円のはず。しかし、降車時には半額の160円しか引かれなかった。
「バス特」こと「バス利用特典サービス」が適用されたようだ。
PASMO・Suicaでバスに乗車した際の、従来の回数券の割引に相当するもので、累計利用額が一定に達すると支払い時に運賃が割り引かれる。累計額が毎月末でリセットされてしまうとか、従来の磁気カードの割引に比べて評判は芳しくないような話もある。
よく理解していないのだけど、最低でも1000円利用しないと(運賃を支払わないと)特典適用(100円引き)にならないのだと思い込んでいたが、この時点では乗車した正規運賃累計940円・実際に支払った(カードから差し引かれた)額780円なのに160円も値引きしてくれている。
なんかヘン? 他の割引でも適用されたのか?
鉄道の駅やPaSoRiで履歴を印字・表示しても、バス乗車分は利用金額しか分からない。(バス会社の窓口に読み取り機があれば、バス特のポイント額などが分かるそうだ)
PaSoRiで読み取ると利用額と「バス/路面等」としか表示されない
まあ、損してないのだからいいとします。
今までは、よそから来た旅行者なら現金で正規料金を払ってバスに乗るのが普通だったが、共通のICカードで楽に乗車でき、しかも割引までしてもらえるのだから、ありがたい。


坂がきついのは大変そう(おかげで移動に時間がかかって疲れて、実際より広く感じた)だが、温暖な土地で富士山を眺めて暮らせるのがうらやましく思えた富士見台からの富士見だった。
この後は、もっと富士山がよく見えそうな場所へ行ってみる。続きます

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする