森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ウツボカズラ(ウツボカズラ科)

2006年12月27日 | 自然観察日記
 食虫植物としてなじみのある温室植物。ボルネオ当たりを中心に熱帯アジアに分布する。結構高山にも生育していて種によっては日本の夏の高温が苦手なものもあるという。
 なんといっても葉が変化したつぼ状の捕中葉が興味深い。種が結構多彩なようで愛好者も多いと聞く。
 一般的に植物と昆虫は共生関係で進化してきているが、食虫植物は共生関係の昆虫に牙をむいた異端児である。考えられていることは、彼ら食虫植物が生活を余儀なくされた場所は栄養状況が悪く、特に窒素源が不足しているため、最も得やすいのは訪れる虫たちの体そのものを分解する方法だから、この能力をうみだしたもの。そうはいってもどういうきっかけでどういう手順でそんな道に進化したのだろうか、不思議な不思議な世界である。このつぼ状の葉を作ったのは、「必要」があったのは確かで「必要は発明の母」ということなのであろう。
 しかし、今は結構栄養条件が悪くないところにも住んでいるものもある気がするが、一度身に着けたものを手放さない保守的な面もある。