治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

自閉の神様お泊りになる

2009-09-11 09:35:55 | 日記
水曜日、どうやら自閉の神様は前夜我が家にお泊りになられたらしく(夕食はすきやき)
朝もまだ私のそばにおいでだった。
午前中原稿がはかどり
午後はすてきなメールが来た。
企画の持ち込み。
「これ、いい!」ってメールの本文を読んだだけでピンとくるような企画。
急いで添付ファイルを開く。

今までうちであまりやったことのないような企画だけど
料理の仕方に工夫がいりそうだけど
だからこそ、やりがいがありそう。

おまけに「ひも付き」じゃない。
つまり、どっかの医者とか教授とかがえらそうに持ってきたものじゃないので
意味のない解説の押し売りもなし。
好きに本作れる。好きに作れるって私にとってとても大事なことなのね。
口出しされるのキライなの。B型だし、零細企業のオーナーだからね。
身銭切って会社やってるんだから自分が納得しなきゃ気がすまないのは当たり前。
サラリーマン編集者の方々ほど従順じゃないのは当たり前。

早速相手の方と電話で話す。
楽しいエピソードをお聞きし、ケータイ番号を交換。

自閉の神様、またまたいい企画とめぐり合わせてくださって
ありがとうございます!
そして花風社を選んでくださった著者の方
ありがとうございます!

自閉の神様がお帰りになるころ
お相撲の神様が国技館の土俵に降臨なさいます。
日曜日から秋場所だ!

新しい本と新しい出会い。
また飛行機で飛びそうな流れになったので
ANAキティちゃんです。

自閉の神様降りてきた

2009-09-10 09:10:11 | 日記
火曜日、朝から考えに考えていた。
新しい本のタイトル。
あれこれ考えて紙に書いてみるが、ぴんと来ない。
自閉の神様が、降りてきてくださらない。

タイトルとかキャッチコピーを作るのって
「これだ!」と思うのが降りてくると、一秒で終わる仕事。
でもダメなときはどれだけ時間かけてもダメ。
頭に浮かぶものを書き起こしてみても、わかるのは「これじゃない!」ってことだけ。
自閉の神様が頭上からささやくの。
「まだまだだね」って。でも降りてきてくださらない。

煮詰まってもだめだ、と思って
方々に電話したり。
ゲームしたり。
新聞読んだり。
歩いたり。
合間に通常のお仕事。
その間もずっとずっと考える。

夕方、カフェでアールグレイのアイスティーを飲んでいたときだった。
「これだ!」っていうものが浮かんだのは。
そういうときに限ってPCを持っていない。
あわてて紙ナプキンに大相撲キティちゃんボールペンで書く。

これだ! これだ! これだ!
題がわくとキャッチコピーもわいてくる。
フシギなことに、いっつもセットで頭に浮かぶんだ。
脳みそってどうやら、そういう風にできているのね。

急いで家に帰り、紙ナプキンを失くさないうちにPCに記録。

あああ、よかった・・・。

いい本になりそうだ!
タイトルが決まると、ずしりと自信がわいてくる。

今日は大宰府で見つけた菅原道真公キティちゃん。

名医の条件

2009-09-07 09:05:30 | 日記
名医っていうのは普通、「治せる人」「事態を改善できる人」のことを言う。

でもまだ未開拓時代にあった発達障害業界では違った。
「診断できる人」が名医になっちゃってた。
本人のQOLが上がらなくても
患者が他人に迷惑をかけているのに何も手を下せなくても
診断できるというだけで名医。

「こういう状態が早く変わるといいですね」

って色々な人に言っていたら、「この人は本当に患者さんを取り巻く事態を改善できるよ」というお医者様にご紹介いただけることになった。

今週、初めてお会いできる。楽しみである。
今の発達障害業界に必要なのは
診断だけして、あとは患者がどれだけ他人の人権を蹂躙してようと手をこまねくしか能のない人じゃない。
本人と周囲の人のQOLを上げられる人だ。
そういう段階まで、やっとたどりついたんじゃない?

龍に乗ったキティちゃんです。

いじめの構造

2009-09-05 08:53:09 | 日記
「変光星」を出すことになったとき
キャッチコピーがさらさらと浮かんだ。

「いじめる子は悪くない。いじめられる方が悪い。
その常識に苦しめられた」

著者の森口奈緒美さんにも、このコピーは気に入っていただけたようだ。

小学校時代、ものすごくフシギだった。
なぜ学校の先生たちは、いじめっ子ではなくいじめられっ子を正そうとするのか。
いじめられる子にも問題はあるかもしれない。
でもいじめることは「人として」いけないことのはずだ。

それがフシギで、フシギで、フシギで解決しないまま大人になった。

私は中学からイジメのほとんどない私立に行ったから、世の中のイジメがより先鋭化していることを肌身では感じなかったが
大人になって様々なイジメ事件が報道されるようになると
司法の介入を学校が嫌っていることに驚いた。

これもフシギだった。
どうして加害者(とくに教師)をかばうのか?

そういうイジメに関する長年のナゾを解いてくれる本を読んだ。

「いじめの構造」 内藤朝雄著 講談社現代新書

もう、目からウロコだった。
これは間違いなく自分の中の殿堂入りの一冊になるだろう。

著者は、学校という組織そのものの中にイジメを育む土壌があるという。
著者の言葉で言えばそれは「若い人たちを強制的に閉鎖的空間に押し込んでベタベタさせる」構造。
私の言葉で言うと「友だち原理主義」だ。

そして、普遍的な道徳より内輪の「ノリ」を大切にする土壌。
司法の論理を持ち込むと「ことを荒立てる」という摩訶不思議な理屈もここに根がある。
著者の言葉で言えば「中間集団全体主義」。
これも私の言葉で言えばこれも「友だち原理主義」。
(私ってボキャブラリーが少ないのね。)

学校では「誰とでも仲良くしなさい」って言われる。
でも現実にはそれは不可能だ。
大人になって社会人になれば、誰とでも仲良くしている人なんていない。
気の合う人とは仲良くし、そうでもない人とは距離を適度に置きながら上手にこなしている。
だから大人になったほうが、人間関係はしんどくない。

でも学校時代は、とにかく仲良しを強制される。
キライならかかわらなければいいものを
無理にかかわれといわれたらイジメたくもなろう。

この本は決して読みやすくはない。
でもイジメを根本的に解決したいなら、抑えておかなければならない英知の詰まった本だ。
学校という場の構造をどう変えるかを提案している本だ。
たぶん構造を変えると、ラクになるのは生徒だけじゃない。
教師の精神疾患も減るのではないか。

先生とか、親御さんとか、教育関係者とか
たくさんの人が読んでくれますように。

温泉まったりキティちゃんです。秋は温泉行きたいな。

高校教育無償化

2009-09-03 09:55:00 | 日記
「国民皆保険なんかやったら社会主義国になっちゃう」という共和党支持者の跋扈するアメリカ。
そんな遠い国の話ではなく、わが国にも
「富める者はそれなりの努力をしてきたのだからトクをしてもいたしかたない」くらいの気持ちを持つ格差容認層っていうのはいるもんである。とくに富裕層にね。

そういう人に「高校を無償化して貧困層にも教育の機会を」と言っても、
ピンときてくれないかもね。
何しろそういうお金持ちたちは、税金をいっぱい払っている上に
わざわざお金をかけて、小学校から有名校に送り込んだりしてるしね。
ていうか、有名小学校に送り込むために「どの産院で産むか」からが勝負だと準備している人たちもいるみたいですよ。

困っていない人は困っている人の気持ちがわかりにくい。

それを「思慮がない」とか怒っても仕方ない。
お金持ちもお金持ちで大変なんだろうが(産院までブランドに縛られたりね)、そういう大変さがそもそも選択肢のない人たちにはわかんないのと一緒。
だから道徳論ではなく
「経済格差が教育格差に結びつかないほうがみんながトクなんですよ」という言い方をしたほうがいいんじゃないだろうか。

そういうときには「国益」っていう言葉の使い勝手がいいんだな~。

貧しい子にも充実した教育を受けるチャンスを与えたほうが国益にかなう。
もしかしたらその子が、画期的な研究開発につながる才能を秘めているかもしれないし
新しい産業を生み出す創意を備えているかもしれない。
その子に教育機会が与えられることによって
何万人も、ことによっては何百万人も食べさせてくれるようになるかもしれないのだ。

私自身は高校を無償化して、勉強が嫌いな子を18歳まで机に縛り付けておかなくていいと思う。

それより学歴がなくてもがんばれば尊敬される社会、食べられる社会を実現したほうがいいと思う。そのほうがそれぞれ適性を活かせると思う。

偏りのある子でも活躍できる職場がもっとできないもんだろうか。

現に、特殊な社会で努力して
それをかなえている人たちだっている。

北の湖親方は中卒だ。
でも不祥事を文科省に謝りに行ったら、謝られる大臣のほうが思わず頭を下げてしまった。
「大臣が頭を下げるなんて」って批判もあったけど
私は仕方ないと思うよ。だって相手は大横綱だった人だもの。
厳しい稽古に耐えて最高位を保った人なんだ。「憎まれるほど強い」横綱だったんだよ。
選挙のときだけぺこぺこする政治家とは迫力が違うのではないだろうか。

間違いないのは、どの分野でも「稽古は裏切らない」っていうことだ。
それは自閉っ子だって同じ。定型発達の子だって同じ。

その稽古が勉強であっても、別のどこかであっても、かまわないと思う。
だから財源をさらに痛めつけてまで高校を無償化して、行きたくない人まで行かなくてもいいと思います。
本当に勉強がしたくて、でも家の事情から進学がきつい子に支援すればいいと思う。
勉強が苦手な子は、なんか他に道を見つけてあげましょうよ。

身体が大きくて身体能力が高い子には、相撲部屋に行くという手もありますよ。
早くまた、強い日本人横綱が見たいよ。
貧乏であることが、有利に働く世界もあるよ。

自閉っ子と嫉妬

2009-09-02 08:58:08 | 日記
私が知り合いになった自閉っ子たちの中には
あまり他人に嫉妬をしない人が多かった。

「心がきれいな人たちなのね~」と思った。
でもそれは美しい誤解だったみたい。

あまりに他人に興味がないせいで
嫉妬という感情にまで至らなかっただけの場合が多いとわかってきた。

それでも人間、嫉妬から解放されるだけでずいぶんラクだと思いますけど。

知り合いになるASDの人が増えるにつれ
中には強烈な嫉妬を抱く(抱ける)人もいるとわかってきた。

嫉妬を抱く人も
私たちの抱く嫉妬とは違う。

なんというか「とんちんかん」な嫉妬を抱くことが多い。
「あのさ、そこうらやましがるところじゃないだろ」というところで嫉妬したり
あるいは的外れな相手に嫉妬したり。
嫉妬する相手が極端に限定されていたり。
あるいは嫉妬の面でも「自閉は急に止まれない」になって、過集中になってしまったり。

嫉妬はセルフ・エスティームにも関係してくる。
いくらほめて育てられても嫉妬深い人は、セルフ・エスティームが高くならないみたいだ。
そらそうだよね。

自閉っ子のセルフ・エスティームを育てるために
「ほめる」ことが必要な時期はたしかにあるけど
そこで終わると、社会適応はイマイチ苦労するかもしれません。

いくらほめて育てて自信をもたせても
他人は勝手に成功していく。
他人の成功と折り合いをつけられないと
世の中は腹が立って仕方がない。

他人の成功と折り合いをつける方法を
適切な時期に教えましょう。

保護者も支援者も自閉っ子の周囲の人々に
「うちの子が悔しがるからあなたは成功しないで」って言って歩くことはできませんからね。

今日は手品キティちゃん。
横浜港をめぐるロイヤルウィング号に乗ってます。

親ってありがたいのね

2009-09-01 09:08:46 | 日記
押尾学被告が保釈されましたね。
といっても芸能界にうとい私、彼が何を仕事にしてきたかよくわかんないんですけど。

親御さんが身柄を引き取るとか。
親ってありがたいのね。

女房に愛想つかされても
実の親は、人が一人亡くなっている現場から逃げちゃった息子を見捨てないものなのね。

ところで保釈保証金。
数百万っていうお金はけっこう多額に思えるんですけど
今の日本人ってみんなそれが用意できるの?

ていうことはないみたいですよ。

保釈が許可されても、保釈保証金が用意できないからそのまま中に入っている人もたくさんいるんですって。厳しい現実ね。

やっぱりお金ってなくちゃいけないのね。
いざというときのために。

いや、そうじゃないわね。なくてもいいわよね。
「犯罪を犯さないのが一番トク」なのよね。
そういう遵法教育してほしいな。
障害があろうとなかろうと。

だって「人様に迷惑をかける子だけにはなってほしくない」って
昔から親としての一番の願いだったんだもんね。

今日は黄門様キティちゃんです。