治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

いじめの構造

2009-09-05 08:53:09 | 日記
「変光星」を出すことになったとき
キャッチコピーがさらさらと浮かんだ。

「いじめる子は悪くない。いじめられる方が悪い。
その常識に苦しめられた」

著者の森口奈緒美さんにも、このコピーは気に入っていただけたようだ。

小学校時代、ものすごくフシギだった。
なぜ学校の先生たちは、いじめっ子ではなくいじめられっ子を正そうとするのか。
いじめられる子にも問題はあるかもしれない。
でもいじめることは「人として」いけないことのはずだ。

それがフシギで、フシギで、フシギで解決しないまま大人になった。

私は中学からイジメのほとんどない私立に行ったから、世の中のイジメがより先鋭化していることを肌身では感じなかったが
大人になって様々なイジメ事件が報道されるようになると
司法の介入を学校が嫌っていることに驚いた。

これもフシギだった。
どうして加害者(とくに教師)をかばうのか?

そういうイジメに関する長年のナゾを解いてくれる本を読んだ。

「いじめの構造」 内藤朝雄著 講談社現代新書

もう、目からウロコだった。
これは間違いなく自分の中の殿堂入りの一冊になるだろう。

著者は、学校という組織そのものの中にイジメを育む土壌があるという。
著者の言葉で言えばそれは「若い人たちを強制的に閉鎖的空間に押し込んでベタベタさせる」構造。
私の言葉で言うと「友だち原理主義」だ。

そして、普遍的な道徳より内輪の「ノリ」を大切にする土壌。
司法の論理を持ち込むと「ことを荒立てる」という摩訶不思議な理屈もここに根がある。
著者の言葉で言えば「中間集団全体主義」。
これも私の言葉で言えばこれも「友だち原理主義」。
(私ってボキャブラリーが少ないのね。)

学校では「誰とでも仲良くしなさい」って言われる。
でも現実にはそれは不可能だ。
大人になって社会人になれば、誰とでも仲良くしている人なんていない。
気の合う人とは仲良くし、そうでもない人とは距離を適度に置きながら上手にこなしている。
だから大人になったほうが、人間関係はしんどくない。

でも学校時代は、とにかく仲良しを強制される。
キライならかかわらなければいいものを
無理にかかわれといわれたらイジメたくもなろう。

この本は決して読みやすくはない。
でもイジメを根本的に解決したいなら、抑えておかなければならない英知の詰まった本だ。
学校という場の構造をどう変えるかを提案している本だ。
たぶん構造を変えると、ラクになるのは生徒だけじゃない。
教師の精神疾患も減るのではないか。

先生とか、親御さんとか、教育関係者とか
たくさんの人が読んでくれますように。

温泉まったりキティちゃんです。秋は温泉行きたいな。

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