治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

自閉っ子と嫉妬

2009-09-02 08:58:08 | 日記
私が知り合いになった自閉っ子たちの中には
あまり他人に嫉妬をしない人が多かった。

「心がきれいな人たちなのね~」と思った。
でもそれは美しい誤解だったみたい。

あまりに他人に興味がないせいで
嫉妬という感情にまで至らなかっただけの場合が多いとわかってきた。

それでも人間、嫉妬から解放されるだけでずいぶんラクだと思いますけど。

知り合いになるASDの人が増えるにつれ
中には強烈な嫉妬を抱く(抱ける)人もいるとわかってきた。

嫉妬を抱く人も
私たちの抱く嫉妬とは違う。

なんというか「とんちんかん」な嫉妬を抱くことが多い。
「あのさ、そこうらやましがるところじゃないだろ」というところで嫉妬したり
あるいは的外れな相手に嫉妬したり。
嫉妬する相手が極端に限定されていたり。
あるいは嫉妬の面でも「自閉は急に止まれない」になって、過集中になってしまったり。

嫉妬はセルフ・エスティームにも関係してくる。
いくらほめて育てられても嫉妬深い人は、セルフ・エスティームが高くならないみたいだ。
そらそうだよね。

自閉っ子のセルフ・エスティームを育てるために
「ほめる」ことが必要な時期はたしかにあるけど
そこで終わると、社会適応はイマイチ苦労するかもしれません。

いくらほめて育てて自信をもたせても
他人は勝手に成功していく。
他人の成功と折り合いをつけられないと
世の中は腹が立って仕方がない。

他人の成功と折り合いをつける方法を
適切な時期に教えましょう。

保護者も支援者も自閉っ子の周囲の人々に
「うちの子が悔しがるからあなたは成功しないで」って言って歩くことはできませんからね。

今日は手品キティちゃん。
横浜港をめぐるロイヤルウィング号に乗ってます。

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2 コメント

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Unknown (オチズン)
2012-04-30 15:11:39
というか根拠のない賞賛は「俺はすごいはず、できるはず」という自己愛は育んでも自己信頼感は育まないと思います。自信を育むのは実際に競争して他人に勝ったという経験です。そいしてはじめて「俺はできる」という確信につながるわけです。
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過去の自分 (浅見淳子)
2012-05-01 07:20:57
オチズンさん、ようこそ。
まあ、他人との勝ち負けはともかく、過去の自分ができなかったことをできるようになるという体験が一番セルフエスティームを育むはずなんですけど、「ありのままでいい」といううたい文句のもとにその機会が与えられていない人がいたとしたらかわいそうです。
またお越しくださいませ。
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