治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

おまわりさんにつかまるよ

2010-12-28 08:00:00 | 日記
信じられない話を聞いた。
中学生の自閉っ子(男の子)が、福祉の会のクリスマスパーティで、長いスピーチにうんざりして
自分の性器を出して遊んでしまったらしい。
まあそこまではともかくとして、なんと
その出来事をその子の父親が、下ネタまじりで面白おかしく自分のブログに書いたらしい。

はっきり言おう。
私の感覚だと、これは父親による子どもへの人権侵害。
父親が子どもにする障害者差別である。
「差別」の意味が違う人にはそう思えないかもしれないけれど。

そして何より、私が最初にこの話を聞いて思ったことは
「その子のお母さんが気の毒だ。公の場で子どもがそんなことになっただけで苦しかっただろうに、夫のブログのネタにされるなんて」ということだった。

ちなみにこの父親は、今年私にも、執拗な攻撃を仕掛けてきた。
縁もゆかりもない人なのに、うちがこれからどういう本を出すかも知らないのに
花風社など、まともな専門家が相手にするわけがないなどと暴言をネット上で吐いていた。
花風社の本が嫌いなら嫌いでいい。嫌いと言われるのはかまわない。
でもどうして、こういうウソを確かめもせずに書くのだろう。私の周囲の人間関係もよく知らないみたいなのに。

そしてなぜまだ出ていない本をあれこれ憶測し、妨害するのだろう。
心底わからなかった。
ただ攻撃を受けた以上、戦うことに決めた。
専守防衛が私のモットー。でも、売られた喧嘩は買う。経営者として、当たり前のことだ。

もっとも、この人物の戦い方は不毛だった。
自分の見方が世界で唯一だと思い込んでいるらしく、ぐぐると自分の記事がトップになるくらい一生懸命うちの妨害活動を行っているのに、
どうして人々がまだ花風社の本を買ったり、私に講演のオファーがくるのかどうしても理解できないらしく、何かあるたびに大騒ぎだった。
そういえば藤居学も大地君の本をぐぐると自分のブログがトップに来るとブログのコメント欄で喜んでいたなあ。
背筋が寒くなるような暗い情熱だ。
他人の不幸が好きな人種なんだろうなあ。

神田橋先生の本を出すときの騒ぎ方もひどかった。
だが、この男の予測は結局一つも当たらなかった。ただの一つも。
いい加減自分の「想像力の障害」に気づけばいいのに、と思って見ていた。

でもちゃんとわかる人がいる。応援メッセージもたくさんいただく。
だからうちの本は売れるし、講演にもお声がけいただく。

それがまた不思議で仕方ないらしい。

いい加減恥をさらしているのは自分のほうだと気づけばいいのに。
小さいアンチなサークル井戸の中にいるから、気づかないのだろう。

ともかく、なんでこんなに攻撃されるのかわけがわからなかったが
障害のある自分の子どもの性器露出のエピソードさえ、自分のチンケなブログのネタにするほど品性下劣だということを知り、まあ仕方ないなと思った。
そのわりに、ちょっと反撃するとものすごいビビるのが不思議なんだけど。
まるで自分が被害者のような顔をして。
まあ(幸い)私の周囲にはいない人種だね。理解不能。すごい弱虫なんだと思う。
「浅見さんに甘えているみたい」っていう意見も結構いただいたけど
甘えられる筋合いもないしなあ。知らない人だし。

この男、うつ病を患っているらしいので
結果的にうちの読者の間にうつへの偏見が広がってしまった面もある。
「あの人本当に異様ですね。気持ち悪いですね。ビョーキですね」と。

気持ち悪くない、真摯に養生に取り組んでいる「うつ」の人もたくさんいるからね。
皆さん。
こんなキモくないうつの人もいるからね。
これはこの人独自の問題だからね。うつに対する偏見はやめようね。

じゃあ、なぜこういう攻撃を仕掛けてきたか。
理由はたくさんあるようだ。
その一つは、花風社が感覚統合の本を出したこと。
色々なものが嫌いな人らしいけど(ていうか何が好きなのかよくわからない)
エビデンスがあいまいだっていう理由で
感覚統合も嫌いなものの一つみたい。
私が感覚統合に興味を持ったのは自閉っ子の自立のために身体感覚を整えるのが重要だと思ったから。だから岩永先生に本を書いていただいたんだけど
岩永先生の本を花風社が出したとき、藤居学やこいつは「まともな研究者に相手にされないから」という見解だったようだ。

花風社だけでなく、岩永先生にも失礼千万。
岩永先生は世界OT学会でも評価されている。論文審査が二つも通って発表された。
おそらくASDの方の身体感覚においては世界的な研究者になられるだろう。
ここでもまたヤツの予測ははずれる。

そしてもう一つの理由が私が「自閉症を治す」という表現を使ったこと。
治したくないなら治さなくていいけど
人前での性器露出はやめたほうがいいね。

それに杉山先生の本の帯でも「治る子、治らない子、その違いはどこに?」とあった。
豊富な臨床経験のある杉山先生の実感がそうならば

治したくない親の子が治らないという夢はかなえられるんじゃないでしょうかね。
よその子がたとえ治っても。
安心していればいい。
治らないと信じたいうちの子は治らないですむかもよ。
望んだとおりにね。


そしてその杉山先生が「畏敬の念を禁じ得ない」と表現していらしたお医者さんの本を花風社が出すと聞いたときには「花風社の出す医者の本なんて誰にも相手にしない」と言っていた。
今や「神田橋先生の本を主治医に勧められて読みました」という人たちが他の本も買ってくれるようになった。
神田橋先生が花風社で本を出されたから、と企画のお話もどんどんいただくようになった。
またヤツの予測ははずれた。

とにかくはずし、はずし、はずしまくっているのだ。

感覚統合で自閉症が治せるか治せないかはともかく
感覚のアセスメントをしっかりやれば
身体感覚に基づく問題行動には対策が取れるんじゃないかしら。
OTさんに相談すればいいのに。
評価軸としての身体感覚を知っておくのはとても大事だし
QOLを上げるのに役立つしね。
でもまあ、作業療法とか感覚統合とかが嫌いだったら仕方ない。
どんな療育をするかは
それぞれのおうちの裁量だもの。

でもまあ、私はいくらよそんちの子だって、
自閉症だからって人前で性器を露出してほしくないです。
だって人間だもの。
獣じゃないもの。

自閉っ子は獣の子じゃない。
人間の子だ。
だから人前では性器は服の中にしまっておかなければいけない。
自閉症だから性器を露出していいというのなら、それは障害者差別だね。

皆さんはどうですか?
ご自分のお子さんに関して。
「障害があるから性器露出も仕方ない」って思いますか?

って問いかけたら答えをくれた読者の方が。
年頃のカナータイプの息子さんを持つ方です。
「性器いじりが当たり前の様に言われるのは他の人には迷惑です。自閉圏の子が皆がそうではない。そういう人は極少数です。
普段はしない子なら何故にこの日はしてしまったのか。やっぱり親のアセスメント能力が問われると私は思います。」

そうだね。
自閉症者は性器を露出するのが普通、なんて世間に誤解されたら他の自閉症者が迷惑。
それに、子どものうちならまだ大丈夫かもしれないけど
福祉の会のクリスマスパーティならみんな大目に見てくれるだろうけど
学校を出て、外で性器を露出したら
おまわりさんにつかまるよ。
そうしたら「差別だ! 障害があるんだから仕方ない!」とまたブログで大騒ぎするのかな。

これを報告してくれた方によると
この自閉っ子のママはやっぱり、パパが自分の息子のこういう行動をブログのネタにしていることを怒っているんだって。
そらそうだね。怒っていいよ、お母さん。怒るのが当たり前。
で、この自閉っ子ママは、お子さんを就労させるのにとても熱心に活動していらっしゃるらしい。
周囲の人の見る限り、その足かせになっているのは父親なんだって。
お母さん頑張っているのに、父親が足を引っ張っているよね、ってもっぱらの評判らしい。

まあ本当のことは誰にもわかんないけどね。でも
今年その父親のブログで、間違った推測とゆがんだ伝聞ばかり書かれた御礼に、私も推測と伝聞を書いておく。
お母さんは頑張っていて、父親が足を引っ張っている(らしい)。
ついでに言うと、このお母さんは夫がブログで私をあしざまに書くのをいやがっていた(らしい)。
妻が止めても花風社をけなしまくりたかったみたいね。

でも、う~ん、難しいと思うなあ。ここにはもう一個問題がある。
それはね、父親と母親の温度差。

先日大掃除していたら、日本自閉症協会が今年の啓発デイのために作った冊子が出てきたけど
障害のある人を大きくなっても面倒見るの、どうしてもお母さんになる。
父親はあの療育はいかん、この療育もいかんと好きなこと言ったり
重度の子は就労はしなくていい、というのが主張で、就労にこだわる出版社をけなしまくったり
会ったこともない他人の未確認なデマを書いておちゃらけていても
つまり、子どもの障害をダシにネット上で仲間を作り会ったことのない他人を貶め遊びまわっていても
お母さんはもっと切実なんじゃないかしら。日々世話をしているんだから。
そして息子の行き場所が将来なかったら、お母さんはずっと世話をしていくんだから。

だからここのおうちも、お母さんは熱心に親の会の活動をしているんじゃないのかな。
夫が他人のみならず、自分の息子をブログのギャグにしている間に。

結論。
おまわりさんにつかまらないためにも
きちんと就労して維持するためにも
感覚のプロフィールはアセスメントしておいたほうがいいね。
「目の前の子がよくなったという事実。これに勝るエビデンスはありません」
ってうちの読者の方たちは言ってくれますよ。


じゃあ、明日は今年最後の更新。
来年の抱負です。
花風社がどういう方向に進んでいくか。
発達障害とかかわっていくかどうか。
興味ないかもしれないけど、一応今のところの方針を表明することにします。

最新の画像もっと見る