治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

偽科学批判批判

2011-07-29 06:48:45 | 日記
貴乃花親方の起こした名誉毀損の裁判。
週刊新潮を発行する新潮社に対し、昨日二審でも勝訴というニュースが流れてきた。

私がこの件に注目しているのは、たんにお相撲ファンだからじゃない。
どうやら
この件の弁護士さんとうちがお願いした弁護士さんがかぶっているような気がするからだ。

前職で大手出版社とそれなりにおつきあいしていたからなんとなく事情はわかるが
大手出版社ともなるとなんだかんだ一度に複数の訴訟を抱えているものである。
で、勝ったり負けたりしている。

ベムや藤居や名大吉川は「偽科学批判」を趣味として
「訴訟」を脅しととらえて大騒ぎするが
訴訟を脅しととる時点で、彼らがたんに遊びでやっているのが見え見えだ。
つるむ連中を見ていても
仕事のないライター
本業で食べていってるのかどうか危うい犬のトレーナー
翻訳がどべたなのに自分で気づかずサイトに対訳をのっけているイタい翻訳家志望者
ポストのない院卒
ブログかどっかで偽科学批判をえんえんとやっているけれども著書を出すあてのなさそうな医療関係者

こんな感じの連中とつるんで、立場の薄いことをいいことに好き放題言い
訴えるぞと言われると「脅しだ脅しだ」と騒ぎ立てる。
子どもみたい。

先日「偽科学批判の本を出したけど売れなかった」という業界筋に会ったので
「そらそうでしょうよ」と言った。

だって偽科学批判の連中は「吝嗇」をかなりの割合でかねているんじゃないのかしら。
エネルギーとお金を限りなく節約したい人たち。

たとえばホメオパシー。
言っとくけど私は興味もなければよく調べたこともないよ。ましてや支持もしていない。

ただ聞くのは、とにかくお金がかかるということ。

だとしたら、妻の健康診断をバリウムから胃カメラに切り替えるのに5000円かかったと文句を言ったり
(バリウムより胃カメラのほうがずっとラクだと私は思いますけどね)

たいして高価ではないiPodをちまちま中古で買ったり

自分のサイトで自分が読んだ本をちまちま中古で売ったり

そういう金銭感覚の持ち主にとって、ホメオパシーは最初から選択肢には入らないでしょう。

ただよその人は金銭感覚だって違う。方針だって違う。
そこに口出しするから、気持ち悪がられるんだよね。

私があの連中を見ていて思い出すのは「ヴィスバーデンの夜」。
ヴィスバーデンっていうのはフランクフルトからアウトバーンで一時間くらいの、ドイツの温泉町だ。

あるとき仕事のめぐり合わせで
私はここで一人で夜を過ごすことになった。

観光客向けお知らせを見ると、夜クラシックのコンサートがある。
ヨーロッパでは気軽に当日券を買える。
私は行くことにした。

ホールに着いて窓口で聞いてみると、二種類の切符しか残っていなかった。
一番高い席と、一番安い席。

私は迷ったけど、高い席だって日本でクラシックのコンサートに行くことを考えたら安い。
せっかくなのでいい席で聞くことにして、窓口でそう言った。

そうすると後ろに並んでいた老婆が、血相を変えて言った。
「Das ist aber teuer!」

「ちょっと高いんじゃないの?」っていう感じだ。
老婆から見ると若くみえただろうあのころの私。
無理をするなという親切心だったかもしれない。

でもおせっかいだよね。

私は自分が旅人であることを説明し、老婆の忠告に惑わされることなく高い席を買ってコンサートを堪能した。

偽科学批判の連中のおせっかいを見ていると、私はあの老婆を思い出す。

先日ある保護者の方からうかがったお話。
高機能の方だけれども、週に一回感覚統合を受け
ぐっと情緒的に安定したという。
学習面でも伸びたという。

高機能の人に週に一回セッションを用意する自治体はないような気がしたのでうかがうと
民間の機関だった。
セッションの価格は安くはないが高くもない。
その価格をどう受けとるかは、おうちの自由な判断でしょ。
妻の胃カメラ代を惜しむのも自由だが
子どもに有料で感覚統合を受けさせるのも自由だ。ましてやそのお子さんには効果があったわけだし。

偽科学批判の連中は、こういう自由な判断にくちばしを入れるから嫌われる。
自分の財布から出る金でもないのに。
でもおそらく、脳汁的に自他の区別がつきにくいんだろうけど。

しかも実際には、彼らは本気でやっているわけではない。
たんなる趣味を他人に押し付けているだけ。
それはやられているほうにすればいやがらせにしか映らないのにそれにも気づかないらしい。

本当に彼らが誠意をもってやっているのなら、訴訟を脅しと取るわけがない。
言論を張るということは、そういうリスクを覚悟することだから。
それでも伝えたほうが世の中のためになると思い、あえて伝えて、
訴えられたら受けて立ち、真実性を争う。
それが言論だ。

だから訴訟を脅しだ脅しだと騒ぐ段階で
「世のため人のため」ではないことがわかるね。
たんなる遊び、憂さ晴らし。

だったら他人を巻き込まないで内輪でやっててほしいもんである。
世のため人のためになる偽科学批判は本物のプロにまかせればいい。
プロは専門性が高く、訴訟など恐れない。原発をめぐる議論を見てごらん。

そしてそういう専門家から、神田橋先生の本に無体ないちゃもんつけられたことは今のところないんですけど。

まあ
とくに専門家の資格だけ担保して、匿名で
いんちきではないと知りながら素人にワルノリして、嫌いな出版社をつぶすだけのために
いんちき呼ばわりする医師は最低だけどね。

まあともかく、明日は岩永先生の講演会。
彼らが「怪しげ」と断罪する感覚統合の第一人者による有料の講演会。会場は320人入りで、切符を買った人も320人です。
私も第二部でちょこっとしゃべります。

肝の据わっていない素人偽科学批判の連中がいかに騒ごうとも
人々は「自分」と「自分の子ども」への効果を最重視するのは当たり前です。
親として当事者として、正当な権利ですよ。

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5 コメント

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思わず調べてしまいました、汗 (空音)
2011-07-29 18:37:40
「吝嗇」の読みも意味もわからず、即、調べてしまった言語力のなさです(爆笑)

ケチなのは、つまりリスクを負いたくないんでしょうね。楽な立ち位置でいたいからなのかなと…。
うちでは、子ども達にはリスクについても教えてます。
生きていくために大切な事ですし、学校では多分突っ込んで教えてないかなと思いましたので。
ならば親が具体的に教えておけば将来子ども達が何かを選択するときに責任と自由を持てるかなと思ったからです。

性教育にしろ、お金のことにしろ、日本の教育内容は社会で必要なものに関して全然足りない(爆)ので
自分の経験も踏まえてですが、必要なことは公を当てにしないで、出来る範囲でですけど家庭で教えるようにしています。
もちろん教育の充実は心底願っていますが、ただ待っていたら子ども達はあっという間に成人しちゃいますからねぇ。

それはそうと情報ありがとうございました。
また読み返して、自分はどうやら右脳タイプって分かりました。やっと府に落ちました。
自分は右脳の耳の上近辺の脳波が活発すぎ(常に激しく動いてる)なのですが、もしかすると何処か上手く動かない場所があって、右脳で補ってるんだろうなと想像してます(想像なので、当たってないかもしれませんが)。
言葉を使うことの大変さ(「自分の言葉」を出力するのに時間がかかる等)、感覚の問題や感覚のあり方も、自分に合った暮らし方をする必要があるのだな、標準的な方法や考え方には振り回されてはいけないなと痛感しました。
ちなみに、このコメントを書くだけでも30分以上かかってます、投稿するためにリロードされるくらいです、苦笑。
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30分以上かかっても (浅見淳子)
2011-07-30 07:13:39
空音さん、ようこそ!
リスクについて説明し、将来選択するときの責任と自由を早くから学ぶのは本当に必要ですね。ただ親も学校もそこを避けて通るかも。そうやってそこをすっ飛ばして育った大人がきっと今偽科学批判なんてやって他人に煙たがられているのでしょう。
ところでこのコメント、30分以上かかっても当然だというくらい内容が濃いと思います。文章力っていうのもさまざまで、すらすら書ける人もいれば、なんとか搾り出したものがとても人の心を打つ人もいます。
これからもお互い自分の脳みそと仲良くつきあっていきましょう。

また遊びに来てくださいね!
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ドイツ (cc)
2014-04-20 01:19:37
おせっかいお婆さんのエピソードにクスッと笑ってしまいました。
ドイツで暮らした経験があります。
ドイツと言えば、秩序重視とか、時間厳守とか、規則に厳格とか、ステレオタイプの見方がありますね。

いつからそう感じたのか分かりませんが、あの社会の独特な気難しさ、ある種の自閉圏の方々の発想や行動様式に似ているような私見を持っています。

個人主義、というのか、他者の苦境に「確認を怠ったその人のせいでしょ?どうして気の毒だという必要がある?」とコメントされてのけ反ったことがある一方、街並みの秩序を守るためなら近隣の住宅に「あなたの家の窓ガラスが汚れている、掃除すべきだ」「家庭菜園を止めて、花壇に替えるべきだ」などと電話で苦情を申し入れることに疑問を持たない。そんな逸話に事欠きません。
自他の区別の感覚が、違うように思えてならなかったのですが、浅見さんの体験談から、異文化であるだけでなく、自閉圏との共通性にも思い至りました。

私的体験からの、仮説です。
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笑いました (浅見淳子)
2014-04-20 10:14:53
ccさん、ようこそ。
コメントいただいて、読んで笑いました。目に浮かぶようですね。
件の老女に会った頃、私は前職にあり、一切自閉症とはかかわりがありませんでした。でも今読んでみると、高い切符を買う理由を自分が旅人であることから説明するとか、自閉の人に対する説明と同じくらいくどくやってますね。私は自閉症を異文化ととらえる視点から勉強していったのですが、こういう体験が基礎を作っていたのかもしれません。
ドイツの国民性とASDの近似性は気づいている人は気づいていますが(我が家は自閉関係の仕事をしている人とドイツ関係の仕事をしている人がそろっていますので気づきやすいです)じゃあドイツで自閉の人が暮らしやすいかというと、日本以上に暮らしにくいようです。
異質なものへの排除感が、ある意味融通無碍なところもある八百万の神々の国よりは強いからだと思います。アスペルガーの人同士が必ずしもうまくいかないのと同じ理由かもしれません。
このブログに「あなた外人?というエントリがあります。よかったら検索して読んでみてください。
またお越しくださいませ。
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Unknown (Unknown)
2019-01-07 08:19:41
じゃああなたは、素人ではなくニセ科学批判の大家に批判されたら考えを変えるんですか?
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