治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

発達しているという実感

2010-05-11 08:55:00 | 日記
「大丈夫! すくすくのびたよ自閉っ子」の著者、竹島尚子さんからメールをいただきました。
たしかに以前、私は竹島さんに「桃ちゃんの就職とか結婚とか考えていますか?」と伺ったことがあります。
そのとき「考えられないですね、今は」ときいて、ちょっとびっくりした記憶があります。
他人の私から見ると、桃ちゃんの育ち方を見れば、将来そういう可能性は十分ありうると思えていたからです。
親御さんのほうが、愛情が強いあまり、子どもの可能性を低く見積もってしまうことって、私のような第三者の人から見るとあるんです。

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ブログを毎日拝見しております。
 今度生まれてくる子が自閉症でないとよい、なんとかして我が子の自閉症を治したいという気持ちは変わりません。しかし、ブログでおっしゃっていたように、桃子も確実に発達いたしました。目に見えてよくなってきたので、私たち夫婦も祖父母も手応えを感じ、希望を持って子育てができるようになりました。以前お会いした時に、浅見さんから「桃ちゃんが結婚するなどと考えたことがありますか?」と聞かれ、私は「そんなことは考えていません」とお答えしました。今は、結婚や就職なども視野に入れられるようになってきました。(桃子に将来なりたい職業を聞くと「お笑い芸人」と答えます。訳のわからないネタも書いております。)
 保育園の先生に桃の偏りを指摘されたとき、私は「自閉症は一生治らない」と絶望的な気持ちになりました。しかし、保育士さんの「三歳までに見つけることが大切だと私たちは考えています」という言葉がとても心に残りました。早期療育をすれば効果が出るのではないかと希望を持ちました。早期療育のためには早期発見、親の早期立ち直りが大切だと考えます。子どもは療育をしたくても、親が環境を整えてやらなくてはだめですから。
 他の出版社から出ている本も何冊も読みましたが、花風社さんの本が一番読んでいて元気が出ました。未来に希望が持てました。だからあの時手紙を送ったのです。新作も期待しています。
 
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今回、ご注文(ふだんの倍です。ありがとうございます)と同時にたくさんのコメントをいただいたのですが、自分でもちょっと意外だったのは「ブログが面白い」という数々のお言葉でした。
このブログが面白くない人も、相当いらっしゃると思うんで。

「自分の考えに一番近い」
「周囲でも評判です。皆に勧めています」
「勉強になります」
「小気味いいです」

みたいなお言葉をたくさんいただきました。

わりとこのブログでは主張を鮮明に打ち出しているような気がするのですが、それはどうしてかというと

私は20年出版の世界でやってきて、小さい版元が生き残る道は「八方美人にならないこと」だと痛感してきたからです。
小さい版元は、旗幟を鮮明にしないと生き残れません。
万人受けを狙ったとたんつぶれる版元を数多く見てきました。

花風社の本が嫌いな人に、花風社の本を好きになってもらうのはコストパフォーマンスが悪い努力です。
うちのような小さい版元にはそんな余力はありません。

そうではなく、花風社の本が好きな人に「今度は何を喜んでもらうか」をよくよく考えて、それを次の企画につなげる努力を私は日々したいと思います。
そうやると読者層がじわじわと広がっていきます。
小さい版元は、じわじわでいいのです。

こういうやり方ですから非難も受けますが、私は花風社が嫌いな人の非難は聴く気がありません。
しょせんうちは一年に三冊しか出していない小出版社。
万人の期待を満たすことなど最初から狙っていません。狙えるはずがないのです。

でも出版界では「一年に三冊で経営が成り立っている」ということが驚きなんです、実は。
それだけ(ありがたいことに)、既刊がコンスタントに売れていて
一つ一つの歩留まりがいいということみたいです。

自閉っ子は発達します。
そして花風社も発達します。
発達の一つの成果が神田橋先生の本です。

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