治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

上司にいじめられない方法

2010-09-08 12:00:00 | 日記
偶然縁があって、直接会う機会のあるASDの若者(っていうか自分より年下の人)には
よくこういう話をします。

上司にいじめられない方法があります。とてもカンタンです。

たったひとつの条件をクリアすればいいだけ。

それはね

給料以上の働きをすること。

自分がもらっている給料の3倍以上、会社は費用がかかっています。

その分働かなければ、会社にとって赤字です。

それ以上に働けば、会社にとって黒字です。

企業というのは営利を追求しているので
ある意味で企業への適応はとてもカンタンなのです。

学校生活より社会生活のほうがカンタンだと私は思っています。

多少変人でも、払う費用対効果が黒字である限り、経営者・上司はその人をいじめません。

経営陣ではない同僚や先輩には、別の理由でいじめられるかもしれません。
その人たちは会社の利益へのコミットメントが薄い場合もあるから。

でもあなたの生産性が高い限り、経営者はあなたの味方です。

だからあなたのキャラによっては
人の顔色をうかがうより、
やたら愛される人間を目指すより
本心を抑えて、表向き他人の意見に同調するふりをして、内心鬱屈するより
「給料以上に仕事のできる人」になったほうが適応の近道かもしれません。

そして、精神的にも健康でいられるかもしれません。

人間誰しも、努力できる量には、限界があります。
だったら貴重な努力は、効率のいい振り分け方をしたほうがいいです。
人間関係がもともと苦手な人が
人間関係を平穏にすることばかりに集中するのは、私には効率のいい社会でのサバイバル方法には見えません。

あげくの果てに心身の健康を損ねては、踏んだり蹴ったりです。

私には理由がよくわからないのですが
多くの成人ASDの方々が、会社でうまくいかなかった原因を「人間関係のつまずき」ととらえています。

支援者もそれに同意することが多いみたいです。

でも話を聞いてみて、私は同意できないことが多いです。

仕事がバリバリにできて、まだなお嫌われるのなら、それは人間関係のつまずきだと思います。

でもよく聞き取って見ると、だいたい人間関係が壊れるのは「仕事で求められる水準に達することができなかったこと」に由来するのです。そこから綻びが始まっているのです。

まあなんで仕事ができないかっていうと
「見えないものは、ない」認知の仕方で仕事の本質を理解していなかったり
定型用のマニュアルどおりにやってうまくいかなかった場合とかが多いんですけど。

職場の同僚に愛される必要はありません。
職場をともにする人と「走れメロス」のような友情を育まなくてもいいのです。
与えられた仕事をともにこなすだけの大人の人間関係が成り立っていればいいのです。
同僚と何から何まで価値観を同じにする必要はないし、好かれる必要はない。

ただただ、仕事においては自分が得る報酬以上の仕事をすること。
それだけで社会の居心地はずいぶんよくなるはずです。

もしおまけで「人間関係のあたたかみ」がほしかったら
それが仕事場に見つからなかったら
家族・友人・趣味の合う人
稼いだお金を遠慮なく使って、そういう人たちと、楽しい時間を過ごせばいいのです。

そもそも企業が営利を追求しているとはっきり教えてもらっていない人も多いので
(で、「見えないものは、ない」ので)

こうアドバイスすると喜んでくれる人「も」います。

「そういえば今までの職場で比較的適応ができていたのは、仕事との相性がいい職場だった」とか。
「そういうところではいじめられなかった」とか。

学校と職場のいじめは根本的に違います。

だからこそ、ジョブマッチは大事だし

仕事人としての、「精進」(スキルアップ)も大事です。どんな仕事であれ。
スキルアップのための、定型の人とは違うやり方を要求するのは当然の権利だし
雇用者の利益にもかなっています。

利益になるなら援助を惜しまない。
これも学校より企業がわかりやすいところ。

だから

配慮は要求していいです。でもそれはどちらかというと支援者の仕事。
本人が自分で配慮の要求をするのはあまり効果的ではないかもしれません。
配慮の要求は外注しましょう。
本人にしかできないことをしましょう。
本人しかできないこと。それは、仕事上の精進です。

人間関係にばかり神経を尖らせているうちには、なかなか「精進」まで余力が回らないのがもったいないですね。

学校の「友だち原理主義」を社会人になっても引きずっていると「努力の効率」が悪いです。
社会でのサバイバルに際しては、遠回りになります。

私はそう考えています。

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1 コメント

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虐めをする人は最低 (田中 律子)
2014-04-21 20:11:48
追う方より追われる方が重圧感を感じます。
抜かれたらどうしよう?格好悪いよねU+2049
などと考える人程、人に優しくは出来ないし
後輩でも部下でも一人でもライバルが減れば
と最低の事を考えるものなんです。
私は自分より強い人に立ち向かう人は愛社
精神があるが自分の部下や後輩を虐める人は
きっと会社のトップから捨てられると思います。愛社精神の欠片でもあるのなら会社の財産である部下や後輩は可愛がるべきでしょう
そんな事も出来ない我が身可愛さの人間は社長はちゃんと見てますよ。こいつはこんな性格で我が身だけなんだって会社に残りたいのなら後輩を可愛がるべきです。
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