治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

昔と今とで違うこと 5月の奄美旅行で思ったこと

2024-05-15 10:20:17 | 日記
5月10日の朝、ちょっと早めのリムジンバスに乗り、羽田空港へ。11時10分の奄美大島行きに乗るのですが、超安全策を取り8時20分発のバスに乗りました。だってずっと楽しみにしていて、いざ当日渋滞とかで間に合わなかったら悲しいじゃないですか。

道路状況は順調。っていうわけで9時前に羽田空港についてしまいました。チェックインはアプリで自動。手荷物預け入れも自動で無人。どんどん人が要らなくなるジャパンですが、人手不足にはこういう対応をしなくちゃいけないのでしょう。そして自動化は、たしかにコロナ禍に進みましたね。これだと昔よく起きたロストラゲージとか減るだろうし、私としては面倒がなくて大歓迎ですが、憧れのJALに就職できる人数は減るのかもしれない。そしてそれが経営にも寄与するので、雇われる側より雇う側が有利になる時代が来たといえそうです。

まずはお蕎麦屋さんで腹ごしらえ。
目の前では那覇便を待っている人たちが。
飛行機は満席、ということで、煽らーたちが脅す「インバウンドに買い負けて旅行もできなくなる日本人たち」はあくまで脳内にいるだけみたい。おまけに子連れが多い。ダイヤモンド会員を待たせてベビーカーの事前改札がずらっと並びます。さぞ機内はにぎやかなことでしょう。お子さんたち、あまり耳が痛くならないといいです。

そして長崎便ではオーバーブッキングで振替してくれる人を一万円で募集していました。満席の那覇便といい、オーバーブッキングで振替してくれる人募集といい、コロナ前のような往来が戻っているんだなと思えます。

ただ、いつのまにかゲートのテレビはLGに。
私がLGというメーカーの存在を知ったのは海外の空港です。テレビと言えば日本製、で育ったから、知りませんでした。だけどいつのころからか空港から日本製のテレビが消え、韓国メーカーになっていた。そしてそれがついに羽田にまで届いたとなると、やはり日本は凋落しているのかもしれませんね。

さて、満席はこっちも同じです。
3月に取った奄美大島便、すでに席が選べる状態ではなく、並んだ席はとれませんでした。
窓際がよかったけど、それもとれなかった。
廊下側の席に一人。廊下をはさんだところに夫、という並びです。

私の横には初々しい成熟したカップル。きゃぴきゃぴしています。
ちょっと形容矛盾かもしれませんが、全部当たっているのです。
まず、カップルの年齢はそこそこいっている。40代から50代。
で、あまり旅慣れていない感じ。飛行機にも乗り慣れていない感じ。
そしてとっても仲がいい。ただの友だちではない感じ。
でもお互いにまだ敬語を使っている。
アプリとかなんかで知り合って、意気投合して、すごく遠くまで、二人で初めて旅行するっていう感じ。行先に沖縄本島とかじゃなくて奄美大島を選んだなんて渋いですね。

お二人の仲の良さに、ああこの二人に並びの席をとってもらってよかったなあ、と思いました。
40年前にキャンパスで知り合った夫は廊下の向こうで熟睡していました。

大学を出た後私は、英語を乱読した時代があって、でもそのころはAmazonもなく、kindleで一秒で洋書が手に入るなんて夢にも見ませんでした。
ならば乱読のもとをどこで仕入れたかというと、実際に英語圏に出かけて、古本屋とかで買って、船便で送ったりしたのですよ。
手軽に行けるところとして、カナダのバンクーバーなんて買い出しにいったなあ。治安がよくてUSAより食べ物がマシ。
あの頃、円はいくらくらいだったっけ。ともかく、20代の給料でそういうことができる時代だった。
そして愚かに見えるそういう買い出し旅行がその後、著作権エージェント→独立→異文化としての自閉症との出会い→当事者本→治ったほうがいいだろう
につながっているので、若い頃の愚行は無駄にならないです。
そしてそういう愚行をつむには、円安は不利です。

現地でどさどさ買い入れたペーパーバックの中によく「Second Chance」ものがありました。
当時これが理解できなかった。
どういうカテゴリーかというと、いったん結婚したりして離婚した40代50代を迎えた人たちが、新たな恋に巡り合うロマンスの分野。
自分は20代だったから、40代50代の人が恋をするのは想像できなかった。そもそも離婚する人が珍しかった。マッチングアプリとかもなかった。晩婚の人も少なかった。
でも日本でも40代50代が恋をするのは当たり前の時代になりました。その結果として、私の真横にきゃぴきゃぴカップルがいたのでした。

こういう人たちは、プロに入れあげて身の程過ぎた課金して立ちんぼしたりタワマン殺人事件を起こす人たちよりずっと健康だと私には思えるんですけど。
ルッキズムが車やバイクに向いているうちはいいけど、生身の女性に向くと、貢いだあげく殺人事件とか起こしてしまいます。
おばさんとしてはコンサートのたびに美男美女に課金している若者の群れを見てなにか無駄なものを感じていたのですが、先日若い女性にそう言ったら「平凡な男と付き合うより美男に課金した方が楽しい」ということでしたので、やはり時代によって感覚が違うんだなと思いました。
ちなみに彼女はマッチングアプリもやっているそうですが、なかなかデートは長続きしないそうです。「連れ歩いていて誇れるような見栄えのいいひとじゃなきゃいや」だそうです。「そんなことは考えたこともなかった!」と言ったら逆にびっくりされましたよ。

さて、晴天の奄美大島に着きました。
それからは、海に入ってばっかり。
まだまだ真夏とは違う温度ですが、まあ二泊三日で8時間くらい海水浴できました。
湾の中に浮いて、ぼーっと空や周辺の緑を眺めていると、なんだか身体から悪いものが抜けていく気がします。
海に入っている限り、病気とかしないような気がします。
私は医者には世話になる気ないけど、こうやって健康維持します。旅行は十割負担ですが、十割負担ということは、他の人が納めた社保には手を付けていないと言うこと。
だから旅行健康法の方が、凡医療を使うより社会のためになっているはずです。今やこの国は社保で食いつぶらされそうなんだから。
子ども医療費無料、っていうのは病院がただでみてくれているわけではなく、一般労働者が負担しているんだと、それくらいの意識は持ってもらいたいと思っています。
使うなというんじゃないです。
感謝すべきは医者じゃない。医者は仕事をして報酬をもらう。その報酬を払ってくれているのは一般社会で働いている人たちです。

安易に医療に頼る人も問題ですが、さらなる問題は若者が公金チューチュー職を目指してしまうことだと私は思っています。
他にいい仕事なんていくらでもあるのに、それが見えていない人が多い。そうやって安定を選んで、つまんない生活を送るから、医クラは匿名で威張ったり人をいじめたりするのでしょう。
若き日になんかの志を抱いて、英語圏まで原書の買い出しに行っていた身としては、なんでどうせ死んでいく老人相手のリハビリとかに人生をかけたいのかまったくわからない。
箱一杯洋書買っていたときに、今の未来を想定していたわけではありません。それでも目の前にある問題に向き合ってきて、これまで仕事が続けられてきました。

その点ホテルに置いてあったお手製パンフレットには希望をもって、熟読してしまいました。
集落内の小学校の活動で、パンフレットを手作りしたらしい。それが置いてあるのです。
周辺を取材して、美味しい店とかを写真撮って、キャプションつけて。
出版にかかわる人間の、仕事の原点です。

こういう活動を楽しむ子から、いずれ編集者が出るといいなあ、と思いました。
紙媒体からウェブに移っていく時代。編集者の出身大学が首都圏に限定されているような状況も変わっていくでしょう。
ともかく、公金チューチューでない分野で働く(そしてきちんと稼ぐ)若者が増えてほしい、というのが私の願いなんです。

また9月に来る予約を入れて、宿をあとにしました。
晴れから曇りのお天気で過ごせましたが、このあと警報級の大雨がくるようです。
知り合いたてのカップルは、旅先の悪天候の中、どう過ごすでしょうか。

そういうときに楽しく過ごせるかどうかが、「連れて歩いて見栄えがいい」よりずっと大事な判断基準だとおばさんは思ったのでした。
だから、悪天候さえ、天の恵みかもしれないのです。




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