国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は4月20日、同団体がまとめた世界各国の報道の自由度ランキング2016年版をインターネット上などで発表した。
日本のランキングは前年の61位からさらに後退し、180カ国中72位となった。2014年時点では59位で、年々順位を下げている。
ランク後退の原因について、団体はウェブサイトで「日本のジャーナリストは厳格な法律によって『国家の秘密』の調査を自主規制させられている。『国家の秘密』には第一原発事故や皇室、国防などすべてが含まれる」と発表している。
発表に先立ち、同団体は4月11日の声明でも、国谷裕子さんや古舘伊知郎さん、岸井成格さんら人気ニュース番組のキャスターが一斉に降板した問題を取り上げ、「安倍晋三政権はメディア規制を強め、市民の知る権利を奪っている」と指摘していた。
確かに2015年12月に成立した安倍晋三内閣による「特定秘密保護法」により、ランキングの降下が目立ち始めた。14年59位、15年61位、それに16年が72位になった。
このランキングが始まった2002年には26位、民主党時代の2009年には17位、2010年は11位と世界でも上位の報道の自由の国家だった。
それが安倍政権になって順位を落とし、今ではG7でイタリアの次、隣の韓国の70位と自由度は落ちてきた。
高市早苗総務相の電波禁止発言があり、安倍首相はこれを追認した。いや追認したというよりも安倍氏自身が高市氏に言わせたと考える方が自然だ。
これに対し、民進党など野党の追及は手ぬるい。また、メディアそのものも大人しくなってしまった感もある。
先に来日し、政府やメディア、市民団体関係者やジャーナリストらと面会した国連「表現の自由」特別報告者のデビッド・ケーン氏も日本の表現の自由が徐々に脅かされていると指摘、メディアやジャーナリスト、学者などの奮起を促している。