一票の格差について、16の裁判所からほとんどノーを突き付けられた政府は、今までのようにのほほんとしている分けもいかず、政府の衆議院選挙区画定審議会は、当面、小選挙区定数を「0増5減」する制度改革に伴う区割り案をまとめ、安倍晋三首相に勧告した。「一票の格差」を是正するため、17都県の42選挙区で線引きを変更、人口をもとに算出した格差は最大1.998倍となり、現行制度で初めて2倍以内に収めた。安倍内閣は4月前半にも勧告を反映した選挙区法改正案を国会に提出する方針だ。
区割り見直し案の勧告は2001年12月以来だ。2010年の国勢調査結果に加え、11年3月に最高裁が現行の区割りを「違憲状態」とする判断を示し、是正が求められていた。
区割りは山梨、福井、徳島、高知、佐賀の5県で選挙区を3から2に減らす昨年11月の選挙制度改革法成立を踏まえた見直し案を勧告、今回の改定が適用されると小選挙区の定数は295に減り、比例区の180と合わせて衆議院の定数は475となる。
見直し案では、10年の国勢調査で人口が全国最小の鳥取県を定数2に設定、新しい鳥取2区(人口29万1103人)を全国最小区と位置づけた上で、同区の人口を下回る選挙区や1票の格差が2倍以上となる選挙区の線引きを見直した。その結果、人口の最も多い東京16区(58万1677人)との格差は1.998倍となり、改訂前の最大格差2.524倍(千葉4区)から大きく縮まり、初めてすべての小選挙区の格差は2倍を下回った。過去の勧告では、1994年が最大2,137倍、2001年が2.064倍となっている。
ただ、この計算は2010年の国勢調査に基づくものであり、今後の国政調査の結果により、再び2倍を超すことが充分考えられる。また、2倍以下に収まったから、それで格差が無くなった分けではない。つまり、程ほどならば止むを得ないと言う格好だ。
さらに、衆議院の定数削減は民自公で約束事になっており、現在、自公で比例代表30人削減案がでているが、民主党は小選挙区と比例代表区で80人の削減を考えている。衆議院定数削減は、消費税増税の条件にもなっているので、何としても実現させなければならない。本来、今回の小選挙区区割りについては、定数を削減した上で行うべきものだろう。「関連:3月26日」