反米左派諸国の盟主として知られた南米ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が5日、首都カラカスの軍病院で死去した。58歳だった。
チャベス大統領は骨盤にガンができ、キューバで摘出手術をして、再び表舞台に立つことを目指したが、この度ガン治療を中断し、2月18日に突然母国に帰国してから約2週間で遂に帰らぬ人となった。チャベス氏の死去を受け、30日以内に大統領選挙が行われる。
世界有数の産油国ベネズエラは財政難にもかかわらず、チャベス氏の強い指導力でキューバやニカラグアなど反米左派の同盟国に石油を安価で提供してきた。しかし、チャベス大統領の死去により、大統領選で野党側が勝利すれば政策の転換は確実で、同盟国への援助も見直される可能性がある。
一方、国内的には、豊富な石油で得た資金を貧しい国民のために活用するなど、善政をひき国民に敬愛を受けていたが、反面、反チャベス派を投獄するなど強圧政治も行っていたようだ。
チャベス大統領は、終始、反米姿勢を取り続け、イラク戦争の際には、国連総会の演説で当時のブッシュ米大統領を悪魔呼ばわりしたことは有名だ。
チャベス大統領の死去により、この地域の対米政策のバランスに影響が出ることは避けられないようだ。