【第45回】 2010年11月18日 池上正樹 [ジャーナリスト]
内閣府推計70万人、厚労省推計25万5000人?引きこもり実態調査の謎2010年11月18日(木)10:30ダイヤモンド・オンライン
「 またも衝撃的な事件が起きた。
毎日新聞11月13日付夕刊によると、秋田市に住む50歳の長男が12日午後、自宅で、78歳の父親に金属バットで殴り殺されたのだ。
長男は、大学を卒業した頃から家に「引きこもり」状態だったという。報道の通りなら、少なくとも彼は25年以上もの長い間、引きこもっていたことになる。「家の恥」と思うあまり、社会から孤立していった家族の長期化、高年齢化の末路を見る思いがする。
この事件の背景については、後日改めて、取材報告したい。
さて、折しも、引きこもり家族会の全国組織であるNPO法人「全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)」の全国大会が、11月13、14日の両日、日本教育会館で行われた。
「発達障害や不安障害などの(引きこもりの)方々の追跡調査によると、大変重度な精神障害に移行してしまっている。これは単なる親の甘やかし、子の甘ったれ、時代観だけではないものが、時間の経過とともに強く惹起してしまっている。家族や当事者は、世間体を脇に置き、腹をくくって、他者に相談や支援を求めていくべきだ」
自らも当事者の父親である同会の奥山雅久理事長は、こう切実に訴えた。
印象的だったのは、厚労省研究班班長として「引きこもり」新ガイドラインを作成した国立国際医療センター国府台病院診療部長の齊藤万比古(かずひこ)氏の基調講演だ。
新ガイドラインは、引きこもりの定義について、≪様々な要因の結果、社会的参加を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって、家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象≫と記しているが、齊藤氏は「他者と交わらなければ、夜中にコンビニへ行って、立ち読みして帰ってくるのは、引きこもりの中の行動と考えてもいい」と解説。
「引きこもりは、統合失調症によって家にとどまっている状態を除外して定義しているが、診断するときまでは、除外されているのかどうかわからないことを常に意識しながら支援しなければならない」と強調している。
また、何度も紹介しているように、内閣府は今年7月、引きこもり70万人、予備軍155万人と推計した。この内閣府のデータに対し、厚労省研究班の齊藤氏が「少し疑問に思う」と、控え目なトーンで異論を唱えたのは興味深い。
齊藤氏によれば、厚労省の引きこもりの推計は、日本でできる精一杯の疫学調査で行った結果が25万5000世帯だったと強調する。
「この推計は世帯数ですから、人数は最低でも25万5000人以上になります。しかも、お宅にいらっしゃいますか?と聞かれて、いませんと答えた回答者もいたでしょうから、人数はもう少し増えるでしょう。でも、10倍にも5倍にもならないのではないでしょうか」
このように、内閣府の調査結果を受け、2月のシンポジウムで発表したときよりも、若干修正、補足するような形で、かなりわかりやすく丁寧に説明するシーンがたびたび見られた。
そして、内閣府の調査で「ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」などと答えた約23万6000人の「狭義の引きこもり」が、「我々が支援を緊急に必要としている」25万5000人以上の数と符合するのではないかと付けくわえた。
一方で、「自分の趣味の用事のときだけ外出できる」と答えた約46万人の“準引きこもり”については、「我々はメンタルヘルスの立場から、あまり考えなかった」と説明。
「気持ちがわかる」などの項目に「はい」と答えた親和性のある155万人の“予備軍”については、「あまり信じないほうがいいのではないでしょうか。その気持ちがわかるという項目に○を付けた結果として出てきた。その気持ちがわかると答えた人たちから、引きこもりが出やすいというエビデンスはまったくありません。すべての項目にありませんと回答した人のほうが、もしかしたら危ないかもしれない」と、牽制してみせた。
引きこもりと親和性の高い
パーソナリティの特徴
さらに、≪引きこもりはメンタルヘルスの問題である≫と記した点についても、「DSMやIV、CD-10に含まれるすべての障害概念のどれかが当てはまる可能性を指摘した。精神障害の診断が付いたケースは、精神科が診療するのがベストであるとは限りません。つまり、精神障害としてのある種の特性を持っている人が、すべて精神科で治療できるほど、精神科の能力と一般性は高くない」などと柔軟に解説した。
次のページ>> 発達障害が4分の1を占める現状
95%以上に診断名が付いたことについては、「発達障害が4分の1を占めた」ことに注目。やはり「発達障害は、引きこもりととても縁が深い」として、こう続ける。
「アスペルガー症候群の人が不安障害になったり、ADHD(注意欠陥多動性障害)の人がうつになったりすることがよくある」
中でも、アスペルガー症候群などの引きこもり当事者の中には、「なぜ引きこもりから抜け出さなければならないのかを理解しにくい場合が多い」などと説明する。
また、発達障害も深く関わるパーソナリティ傾向は、人によって持っている種類が様々。聞き覚えのある人も多いに違いない。こうしたパーソナリティの特徴を評価することによって、その人が動きやすいのか、動きにくいのかについても、ある程度の見通しがつくのだという。
例えば、
回避性は、人の前で何かをするのが怖いタイプ。
依存性は、他人に頼らないと生きていけなくて、責任は絶対に負わない。
強迫性は、完全主義者で失敗は認められない。
受動攻撃性は、どうせ何をやっても認められないから何もやらない気持ち。
自己愛性は、自分に自信がないため、無理やり自分はすごいと思い、傷つくことを恐れて引きこもろうとする。
境界性は、虐待を受けた経験者が多く、自分探しをして、これが私だという土台を築くことができなかった。人にしがみつき、自分の思い通りに操作し続けないと、自分が空っぽで無力な価値のない存在に思えてしょうがない。
シゾイド性は、1人でいるのが大好きな人たち。
妄想性は、非常に過敏で被害的。迷信深く魔法のような世界にいる。
こうした人たちのパーソナリティは、引きこもりとの親和性がとても高いという。
引きこもり支援のカギとなる
「3つの次元」への分類とその組み合わせ
さらに、この「狭義の引きこもり」は、3つの次元に分類すると役に立つと指摘。
第1群は、統合失調症、気分障害、不安障害などの精神疾患の診断が付く引きこもりの人で、薬物などの医療的治療の優先が不可欠となる。
第2群は、発達障害の診断名が付く引きこもりの人で、特性に応じた精神療法的アプローチや教育的な支援が必要となる。
第3群は、パーソナリティ障害や、薬では効果のない不安障害、身体表現性障害、同一性の問題などによる引きこもりの人たちで、精神療法やカウンセリングが中心となるという。
次のページ>> 効果的な「自宅訪問治療」とは
そして、引きこもりの支援には、3つの次元を組み合わせることを考える。
第1の次元は、背景にある精神疾患への特異的な支援。
第2の次元は、例えばうつ病の人が引きこもる契機になった環境の整備を行う。
第3の次元は、自立過程の支援を絶対に忘れてならないとしている。
最後に、齊藤氏は、アウトリーチ(自宅訪問)にも注目。ただ、家に行けばいいというものではない。アウトリーチは、タイミングがとても大事だ。しかも、元気よくアウトリーチと称して、出かけていく機関が問題を起こしたりしていることも、これまで経験してきた。
家族は、アウトリーチが万能的な方法ではないことを知った上で、専門機関と話し合わなければならない。万能的な支援を期待すると、本人も家族も傷つくことになる。
アウトリーチによって、引きこもりが解決するわけではない。支援の場まで出て来られるようになることを支援する限定的な方法であることを心得ておくべきだと訴える。
厚労省としては、あくまで支援を必要としている人たちが対象であるという考え方をより明確にした格好だ。
啓発ポスターを貼れば、自殺は減るのか?
国による誤った自殺対策の姿
もう1点、興味深かったのが、「国の明確な方針を踏まえ、引きこもりの抜本的な対策とは?」というテーマで議論されたシンポジウムでの発言だ。
パネリストとして参加した厚生労働委員会委員の初鹿明博衆院議員(民主党)は、
「障害者として認定されないとサービスを受けられない。制度の谷間に陥って、十分な支援を受けられない方が非常に多くいる。引きこもりの方の中で、未受診者も含め、障害者という認定されていない方に対しても、しっかり支援していこうという『総合福祉法』(仮称)の検討を始めた」ことを紹介。日本の精神医療も、重い人を入院させることや外来者への薬物治療中心の対応から、ようやくアウトリーチなどの訪問支援の充実へという方針に変えようという流れが生まれているようだ。
次のページ>> 診療報酬が高くなれば、引きこもり対策になる?
また、事業仕分け人でもある初鹿議員によると、普及啓発予算がカットされる中、民主党政権は来年度、自殺対策に3倍増の予算を付ける方針だったため、ヒヤリングで役所の担当者に「どんなことをされるのですか?」と聞いて驚いた。
「ポスターは今まで作っていたので、今度は電車に吊り広告を乗せます」と答えたという。
「電車の吊り広告に“自殺をやめましょう”と書いて、自殺しなくなると思っているのですか?」
と議員が聞くと、担当者は絶句してしまったというのだ。
この自殺対策には、他のパネリストも「ポスターを貼っても自殺が減らないことは、各国で証明済み。他国の責任者に聞けば、びっくりされます」と苦笑していた。
当たり前の話だが、自殺対策の普及啓発は非常に大事とはいえ、厳しい財源の中で、的確に効果の上がることに税金を使わなければ、意味がない。パネリストからも、政策は思いつきではなく、当事者や家族のニーズに基づき、予算を付けたら、きちんと厳しい評価をすべきだとの意見が出た。
また、コーディネーターから、引きこもりについても、診療報酬が高くなれば、医師は一生懸命になるのではないか?との提案が出されると、会場から拍手が起こった。
初鹿議員は、来年度予算編成の「全省庁1割削減」方針の中で、新しい政策をコンテストする「元気な日本特別枠」が設置された話を披露。インターネット生中継という公開の場で、各省庁の担当者が財務当局にアピールし、優れていた政策から予算を付ける。その中に、今回話題のアウトリーチ事業も入っているという。
今後、家族らは、特別枠の行方に希望を寄せることになりそうだ。
発売中の拙著『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)では、このように、いまの日本という国が、膨大な数の「引きこもり」を輩出し続ける根源的な問いを追い求め、当事者や家族らの語る“壮絶な現場”をリポートしています。ぜひご一読ください。」
「「引きこもり」するオトナたち」の最新記事 バックナンバー一覧第
47回 78歳父が50歳引きこもり息子を撲殺 なぜ父親は我が子を殺さなければならなかったのか (2010.12.02)
第46回 体重は40キログラム以上も増減! 5年間も苦しめられた「地獄の摂食障害」の日々 (2010.11.25)
第45回 内閣府推計70万人、厚労省推計25万5000人? 引きこもり実態調査の謎 (2010.11.18)
第44回 今は「引きこもり」をカミングアウトできる時代? 吹っ切れた人々が赤裸々に話す“どん底の日々” (2010.11.11)
第43回 20年前から「引きこもり」は増え始めていた? "まぶしいバブルの光"に存在を消された人々の今 (2010.11.04)
◇
私の姪っ子も引きこもった。総合失調症という。
近所にもいた。寝起きのジャージを着て、コンビニ買い物に出かけていた。
職場でも仕事をしない社員がいた、・・・私も可能性がなかったとは言えない。
私の恩師(内科医)が講演の度に言っていたこうがあります。
「今後気がおかしくなる人が増える。」「その原因の多くは食によるものだ」
「今の日本人の食が間違っているから、気がおかしくなる。これを何とかしなくてはならない」と言っておられた。
そして先生は「5:1:1:3」食を指導されていました。
5はごはん
1は豆類
1は魚類で小魚・えび等を丸ごと食べる
3は野菜類です。
この5:1:1:3食は今考えるとやっぱりバランスが良かったと思いますが、私はもっと簡単な3:1:2(足立、針谷理論を採用し大切な順から3(ごはん):2(副菜):1(主菜)の順に変えて言っています。
上記記事では引きこもり患者に対する治療法であるが、本来はその予防法の研究がなければならないのではないでしょうか。
例えば野菜を栽培するとしましょう。
種・苗は大切ですが、しかしその土地に栄養(肥料)が無ければ、栄養バランスが悪ければ、野菜は病気になるし丈夫に育ちません。また、育て方も大切です。手入れの仕方によってはおかしくなるのです。
戦後何かがおかしくなってこのような引きこもり草食系と言われる若者が増えていると考えるのです。
戦後変わったものは何でしょう。食事と、家庭のしつけと教育です。親の考え方も大きく変わりました。それとテレビの発達というか反乱です。大宅壮一氏が一億総白痴化に向かわせるとテレビを酷評されましたが、近年はその上にテレビゲーム、ゲーム機が増え、更に携帯電話も出て子供たちの心を蝕んでいます。
実は正しい食事をすることは大きな教育でありしつけなのです。食事でしつけや教育をするというのが食育であるようです。
その食事が教育の場でなくなり食事そのものが子どもを狂わせているのです。
丸山淑夫先生の本に、良い食事と悪い食事の人体実験をした事例の紹介が載っていましたが、悪い食事をした子は凶暴になったそうです。
健康は食にあり
昔の日本の食事は世界の健康食でした。
日本人にとっての正しい食事に戻すことが肝要だと思うのです。
食事は教育の場である、これが食育です。
このブログは、そう言うことも考えて日本人とっての正しい食事を考えています。
我が子を正しく育てないなら正しい食事をすることです。
先ずは「ごはんと一汁三菜」で食卓をそろえましょう。
首相、副菜、主菜は3:2:1の割合で
内閣府推計70万人、厚労省推計25万5000人?引きこもり実態調査の謎2010年11月18日(木)10:30ダイヤモンド・オンライン
「 またも衝撃的な事件が起きた。
毎日新聞11月13日付夕刊によると、秋田市に住む50歳の長男が12日午後、自宅で、78歳の父親に金属バットで殴り殺されたのだ。
長男は、大学を卒業した頃から家に「引きこもり」状態だったという。報道の通りなら、少なくとも彼は25年以上もの長い間、引きこもっていたことになる。「家の恥」と思うあまり、社会から孤立していった家族の長期化、高年齢化の末路を見る思いがする。
この事件の背景については、後日改めて、取材報告したい。
さて、折しも、引きこもり家族会の全国組織であるNPO法人「全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)」の全国大会が、11月13、14日の両日、日本教育会館で行われた。
「発達障害や不安障害などの(引きこもりの)方々の追跡調査によると、大変重度な精神障害に移行してしまっている。これは単なる親の甘やかし、子の甘ったれ、時代観だけではないものが、時間の経過とともに強く惹起してしまっている。家族や当事者は、世間体を脇に置き、腹をくくって、他者に相談や支援を求めていくべきだ」
自らも当事者の父親である同会の奥山雅久理事長は、こう切実に訴えた。
印象的だったのは、厚労省研究班班長として「引きこもり」新ガイドラインを作成した国立国際医療センター国府台病院診療部長の齊藤万比古(かずひこ)氏の基調講演だ。
新ガイドラインは、引きこもりの定義について、≪様々な要因の結果、社会的参加を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって、家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象≫と記しているが、齊藤氏は「他者と交わらなければ、夜中にコンビニへ行って、立ち読みして帰ってくるのは、引きこもりの中の行動と考えてもいい」と解説。
「引きこもりは、統合失調症によって家にとどまっている状態を除外して定義しているが、診断するときまでは、除外されているのかどうかわからないことを常に意識しながら支援しなければならない」と強調している。
また、何度も紹介しているように、内閣府は今年7月、引きこもり70万人、予備軍155万人と推計した。この内閣府のデータに対し、厚労省研究班の齊藤氏が「少し疑問に思う」と、控え目なトーンで異論を唱えたのは興味深い。
齊藤氏によれば、厚労省の引きこもりの推計は、日本でできる精一杯の疫学調査で行った結果が25万5000世帯だったと強調する。
「この推計は世帯数ですから、人数は最低でも25万5000人以上になります。しかも、お宅にいらっしゃいますか?と聞かれて、いませんと答えた回答者もいたでしょうから、人数はもう少し増えるでしょう。でも、10倍にも5倍にもならないのではないでしょうか」
このように、内閣府の調査結果を受け、2月のシンポジウムで発表したときよりも、若干修正、補足するような形で、かなりわかりやすく丁寧に説明するシーンがたびたび見られた。
そして、内閣府の調査で「ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」などと答えた約23万6000人の「狭義の引きこもり」が、「我々が支援を緊急に必要としている」25万5000人以上の数と符合するのではないかと付けくわえた。
一方で、「自分の趣味の用事のときだけ外出できる」と答えた約46万人の“準引きこもり”については、「我々はメンタルヘルスの立場から、あまり考えなかった」と説明。
「気持ちがわかる」などの項目に「はい」と答えた親和性のある155万人の“予備軍”については、「あまり信じないほうがいいのではないでしょうか。その気持ちがわかるという項目に○を付けた結果として出てきた。その気持ちがわかると答えた人たちから、引きこもりが出やすいというエビデンスはまったくありません。すべての項目にありませんと回答した人のほうが、もしかしたら危ないかもしれない」と、牽制してみせた。
引きこもりと親和性の高い
パーソナリティの特徴
さらに、≪引きこもりはメンタルヘルスの問題である≫と記した点についても、「DSMやIV、CD-10に含まれるすべての障害概念のどれかが当てはまる可能性を指摘した。精神障害の診断が付いたケースは、精神科が診療するのがベストであるとは限りません。つまり、精神障害としてのある種の特性を持っている人が、すべて精神科で治療できるほど、精神科の能力と一般性は高くない」などと柔軟に解説した。
次のページ>> 発達障害が4分の1を占める現状
95%以上に診断名が付いたことについては、「発達障害が4分の1を占めた」ことに注目。やはり「発達障害は、引きこもりととても縁が深い」として、こう続ける。
「アスペルガー症候群の人が不安障害になったり、ADHD(注意欠陥多動性障害)の人がうつになったりすることがよくある」
中でも、アスペルガー症候群などの引きこもり当事者の中には、「なぜ引きこもりから抜け出さなければならないのかを理解しにくい場合が多い」などと説明する。
また、発達障害も深く関わるパーソナリティ傾向は、人によって持っている種類が様々。聞き覚えのある人も多いに違いない。こうしたパーソナリティの特徴を評価することによって、その人が動きやすいのか、動きにくいのかについても、ある程度の見通しがつくのだという。
例えば、
回避性は、人の前で何かをするのが怖いタイプ。
依存性は、他人に頼らないと生きていけなくて、責任は絶対に負わない。
強迫性は、完全主義者で失敗は認められない。
受動攻撃性は、どうせ何をやっても認められないから何もやらない気持ち。
自己愛性は、自分に自信がないため、無理やり自分はすごいと思い、傷つくことを恐れて引きこもろうとする。
境界性は、虐待を受けた経験者が多く、自分探しをして、これが私だという土台を築くことができなかった。人にしがみつき、自分の思い通りに操作し続けないと、自分が空っぽで無力な価値のない存在に思えてしょうがない。
シゾイド性は、1人でいるのが大好きな人たち。
妄想性は、非常に過敏で被害的。迷信深く魔法のような世界にいる。
こうした人たちのパーソナリティは、引きこもりとの親和性がとても高いという。
引きこもり支援のカギとなる
「3つの次元」への分類とその組み合わせ
さらに、この「狭義の引きこもり」は、3つの次元に分類すると役に立つと指摘。
第1群は、統合失調症、気分障害、不安障害などの精神疾患の診断が付く引きこもりの人で、薬物などの医療的治療の優先が不可欠となる。
第2群は、発達障害の診断名が付く引きこもりの人で、特性に応じた精神療法的アプローチや教育的な支援が必要となる。
第3群は、パーソナリティ障害や、薬では効果のない不安障害、身体表現性障害、同一性の問題などによる引きこもりの人たちで、精神療法やカウンセリングが中心となるという。
次のページ>> 効果的な「自宅訪問治療」とは
そして、引きこもりの支援には、3つの次元を組み合わせることを考える。
第1の次元は、背景にある精神疾患への特異的な支援。
第2の次元は、例えばうつ病の人が引きこもる契機になった環境の整備を行う。
第3の次元は、自立過程の支援を絶対に忘れてならないとしている。
最後に、齊藤氏は、アウトリーチ(自宅訪問)にも注目。ただ、家に行けばいいというものではない。アウトリーチは、タイミングがとても大事だ。しかも、元気よくアウトリーチと称して、出かけていく機関が問題を起こしたりしていることも、これまで経験してきた。
家族は、アウトリーチが万能的な方法ではないことを知った上で、専門機関と話し合わなければならない。万能的な支援を期待すると、本人も家族も傷つくことになる。
アウトリーチによって、引きこもりが解決するわけではない。支援の場まで出て来られるようになることを支援する限定的な方法であることを心得ておくべきだと訴える。
厚労省としては、あくまで支援を必要としている人たちが対象であるという考え方をより明確にした格好だ。
啓発ポスターを貼れば、自殺は減るのか?
国による誤った自殺対策の姿
もう1点、興味深かったのが、「国の明確な方針を踏まえ、引きこもりの抜本的な対策とは?」というテーマで議論されたシンポジウムでの発言だ。
パネリストとして参加した厚生労働委員会委員の初鹿明博衆院議員(民主党)は、
「障害者として認定されないとサービスを受けられない。制度の谷間に陥って、十分な支援を受けられない方が非常に多くいる。引きこもりの方の中で、未受診者も含め、障害者という認定されていない方に対しても、しっかり支援していこうという『総合福祉法』(仮称)の検討を始めた」ことを紹介。日本の精神医療も、重い人を入院させることや外来者への薬物治療中心の対応から、ようやくアウトリーチなどの訪問支援の充実へという方針に変えようという流れが生まれているようだ。
次のページ>> 診療報酬が高くなれば、引きこもり対策になる?
また、事業仕分け人でもある初鹿議員によると、普及啓発予算がカットされる中、民主党政権は来年度、自殺対策に3倍増の予算を付ける方針だったため、ヒヤリングで役所の担当者に「どんなことをされるのですか?」と聞いて驚いた。
「ポスターは今まで作っていたので、今度は電車に吊り広告を乗せます」と答えたという。
「電車の吊り広告に“自殺をやめましょう”と書いて、自殺しなくなると思っているのですか?」
と議員が聞くと、担当者は絶句してしまったというのだ。
この自殺対策には、他のパネリストも「ポスターを貼っても自殺が減らないことは、各国で証明済み。他国の責任者に聞けば、びっくりされます」と苦笑していた。
当たり前の話だが、自殺対策の普及啓発は非常に大事とはいえ、厳しい財源の中で、的確に効果の上がることに税金を使わなければ、意味がない。パネリストからも、政策は思いつきではなく、当事者や家族のニーズに基づき、予算を付けたら、きちんと厳しい評価をすべきだとの意見が出た。
また、コーディネーターから、引きこもりについても、診療報酬が高くなれば、医師は一生懸命になるのではないか?との提案が出されると、会場から拍手が起こった。
初鹿議員は、来年度予算編成の「全省庁1割削減」方針の中で、新しい政策をコンテストする「元気な日本特別枠」が設置された話を披露。インターネット生中継という公開の場で、各省庁の担当者が財務当局にアピールし、優れていた政策から予算を付ける。その中に、今回話題のアウトリーチ事業も入っているという。
今後、家族らは、特別枠の行方に希望を寄せることになりそうだ。
発売中の拙著『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)では、このように、いまの日本という国が、膨大な数の「引きこもり」を輩出し続ける根源的な問いを追い求め、当事者や家族らの語る“壮絶な現場”をリポートしています。ぜひご一読ください。」
「「引きこもり」するオトナたち」の最新記事 バックナンバー一覧第
47回 78歳父が50歳引きこもり息子を撲殺 なぜ父親は我が子を殺さなければならなかったのか (2010.12.02)
第46回 体重は40キログラム以上も増減! 5年間も苦しめられた「地獄の摂食障害」の日々 (2010.11.25)
第45回 内閣府推計70万人、厚労省推計25万5000人? 引きこもり実態調査の謎 (2010.11.18)
第44回 今は「引きこもり」をカミングアウトできる時代? 吹っ切れた人々が赤裸々に話す“どん底の日々” (2010.11.11)
第43回 20年前から「引きこもり」は増え始めていた? "まぶしいバブルの光"に存在を消された人々の今 (2010.11.04)
◇
私の姪っ子も引きこもった。総合失調症という。
近所にもいた。寝起きのジャージを着て、コンビニ買い物に出かけていた。
職場でも仕事をしない社員がいた、・・・私も可能性がなかったとは言えない。
私の恩師(内科医)が講演の度に言っていたこうがあります。
「今後気がおかしくなる人が増える。」「その原因の多くは食によるものだ」
「今の日本人の食が間違っているから、気がおかしくなる。これを何とかしなくてはならない」と言っておられた。
そして先生は「5:1:1:3」食を指導されていました。
5はごはん
1は豆類
1は魚類で小魚・えび等を丸ごと食べる
3は野菜類です。
この5:1:1:3食は今考えるとやっぱりバランスが良かったと思いますが、私はもっと簡単な3:1:2(足立、針谷理論を採用し大切な順から3(ごはん):2(副菜):1(主菜)の順に変えて言っています。
上記記事では引きこもり患者に対する治療法であるが、本来はその予防法の研究がなければならないのではないでしょうか。
例えば野菜を栽培するとしましょう。
種・苗は大切ですが、しかしその土地に栄養(肥料)が無ければ、栄養バランスが悪ければ、野菜は病気になるし丈夫に育ちません。また、育て方も大切です。手入れの仕方によってはおかしくなるのです。
戦後何かがおかしくなってこのような引きこもり草食系と言われる若者が増えていると考えるのです。
戦後変わったものは何でしょう。食事と、家庭のしつけと教育です。親の考え方も大きく変わりました。それとテレビの発達というか反乱です。大宅壮一氏が一億総白痴化に向かわせるとテレビを酷評されましたが、近年はその上にテレビゲーム、ゲーム機が増え、更に携帯電話も出て子供たちの心を蝕んでいます。
実は正しい食事をすることは大きな教育でありしつけなのです。食事でしつけや教育をするというのが食育であるようです。
その食事が教育の場でなくなり食事そのものが子どもを狂わせているのです。
丸山淑夫先生の本に、良い食事と悪い食事の人体実験をした事例の紹介が載っていましたが、悪い食事をした子は凶暴になったそうです。
健康は食にあり
昔の日本の食事は世界の健康食でした。
日本人にとっての正しい食事に戻すことが肝要だと思うのです。
食事は教育の場である、これが食育です。
このブログは、そう言うことも考えて日本人とっての正しい食事を考えています。
我が子を正しく育てないなら正しい食事をすることです。
先ずは「ごはんと一汁三菜」で食卓をそろえましょう。
首相、副菜、主菜は3:2:1の割合で
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