やっぱり「家めしこそ最高のごちそう」だ
【特別対談】冨田ただすけ×佐々木俊尚
- 2014/6/26 6:30
【冨田さん】(以下【冨】) 『家めしこそ、最高のごちそうである。』を読みました。佐々木さんは、毎日ごはんをご自分で作られているんですね。IT(情報技術)ジャーナリストとして多忙な毎日を過ごされ、ツイッターのフォロワーが20万人もいらっしゃって、料理の時間を捻出するのは大変ではないですか。
【佐々木さん】(以下【佐】) いえいえ、僕の日常はごくシンプルなんですよ。朝6時に起きてメールチェックとネットでの情報収集。ツイッターでその日気になった記事を20本ほど上げたら、スポーツジムへ行って体を動かし、帰宅後に妻と自分のブランチを作って洗い物をし、昼頃から仕事。取材や講演がない日は自宅で作業し、遅くとも19時には仕事を終えて晩ごはん作り。食事が済んだら風呂に入って22時には寝てしまいます。
執筆の最中、「冷蔵庫に何が残っていたかな……」なんて考えるのが、気分転換にもなるんです。冨田さんが運営するレシピサイト「白ごはんドットコム」も今後参考にさせてもらいます。料理の手順の数が少ないのがいいですね。
【冨】 はい、そこはこだわっているところです。家の料理は毎日のことだから、続けるためにも面倒でないことは大切だと思っています。
【佐】 「白ごはんドットコム」のユーザーは若い人が中心ですか。
【冨】 そうですね。ただ最近アクセスを解析したら、実は佐々木さんと同じ50代の方が意外に多いと分かり、驚いたんです。
■50代は“非”家めし世代
【佐】 それ、納得するなあ。僕、1961年生まれの53歳なんですが、僕らの世代って「家でまともなごはんを食べてこなかった」っていう人、多いんですよ。
【編集部】 まさに『おとなのOFF』読者のど真ん中。おいしいモノ好きが多いんですけれど。
【佐】 80年代後半のバブル時代に、会社の接待費で高いめしを存分に食べて美食に目覚めてしまった最後の世代ですからね(笑)。一方で、僕らが子供の頃、家庭にインスタント食品や化学調味料がどっと入ってきて、戦前からの和食文化が途絶えてしまった。高校生のときに食べた母親の料理って、「ひき肉をいためて缶詰のミートソースと煮込んだスパゲティ」とか「冷凍ミックスベジタブルといためたチャーハン」ですから。おふくろの味と思っていた味噌汁のだしが、化学調味料だったと後で知ったり(笑)。
【冨】 佐々木さんたち世代が働き盛りの30代後半を過ごした90年代は、コンビニが急速に広がり始めた時期でもありますしね。
【佐】 だけど50代に突入して、いいかげん、そんな食事に胃もたれしてきたわけです(笑)。高級フレンチでも手軽なコンビニ食でもなく、家でごく普通のおいしいものを作って食べたいという「家めし欲求」が高まっていると思います。
家めしへの目覚めは断食体験
【冨】 佐々木さんの“家めし歴”はどれくらいですか。
【佐】 若い頃から料理は好きでしたが、本格的に毎日料理をするようになったのは十数年前からですね。新聞記者をしていた1998年に脳腫瘍が見つかり、以後数年は病気のオンパレード。長年の激務と不摂生のつけです。先輩に「社会部記者の平均寿命は63歳だ」って聞かされてゾゾーッとして、さすがに何とかしなければならないと思っていた頃、妻に付き合って断食道場に行ったんです。
【編集部】 断食をすると、味覚が一新されるといいますね。
【佐】 ええ。断食は味覚を実に鋭敏にする貴重な体験でした。素材の持つ豊饒(ほうじょう)な味を鮮烈に感じることができたんです。この体験をきっかけに、野菜中心の薄味の食を志向するようになりました。素材の味を生かした、シンプルで健康的な料理を毎日食べるには、自分で料理するのが一番だなと。
【冨】 よく分かります。僕は、総菜販売の会社や食品メーカーで製造や商品開発に携わってきましたが、総菜や加工食品は一口食べておいしいと感じさせるために、どうしても濃い味つけになってしまう。
【佐】 そういう強い味は後を引くから、食べ過ぎちゃうんだよね。
【冨】 総菜が濃い味つけになるのは、調理してから食べてもらうまでに時間がかかるため、「食感」や「香り」が損なわれてしまうから。つまり、作ってすぐに食べる家のごはんは、食感や薬味などの香りでアクセントをつけ、薄味でも十分においしいと感じられる料理にできる。自分にとってちょうどいい分量、塩分、栄養が取れるようコントロールできるんです。さまざまな食の仕事を経験してきた結果、「家ごはんに一番メリットがある」と感じたことがレシピサイトを立ち上げるきっかけになりました。
【佐】 そう。家めしはおいしくて経済的で健康的で、さらに自分で自分の体や生活をコントロールできるようになるのが大きなメリット。今の世の中はいろんなことが不確実で将来が予測できない。だからこそ、自分の生活の基本となる食くらい、自分で構築できるようでありたい。家めしは今の時代に最も適した食スタイルだと思います。
■だしと米にだけはこだわる
【冨】 毎日家めしを作っている佐々木さん流のコツってありますか。
【佐】 ネットで調べたレシピを参考にもしますが、自分の頭でロジカルにメニューを考えるのも好きなんです。例えば、中華料理店で食べる酢豚に入っているパイナップル、好きですか。
【冨】 (苦笑)
【佐】 今イチだと思っている人が多いのに、なぜ酢豚にパイナップルが入っているのか。おいしくない要素を考えることから独自にレシピのアップデートを試みるんです。
【冨】 佐々木さんらしい。
【佐】 酢豚の場合の結論は、缶詰のパイナップルがまずいのではないかと。中国の酢豚の作り方を調べると、豚肉を揚げて黒酢、砂糖、オイスターソースであえているだけ。ならばそれに生のパイナップルを入れたらどうか、などと考えていく。完成した酢豚は友人から「酢豚2.0」と命名されました(笑)。
料理の世界の常識でも、不必要だと思ったらどんどん省くのもコツ。例えば、僕がパスタをゆでるときに塩は入れません。だって後から調味するのに不要でしょう。週末だけ気合を入れて作る「男の料理」と違って毎日の家めしは、面倒な手順があると絶対に続かない。
【冨】 逆に、これだけは手を抜かないということは何ですか。
【佐】 だしですね。昆布とかつおぶしで取っています。冨田さんは。
【冨】 僕も全く同じ。だしです。きちんと取った天然だしの味は、脂の乗ったおいしい肉にも負けない満足感や幸福感を与えてくれます。
【編集部】 だしを取るかつおぶしにこだわりはありますか。
【冨】 スーパーなどで売っているごく普通のものですよ。実は、削り器で削っていたこともありましたが、1週間で挫折しました(笑)。
【佐】 あまりこだわりすぎないのが現代の「家めし」ですからね。ほかにこだわっているのは、玄米を買って家で精米して炊くこと。
【冨】 精米したての米で炊くと、ごはんの味ががらっと変わりますね。ご自宅に精米機があるんですか。
【佐】 小さい精米機ですけれど、十分使えますよ。健康のために普段は5分づきにしています。
【編集部】 調理道具にこだわりはありますか。
【佐】 道具は何でもいいと思っています。100円ショップで売っているフライパンや安い包丁だって、十分使えますよ。
【冨】 僕も特別な調理道具は使わないですね。
【編集部】 調味料はどうでしょう……。
【冨】 塩と砂糖はごく一般的なものを使っています。でも、しょうゆ、みりん、お酢など発酵調味料は違いが出やすい。例えば、みりん風調味料と本みりんとでは、料理の出来が全く違う。スーパーに売っているもののなかから、ちょっとだけいいものを選ぶようにしています。
【佐】 僕も同じ。ちょっと高くても、外で買ったり食べたりするよりは、全然安いしね。
■ひとり家めしに「目玉焼き丼」
【冨】 ところで、佐々木さんは普段は奥さんと2人で食事をされているそうですが、1人のときは何を作りますか。
【佐】 いつも以上にシンプルな料理になるかな。豆腐を水切りしてしょうゆをかけるだけ、なんてこともある。それでも十分おいしい。
【冨】 確かに人には出さないけれど、自分にとっては最高においしい料理ってありますね。僕が1人のときによく作るのが「目玉焼き丼」。
【佐】 目玉焼き丼、うまそう……。
【冨】 『おとなのOFF』世代のサラリーマン家庭で、平日夜に家族そろって食卓を囲むのはなかなか難しい。1人でも家めしを楽しむなら、さっと作れて一品でごちそうになるどんぶりは最適だと思います。佐々木さんもどんぶりは作りますか。
【佐】 モロヘイヤを載せたネバネバ丼とか、生シラス丼とか作りますよ。先日は長野で食べたソースカツ丼を再現してみました。どんぶりはたいていシンプルな手順で作られているから、再現もしやすい。家めし入門者にもお薦めですね。
(構成・文 柿本礼子)
(日経おとなのOFF特別編集『夜遅く帰った日も、すぐ作れる おとなのひとり家ごはん』の記事を基に再構成)
[参考]日経おとなのOFF特別編集『夜遅く帰った日も、すぐ作れる おとなのひとり家ごはん』(2014年6月18日発売)は、料理研究家・冨田ただすけさんのオリジナル家ごはんレシピを、ごはんもの、どんぶり、汁もの、おかず、ごはんの友の5ジャンルに分け、たっぷり詰め込んだ1冊。疲れて帰った日でも気軽に作れ、体も喜ぶ、技ありレシピが満載。
【写真左】佐々木俊尚、作家・ジャーナリスト。1961年、兵庫県生まれ。1988年に毎日新聞社に入社し、社会部記者として警視庁捜査一課などを担当。1999年にアスキーに転籍し、現在はフリージャーナリストとしてIT・メディア分野を中心に執筆。仕事の傍ら、妻と自身の食事を毎日作っており、その料理哲学などを収めた著書『簡単、なのに美味い! 家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)が話題
【写真右】冨田ただすけ、料理研究家。1980年、山口県生まれ。愛知県在住。大学卒業後、総菜の製造・販売会社に勤務し、調理師専門学校を経て、日本料理店で修業。その後、食品メーカーで商品開発職に就く傍ら、2008年から和食のレシピサイト「白ごはん.com」の運営を開始。1日当たり約10万ページビューの人気サイトとなり、2013年から雑誌『AERA』で連載をするなど料理研究家として本格的に活動を開始。近著に『家族の顔を見ながら、毎日ごはんを食べたいと思った。』(リベラル社)
(写真 中本浩平、以下同)
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1.私は子どもには食事教育をすべきだと考えています。それは、古代では食事をすることが生きて行くことにつながるのです。
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親は子にどこで食事を獲得するのかを教えなければならないのです。それが分業化し、食事絵を売ることは他のサービスを提供して物々交換や貨幣を得て食糧を売る奉納に変わりましたが、その食糧を得た後、どの様に食べるのかを教えなければならないのです。そういうことが食事教育が食育であるべきと考えます。東京の松鶴5年生が、食育の授業で、牧場に行って乳牛を見て乳を搾って、バターやチーズの作り方を習って、牛乳を飲んで、多くの児童は牛の排泄物の含まれている菌でおう吐や下痢をして、学年休校が発生しましたが、そう言う食育はわたしはしょくいくに10%(2)も満たない授業と考えます。
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2.食事とは何か、良い食事とは何か、食の原理原則とは何かを考える必要がある他考えます。
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食には原則があると考えます。
それを思いつくままに並べますと、
(1) 住んでいる地域での近くでとれるものを食べる。(身土不二の原則)
(2) 長年食べてきたものを食べる。(継続食の原則)
(3) 先祖が食べてきたものを食べる。(先祖食の原則、日本では和食)
(4) 栄養バランスを良くする。(バランスの原則)
(5) 経済性を考える。(経済性の原則)
(6) 食性を考える。(食性の原則、人は穀物食)
(7) 安全性を考える。(安全性の原則)
(8) ハレの食とケの食(日常の食事)があり、ケの食事を大切にすべきであ る。(日常食の原則)(マスコミは晴れの食のみを取り上げている。月に1 ~2度は晴れに食良いのです。毎日になってはいけないのです。これが糖尿 病増加になっているのです。)
(9) 旬のものを食べる。(旬の原則)
(10)体質に合ったものを食べる。(体質の原則)
(11)食で何が重要かを考えて食する。(重要性の原則))
(12)主食は自給できる物でなければならない。(自給の原則)
こう言う食の原則をどう考えられますか、この食に原則から日本人には日本人に合った食事が有りフランス人にはフランス人に合う食事があると言えるのです。
ですから日本人が欧米食をすることや牛乳を飲むことは体質の合わない人が多いのです。
また、食事について
食育とは食事教育出在るべきだと考え、その食事とは
(1)食事の目的は何か
生きるため、健康のため、楽しむため、親睦のため、とういろいろあるが
日常食が重要でこれを主体に教えるべきと考えます。楽しみのフランス料理はあってもいいのです。しかし、それを日本人は日常食としてはいけないのです。
(2)何が食べられ、何を食べてはいけないのか、という食べ物の基本の知識
毒キノコ、ふぐの肝、農薬、食品添加物使用品、砂糖、塩、脂肪、
(3)食べられる物の中で何を食べるのか
主食はごはん、地産地消、野菜、栄養バランス、60種以上と言われるビタミン・ミネラル、旬のものを食べる
(4)経済的なものは何か(健全性)(自給と価格高、輸入か自給率向上か)
高くても国内産、健康によいもの等、大きな目で見た経済性、
(5)安全なもの、危険なものは何か(安全性)
残留農薬、ポストハーベスト、食品添加物、砂糖の過剰、塩の過剰、脂肪過多食品
(6)いつ食べるのか
1日三食、朝ごはんは大切、早寝早起き朝ごはん。
(7)食卓の揃え方(栄養バランスの良い食事とは)
一汁三菜、主食副菜主菜は3:2:1。少なくとも一汁一菜は確保を。
主役のごはんを忘れずに。
(8)費用は日常食はコストが安いもの、しかし、粗食(簡便食、手抜き料理、有り合わせ)であってはいけない。だから輸入に頼るのは腐敗防止、害虫防止策が必要になります。
外国に頼っていると食は何時でも輸出してくれるとは限らないのです。不況になったら外貨を稼げなくなり、命に関わる食糧も手に入れられなくなるのです。ですからこのことを十分経験している国は費用をかけても農業を大切にし自給率の向上を図っているのです。今安いからと飛びつくのはダンピングで自国の農業を破壊し、自国の滅亡につながるのです。結局は高くつくのです。
(9)作り方
料理法、(おいしく、新鮮なものを)
(10)どのように食べるのか
エチケット、マナー、
(11)どれくらい食べるのか
必要カロリーは性別年齢、仕事量で異なる。1日1800キロカロリーとすると、
600mlの弁当箱、主食、副菜、主菜の割合は3:2:1でおよそ600キロカロリーなのでこれを三食間食なしで。間食したら食事を抑えるか、運動をする。
腹7分で
(12)誰と食べるのか家族団らんで、みんなと同じものを(好き嫌い無く)、
(13)良く噛むことが大切。
ごはん一口30回は噛みましょう。
(14)何処で食べるのか
家庭で、
(15)何処で手に入れるのか外国製品を買うか、地産地消か。
外食、コンビニ・スーパーでインスタント食品。手料理か
(16)食品の知識
生産収穫方法、栄養素、
・・・・・・
こう言う食事教育は本来家庭で教えるべき事ですが、この家庭の食の教育が破壊されてるのが日本の食の現状です。
食事の教育は本来家庭でなされてきました。日本人には近年この食事教育が成されていないと考えます。
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