水産庁は6月10日午後から東京都内(ウェブ併催)で7月に富山市で開かれるWCPFC(中西部太平洋まぐろ委員会)北小委員会に向けた太平洋クロマグロの新たな資源評価の方法(MSE)と対応について説明会を開き、約200人の参加者と質疑応答を行なった。
福田工審議官が挨拶し「クロマグロ資源は着実に回復しているが、WCPFCで新たな資源評価の方式が採用され、来月富山市で開催される北小委員会に向け、関係者の意見を聞きたい」と述べ、水産研究・教育機構水産資源研究所の福田漠生主任研究員がMSE(資源戦略評価)について説明し、WCPFCのISC(科学者委員会)で2019年から研究され、今年4月に作業を終了した。MSEは「資源管理のシミュレーションパッケージで、フライトシミュレーションに例えられる」とし、将来の不確定性を考慮し、資源評価が間違っていた場合への対応として資源量の変化に応じてTACを計算することできる。漁獲制御ルールとして8つHCRに絞り込まれているが、漁獲量と資源の安全性がトレードオフの関係にあるため、中西部太平洋はどのHCRでも大型魚は増加するが、小型魚は減少する見込みにある。
水産庁は、現状の増枠と管理措置はWCPFCとIATTC(全米熱帯まぐろ類委員会)との合同会議で合意されたもので、今後の増枠への課題として①新たな管理方針による漁獲枠決定(MSE導入)、②監視取締措置の強化、③漁獲証明制度の導入をあげた。MSEに基づく管理では自動的にTACが決まり、今後3年間は固定されるとし、WCPFCとIATTCで漁獲インパクトに対する考えが異なり、両者の議論が対立することが想定される。
今後のスケジュールでは7月9日から富山市でWCPFC北小委員会とIATTC合同作業部会、同14、15の両日から北小委員会を開催する。9月にはIATTCの年次会合、12月にはWCPFCの年次会合が開かれる予定。
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