御用納めの日(12月28日)になんとか間に合いました。
災害のない1年、明るい展望が開ける申年に
12月18日に2015年度の補正予算が閣議決定され、水産分野ではロシア水域でのサケ・マス流し網禁止に伴う緊急対策、そしてTPP交渉合意による国内生産の影響緩和と輸出促進を図る緊急対策が盛り込まれました。新しい事業の詳細は必ずしも明らかではなく、新年開かれる説明会などを通じて長短が問われることになりそうだ。
補正予算とは別に早急な実施が待たれる「国際減船対策」は、中型船19隻、小型船20隻が対象になるが、漁具・資材などの経費補償をどの程度見てくれるのか、現場との綱引きがあるという。年明けには何らかの交付金が船主たちの手元に入らないと、仕込み先への支払いが停滞するとの心配も。減船するサケ・マス漁船は大半がサンマ棒受け網を兼業しており、公海でのサンマ操業や日本200海里内でのサバ棒受け網などへの代替漁業に移行する支援も予算化されました。同時に多くの船は、ロシア水域ではえ縄などへの漁法転換でサケ・マスを沖獲りしたいと希望しており、その動向も新年注目されます。
12月24日には2016年度の当初予算が閣議決定され、景気を重視した15ヶ月予算という印象もあったが、実際は公共事業などが削減され、関係者には失望も聞かれました。水産基盤整備のうち、漁場整備の土木工事を担当する関係団体では「補正+当初で比較すると、2016年度は前年の実質8割程度にとどまる」という見方をしています。
さて新年号では北海道の行政と業界のトップによる『新春座談会』を行いましたが、話の中心は稀に見る激動の年だった2015年を振り返り、資源管理と担い手対策をキイワードにした2016年を展望するものとなりました。
水産の世界は大きな節目を迎えていることは間違いのない事実です。生産量が減少し、水産物の消費が減っています。TPPにより輸入食品の関税が下がり、肉と魚の対決は深刻な影響も考えられます。ホタテや秋サケなど北海道の主要魚種は軒並み減産で、魚価が急上昇し、製品高による消費後退を招いています。輸出が主導する魚価高はいつまで続くのか、中国の景気後退は水産にも大きな影を落としています。地場食品を扱うローカルスーパーの活性化によって沿岸漁業の魚が円滑に消費者に供給される、というビジョンも語る識者もいます。
漁獲量を削減するだけ、あるいはTAC魚種をどんどん増やすだけでは、資源は回復しません。つくり育てる漁業の再構築を通じて資源を維持増大させる。そして漁業者の理解と現場の実態に合わせた資源管理を行う。こういった智恵を生かす形で政策形成が進まないと、落とし穴にはまる可能性もあります。申年は頭が使ったスマートな対応、半面で地道な努力(泥かまし=田植え)が必要になるでしょう。
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