降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★新聞を、活版時代こう組んでいた(20)

2014年08月07日 | 新聞

【 8月5日付の続きです。前文は、同日付を見てね!】

● 降版時間まで6分だぞ!=とある夜、とある新聞社の製作局大組み

僕たち整理が出した「降版OK」用紙が乗ったままのハンコ(*1)が、紙型どりプレスのところには渋滞している。
(整理部は「降版OK」を出してしまえば、製作局フロアから編集局に上がってしまう)
3機ある紙型どりプレス機はフル回転、次から次と処理していた。本当は避けるべき「集中降版」だけど、シューターでトラブルがあったから仕方ない。

❶バシャーンッ
(台車から大組みハンコをプレス機に移した音)

❷コン・コン・コン・コン
(油汚れなどきれいに拭かれたハンコを木づち状のもので調整するため軽く叩く音=写真は組み版大組み終了時のコン・コン・コン作業)

❸ジロー、ジローリ、ジロー、ジロジロジロリ
(印刷局の紙型どりスタッフが、ハンコを下から上から斜めから前後左右から注視して、金属片など異物がないか確認している〝音〟)

❹プシューーー!プッ!プッ!プシューーー!
(紙型スタッフが機械を作動させ、紙型をつくる柔らかい紙を、ハンコの上にセットした音)

❺プシューーーーーーーーーーーーーン!
(機械の上部から圧力をかけて、紙型をつくる音。
紙型どりは1980年代後半まで行われていたが、
環境対策・経費削減のため、輪転は凸輪から軽量刷版印刷になった。
それに伴い、ネガフィルムをつくるための清刷り製作に変わった)

という単純な音が聞こえていた。
この紙型どり作業は印刷局の管轄(*2)なので、製作局デスクは自分たちの手が離れたから、ただ見ているだけだった。
(だからかしらん、同じ製作局フロアにいて仕事をしながら、製作局工員と印刷局工員が話しているのを、僕はほとんど見た覚えがない。
たしか、製作局と印刷局は組合も違っていた記憶がある)。
................長くなったので、続く。

次回は「降版時間まで6分」前で時計の針をちょっと止めて、
活版組み版時代、僕たち「整理部を支えてくれた人たち」を書き遺しておかねば。

(*1)ハンコ
鉛活字は、印鑑と同じ左右逆の〝鏡文字〟。印鑑→ハンコの意。
僕も、整理部入り立てのころ、
「なんのこっちゃ?」
だったけど、先輩整理や大組み工員の方たちが、そう呼ぶので分かってきた。
小ゲラ(棒ゲラ)も大組みした版も、同じように呼んだ。

(*2)紙型どりは印刷局の管轄
新聞社によって異なるが、活版組み版時代、
▽鋳植・文選・植字・小組み・大組み→製作局の管轄
▽紙型どり→印刷局管轄
で、同じフロアで仕事をしていた。
活版組み終了後、1990年代から始まったCTS(コンピューター編集・組み版)では、当然この紙型どり工程はなくなり、
ネガフィルムがサテライト印刷センターに自動配信されるようになった。