絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

デッサン力

2012-11-06 | 絵のこと
麓原展で、「あなたはデッサン力がない」と言われたことについて考えている。

その先生の意図することはなんだろう。

私が麓原展に出品したのは、人物画である。それを審査委員長の中村先生は、「みなさん菅野君の描いた人物を見てください。
人物画を描く人は、ぜひ参考にしてもらいたい絵です。人物は難しいので、かなりのデッサン力がないとあのような絵は描けません。」と審査講評で話されたそうです。

中村先生は、私がデッサン力があると、みなさんにお話しされました。

K先生とは、全く逆の言葉です。

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実は私は、美大には行っていません。
国立大学の教育学部の美術専攻です。
だから、ある意味、美大へ行っている人に対して、デッサンにおいては劣等感を持っていました。
ただ1浪をして実技については、予備校の冬期講習に行っただけですが、そこではコンクールで1位を取りました。
また、我々の偉大なる古川先生からは、お前は本庄高校の美術部の卒業生の中では、デッサン力は二番目にうまい。と言われました。芸大受験を何年も浪人している数々の先輩たちがいる中で、そのように言われました。だから、美大には行かなかったけれど、それらの経験で、自分はある程度デッサン力はあるものと思っていました。

そして、長い年月美術に関わってきましたが、デッサン力がないと言われたのは、今回が初めてでした。

どちらかと言えば、デッサンは上手いと言われ続けてきたので、今回の事は、ある意味衝撃的でした。

まともに、正面切って、「あなたはデッサン力はない」と言われたのです。

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本当にそう思っても、普通は言わない言葉です。

この先生は、私を試そうとしているのでしょうか。
こういう刺激を与えて、私がどのように出るのかを見ているのでしょうか。
ならば、その手に乗ってはいけない気がします。

ただ、こういう場合の私は、いつの日か「あなたには参った、あなたは凄い人なんですね」と言わせてやるぞと思うのです。

しかし、それまでK先生が丈夫で生きていてくれなければ困りますが。

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少し、違う話をします。
K先生は、「あなたは、ゴッホやアンリルソーをどう思う?」と言われました。
私は、「二人とも素人ですね」と答えました。
すごいことを言ってしまったと思いますが、行きがかり上、言わざるを得ませんでした。

すると先生は、「上手い下手と、良い悪いは違うんだよ」と言いました。

それは、私が20年以上も生徒たちの前で話してきたことです。
いまさら、なんだというような話です。

しかし、それをわかっていないような話を私にしました。

私がOさんにデッサンを指導していると言った時の先生の反応は、教えるどころじゃないだろということですから、
デッサンの狂いを感じるという私の言葉は、ただ写真のように正確に描くことを良いことと考えて、狂いを直してやろうとしていると受け取ったのだと思います。
そういう意味は確かにあります。

Oさんについては、初め絵を見せられた時に、「私は教えることはありませんから、どうぞ自分でやってください」と言いました。しかし、Oさんは、それでも良いのですが、どうも自分は本当のしっかりした基礎デッサンが分かってないんじゃないかという気がする。だからときどき県展に落とされたりするんじゃないか。もしできるなら基礎からきちんと学んでみたいということで私に相談に来たのです。

確かに教えていると、いろいろデッサンでわかっていないことがあることを発見しました。
色についてもデッサンがあります。色のデッサンという言い方をしています。

それで、形の狂いを指摘することが多くなりました。輪郭線の問題もあります。

ただ、写真に近づけることを指導しているつもりはありません。
絵を教えているつもりです。

ただ、K先生のいう良い作品を生み出すためのデッサンとは、普通に見える物を見える通りに近づけて描くことではないと考えると、そこは難しい問題になります。
では、どうすればいいのか。
それが分からない癖に人に教えたりするなということでしょうか。

そして、もっと言えば、ゴッホやルソーの良さを出すには、写真に近づけて描くようなデッサンをしないほうがいい。
それは、そのセンスを潰すことになる。というようなことでしょうか。

そうなると、正確に描写するようなデッサンの勉強は、却ってマイナスになると言われたような気がしました。

私の考えは、ピカソの歩んだ道です。しっかりした描写力を付けた上で、自己変革し、自分独自の作品を作り出して行くという道です。そのしっかりした描写力を付けることが、良い作品を生み出すことの妨げにはならないと考えています。

K先生はその辺が違うのかもしれません。それが妨げになり、良い物を潰してしまうと考えるのでしょうか。

ならば、それは、見解の相違ですから、後は実戦で照明する以外にありません。
ただ、ピカソの例があります。
ピカソは、子供みたいに描くのは、一生かかったと言ったそうです。
あんな上手いデッサンを描けるようにならなければ良かったと言ったのでしょうか。
その辺は知りません。
描ける人が言うと、描けるから言えるんだと思う人もいますね。

では、K先生の「あなたはデッサン力がない」ということは、?

単に上手い下手のデッサン力ではなく、良い作品を生み出すためのデッサン力とでも言うのでしょうか?

そうなると、あるともないとも簡単には言えなくなります。作品で勝負でしょうか?





















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