絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

透明水彩と不透明水彩

2013-09-20 | 絵のこと
私が教えている水彩画について、よくある質問は、「これは透明水彩絵具なんですか?」
というものです。

それは、見た感じが透明水彩という感じがしないからです。
言い換えると、水で薄めてにじませた、軽い水遊び的なものではないからです。

油絵と比べても全く見劣りしない立派な密度のある絵画になっているからです。

「絵具は何を使っているのですか?ガッシュですか」とも訊かれます。

答えは、透明水彩絵具です。すると、みんな驚きます。

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水彩絵具は、顔料という色の粉に、アラビアゴムを混ぜて作ります。
透明水彩絵具とガッシュの違いは、アラビアゴムの量が違うだけで、全く同じものです。

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透明と不透明ということを考えると、色を塗っても下の色が透けて見えるのが透明。下の色が見えなくなるのが不透明です。

実は、油絵具にも透明なものがあります。

私は絵を描くのに、なぜ透明に描くのか理解できません。
世の中のものは、そんなに透明にできていません。
多くの物は不透明です。

手前にあるものが後ろの物を隠して、後ろの物が見えないということがほとんです。
リアリティを求めるなら、透明は嘘です。ガラスのようなもので向こう側が透けて見えるとき透明に描くのです。

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しかし、透明水彩絵具でも不透明に描くことができます。
それは、白を使うことです。
白を混ぜると不透明になります。

また、絵の具会社が、中間色を作ってくれていますが、透明水彩絵具となっていてもチューブから出したそのままが不透明になっている絵具もあります。アラビアゴムの量で分けているからでしょう。

描いた結果が透明になるか不透明になるかは、やりながら習得してください。
白だって、水をたくさん含ませれば、薄くなりますから下の色が見える状態にもなります。

絵具の粘り具合、水の量によって、透明にも不透明にもなるのです。

緑の草原に白い花が咲いているとき、緑を塗った上に白い色を点で打つと、描いた時はよく見えても、時間とともに薄くなってしまいます。
それを我々は、色が食われると言います。食われないためには、水の量を減らして、極端に言えば水を混ぜないで、チューブから出したそのままを着けるように描きます。
下の色の乾き具合にもよりますので、食われるときは、しっかり乾いてから、水を少なくした白を塗ると良いでしょう。

こんな細かい技法について、親切に描いていったら、紙がいくらあっても書き切れません。

水彩画の技法の本を読むと、白を使うなと書いてあるものがあるそうです。
白は紙の白さを使うというのです。
先ほどの白い花を描くには、その部分を始めから考えて、色を塗らないで残すということだと思います。

それは、不合理というのです。
神業をつかえという感じですね。
あとから、もう少し花を増やしたいと思ってもできませんね。
それでは、不自由です。

しかし、その方法では、白い紙にしか描けません。紙は色紙もあります。極端に言えば、黒い紙にも絵は描けるのです。
印象派の画家は、黄土色のボール紙にも描いていますね。

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絵の具会社が白という色を水彩画絵具として作っているのは、絵を描くときに使うからです。
白を使うなというのは、薄塗の水遊び的に描くには、使わない方法があるということなので、水彩画は白を使わないというのは嘘です。

灰色は、白と黒を混ぜて作ります。彩度を落としたい時は、灰色を混ぜるのです。
だから、白は必ず使います。明るい色にしたいときも、もちろん白を混ぜます。それが合理的です。

紙の白を生かして、薄塗にすれば、明るい色になるというのが技法所に書かれた内容です。
それでは、透け透け絵画です。

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因みに黒も使うなと教えられたと言っている人もいました。

それは、黒を使うのが下手な人が多く、汚くするからです。特に子供には、黒を使わせると、真っ黒にしてしまうので、
使わせない方が、良いと考える大人が多いのです。

使い方なのです。

しかし、プロ級の話をするなら、印象派の画家は黒を使わないで絵を描きました。
それは、サロンに出された絵が黒い絵ばかりだったからです。
影には黒を使うということが当たり前になっていて、先生もそう教え、サロンもそうしないと入選しないということがあったためです。
ハイレベルな画家の絵は、黒を使っていてもおかしくないのですが、その他大勢の画家たちは、自然の風景を描くにも、とにかく黒を使いすぎました。それで、反発したのが、印象派だったわけです。

だから、黒を使わないでも、良い絵が描けることを示しました。

しかし、ルノワールなどは、それじゃあ不自由だと感じたのか、印象派を抜けてしまいます。
マネのように、黒をしっかりと生かした絵を描く画家もいました。黒はダイヤモンドの色だと言っています。
黒としての美しさを示したのです。

黒を使ってはいけないなどということはないのです。印象派は、黒を使わないで良い絵がかけることを示したということにすぎません。

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透明不透明の話をするには、この白と黒の色の問題に入り込みますね。

では、結論は、透明水彩絵具で不透明に描くことができるということを知ってください。
その方法は、簡単なのは白を混ぜる。白と混ざっている絵具を使う。
水の量を少なくする。

そうすれば、不透明に描けます。

どうしても不透明にならないときは、ガッシュを使ってください。

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最後にもう一言

私はすべてを不透明に描けと言っているわけではありません。
水彩絵具を使っていて、初めに塗った爽やかな色は、ごたごた塗った後では、出せない感じがあります。
あれは、下の紙の白さがあるから出るさわやかさかもしれません。
そこだけは、一発で塗った状態を生かして、その部分をごたごた塗らないで仕上げるということも考えています。

だから、透明と不透明の技法を上手く使えるようにして、それを一つの絵の中で展開するのが良いと思っています。


































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