絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

絵のサインについて

2010-05-17 | 絵のこと
先日、ある人と話をしていて、驚いたことがありました。

それは、絵のサインについてです。

その人の絵を見たら、サインがはっきり見えるのです。かなり丁寧に、デザインでもしたかのように、もしくは写真に文字を印刷したようにと言った方がいいかなと思うくらいに、はっきりと書いてありました。

私は、絵と合わないと思いました。

すると、その方は、同じ絵画グループの人から、「私はサインは大きく目立つように入れろ」と教えられたと言っていました。だから、小さめに入れた時、もっと大きく赤で入れろと言われたとか。

緑の多い夏の風景に赤やオレンジでサインを描けば、目立ちます。

私はそれを聞いて呆れました。常識外です。

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知らないならともかく、こんなことを教えたり、勧めたりする人がいるということに腹が立ちました。

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サインについて、考えた時、それが絵の一部になって、カッコいいなあと思ったのは、ビュッフェです。あれは、サインと絵が同化していて、絵の一部になっています。

また、私の先生である古川先生の絵もサインが絵になっています。ぽかんと空いた空間に見事な存在感で、サインがあるために絵がしまっています。

サインが目立ってカッコいいなあと思える作品は、このお二人には感じます。

後は、サインの目立つ絵で、いいなあと思ったことはありません。
大抵は、よせよといいたくなるものばかりです。特に素人がそれをすると、馬鹿丸出しという感じがします。品がない感じがするのです。
ましてや、馬鹿でかく、派手に目立たせるなどは、愚の骨頂です。

ピカソはサインについて、ある時期自分の作品にサインを描かない時期がありました。
それは、洞窟壁画でも古代の絵でもサインなんかない。サインがなくても良いものは良いと言いました。ピカソの絵だと言えば、凄いと言われるのも心外だ、作品そのものを見てくれという意味でした。

私も、絵を売るときはサインを描きますが、それ以外はあまりサインを入れません。サインを入れるということは、完成を意味すると思っています。まだ描くのだからサインはいれられないということが多いです。人に手渡すので、もう筆が入れられないという状況のときにしかたなくサインを入れるという感じです。
また、クロッキーなどはサインを入れます。それは、10分間で終わりという自分で決めたルールがあるからです。それ以上はモデルの都合もあるから描けないということなので、それで終わりという意味でサインをいれるのです。それは、日記的な意味もあります。この日に描いたということを記しておくためです。

結論は、サインは仕方なく入れる。最低限分かればいいというくらいに控えめに入れる方がカッコいい。はっきり入れるときは、それが絵にマッチしてそれがあるために、更に作品が良く見えるという状態になるように入れる。私はそう考えています。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (O生)
2010-05-17 19:36:07
サインが下手なな場合、頭文字のT・Oだけでは駄目ですか?
サインの代わりに刻印はどうでしょうか?
 ネット仲間展での先生のコメントがとても勉強になります。
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O生さん (pikaso)
2010-05-17 20:09:12
コメントありがとうございます。
サインは、自分の作品であることがわかればよいので、頭文字だけでも良いと思います。
刻印とは、書道などで使う落款みたいなものですか?日本画では使いますが、洋画ではあまり見ませんね。
ネット仲間展で、絵の批評的な感想を述べることがありますが、実はかなり控えています。
私は構図など直ぐに言いたくなってしまうので、なるべく良い点を指摘して抑えるようにしています。みなさんそのようにしているようですから。
指導を求めてこられたら、はっきり言いますがそれ以外は、本当に控えます。
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Unknown (40年前)
2010-05-17 21:40:48
久しぶりのコメントになります (^o^)今日のサインについての お話はとても 面白く参考になりました 私は もっぱら鑑賞するだけの 素人ですが 絵を鑑賞する楽しみがひとつ 増えたような 気がします ちょうど 昨夜日曜美術館で 小倉遊亀さんの作品について 紹介しておりましたが なんて 美しいサインを 書かれる方かと感じていた所この ブログを読んで これから 画家のサインも興味深く楽しみたいと思いました 時々のぞかせていただいております (^-^)/~~
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40年前さま (pikaso)
2010-05-17 22:02:52
お久しぶりですね。元気ですか?
こんなことでも興味を持っていただいて有難うございます。
書道の作品を見るときも、その人の本当の力は名前でわかりますね。メインの字は先生のお手本を写すから上手ですが、その端に自分の名前が書いてあると、それだけやけに下手だなというケースがあります。そう思ったことはありませんか。だから、その名前が最も神経を使わなければならないのです。
絵の場合は書かなければならないわけではありません。しかし、書くなら本当に神経を使った方が良いと思います。
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Unknown (40年前)
2010-05-17 22:42:29
数年前に 古美術の鑑定士の講演会に 行きましたが 掛け軸の真贋を見極めるとき サインにその姿が現れると 解説されていました 真贋は ともかく ビュッフェの話 ピカソのくだりには なるほどなあと 興味深く解説してくださり 本当に第一高校の生徒さんは 授業が楽しかったでしょうね
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40年前さま (pikaso)
2010-05-17 23:00:22
そうですね、生徒たちは美術史1000問を暗記させられましたから、相当な知識が入っていますね。忘れても、一度聞いたことがあるということは、大きいですよね。美術史の話を聞く度に私の顔を思い浮かべているでしょう。
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お久しぶりです (和美)
2010-05-19 03:03:37
菅野さんのブログは思いつく事が多くて、書き込みたいことが色々あって、でも面倒でつい足が遠のいています。変な言い訳ですが。

ビュッフェのサインはわたしも子供のとき気づいて、良いなーと思っていました。下手なサインをすると絵全体が下手に見えることがありますね。

アクリルは、わたしのように薄く塗っていると、サインをやり直ししているうちに絵が剥げてしまうので厄介です。
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和美さま (pikaso)
2010-05-19 09:16:48
コメントありがとうございます。
いろいろ考えるヒントがありますか?
サインも大切にしたいですよね。私は、サインを入れるなら、サインにも品が必要だと思います。
まあ、作品を引き立てるとか、作品に合っていればいいですけどね。
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