絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

構図について

2010-09-14 | 絵のこと
構図について、コメントでご質問を受けたので、少し書いてみます。

私が構図の勉強をしたのは、生徒に教えながらでした。
部員が60人以上いて、その一人一人に構図の指導をしているうちに、これはダメ、これは良いという判断を何千回何万回やったでしょうか。

これをやっていれば、嫌でも構図の良い悪いが分かってきます。

私は、生徒に理解させるために、なぜこれは構図が悪いのか、なぜこれは良いのか、その都度理由を説明してきたのです。だから、そういう訓練の結果、自分なりの構図の理論が出来上がっていきました。

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前置きは、このくらいにして、

1、主役脇役の設定

まず、構図で考えることは、主役脇役の設定です。

舞台はあるけれど、役者がいないねと話すことがあります。
ポイントがないのです。その場合、いくら舞台がよく描けてもダメですね。

何が言いたいのか分からない絵になってしまいます。

主役と脇役の関係は、主役が目立たなければなりません。
脇役が主役を負かしてしまったらダメなのです。

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2、縦絵か横絵か

縦絵は縦の流れ、横絵は横の流れが必要です。
なぜ、縦に描くのか?なぜ横に描くのか?それが理に叶っていない絵は変な絵です。
構図を考えるとき、そのことも重要な要素です。

言い換えると、この場所は横で描くべきか縦に描くべきかと考えることが必要なのです。

人物を描く場合でも、横に描いた方が良いポーズがあります。


3、視覚力学

こんな言葉があるかどうかわかりません。私が勝手に言っている言葉です。
絵を見る場合、一瞬のうちに視点がいろいろ動きます。
まず、主役のポイントに目が行くことが良いと私は考えます。
次に脇役に目が移りますが、その目立つ順番があると思います。
見ているうちにいろいろなものに、目が止まります。そして一通り目が移り終わると、全体の絵の価値が確定していきます。この視点の動きを私は視覚力学と言っています。
その目の動きが気持ちが良い時、この絵はバランスが良いと思います。
一方ばかりに目の止まる所が集中して、他に動かない時は、バランスが悪いと感じます。

このバランスの良さが構図が良い悪いに関わります。

4、ハーモニー

絵の全体の雰囲気、色味、空間感などが調和が取れていると、絵が落ち着きます。
その場合、ハーモニーが良いと言います。このハーモニーも絵の価値観としては大切です。
調和が外れていると、せっかく他の要素が良くても構図が良いと感じません。

5、リズム

バランスが良くて、ハーモニーが整っていても、部分を見つめた時に、リズム感がないとつならない絵になることがあります。私はこのリズムが大切だと思います。絵を単調にならないようにするための要素です。

6、アクセント

これは、主役と脇役に必要です。主役はやはり一番強いアクセントになってほしいです。
それが、絵のインパクトになると思います。脇役にもそれなりにアクセントが必要です。
しかし、主役より強くならないように注意してください。

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構図を考えるとき、以上のようなことが大きな公式でしょうか。

絵を抽象的に見るには、これらの要素で見ると良いでしょう。これがわかると抽象画も構図で見られるようになります。

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具象絵画の場合は、置かれているものの、関係で自然さとか理屈に合う合わないなどのことも重要です。これらについては、具体的に一つ一つの作品で考えていかないと語りにくいですね。

ざっと、答えるならこのようなことです。

生徒たちは、常に、具体例で指導されています。だからこれらのことを体系的に理解していません。ただ、言われることは、バランスが悪いとか、この辺のリズム感が良くないねとか、ですから、今述べてきたことを言われている訳です。

具体例は、私が教えた高校生の絵を見てください。
一年生の絵以外は、ほとんど私が構図の指導をしています。私が描いてもいいよと判断した絵です。生徒は私の合格をもらえるまで、構図をやりなおします。だから、三年生になると、かなりの構成力をつけています。三年生になると私が何もアドバイスをしなくても、一発で合格になる生徒もたくさんいました。

コメントに対する説明として書いてみました。




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私の趣味は、写真 (通りすがり)
2010-09-15 12:04:32
私の趣味は、写真を撮り、ブログ更新する事です。(ど素人)
『写真を撮るにも構図を考えて撮るべき』って写真家さんに聞きました。
真似はできませんけど、写真家さんや、他のブロガーさんが載せている写真で良いと思う撮り方を参考にして撮ってきました。
(でも、『自分は、これが撮りたかった』って、見てくれた人に伝わった時は嬉しいです。
絵でも、”自分は、これが描きたかった”って、主張できるんですかね?
例えば、この人、花瓶が上手に描けてるけど、一番見てほしい所なのかな~って見るより、構図がしっかり考えられてるなァ~って、見た方が良いなら、見る側も構図を知ってた方が、絵を見る時、面白くなるんでしょうか・・・
コメントしながら言いたい事が言えて無いかもしれません
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通りすがり様 (pikaso)
2010-09-15 16:42:19
写真(芸術写真)こそ構図が大切だと思います。
ただ、写真として芸術作品にする場合と、伝達手段として分かりやすく示す場合とでは、違うと思います。
花瓶が主役の絵なら、花瓶が良く見えるように構図が考えられているといいですね。
主役が花瓶に挿してある花なら、花より花瓶が目立ってはダメでしょうね。

私が最近作った静物画の構図の研究というDVDをご覧いただけると、詳しくわかります。

このことは、長い文章になりますので、またブログの記事として書いてみます。

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