Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「銀の枝」ローズマリー・サトクリフ著(猪熊葉子訳)岩波書店

2007-05-28 | 児童書・ヤングアダルト
「銀の枝」ローズマリー・サトクリフ著(猪熊葉子訳)岩波書店を読みました。
時はカロシウス皇帝の治世のブリテン。
軍医ジャスティンはいとこの百人隊長フラビウス・アクイラとともに皇帝に仕えていました。偶然に皇帝の側近の裏切り行為を知り申し立てをしたところ、逆に左遷されることに。
新しい勤務先でジャスティンとアクイラは再び裏切りの証拠をつかみ、皇帝の元に向かおうとしますが、皇帝は暗殺された後でした。
新しい皇帝はサクソン軍をひきいれ、争いが絶えないブリテン。
新しい皇帝に反する者たちを助け、一軍団を築くふたり。
そして偶然彼らは家の床下から失われた軍団のワシの旗印を見つけます。
(このワシについては前作「第九軍団のワシ」に詳しくあります)
それをシンボルとし、ふたりと軍団はブリテンのために戦いにのぞみます。

題名の「銀の枝」は、カロシウス皇帝の犬クーレン(道化師)が操る銀のリンゴの楽器のこと。
全体的に裏切りと戦争という血なまぐさい物語を、このリンゴの音色が澄んだ不思議な空気を運んできてくれます。
槍のエビカトス、元カロシウス皇帝の秘書ポウリヌス、さまざまな男たちが繰り広げる戦いの物語です。