Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「ポストオフィスマニア」森井ユカ著(講談社)

2007-05-02 | エッセイ・実用書・その他
「ポストオフィスマニア」森井ユカ著(講談社)を読みました。
各国郵便事情をめぐるヨーロッパツアーの写真集。
おしゃれな雑貨がそろうフィンランド、合理的でデザインが素敵なスウェーデン、切手が美しいイギリス、黄色い集配車が鮮やかなフランス、整然としたポストオフィスのスイス、ポストマンに惚れるオランダ。
おまけに中国、USAなどのグッズも紹介。
どの国もちょっとしたパッケージがかわいくて何か送りたくなります。
日本もぜひ見習って欲しい!

「月ノ石」トンマーゾ・ランドルフィ著(中山エツコ訳)河出書房新社

2007-05-02 | 外国の作家
「月ノ石」トンマーゾ・ランドルフィ著(中山エツコ訳)河出書房新社を読みました。
休暇に郷里の村を訪れた、大学生で詩人でもあるジョヴァンカルロ。
彼は、山羊の足をした美しい娘に出会い、彼女を通して自然の神秘に触れていきます。月と山羊と死者たちが、邪魔をするジョヴァンカルロの恋。
怪異と神秘が田園を包む美しい小説です。

彼女のどこまでが人間で、どこまでが山羊か月明かりの下で見極める青年。
それは半獣半人のグロテスクさよりは、エロティックさをかもし出します。
「毛は縁のところでやや浮き立って目立つようで、女性のからだの部分を、まるで皮毛に覆われた外皮を半分だけむいた果物の、白い果実でもあるかのように見せていた」

自分の曽祖父を知っている死者との暗闇の中での会話、グルーの歌う哀歌、そして目覚め。イタリア流真夏の夜の夢のような幻想的な作品です。