「夜の樹」トルーマン・カポーティ著(川本三郎訳)新潮社を読みました。
9篇から成る短編集で、孤独や不安を描いた都会を舞台にした作品と、カポーティの子供時代の思い出をもとにした心あたたまる作品とが、バランスよく収められています。
収録作品は表題作のほか「ミリアム」「夢を売る女」「最後の扉を閉めて」「無頭の鷹」「誕生日の子どもたち」「銀の壜」「ぼくにだって言いぶんがある」「感謝祭のお客」です。
特に私が印象的だったのはカポーティの19歳の時の作品「ミリアム」。
ひとり暮らしの老女ミセス・ミラーはある日映画館で銀髪の不思議な少女に出会います。
彼女の名前は自分と同じ「ミリアム」。
少女は数日後突然ミセス・ミラーの家を訪れます。少女を嫌悪しながらいいなりになってしまう主人公。
彼女は実在するのか?
最後、自分を取り戻したかに思えたミセス・ミラーの部屋が震え、波打つ場面は本当に恐ろしい。
自分がこわれていく瞬間はこんなものか、と思わされます。
この短編集に収められている何篇かは村上春樹さん訳「誕生日の子どもたち」でも楽しめます。
たとえば「感謝祭のお客」ではスックの台詞が川本さん訳では「わざとひどいことをすること」となっており、村上さん訳では「企まれた残酷さ」となっています。読み比べてみるのも楽しいです。
ちなみに村上春樹さんのデビュー作「風の歌をきけ」は、この短編集に収められている「最後の扉を閉めて」の最後の行「何も考えまい。ただ風のことだけを考えていよう」からとられたそうです。
9篇から成る短編集で、孤独や不安を描いた都会を舞台にした作品と、カポーティの子供時代の思い出をもとにした心あたたまる作品とが、バランスよく収められています。
収録作品は表題作のほか「ミリアム」「夢を売る女」「最後の扉を閉めて」「無頭の鷹」「誕生日の子どもたち」「銀の壜」「ぼくにだって言いぶんがある」「感謝祭のお客」です。
特に私が印象的だったのはカポーティの19歳の時の作品「ミリアム」。
ひとり暮らしの老女ミセス・ミラーはある日映画館で銀髪の不思議な少女に出会います。
彼女の名前は自分と同じ「ミリアム」。
少女は数日後突然ミセス・ミラーの家を訪れます。少女を嫌悪しながらいいなりになってしまう主人公。
彼女は実在するのか?
最後、自分を取り戻したかに思えたミセス・ミラーの部屋が震え、波打つ場面は本当に恐ろしい。
自分がこわれていく瞬間はこんなものか、と思わされます。
この短編集に収められている何篇かは村上春樹さん訳「誕生日の子どもたち」でも楽しめます。
たとえば「感謝祭のお客」ではスックの台詞が川本さん訳では「わざとひどいことをすること」となっており、村上さん訳では「企まれた残酷さ」となっています。読み比べてみるのも楽しいです。
ちなみに村上春樹さんのデビュー作「風の歌をきけ」は、この短編集に収められている「最後の扉を閉めて」の最後の行「何も考えまい。ただ風のことだけを考えていよう」からとられたそうです。