Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「わたしたちが孤児だったころ」カズオ・イシグロ著(入江真佐子訳)早川書房

2007-04-11 | 外国の作家
「わたしたちが孤児だったころ」カズオ・イシグロ著(入江真佐子訳)早川書房を読みました。
アヘン取り引きに絡んでいたイギリス人ビジネスマンの父親が上海の自宅から突然姿を消しました。
当時9歳のクリストファー・バンクスは友だちのアキラと父親を探す探偵ごっこに夢中になります。次いで母親までもが行方不明となり、クリストファーは、イギリスへ送られることになります。
2つの世界大戦に挟まれた時代を彼はそこで過ごし、やがて本物の探偵になります。そしてついに上海に戻ったクリストファーは懸命に記憶をたどり、両親の失踪の調査に乗り出します。

クリストファーが子供の時に思い描いていた夢(アキラと一緒に父親と母親を苦労して助け、表彰される)が見当違いのものでありながら、周囲が否応なく巻き込まれていく様子が丹念に描かれています。
子供の時に見て(見せられて?)、描いていた世界と現実の世界は違う。
父母の失踪の真相を知ったときのクリストファーの苦い思い。

自分の夢は憧れていたほどいいものではないらしい
自分の父、母も未熟な人間なのだ
世界は暴力に満ちあふれている

誰もが大人になる過程で感じる思い。
子供のときもっていた明るい世界観が崩れる時、私たちはみんな世界を(親を)失い、切実に追い求める孤児なのだと思いました。

「村上かるた うさぎおいしーフランス人」村上春樹著(文藝春秋)

2007-04-11 | 村上春樹
「村上かるた うさぎおいしーフランス人」村上春樹著(文藝春秋)を読みました。
「あ」から「わ」までぐるり脱力かるた一周、さらに二周。
「飼い犬に手を握られた」など笑える108篇とミニエッセイ。
安西水丸さんのカラーイラスト、4コマ漫画付き。
「またたび浴びたタマ」「夜のくもざる」のような「へんてこな何か」シリーズ。

表題はこのあと「うさぎおいしーフランス人 子豚釣り師 かの川」と続きます?
私が一番おかしかったのは、裸踊りのジュリア・ロバーツ。
「♪右出してほい、ほーら、左で隠して、見えません。」とか、村上さんいまやアメリカでも大人気の小説家なのにこんなこと書いてだいじょぶなんか~?
しかしこれはやっぱりジュリアしかないでしょう。
キャメロン・ディアスやアンジョリーナ・ジョリーじゃはまらないもの。

あと「ゾンビだぞん」もなんかおかしくて好きだなー。

「はと麦畑でつかまえて」のホールデンや「ねこマーロウ」も登場します!

「「村上春樹」を聴く。」小西慶太著(阪急コミュニケーションズ)

2007-04-11 | 村上春樹
「「村上春樹」を聴く。」小西慶太著(阪急コミュニケーションズ)を読みました。
村上春樹さんの作品に登場する全楽曲とアーティストを解説した辞書のような本。作中に登場する印象的な12曲をオリジナルのギターアレンジしたCDも収録。

【CD収録曲】
1.カリフォルニア・ガールズ (風の歌を聴け)
2.ホワイト・クリスマス (羊をめぐる冒険)
3.オン・ア・スロウ・ボート・トゥ・チャイナ(中国行きのスローボート)
4.イパネマの娘(カンガルー日和)
5.激しい雨 (世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド)
6.ノルウェイの森 (ノルウェイの森)
7.ダンス・ダンス・ダンス(ダンス・ダンス・ダンス)
8.国境の南(国境の南、太陽の西)
9.泥棒かささぎ序曲(ねじまき鳥クロニクル)
10.K.476 歌曲「すみれ」(スプートニクの恋人)
11.ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調「大公」(海辺のカフカ)
12.ファイブスポット・アフターダーク (アフターダーク)

実はこういう「村上春樹さんの関連本」というのは好きではないのだけれど、CDにつられて買ってしまいました。
でもギター曲にアレンジされているので歌詞もないし原曲とはだいぶ雰囲気が違うなあと思いました・・・。