「アラバマ物語」ハーパー・リー著(菊池重三郎訳)暮らしの手帳社を読みました。
アラバマ州の小さな町で婦女暴力事件が起こります。
被疑者として捕らえられた黒人のトム。トムの弁護を引き受けた弁護士・アティカスは町の人々につらく当たられながらも、法廷で戦い続けます。
アティカスの姿を、彼の二人の子供・スカウトとジェムの目をとおして描かれています。黒人差別を扱った作品ですが、子供たちの視線から描かれているので、重苦しさはなく読めます。61年度のピュリッツァ賞を受賞した作品。
63年には映画化されゲーリー・クーパーが主演男優賞を受賞。
最近でも2003年にアメリカ映画協会が発表した「映画の中の最大のヒーローとは」というアンケートで、インディ・ジョーンズや、ジェームズ・ボンド、スーパーマンなどを抑えてこのアティカスが1位に選ばれたというから、日本ではあまりなじみがありませんが、アメリカではとてもポピュラーな作品なのでしょうね。
原題は『To Kill A Mockingbird』。Mockingbirdとはほかの鳥のマネをするマネシツグミのことで、作中では「Mockingbirdはただ歌っているだけだ。面白半分に銃で殺してはいけないよ」とアティカスが子供たちに諭す、その姿と、
白人たちが自らの偏見で無実の黒人を死に至らしめる姿が重なります。
ハーパー・リーはトルーマン・カポーティの幼馴染。
「アラバマ物語」では、スカウトの初恋の相手で、空想癖のある少年ディルのモデルがカポーティだそうです。
逆にカポーティの「遠い声遠い部屋」に登場する少女アイダベルはリーがモデルだとか。
60年代中頃に、リーはカポーティと一緒に小説『冷血』の取材助手として旅行しており、カポーティは同作品を彼女に献呈しています。
最近DVD化された映画「カポーティ」の中にもハーパー・リーが登場。
映画の中ではカポーティは「アラバマ物語」を「騒ぐほどの出来じゃない」と一蹴していますが、いや、私にはとても面白い作品でした。
子供たちの目を通して語られる南部の生活。
家にとじこもり何年も姿を現さないブー・ラッドリー。
お金はないけれど物で返し、人に借りは作らないカニンガム。
飲んだくれて子供を学校にも行かせないユーイル。
庭づくりを愛し、ちゃめっけたっぷりのモーディさん。
悪態をつき嫌われ者だけれど、誇りは失わないデュボーズ婆さん。
そして子供たちへの愛情と、人間への深い洞察、偏見を憎む正義感と勇気をもつアティカス。
法廷でのアティカスの決死の弁護と、陪審員たちの偏見との大きな溝。
自分が陪審員になったとき、自身の偏見に惑わされずに審議できるのか・・・最近日本でも始まった裁判制度についても考えてしまいました。
裁判の後のアティカスのユーイルへの変わらぬ態度についても敬服。
差別の問題って難しい。人の痛みに鈍感にならない自分でいたい。
アラバマ州の小さな町で婦女暴力事件が起こります。
被疑者として捕らえられた黒人のトム。トムの弁護を引き受けた弁護士・アティカスは町の人々につらく当たられながらも、法廷で戦い続けます。
アティカスの姿を、彼の二人の子供・スカウトとジェムの目をとおして描かれています。黒人差別を扱った作品ですが、子供たちの視線から描かれているので、重苦しさはなく読めます。61年度のピュリッツァ賞を受賞した作品。
63年には映画化されゲーリー・クーパーが主演男優賞を受賞。
最近でも2003年にアメリカ映画協会が発表した「映画の中の最大のヒーローとは」というアンケートで、インディ・ジョーンズや、ジェームズ・ボンド、スーパーマンなどを抑えてこのアティカスが1位に選ばれたというから、日本ではあまりなじみがありませんが、アメリカではとてもポピュラーな作品なのでしょうね。
原題は『To Kill A Mockingbird』。Mockingbirdとはほかの鳥のマネをするマネシツグミのことで、作中では「Mockingbirdはただ歌っているだけだ。面白半分に銃で殺してはいけないよ」とアティカスが子供たちに諭す、その姿と、
白人たちが自らの偏見で無実の黒人を死に至らしめる姿が重なります。
ハーパー・リーはトルーマン・カポーティの幼馴染。
「アラバマ物語」では、スカウトの初恋の相手で、空想癖のある少年ディルのモデルがカポーティだそうです。
逆にカポーティの「遠い声遠い部屋」に登場する少女アイダベルはリーがモデルだとか。
60年代中頃に、リーはカポーティと一緒に小説『冷血』の取材助手として旅行しており、カポーティは同作品を彼女に献呈しています。
最近DVD化された映画「カポーティ」の中にもハーパー・リーが登場。
映画の中ではカポーティは「アラバマ物語」を「騒ぐほどの出来じゃない」と一蹴していますが、いや、私にはとても面白い作品でした。
子供たちの目を通して語られる南部の生活。
家にとじこもり何年も姿を現さないブー・ラッドリー。
お金はないけれど物で返し、人に借りは作らないカニンガム。
飲んだくれて子供を学校にも行かせないユーイル。
庭づくりを愛し、ちゃめっけたっぷりのモーディさん。
悪態をつき嫌われ者だけれど、誇りは失わないデュボーズ婆さん。
そして子供たちへの愛情と、人間への深い洞察、偏見を憎む正義感と勇気をもつアティカス。
法廷でのアティカスの決死の弁護と、陪審員たちの偏見との大きな溝。
自分が陪審員になったとき、自身の偏見に惑わされずに審議できるのか・・・最近日本でも始まった裁判制度についても考えてしまいました。
裁判の後のアティカスのユーイルへの変わらぬ態度についても敬服。
差別の問題って難しい。人の痛みに鈍感にならない自分でいたい。