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日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「王妃マルゴ(上・下)」A・デュマ著(榊原晃三訳)河出書房新社

2007-04-25 | 外国の作家
「王妃マルゴ(上・下)」A・デュマ著(榊原晃三訳)河出書房新社を読みました。
抵抗するユグノー(プロテスタント)派との融和政策として、国王(カトリック派)の妹マルゴはユグノーの頭領ナヴァール王に嫁ぐことになります。
国王側は、この婚儀に参列するため地方からパリに集まったユグノー派貴族たちの殱滅をはかります。歴史に名高い聖バルテルミーの虐殺です。
愛のない結婚ではありますが、マルゴは夫のよき味方として、王妃の義務を尽くすことになります。
一方、自身の血筋で王家を保っていくために、ナヴァール王の暗殺を図る母后カトリーヌ・ド・メディシス。
マルゴとユグノー派の貴族ラ・モルとの愛。
ラ・モルとココナスとの熱い友情とその結末。
史実にもとづきながらも、デュマの奔放な空想力で波瀾万丈の展開を見せる歴史ロマン小説です。

マルゴ王妃と、ラ・モルとの恋愛模様にどきどきしました。
マルゴの親友であるアンリエットとココナス伯爵との恋愛もからめ、二組の恋愛を描きながら、王家をめぐる陰謀が絡んでいきます。
現国王シャルル、次男アンジュー公、三男アランソン公、そしてもっとも王位から遠く思われるナヴァール王。
ナヴァール王が知能と本能で誰に働きかけ、どう危機を切り抜けていくかが見もの。
そしてカトリーヌ・ド・メディシスは王家の血筋を守るためなら毒薬、陰謀、殺人なんのその。王宮中の部屋のマスターキーをもち、結婚した娘の部屋でも国王の部屋でも(!)勝手に入るわ、秘密ののぞき穴から盗み聞きするわ・・・。恐ろしい。
最後はドラマチックな展開でしたが、せつなかったな・・・。

私は学生時代日本史専攻で、世界史の知識は本当に恥ずかしいくらい無いのですが、そのおかげで(?)「本当にこんなことがあったの?この先どうなるの?」とどきどきしながら読みました。デュマパパすごい!