「軽い手荷物の旅」トーベ・ヤンソン著(富原眞弓訳)筑摩書房を読みました。
ムーミンシリーズで知られるヤンソンが描く大人のための短編集。
木の絵が型押ししてある装丁が素敵です。
「八十歳の誕生日」の中で語られる、客の言葉が印象的。
「ほんとうに肝心なのは欲求を感じるということだ。あったりなかったりするからね。最初は放っといてもあるもんだ。そのときはわからず無駄づかいする。そのあとさ、こいつは大事にしなけりゃと思うのは」
「見知らぬ街」も面白かったです。
飛行場で帽子をなくす老人。疲れ果て遺失物の部屋で適当にとった帽子。
その後タクシーに乗る段になってホテルの名前を忘れたことに気づき、結局その見知らぬ人の帽子に書かれた住所に連れて行ってもらう話。
「エデンの園」のスミスの言葉もよかったです。
「あなたのような人にとっていやだというのはむずかしいのよね、わかるわ。
でもあなたたちには見識(イデー)がない。だれひとり首尾一貫した見識(イデー)というものをもっていない。あなたたちはアルコールと感情を水で薄める。わかってないのよ、ただひとつの、手応えのある、薄められていない見識(イデー)というものをね」
「体育教師の死」では、優雅なインテリアに心を砕き去勢された庭を愛でるニコルと、森を大事に思うフローの対決がみものでした。
ムーミンシリーズで知られるヤンソンが描く大人のための短編集。
木の絵が型押ししてある装丁が素敵です。
「八十歳の誕生日」の中で語られる、客の言葉が印象的。
「ほんとうに肝心なのは欲求を感じるということだ。あったりなかったりするからね。最初は放っといてもあるもんだ。そのときはわからず無駄づかいする。そのあとさ、こいつは大事にしなけりゃと思うのは」
「見知らぬ街」も面白かったです。
飛行場で帽子をなくす老人。疲れ果て遺失物の部屋で適当にとった帽子。
その後タクシーに乗る段になってホテルの名前を忘れたことに気づき、結局その見知らぬ人の帽子に書かれた住所に連れて行ってもらう話。
「エデンの園」のスミスの言葉もよかったです。
「あなたのような人にとっていやだというのはむずかしいのよね、わかるわ。
でもあなたたちには見識(イデー)がない。だれひとり首尾一貫した見識(イデー)というものをもっていない。あなたたちはアルコールと感情を水で薄める。わかってないのよ、ただひとつの、手応えのある、薄められていない見識(イデー)というものをね」
「体育教師の死」では、優雅なインテリアに心を砕き去勢された庭を愛でるニコルと、森を大事に思うフローの対決がみものでした。