独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

アンモニアは水素より有望な将来の燃料

2021年06月11日 09時34分57秒 | 科学技術
アンモニアを燃料として使うという発想は昔からあったようだが、最近の新しい合成法の発見によりにわかに注目されるようになった。
水素と違って、輸送・貯蔵が容易であること、安全性が高いことなどの長所がある。
一方で、アンモニアの強烈な悪臭とかなりの毒性という欠点にも留意しなければならない。

なお、アンモニア NH3 を酸化すると硝酸 HNO3 になる (オストワルト法) 。
硝酸は火薬の原料であり、重要な戦略物質である。
NH3+2O2→HNO3+H2O

The Fuel Of The Future That’s 9 Times More Efficient Than Lithium
June 10, 2021
yahoo!finance
Ammonia Could Be a key “Fuel of the Future”

@ Ammonia May Hold 9 Times the Energy of Lithium-Ion Batteries
@ Ammonia is less flammable, easier to transport and more cost effective than many other fuels...
@ Ammonia is reported to have 1.8 times the energy density of hydrogen...
@ ammonia needs to be stored at -33 Celsius, as compared to the more logistically complex -253 Celsius that is required for hydrogen storage.

The potential for ammonia to play a significant role in the global transition to cleaner energy sources appears to be gaining recognition on a wider scale.



<アンモニア合成の従来法>
ハーバー・ボッシュ法: 3H2 + N2 ――→ 2NH3


画期的なアンモニア合成法
西林 仁昭(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
科学技術振興機構
アンモニア(NH3)は窒素肥料や衣服の材料となるナイロン繊維、薬剤などの原材料として幅広く利用されている。また、燃焼させても温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を発生させない上、液体になりやすく貯蔵や運搬が容易なことから、火力発電などのエネルギー源としても期待されている。

現在、アンモニアは「ハーバー・ボッシュ法」により、工場で窒素(N2)と水素(H2)を化学反応させて合成している。しかし、ハーバー・ボッシュ法は、窒素と水素を反応させるのに、400~600℃、100~200気圧という高温・高圧の環境を必要とする。また、現在、水素は主に石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料から作っており、それに大量のエネルギーが必要な上、その過程で大量のCO2が発生する。そのため、ハーバー・ボッシュ法に代わる新たなアンモニア合成法が強く求められていた。

このような中、CRESTの研究代表者である西林仁昭教授は、世界で初めて、アンモニアを窒素ガスと水から常温・常圧で簡単かつ大量、しかも、高速に合成する画期的な方法を開発した。この研究成果は2019年4月の「Nature」誌(オンライン速報版)で公開され世界から注目されている。

サマリウム(Sm)は希土類(レアアース)の1つで、比較的安価だが、実用化に際しては再利用する必要がある。西林教授の研究グループでは、実用化に向け、企業と共同でヨウ化サマリウムの回収・再利用サイクルの工業化に取り組んでいく計画だ。

また、今回の成果は、画期的なアンモニア合成法を創出しただけでなく、今後、環境・エネルギー問題の解決に大きく寄与することが期待される。現在、次世代のエネルギー資源として水素が注目されているが、水素を作る際には大量のCO2が発生するほか、貯蔵や運搬にも課題がある。それに対し、アンモニアは液体になりやすく、貯蔵や運搬が容易だ。水素同様に燃やしてもCO2を発生しないため、クリーンなエネルギーとして火力発電の燃料に使うこともできる。この合成法は、社会のエネルギー資源のパラダイムシフトを起こす可能性も秘めているのである。



アンモニア合成法の新たな展開
科学技術振興機構
100年ぶりの技術革新
C12A7エレクトライドを利用した触媒が、アンモニア合成活性が大きいことはわかった一方で、実用化に向けた課題は単位重量あたりの触媒性能をさらに高めることであった。これを解決するために、細野教授らはC12A7エレクトライドの高い触媒活性の起源となる要素をより明確に備えた物質を探索し、カルシウムアミドという物質に注目した。カルシウムアミド自体は熱的に不安定で分解されやすい物質だが、ルテニウムを固定すると長時間にわたって安定してアンモニアの合成触媒として機能することを発見した。しかも300℃以下の低温条件下で、従来の10倍を超える効率でアンモニア合成することに成功したのだ。さらに、バリウムを加えた改良型触媒では、700時間(約1か月)以上にわたり、触媒活性が低下せずアンモニアを合成できることも明らかになった。

[ScienceNews2015]アンモニア合成 一世紀ぶりの新発明(2015年9月18日配信)

これはハーバー・ボッシュ法の改良法であり、より温和な反応条件 (常圧、300℃以下) での効率的な生産が可能ということだろう。工業化のための検討が開始されている。
上記東大の西林仁昭教授の方法より、工業的製造法としては、こちらの方が有望かもしれない。

未来の車は燃料電池車でも電気自動車でもなくアンモニア車に?
2015/11/5
chem-station.com
なぜアンモニアなのか
アンモニアはそもそも水素のキャリアとして注目されており、水素をアンモニアとして扱う最大の利点は輸送と貯蔵がしやすい点です。水素を輸送・貯蔵するには液化や吸着材料(パラジウム合金等)が考えられますが、安全性やコストに問題があります。アンモニアは常温で比較的液化しやすく、さらに単位モルあたりの水素の熱量が比較的大きい(重量当たりのエネルギー密度はメタノールと同程度)ので、コストの低減が見込めます。

排ガスもクリーン
アンモニアを内燃機関の燃料として使った場合、排気ガスにCO2が全く含まれず、排気ガスはNOxと未燃アンモニアのみです。NOx除去触媒は既にアンモニアを還元剤としたV2O5-TiO2がプラント等で広く使われており、現在ガソリンエンジンに使われている、三元触媒(Pt,Pd,Rhの合金)に比べてかなりのコスト低減が見込めます。

これからの技術的な問題
内燃機関だけでなくアンモニアを燃料電池の燃料として使おうとする取り組みも実証試験段階まで進んでおり、今後注目されるのはいかに安くクリーンな方法でアンモニアを合成出来るかになると思われます。
現在、アンモニア合成に必要な水素は化石燃料の改質によるものなので、化石燃料を燃やしているのと大差ありません。これを太陽エネルギーによる水の分解によって得られた水素を使って、いまより少ないエネルギーでアンモニアを合成できるようになれば将来アンモニア車が登場するのかもしれません。



<2021年6月23日>

脱炭素の切り札! アンモニア発電の未来【Bizスクエア】
2021/03/03
youtube




50 ℃で水素と窒素からアンモニアを合成する新触媒 「CO2排出ゼロ」のアンモニア生産へブレークスルー
2020/04/27 東京工業大学
https://www.youtube.com/watch?v=XAn0tPeVJZ0&t=5s
東京工業大学の原亨和教授、細野秀雄栄誉教授らは、50 ℃未満の温度で水素と窒素からアンモニアを合成する新触媒の開発に成功した。
この触媒は豊富なカルシウムに水素とフッ素が結合した物質「水素化フッ素化カルシウム(CaFH)」とルテニウム(Ru)ナノ粒子の複合材料「Ru/CaFH」で、室温で水素と窒素からアンモニアを合成できる。原教授らはCaFHが低い温度で電子を与える力が強いことに着目し、その学理を低温でアンモニアを合成する触媒の開発に繋げた。
アンモニア生産の大幅な効率化だけでなく、自然エネルギーを使った温室効果ガスのCO2排出ゼロにつながることが期待される。





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