独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

反グローバリズムを恐れる欧州

2016年07月23日 13時51分29秒 | 欧州
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成28年(2016)7月23日(土曜日)
          通算第4972号  
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 BREXIT以後、何を欧州は一番恐れているのか
  反グローバリズムというポピュリズムが全欧に蔓延しそうな近未来だ
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 BREXIT以後、英国では製造業組合が景気低迷を危惧している。エコノミストらは英国のGDPがマイナスへ陥没、EU全体でかろうじて1%台だろうと予測している。

しかし欧州の指導者層は、英国の身勝手な振る舞いを問題視していて、経済マターとは捉えていない。認識の落差がある。

英国民の過半が「反グローバリズム」に傾くという事態の出来(しゅったい)に、欧州のインテリは深い憂慮をしめすわけで、理由はこの趨勢が衰微するのではなく、近未来にもっと勢いを増してひろがりそうな雲行きを恐れるのだ。

げんにEU離脱の動きはフランスでイタリアで拡大中だし、ポーランドとハンガリーは保守ポピュリストの政権になり、オランドとデンマークではEUへの反感が次の国民投票で明確にあらわれるだろう。ハンガリーも国民投票を十月に行い、EU離脱を決めるかも知れない。

反対にEU加盟を熱望するのはモルドバ、ウクライナ、ジョージア(グルジア)の三カ国だが、とくにジョージアではEU幻滅論が拡がり始めた。
ウクライナは東側の親ロ武装勢力との停戦協定がまだ成立せず、昔、ベッサラビアの中心だったモルドバは国内に抱える親露派の「沿ドニエステル自治共和国」(未承認国家)の問題が解決しない限り、正式加盟は難しい。

マーストリヒト条約の合意以後も、EUへの懐疑論は根強くあったが、過去十年で顕在化した。

じつに8万ページにも及ぶEU規約は、ブラッセルのEU官僚主義によるものだが、スイスやノルウェイは、そのややこしくも官僚主義的な規約を嫌って、EUとの別途の自由貿易協定を締結したように、離脱しても、実害のない例が示された。

リーマンショックによる景気低迷でEUの企図した福祉システムは破綻した。ここからEUへの疑念が急速に拡大し、フランスのルペンに代表されるような、反ブラッセル、反EUというポピュリズムの蔓延を産んだ。


反グローバリズムをポピュリズムと決めつけるのはどうかと思うが、今後の欧州の趨勢が反グローバリズムになると見るのは正しい。米国でもトランプは明確に反グローバリズムを唱え、TPPに反対している。日本の政治屋も、自称識者も、マスメディアも、「機を見るに敏」であってほしいものだが、無理だろうな。

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