イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

緊急速報でコロナも北アイルランドの暴動も吹っ飛んだ、女王陛下の夫君の突然の死、追悼ムードが始まったイギリス

2021年04月10日 05時52分06秒 | 英国の、生活のひとコマ


前回(4月7日)、コロナウィルスのワクチンについての記事を投稿してから、事情に変化がありました。
以下の件について詳しく書こうと思っていたのです;

•アストラゼネカワクチンの危険性と有効性について。
•ワクチン接種完了者に「パスポート(=認定書)」を発行して行動規制を免除する案の是非。
そして昨日は....
•夏のホリデー(休暇旅行)で海外から帰国した際、自己負担(1人 £100~£130!)で PCR検査を義務づける是非について大論争の途中で....

午後12時過ぎに緊急速報、エジンバラ公フィリップ殿下の訃報が飛び込んできて、コロナウィルス、北アイルランドの連日の暴動その他の大ニュースが完全に飛んでしまいました。
いったん、用事があったのでテレビを消していた私ですが、スマートフォンに日本のgoo ニュース、続いてBBC速報のノーティフィケーションが入ってきたので、用事をほっぽらかしてすぐにテレビをつけました。



もちろん、日本でも大きなニュースとして取り上げられたことでしょう。

その時見ていた国営BBCのニュースチャンネルでは、ずいぶん前からこの日に備えて準備製作されていたらしい渾身のできの「フィリップ殿下の生涯・ドキュメンタリー」の放送が始まりました。

なかなかの見ごたえでいろいろ勉強になりました。

その後、歴史学者や王室記者などのインタビューのあと、「フィリップ殿下の生涯・ドキュメンタリー」をまた放送し始めたので、他のチャンネルに変えました。

ライバル局、民放のスカイ・ニュースでも似たような映像を編集して「フィリップ殿下の生涯」を感動的に伝えていました。
もうさっきBBCで見たから知っている、という内容ばかりでしたが、子供たち(エドワード王子やアン王女など王室関係!!)や、慈善活動などで殿下とかかわりを持った経験がある一般の人など身近な関係者のインタビューをはさんだ、よくできた構成だったことにびっくりしました。

税金で運営されている国営放送BBCよりよーっぽどやる気と見ごたえのある企画でした。

.....やっぱりどこのテレビ局でも前もって綿密に準備して追悼番組を製作しているんですね。

どの局も男性ニュースキャスターが黒いネクタイをして出てきます。
この日に備えてテレビ局に黒いネクタイが用意されていたとしか思えません。

臨時速報が入る前にBBCでPCRテストについて報道していた藤色のワンピースを着ていた女性キャスターの姿はその後みかけませんでした。
(黒っぽい着替えの服がなかったのでしょうか)

そして昨日は他の番組がほとんど(すべてではありません)取り払われて、古い映像や関係者に殿下の功績を語らせるインタビュー対談番組に切り替わっていました。


それにしても、フィリップ殿下の人望が厚かったのと次から次へと素晴らしい人柄に触れるエピソードが出てきたのには驚きました。
もちろん、100歳を3カ月前にして亡くなったのは惜しいことですし、亡くなった人をことさら悪く言う人もいませんよね。

特にリベラルな人たちの中には彼を悪く言う人たちがけっこういたものですから。
人種差別者であるとか、まあ、あの年代の特権階級の男性にありがちな、(悪気はないのかもしれませんが)平気でサラッと口にする偏見発言などが物議をかもしていたのです。



それが、「ポリティカル・コレクトネスを意識しない無邪気な発言」とか「気さくに自分の意見を言うので誤解されやすい」ということになっています。
....いいのかな?



王室では「安らかな最後」だったと発表しているのみで、亡くなった時の状況はまだはっきりとわかっていません。

フィリップ殿下は;
•内政の不安定なギリシャ王室の王子として生まれ、王政廃止後は追放の憂き目にあい、つらい幼少時を送りました。



•第二次世界大戦ではイギリスの海軍士官としてドイツと戦って功績をあげた、英雄です。

•士官学校時代に知り合った、当時王女だったエリザベス女王と恋愛結婚で結ばれました。



•戦後は戦艦の艦長にまでなった立派なキャリアを捨てて女王に即位した妻を王配として支える臣下の役目に73年間徹しました。
•結婚後のプレイボーイぶりもちょこっと紹介されましたが、家庭を大切にするよき夫、父親としての姿がドキュメンタリーでは強調されていました。
•「開かれた王室」を提唱して、戴冠式のテレビ中継や私生活を公表するドキュメンタリーなどを実現させて王室と国民との距離を縮める功績をあげています。
•生涯のライフワークとして600以上の慈善活動にかかわっています。
青少年育成と自然保護活動に、彼の名を冠した団体を主宰してとりわけ力を注いできました。

......と言った内容のフィリップ殿下の経歴や功績をだらだらと午後いっぱいテレビで学習してしまいました。

立派な人だったみたいですね!

私は、ネットフリックスで大評判になった実在の人々がほぼすべて実名で出てくる長い長い連続ドラマ、「The Crown」(女王エリザベスII 世を中心に描かれる王室人間ドラマ)を熱心に見ていたので以上のことをすでにかなり知っていましたが....

フィリップ殿下は君主ではなく、王配(君主の夫)です。
国をあげての弔いムードには戸惑いがあります。

パンデミック下の行動規制にのっとった控えめの国葬が計画されています。
それまでは各地の官公庁では半旗をあげ、国会議員は喪章をつけて登院するなど、取り決めどおりの国をあげての「喪に服する期間」に充てられるそうです。

いい人だったらしいのは間違いなく、波乱万丈の生涯だったフィリップ殿下の冥福を静かに祈ります。




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