イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

癪に障る嘘つき首相の進退やいかに。ウソをつき言い訳をして首相の座にしがみつく国辱ボリス・ジョンソン首相

2022年01月22日 09時00分00秒 | 気になる出来事、社会情勢
前回の続きです。



写真は全く無関係の、マンチェスターの国際的な現代文化センター、ホーム HOME 周辺のモダンな建物群です。
マンチェスターオックスフォード・ロード駅周辺の再開発地域です。


首相とその周辺の人々が、2020年と2021年にコロナウィルスのパンデミックのさなかに数々のパーティを開いて楽しんでいたことが関係者の証言で次々と明らかになっています。



首相の進退を現在最も脅かしているのが、厳格なロックダウンのただなかの、2020年5月20日に首相官邸で開かれたパーティです。

「ソーシャルディスタンシング対応の飲み会」としてメディアには揶揄されているこのパーティには、100人の政府関係者、官僚などがイーメイルで招待され、30人ぐらいが出席したと言われています。
招待イーメイルに「ソーシャルディスタンシング対応の飲み会 Socially distanced drinks、自分のブーズ(お酒)を持参するように」と書かれていたそうです。

最初は否定していたボリス(ボリス・嘘つき・ジョンソン首相)は妻(当時は婚約者)とともに出席したことをついに国会で認め謝罪しました。
仕事のミーテイングだと認識して、スタッフをねぎらうために25分だけ参加したと言っています。
「散会するように言わなかったのは不覚だったと反省している」とも「誰もその集まりが違法だと教えてくれなかった」というワケのわからない言い訳発言もしています。



その少し前の2020年5月15日には、首相官邸の庭園でスーツを着た大勢のスタッフとともに、嘘つきボリスが赤ちゃんを抱いた婚約者と並んでガーデンテーブルに座っているところがバッチリ写真に撮られています。
これも仕事の集まりだと首相もスポークスマンも徹底して主張していますが、写真にはちゃんとワインとチーズボードもうつっているため、
ダウニング・ストリート(首相官邸所在地)のチーズとワインパーティ Downing Street 'cheese and wine' party」として一般に知られています。



去年の年末に、その前年の2020年の12月、複数のクリスマス・パーティ、お別れ会、慰労会、ボリスの妻が催したホームパーティ、大勢出題者が集まって発信したクリスマス・ズームクイズ大会などが保守党メンバー間で、あるいは首相官邸やその付随した施設で行われていたことが次々に発覚して大さわぎになりました。

いずれもボリス本人が出席していなかったためもあり、首相の辞任要求がここまで盛り上がってはいませんでした。
夏にいったん解除されかかったロックダウンが、感染率が従来の株よりずっと高いケント・ヴァリアント(英国変異株=アルファ)の蔓延で地域ごとのティア制度に変わられ、ロンドンは最大危険地域だった頃の話ですが。

以下の写真は、マンチェスター・オックスフォード・ロード駅 Manchester oxford Road Station と、駅前の広場に面した名物カフェ、ジャヴァJava の外観と店内。


去年の年末に浮上してきたこのふたつの、春の最初のロックダウン中の首相が出席もしていた規則破りパーティへの国民の怒りはただ事ではありません。

その時のロックダウンルールによれば、同居人以外との人と会うことが許されていたのは一回に1人だけです、それも屋外で。
マスクを着用している人はほとんどいなかったその当時、2mのソーシャルディスタンシングは厳格に守られていました。

パーティには出席していなかった、パーティだったとは知らなかった(仕事の集まりだと思っていた)という大ウソをついていたことを一国の首相が国会で認めたのです。
それまでは有能で働き者の自分のスタッフが庭園でワインを飲みながらラップトップもタブレットも書類もなしの「仕事の集まり」を持つのが悪いことだとは全く思っていないと豪語もしていたのです。

現在とりおこなわれている、一連の規則違反パーティ疑惑の調査結果が出るまでは断固として辞任要求を拒絶している嘘つきボリスです。

このニュースが公になったとたん、各テレビ局のニュース番組には次々と、ちょうどパーティの日付と同時期に家族や愛する人をコロナで亡くした人々が悲しみと怒りを表明する証言者として登場しました。



家族が亡くなった時にも死に目に会えなかった、初孫に会わせてあげることなく親を死なせた、コロナで死んだ親のお葬式が出せなかった、出産に夫の立ち合いが許されなかった、ダウニング・ストリートのチーズとワインパーティの日に40代のバス運転手だった夫をコロナで亡くした...等々の悲しい話を連日連夜聞いてしまいました。



ボリスと取り巻き連が許せない気持ちがどんどんどんどん募ってきます。

ダウニング・ストリートのチーズとワインパーティと同じ日に、10人集まって宅配ピザとビールで裏庭のパーティをしていたら通報されて1人100ポンドの罰金を課せられた...という人も怒りの証言者として登場しました。
「いや、僕たちは実際規則違反したんですし、しょうがないかもしれませんけど、でも罰金とられて...ダウニングストリートではおとがめなしでしょ?」と何となく居心地悪そうな証言でした。

レポーターの「罰金を払い戻してもらいたいですか」という愚問には「いやぁ、払い戻してもらえたらうれしいけど...あ、コロナで亡くなった人の家族を支援する義援金として寄付します!」と感心な回答をしていました。



2020年の間に、首相官邸がらみのパーティ(お酒が出る楽しみのためのあつまり)が少なくとも10回はあったと言われています。

パンデミックの2年目、2021年の4月16日はエジンバラ公の葬儀前日のため国民全体が喪に服していたのですが、ダウニング・ストリートの庭園で2回のパーティが開かれました。(フィリップ殿下の葬儀前日のダウニングストリートの2件のパーティ Two parties of Downing Street on the eve of Prince Philip’s funeral)

嘘つきボリスは出席していませんが、自宅の庭園でのパーティのことは当然承知だったでしょう。
そのうち一つのパーティには近所のコンビニエンスストアで購入されたスーツケースいっぱいのワインが持ち込まれ、ボリスの息子のブランコが酔っ払った出席者によって壊されたというなまなましい証言もあります。



日本では、ボリス・噓つき・ジョンソン首相の評判は比較的良いと聞いています。
日本の宰相のリーダーシップが問われる時には比較対象(よい例)として名前が上がることもあるとも。



気さくで気取らない風貌、ボサボサの髪の毛や朴訥な話し方が好感を持たれているのは納得です。
スピーチ原稿を読むこともなく自分の言葉で考えを述べたり、質問の記者や一般人のなのった名前をすぐに憶えて、ファーストネームで呼びかけながら答える...など、日本の首相には考えられないような親しみを持たれる対応、何よりも「憎めないヤツ」演出の巧みさで、第一印象は英国民にも悪くないのです。

ただ、気さくで憎めない印象とは裏腹に、ボリス・ジョンソンは典型的な特権階級出身者であり、自分の属する階級、社会の利益を代弁する政治を行ってきたことを知ってもらいたいと思います。

今回のみっともない「パーティゲート」の件で、自分たちは特別であり法の力が及ばないという特権意識がバッチリと露呈してしまったということを心にとめてみていただきたいです。

....あ~、そこまで深く考えなくてもいい?
単に楽しみを先送りすることができない、コントロールのきかない人なだけかもしれません。
ジャーナリスト時代の同僚や部下は「パーティや飲み会の予定は仕事より優先する人だった」と証言しているそうですから。

コロナで困窮したり家族を亡くして悲しみに暮れている国民の思いに考えが及ばないという、国政のリーダーには絶対にふさわしくない彼の資質を一気に露呈したのが今回の一連のパーティゲートです。



週明けに行われることが期待されているパーティ疑惑に関する調査結果の公表により首相の進退に関する動きがまたあることでしょう。

2020年、5月16日のストックポート日報の記事を見つけました☟
コロナウィルスに翻弄されたこの2年間を、自分で書いたストックポート日報の記事で振り返ってみていました。

国民の不安がつのるロックダウンの解除、皮肉だと思いたいマンチェスター交通局の交通安全標語
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3 コメント

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犬と暮らせば (浅井洋)
2022-01-22 15:10:25
江里様
 許せない程 怒ってる と言う事は わかりました
でも
 誰が この人を首相にしたのですか
天から降って来たのでなくて
 形だけでも 自分たちで 選んだのでしょ
 このボリスを
 オリンピックもやってるからって
なら 次ぎのを見つけてから 蹴落とせばと
思うのは オカシイですか
返信する
浅井さんへ (江里)
2022-01-24 08:25:54
次のを見つけてから蹴落とせばというのはオカシイです。
議会制民主主義の国家で首相が国会でウソをつくという行為を、大目に見ることは絶対にできません。

ボリスを辞職に追い込むか、あるいは議会法にのっとって、ボリスを首相に選出した与党保守党議員の過半数の賛成を得て不信任免職に持ち込むのは、民主主義の指導的立場にある国のひとつらしい英国の矜持というか責任です。
次の首相がきまるまで地位にすげておけばよいという意図がまったく理解できません。
次の首相候補えらびは水面下でとっくに始まっているはずです。弱冠41歳、財務大臣のリシ・スナクが有望だと言われています。
引継ぎはスムースに行くでしょう。

首相就任時には近年のオリンピックでは稀有らしい、経済的にも成功したオリンピック、ロンドンオリンピックを成功させた(オリンピックインフラストラクチャーを赤字にしなかった)人気者で有能なロンドン知事だったボリスを首相に挙げて、国民の絶大な保守党支持と票を稼ぐことができたのです。
今ではすべての保守党代議員の選挙区の事務所に「ボリスをやめさせないと、次は投票してやらない」という抗議メール、電話が殺到だそうです。
保守党にとって目の上のタンコブ、ボリスの役割は終わっています。

労働党員の夫は、「ロックダウン下のパーティは犯罪行為(罰金刑)」だとか「一般の国民は規則を守って親の死に目にも会えなかった、お葬式も出せなかった」とかの、規律論や感情論はあまり重要ではないと言います。ボリスが国政のリーダーたるにふさわしい人格を持っていないことが露呈したというのが重要なのだそうです。
国民の総意を代表する議会制民主主義が機能している国家で議会が、ボリスが熱望する首相の座にとどまらせることはあり得ないことです。
週明けにはロックダウン下のパーティの性質などなどを明らかにする(仕事の集まりだったか否かなど...爆笑)調査報告がまとまるはずです。
返信する
犬と暮らせば (浅井洋)
2022-01-27 09:36:36
江里様
 ありがとう ございます
 貴女の言う通りですね
ぬるま湯に つかって なにも しない 日本より
 怒って追い出そうとしている 英国のほうが
本来の政治のあり方なのでしょう
返信する

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