イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

美味しかったビーガン料理とおしの強いスタッフ、名物レストランのある爆撃の中心地

2024年02月07日 06時46分13秒 | マンチェスター

マンチェスター、続きです。

夫と二人で買い物を終え、遅い昼食を食べたのがここ...

由緒あるホテル、マイター・ホテル the Mitre Hotel の一階、もとはパブだったであろう場所にあるビーガン・レストラン、アロットメントThe Allotment Vegan Eatery

通りがかっただけなのですが、ベジタリアンの夫が目ざとく見つけました。「お、こんなところにビーガン・レストランが!!」

え、アロットメント!もともと、ストックポートにあったはず!テレビのグルメ番組などで取り上げられ、評判になりました。夫とそのうち行ってみようと話しているうちにマンチェスターに移転してしまいました。ストックポートから転出した後は興味も失せ、移転先を検索する気もなかったのですが、偶然見つけた、しかもこんな一等地に...!

入るしかない!

あまりお腹が空いていなかった私が注文したのは、自家製クランベリー・ブレッドつきの炭火焼にしたニンジンのスープ。スパイスが効いていておいしかったです。

夫が注文したのは「アロットメント・サンドウィッチとロースト・ポテト」

細切れにしたキノコをパン粉でつないで鉄板で焼いたパティのサンドウィッチ。味見させてもらいました。香ばしくて、これもまたおいしかったです。

3時過ぎていたせいもあり、小さめの店内はよく空いていました。内装はなかなか凝っていたのですが...

 

内装のポイントである「植木」のすべてがニセモノ...!

Allotment (菜園)という名前のおしゃれなビーガン・レストランに植木の世話をするスタッフが誰もいないのにびっくり!(残念)...植木の世話が大好きな私の個人的な感想です。

簡単な食事を注文したのですが、出来上がるまでかなり時間がかかりました。のんびり話をしていたためそれは気になりません。同じテーブルで食べる人の料理は全て同時に運ばれてくるのが英国のレストランの鉄則です。

たった一人の女性スタッフが、今ポテトをローストし終わりました、パンを暖めています...などと実況報告してくれるのも...まあ親切で気が利いています。

食べ終わってお支払いを済ませたあと、自分の名前(手書き)入りのQRコードがプリントされた店の名刺を持ってきた女性スタッフに、観光地の評価サイト「トリップ・アドバイザー」に店の評価を投稿してほしいとお願いされました。QRコードをスマートフォンにかざすとすぐに店のレビューページが開く仕組みです。

カウンターの奥でトリップアドバイザーを開いて私たちの高評価が送信されるのを待っているらしい彼女が目に入ります。

「素晴らしい食事、フレンドリーなスタッフ、そして残念なニセモノの観葉植物」と書いて、送信ボタンを押す前に夫に相談したら「レビューはやめといてもう出よう、おいしかったね」と言われたので投稿せずじまいです。(夫はニセモノ観葉植物に関してあまり思うところはないようです)

フレンドリーな女性スタッフがテーブルにクレジットカードの決済機を持ってきて、「チップは10%、20%、任意の金額、それともナシ、どれにしましょう?」と言ったのがちょっと気に入らなかったようです。夫は大胆にも「ナシ」を選びました。

15年ほど前まで支払がたいてい現金だった頃は必ず10%かそれ以上のチップをテーブルに置いていた気前の良い夫なのですが、カード決済が主流になりチップは払う前提でシステムに組み込まれているのが ...なんだか釈然としないのです。

チップをやる、やらないのやり取りが周りのテーブルに聞こえるデリカシーのないカード払い時代の新しい習慣は私も微妙にイヤだと思います...(自分で黙って選択ボタンを押すレストランも多いのですが)

ハキハキした若くてフレンドリーなスタッフが朗らかに客にかけるプレッシャー...はどこも普通になってきています。

 

食事を終えて出た時に見つけた立て看板には...

「...28番目に良いビーガン・レストラン」と書かれていました!え、28番目?...何の?おっ、世界で28番目、これはすごい!それにしても世界規模のビーガン・レストランのランキングがあるとは!?...って、どこの誰が投票/判定したんだろう。ミシュランとかグルメ雑誌とか、ランキングの主催者名の記載がありません。

 

ビーガンは動物由来の食品を一切口にしない非常にストイックな「ベジタリアン(菜食主義者)」の一派です。動物を殺すことなく手に入る乳製品、タマゴの摂取まで拒否するだけではなく、革製品、コラーゲンや動物性油脂の含まれた石鹼や化粧品、医薬品も使いません。カイコを殺して手に入るシルクを身に着けないのは納得ですが、原則としてウールもダメだそうです。

すでに人口の12%の人がそんなビーガン生活を実施しているという英国で、ビーガンレストランは大人気です。ビーガンじゃない人たちも、そこで食事をすれば速攻で「意識高い系」になれる気がします。

残念なニセ観葉植物はご愛嬌、少なくとも話のタネに入ってみる価値はあるレストランです。

「本日のスープ」は6ポンド50ペンス、リゾットやナッツ、雑穀入りサラダ、キノコのステーキやタコスなどのメインは15ポンド(2826円)から19ポンド(3580円)...いかがでしょうか。植物由来 plant -based の食材でこのお値段は日本人にはかなり高く感じられるでしょう。英国ではたまに外食するならいいかな、と思える値段です。

マンチェスター大聖堂 Manchester Cathedral の真横にあります。

 

大聖堂前の広場にはなぜかインド独立の父、マハトマ・ガンジーの像があります。

ホテルの名前、「マイター」というのは司教がかぶる弾丸の先端のような形の帽子のことです。

マイター・ホテルの奥にある古そうな建物はマンチェスターの復興のシンボル、オールド・ウェリントン・イン Old Wellington Innという古いパブの裏側です。

「復興」と言っても、今のマンチェスターの若い人にはピンと来ないかもしれません。1996年6月15日のIRA (暫定アイルランド共和国軍)によるマンチェスター爆撃で木っ端みじんに吹き飛んだものの、市民の強い要望で完璧に復興された名物パブです。

表側から見たところです。

 

手前のSinclear's Oyster Bar という17世紀のパブと左側のマイター・ホテル(おもて側)と背後の大聖堂、そして...

上の写真右側のコーン・エクスチェンジ Manchester Corn Exchange(現トライアングル Triangle、レストラン街です)という戦前まで穀物の取引所だった巨大な建物はなぜか(!)壊滅を免れ無事でした!!

ガラス窓がすべて吹き飛び、内部はめっちゃくちゃに壊れたそうですが。

奥に見えているデパート、エメネス(M&S)の建物の角から少し左寄りの場所が爆心地でした。

当時、爆撃の30分前までこの場所にいて、爆撃後の大騒動に巻き込まれた私はこの場所に来るたびに胸がドキドキします。

当時のことを書いたストックポート日報記事のリンクです☟

 

マンチェスター爆撃20年周年・・・よく復興したものです。

 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする