Feelin' Kinda Lucky

ちょっと書いとこう・・・・

人生はジャズかぁ・・・

2017年10月28日 | Life

米国在住の友人でジャズの管楽器奏者のNori Tani 氏のライブに行った。

 

こちらは当夜、ジャズボーカルを披露されるジャズシンガーの井上真紀さんと。Nori Taniとは中学から学校が一緒であったが、学校を出てからは疎遠で、3~4年前から親交が再開された。

そのきっかけは実はこの井上真紀さんだった。

 井上真紀さんは多才な方で、プロのジャズボーカリストであると同時に、ハワイ文化やフラ舞踏などの研究家でもある。(お母様の井上ケイさんもその道の著名な方)私も以前からハワイの古来の文化やアンティーク関連やビンテージウクレレにも興味を持っていたので何かの映像を見て井上真紀さんのすばらしいフラダンスの美しさにぞっこん惚れ込んでしまった。併せて確か楽器関連の雑誌か何かで井上真紀さんがマーチンの1920~30年代の5-K というマニア垂涎の銘器を持っておられることを知り、井上さんの記事を雑誌やネットで気にかけていた。

そんな時、真紀さんが出演しているステージの写真を見ると、歌う真紀さんの横でサックスを吹いているNori Taniの姿があった。それがきっかけでFacebookを介して親交が復活し、以降、毎年私の米国出張時に現地で会ったり、彼の来日時に会ったりするするようになった。いわば井上真紀さんは私とNori Taniの復交のキッカケを作ってくれた恩人なのである。幸い、この夜は真紀さんの素晴らしい歌を聴くだけでなく、少しマーチン5-Kのお話をすることもできて、とても嬉しかった。ちなみに5-Kはまだお持ちとのことで、素晴らしい音と見た目の美しさは手に取るとほっとする気持ちになるとのこと。元々千本足らずしか生産されず、現在まともに弾ける状態で残っているものは100本程度ではないかと言われている。こういうものは持つにふさわしい人の元にあるべきだと思う。そう言う意味でも真紀さんに歴史的に末永くお持ち頂きたい。

そんな真紀さん、ステキな歌もさることながら、MCでなかなかいいことおっしゃった。「人がけんかをするときは、悪気があって始まることはない。個々の主義や主張をつい強く伝えたいと思うことから始まる。だから一歩引いて受け入れることが大切」うん、そうだわなあ。と思っているとトランペットのヒロ川島氏がすかさず「それがなかなかできなんだよね~。」それも納得。勉強になります。

さて、実はNori Tani のライブステージを見たのは今回が初めてだった。さすがにプロフェッショナルですから演奏が上手なのはいうまでもない。川島氏をはじめとした他のメンバーとの気の合った演奏に観衆も一体になり酔いしれていた。

 

楽器ってのは、いつも思うけどほんと演奏者で音が変わる。今日のピアノの方の音は何とも華やかでフワーッと花が咲いたような音の出方だった。それが枯れたタッチの生ベースの音と被り、とてもいい感じであった。アンサンブルのいい感じってのはこう言うことだと実感。これはもう楽譜じゃ表せない。

思えばジャズを生でちゃんと聴くのも相当久しぶりで、だいぶ前にNYCのファットチューズデーでレスポールトリオの演奏を聴いて以来かもしれない。私のような素人はジャズってのは聴く時にリラックスしてゆったり聴けてとても良い。今日は100%アンプラグドいいね。

 ゲストのシンガーの方のフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのエンディング。これおそらく打ち合わせなしだったのでしょう。歌の終わり具合と演奏の終わり具合がちょっと予定外だったのかなと思ったが、さすが皆さんプロ。すかさずみんなでなんとなく合わせて終わるところなどオシャレで良かったね。

Nori Tani もMCでマイルスデイビスの言葉を引用してなかなかいいことを言ってた。

「クラシックなどは一つずつの音をキッチリ演奏しなくてはならないが、ジャズは一つ音がズレたらそのズレた音にその後の音を合わせて行っちゃえばいい。それでまた良いものができる。」

 

なるほど、こりゃまさに人生そのものだ。

誰でもこれまでの人生を振り返れば、行こうとしてる方向に逆らうことが始終起きる。予定外の思っていないことがいつも起きる。そして起きてしまったらもうそこから次に行くしかない。そんなことが長く重なり気付いてみれば、良きにせよ悪きにせよ、最初に思い描いたレールから外れた全く想定外の人生となることが多い。

Nori Tani もそうだろう。よくは知らないが、いずれ音楽で生きていくことは想像できたろうが、そこまでの道のりはおそらく思いもしない人生であっただろう。若い日に単身渡米し、友達に助けられ、生きるために音楽の道と関係のない仕事などで苦労を重ねつつも素晴らしい伴侶に巡り合い支えられて今日に至る。それは本人の才能と並々ならぬ努力があったから築き上げられたのは言うまでもないが、彼の持ち前の気負いのない、人を受け入れ、人に優しく、人を傷つけず拒まない素晴らしい人格ゆえだと思う。だからこそ素晴らしい伴侶と音楽仲間らと共に今日の成功を築き上げたのだと思う。

そうだ、Nori Tani の人生はまさにジャズだ。最近発売のCDの収録曲にも彼のこれまでの人生を記すような曲も聴ける。CDのタイトルも彼に相応しく、"TOMODACHI"。

 

いい音楽を聴いていい心地の帰り際、暗闇の駐車場に突如バットマンが現れた。

彼は私に言った。

「お前もNori Tani を見習ってジャズのような生き方をしろよ。お前の生き方はちょっと悪い意味で、陳腐化したペンタトニック繰り返しのブルースっぽいかも?」 

 そうかあ・・・・



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