Feelin' Kinda Lucky

ちょっと書いとこう・・・・

捨てられないモノ

2022年11月10日 | Life

この赤外線のヒーター・・・

もう40年位前のもので、性能や安全性は現在の製品の方がはるかに優れているのは言うまでもなく、実際はもうだいぶ長く使っていません。

もういいかげんゴミに出したら とワイフに言われて うんうんと言いながらずっと置いてあります。

それにはある理由があります。

昔々 学生の頃に近所のガソリンスタンドには整備のF君がいました。F君は実際は私より5歳程年長でしたが、気取らず威張らず親しみやすい性格で、すぐに打ち解け仲良しになり非常識ながら君付けで呼んでました。

彼も車好きでラリーをやっていた私が彼をモータースポーツの世界に引き込みました。彼はジムカーナやレースを主にやっていましたが、私がラリーをやる時に整備の技能を活かしてメカニックとして私をサポートしてくれました。ガソリンスタンドでもよく店主に内緒で車を修理したりしてくれました。

彼が仕事を終わってからもしばしば近所の喫茶店などでクルマ談義に花を咲かせました。

 F君は 人が良く、誰にも優しく接するのでみんなから好かれました。しかしそれ故に 断っていいようなことも断らず普通以上に人に尽くすところもありました。

 

彼の職場にいたKちゃんと結婚が決まった時、一緒に家具を見に行くのを誘われ、お邪魔だからと遠慮したのですが、いいから一緒に行こうよと誘われて一緒に家具屋に行き、帰りに美味しいピザ屋があるから行こうよっと言われ、ご馳走になりました。

その後 家庭をもって 生活の安定のためか F君はガソリンスタンドから自動車電装品の卸会社に転職し営業職をやりました

時が過ぎ、私も就職し 地方に赴任して会う機会は減りましたが、彼も子供もできて休日には一緒に遊んであげるいいパパになっていました。こいつ大きくなったらコウちゃん(私のことをそう呼んだ)の会社で使ってやってよなんて良く冗談をいってました。

真面目で手を抜かず人に頼まれたら断れない性格が災いしてある日会うと顔色が優れず、心配して程々にしないとホント身体壊すよと言ったのですが、笑って大丈夫だよといっていました。

ある時 一本の電話が入りました。F君の訃報の連絡でした。電話口で私は愕然として言葉を失いました。

もともと肺が弱かったのに仕事の無理がたたっての実質的には過労死でした。

Kちゃんと小さい子供を残して逝ってしまいました。

一緒に油まみれでエンジンをバラしたり 泥まみれで夜中の山中悪路で破損したサスペンションを直したり、深夜、静岡から私がコースアウトした車を牽引ロープで引っ張ってくれて国道1号線をひたすら低速で走って 着いたら世が明けていた思い出など...

F君の あの笑顔、愛嬌のある話し方 時々指でメガネを上にあげながらラチェットレンチでナットを締める姿 今でも忘れられません。

その後 Fくん亡き後もKちゃんとはずっと年賀状のやり取りをしていましたが いつの間にか途絶えました。

元気でいるだろうか?息子さんも大きくなったろうな?・・・時折 思い浮かべます。

そんなF君 私の結婚式の前に わざわざウチに来てくれていつもの笑顔で

「コレつまんないもんだけどお祝いってことで使ってくれる?寒い朝なんか便利だからさ、へへへ」

と笑顔で この赤外線ヒーターを置いて行ってくれました。

あれから長い年月が過ぎ、いつも物置にある使われていないこのヒーターを見るたび F君の笑顔と共に重ねた思い出が生々しく蘇り、自然と胸が熱くなります。

たぶん このヒーターが粗大ゴミに出されるのは、私が天国でF君に再会した後だと思います。


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