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小説「新・人間革命」学習のために 第22巻

2020年12月04日 | 妙法

マイ・ヒューマン・レボリューション――小説「新・人間革命」学習のために 第22巻  2020年12月4日

 小説『新・人間革命』の山本伸一の激励・指導などを紹介する「My Human Revolution(マイ・ヒューマン・レボリューション)」。今回は第22巻を掲載する。次回の第23巻は18日付2面の予定。挿絵は内田健一郎。

 
の団結が大願を果たす

 <1975年(昭和50年)7月、山本伸一は、戸田第2代会長の出獄30周年記念集会に出席。彼は在りし日の恩師をしのび、決意を新たにする>
 
 会長就任式の席上、戸田は、生涯の願業として、会員七十五万世帯達成の決意を発表。新生・創価学会は、広宣流布への新たな船出を開始したのである。
 
 戸田は、常に弟子たちに語っていた。
 
 「広宣流布は、この戸田がする。七十五万世帯は、戸田の手で達成する。君たちも手伝いたいか!」
 
 彼は、決して「戦ってくれ」とは言わなかった。自分でやると決めていたのだ。一人立ったのである。弟子たちは、「お手伝いをさせてください!」と、広宣流布の戦いに加わることを、戸田に誓願したのだ。だが、その戸田が、ある時、伸一に、こう語ったのである。
 
 「広宣流布は、お前がやるのだ。大聖人の仰せの通りに、立正安国の戦を起こせ! 手伝いをしている気持ちの者が、何万人集まろうが、本当の戦いはできんぞ!」
 
 戸田は、最終的には、自分と同じく、師子となって一人立つ弟子を、つくろうとしていたのである。そして、その範を示す使命を、伸一に託したのだ。
 
 広宣流布を成就する力は、師子の団結にある。傍観者の群れや、人を頼み、互いにもたれ合うような烏合の衆では、勝利はない。“一切の責任を私がもつ!”と心を定めた、一人立つ師子と師子との結合が大願を成就するのだ。
 
 自分がすべてを担う、主体者、責任者の自覚に立つ時、勇気がほとばしる。力が出る。英知が湧く。執念が燃え上がる。また、その勇猛果敢な実践のなかに、生命の躍動と充実と幸福がある。
 
 (「新世紀」の章、22~23ページ)

 

職場は自分みがく修行の道場

 <7月、伸一は「ブルー・ハワイ・コンベンション(大会)」に出席するために訪米。彼は運営に取り組むスタッフと語り合う。会社を辞めて手伝いに来たという青年が、不満そうな顔で語った>
 
 「その会社は、給料もあまりよくないし、私の力を認めようとしません。上司も、私の勤務態度が悪いとか、文句ばかり言います。題目をしっかり唱え、このコンベンションで頑張って、福運をつければ、もっとよい仕事に就けると確信しています」
 
 伸一の顔が曇った。本当の信心とは何かを、語っておかなければならないと思った。
 
 「辞めてしまったものは仕方がないが、その考えは誤りです。もちろん、唱題し、学会活動に頑張ることは大事です。しかし、懸命に働かず、ただ信心に励めば、もっとよい仕事が見つかるなどというのは、現実から逃げている姿です。その姿勢では、どんな仕事に就いても、同じ結果になるでしょう。
 
 『信心は一人前、仕事は三人前』やりなさいと、戸田先生は言われた。それが学会員の生き方です。また、大聖人は『御みやづかいを法華経とをぼしめせ』(御書1295ページ)と仰せになっている。自分の仕事を法華経の修行であると思って、全力で取り組みなさいと言われているんです。職場の第一人者となり、信頼を勝ち得ながら、信心に励んでいくなかに、自身の成長があるんです。私もそうしてきました。連日のように深夜まで働きに働き、戸田先生の会社を支えてきたんです」
 
 (中略)
 
 日蓮仏法は人間革命の宗教である。自身の生命を磨き鍛えて、強く賢明にし、いかなる困難にも雄々しく挑戦し、勝利していくための信仰なのだ。
 
 (「潮流」の章、105~106ページ)

 
時間革命が価値そうぞうちから

 <9月、伸一は女子部学生局の幹部会で、夜の会合の終了時間を、午後8時30分とする「八・三〇運動」を提案した>
 
 「会合が早く終われば、家で勉強もできる。早く休むこともできる。広宣流布は長い戦いです。無理が重なり、疲れがたまれば、朝起きるのも辛くなり、生活も乱れがちになる。また、帰宅が遅くなれば、両親も心配するし、事件や事故に巻き込まれないとも限らない。御聖訓にも『よるは用心きびしく』(御書1164ページ)と仰せです。
 
 それらを、総合的に考えて、会合の終了時間を、午後八時半にしたいと思いますが、いかがでしょうか。賛成の人?」
 
 一斉に、皆の手があがった。(中略)
 
 山本伸一が提案した、会合の終了時間を午後八時半とする「八・三〇運動」は、翌十日の方面長会議で諮られ、決議されたのである。その夜、伸一に峯子は語った。
 
 「あなたが提案された『八・三〇運動』が決議されましたね。これは、大変な改革ですね。学会の時間革命に、また、一人ひとりの大きな価値創造につながります。
 
 婦人部や女子部の方も安心できますね」
 
 伸一は、笑顔で頷いた。
 
 「そうなんだよ。『八・三〇運動』がいかに大事であるかは、後になればなるほど、よくわかるだろうね。会合を早く切り上げるということは、その分、内容を充実させなければいけないということだ。一瞬一瞬を、これまで以上に、真剣勝負で臨むということだ。それが、価値を創造していく原動力になる」
 
 伸一と峯子は、日々、女子部や婦人部が絶対に無事故であるように、懸命に唱題してきた。その祈りの一念のなかで、女性の安全のために、夜の会合の終了時間を八時半にするという考えも生まれたのである。
 
 (「波濤」の章、273~276ページ)

 

こんなん宿しゅくめいてんかんのチャンス

 <11月、伸一は広島の呉を訪れた。伸一の訪問を待ち望んでいた同志に、彼は全力で励ましを送る>
 
 「長い人生であり、長い広宣流布の旅路です。いろいろな困難もあるでしょう。しかし、その時が、宿命転換の、人間革命のチャンスなんです。“負けるものか!”と、不屈の闘魂を燃え上がらせて、信心を貫いていくことです。そして、ひたぶるに、お題目を唱え、広宣流布に走り抜いていくんです。信心に行き詰まりはありません。私も、唱題第一で、ここまできました。
 
 祈れば、自分が変わります。己心の仏の生命が開かれ、周囲の人も変えていくことができる。さらに、大宇宙が味方します。
 
 ところが、いざ困難に出くわし、窮地に立たされると、“もう駄目だ”とあきらめてしまう。しかし、実は、困難の度が深まれば深まるほど、もう少しで、それを乗り越えられるところまできているんです。
 
 闇が深ければ深いほど、暁は近い。ゆえに、最後の粘りが、勝利への一念を凝縮した最後の瞬発力が、人生の勝敗を決していくんです」
 
 彼の声に、熱がこもっていった。
 
 「生死即涅槃と説かれているように、人生には、常に苦悩があります。仏も、一切衆生を救うために、悩み抜かれています。悩みがなくなってしまったら、人生は全く味気ないものになってしまう。おなかが空くから、ご飯がおいしい。月給が安くて生活が大変だから、昇給すれば幸福を感じる。大変さのなかにこそ、喜びがあるんです。
 
 成仏というのは、なんの悩みもなく、大金を持ち、大邸宅に住むことではありません。大歓喜にあふれ、生命が脈動し、何があっても挫けない、挑戦の気概に満ち満ちた境涯のことです。広宣流布に生き抜くならば、一生成仏は間違いありません」
 
 伸一は、皆に、断じて幸福になってほしかった。信心の醍醐味を実感してほしかった。皆が、人生の勝利者になってほしかった。
 
 信仰とは、希望である。常に、新しき心で、新しき明日に向かい、さらに、新しき前進を開始する力である。
 
 命に及ぶ数々の大難をものともせず、「然どもいまだこりず候」(御書1056ページ)と、新しき戦いを起こされた日蓮大聖人の大精神こそが、「創価の心」である。そして、そこに、人生の幸福への大道がある。
 
 (「命宝」の章、391~393ページ)

 
心のたから

 <1975年(昭和50年)9月15日、創価学会本部でドクター部の第3回総会が開催された。席上、山本伸一は、「崇峻天皇御書」の一節を拝して、「心の財」の大切さについて指導する>
 
 心は見えない。しかし、その心にこそ、健康の、そして、幸福のカギがある。
 
 心の力は無限である。たとえ、「蔵の財」や「身の財」が剝奪されたとしても、「心の財」があれば、生命は歓喜に燃え、堂々たる幸福境涯を確立することができる。
 
 「心の財」は、今世限りではない。三世にわたり、永遠にわが生命を荘厳していく。それはまた、「蔵の財」「身の財」をもたらす源泉ともなる。
 
 人間の本当の幸福は、蔵や身の財によって決まるのではない。心の豊かさ、強さによって決まるのだ。どんな逆境にあろうが、常に心が希望と勇気に燃え、挑戦の気概が脈打っているならば、その生命には、歓喜と躍動と充実がある。そこに幸福の実像があるのだ。
 
 流罪の地・佐渡にあって、「流人なれども喜悦はかりなし」(御書1360ページ)と言われた、日蓮大聖人の大境涯を知れ! また、獄中にあって、「何の不安もない」「心一つで地獄にも楽しみがあります」と言い切る、牧口常三郎初代会長を思え!
 
 わが生命から込み上げてくる、この勇気、希望、躍動、充実、感謝、感動、歓喜……。
 
 これこそが「心の財」であり、私たちの信仰の目的も、その財を積むことにあるのだ。
 
 いわば、それは幸福観の転換であり、「幸福革命」でもあるのだ。
 
 山本伸一は、情熱を込めて訴えた。
 
 「『心の財』は、精神的な健康です。『心の財』から、生きようとする意欲が、希望と勇気が、張り合いが生まれます」
 
 その「心の財」は、人びとの幸福のために、さらに言えば、広宣流布のために生きることによって、築かれるのである。
 
 (「命宝」の章、334~335ページ)

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 聖教電子版の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」第22巻「解説編」の池田博正主任副会長の紙上講座と動画を閲覧できます。

 第22巻「解説編」はこちら

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