エヌビディア、AI向け次世代チップ「ブラックウェル」発表
Ian King
2024年3月19日 7:46 JST 更新日時 2024年3月19日 8:21 JSTブルームバーグ
ジェンスン・フアンCEOがイベントで披露-製品は年内に入手可能
新プロセッサーは2080億個のトランジスタを備える
米半導体メーカー、エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は18日、人工知能(AI)コンピューティングにおける同社の支配的地位をさらに強固にすることを目指した次世代チップを披露した。同社はこうした地位により時価総額が2兆ドル(約300兆円)を突破し、マイクロソフトとアップルに次ぐ世界3位となっている。
「ブラックウェル」と名付けられた新たなプロセッサーデザインはAIを支えるモデルの処理が数倍速くなると、同社はカリフォルニア州サンノゼで開幕した画像処理半導体(GPU)テクノロジーのイベント「エヌビディアGTC」で発表した。これには「トレーニング(学習)」として知られるテクノロジー開発と、「インファレンス(推論)」と呼ばれる活用のプロセスが含まれる。
Hon Hai Chairman and CEO Young Liu at Company's Tech Day
エヌビディアのジェンスン・フアンCEO
Photographer: Annabelle Chih/Bloomberg
ブラックウェルは2080億個のトランジスタを備え、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、アルファベット傘下のグーグル、オラクルといった世界最大級のデータセンターオペレーターが配備する新たなコンピューターや他の製品の基盤となる。
ブラックウェルをベースとした製品は年内に入手可能になるとエヌビディアは説明した。
ブラックウェルは黒人科学者として初の全米科学アカデミー会員となったデービッド・ブラックウェル氏にちなんで名付けられた。現在の「ホッパー」はAIアクセラレータチップの領域を増強することで、エヌビディアの爆発的な売り上げ増につながった。
同ラインアップからの旗艦製品「H100」はテクノロジーの世界における最も重要なコモディティーの一つとなり、各チップ当たり何万ドルもの値段で販売されている。ブラックウェルにもこれに続くよう期待がかかる。
Key Speakers At The NVIDIA GTC Conference
次世代チップ「ブラックウェル」を披露したフアンCEO(3月18日)
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg
次世代チップの発表は広く予想されており、同社株は18日の取引終了時点で年初来約79%の上昇となっていた。プレゼンテーションの詳細で投資家にあらためて強い印象を与えることは容易でなく、通常取引終了後の時間外取引では一時約1%安となった。
共同創業者であるフアンCEOは、新型コロナウイルス禍以降で同社として初の対面開催となったイベントで、AIが経済の根本的な変化の推進力となっており、ブラックウェルは「この新たな産業革命を動かすエンジン」になると指摘。エヌビディアは「世界の最もダイナミックな企業と協力しており、全産業のためにAIの明るい見通しを実現する」と表明した。
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Sources: Company reports, Bloomberg
原題:Nvidia Unveils Successor to Its All-Conquering AI Processor (2)(抜粋)
(株価の動きなどを追加して更新します)
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