ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

体験的芸術監督論(?)

2008-10-28 00:16:16 | アーツマネジメント
演劇雑誌テアトロが、今書店に並んでいる11月号で新国立劇場芸術監督問題について取り上げて特集している。

演劇の専門誌なのだから、この問題について特集するのは当然といえば当然だし、特集するなと言うつもりはさらさらないが、ざっと読んだ限りでは全体としてどうもスケールが小さいような気がする。

この問題は、演劇界では一大事かも知れないが、一般の読者の感覚では内輪もめのように受け取られてしまいかねない。
そうならないやり方の方がよかったのではないか。

演劇の専門誌としては、問題の渦中にある当事者でありながら、これまで公式に活字で自分の意見を表明していなかった鵜山仁氏の原稿だけを載せればそれでよかったのではないか、というのがとりあえずの私の感想。

鵜山氏も指摘していることだが、8月19日の日経新聞に載った山崎正和氏の「体験的芸術監督論」(そう日経の記事のリードに書いてあった)を、あたかも山崎氏が新国立劇場の立場を代弁して書いてくれた記事のように新国立劇場側が扱っていることは、私には、率直な感想として非常に奇妙なことに思える。

子ども同士のけんかに親が口を挟んできたわけではあるまいし、他人の口からお墨付きをもらってそれでよしとしているように見えるのはあまり格好のよいものではないと思う。

それと、以前書いたことをまたぞろ繰り返すが、芸術監督をパートタイムの扱いにするのはやめてはどうか。

仮にも国立劇場の芸術監督である。サッカー日本代表監督と並ぶ数億円のギャラとまでは行かなくても、せめて数千万の報酬を支払ってフルタイムで日本の演劇の将来に責任を持ってもらうべきではないのか。

→ 新国立劇場の芸術監督人事問題 (2008/07/24)

ひょっとして、この国でいま非正規労働者がどのような扱いを受けているかを、舞台の外で実演して見せてくれていると思えば、それなりに納得できないわけでもないのだが。




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