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曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

お客さんが欲しいというものを売ってはいけない

2005-10-21 17:52:59 | アーツマネジメント
「NPOマネジメント」という定期刊行物がある。発行所は、IIHOE〔人と組織と地球のための国際研究所〕という。タイトルの通り、NPOのマネジメントに関するいろいろな実践的なヒント、アドバイスが毎号掲載されている。
毎号の最終面には、仙台・みやぎNPOセンターの加藤哲夫さんが「蝸牛点睛」というコラムを執筆されている。

最新号(39号)のコラムのタイトルは、「お客さんが欲しいというものを売ってはいけない」。

一瞬、えっ、と思うが、本文を読んですぐに納得。

加藤氏は、自身がお店で長く接客をしていた経験から、大抵のお客さんは一年中ホーレン草だけをほしがり、小松菜や雪菜がおいてあっても目もくれないし、調理法も知らない、という身近な事例から語り始める。

もともとが短い文章なので、本来、全部読んでいただきたいところだが、ここでは、後半部分だけ引用させてもらう。

(以下引用)

ビジネスの世界では、接客の極意として、「お客さんが欲しいと言ったものを売ってはいけない」という話がある。この言葉の真意は、お客さんが●●を欲しいと言ってきたとき、あわてて●●を売るのではなく、「お客さん、その●●は何にお使いですか?」とか「何か困ったことがありますか?」と質問することで、本当にお客さんが求めていることを明らかにして、その解決のために貢献することが、信頼されるお店になる秘訣だというものである。

(引用終わり)

「お客さんは、自分が何が欲しいかを実は知らない」、というのは、現代のマーケティング論では非常に重要な視点であろう。

加藤氏は、これをNPOをサポートする、という局面に置き換えて、NPO化を考えている人たちをサポートするとは、「NPO法人化を教えたりノウハウを提供することではなく、その人たちが何を求めているのか、見つめ直す機会を提供することだろう」と指摘する。

さて、少し話がずれるが、以下に別のことを書く。
上記の考察は、ちょっとひねるとNPOの経営手法にも応用することができるのではないか。

どういうことか。
NPOは、自分たちがやっていることが世の中にとって重要だと自分たちだけで思いこんでいてはいけない。大抵の人々にとって、その活動は普段あまり自分の生活に関わりのないことであるから、彼らはNPOの存在をいつも特に気にとめているわけではない。
とすると、NPOは、社会に対して、自分たちは何が出来るのか、何のために存在しているのかを、わかりやすく提案し、説明するとともに、相手の身になってコミュニケーションをはかっていくことが大切だ。ていねいな説明、わかりやすいプレゼンはNPOにとって不可欠である。
NPOに何を期待すべきか、あるいは、NPOの活動で何がどう変わるか、それが自分とどう関わるのか、などについて、最初からわかっている人などほとんどいないのだから。


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2 コメント

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Unknown (タテコ)
2005-10-24 17:01:53
なるほど、含蓄のある言葉ですね。「お客さん」を「学生」に、「欲しい」を「知りたい」に、「売る」を「教える」に置き換えても同じことが言えるなあ、と思いました。

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いい品揃ってまっせ(って何故関西弁?) (sota)
2005-10-24 22:34:40
おおぉ、そうですね。

その「お客さん」には、「うちは結構いい品揃ってるから、買い物上手になって帰ってちょうだい」、と威勢よく言ってあげたいところですね。

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