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ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

DOOMSDAY

2009-10-01 23:13:26 | 映画
今日は「映画の日」。

そんな訳で、仕事帰りに『ドゥームズデイ』を観てきた。

監督・脚本はニール・マーシャル。

狼男と特殊部隊による、壮絶な肉弾戦を描いた『ドッグ・ソルジャー』、“洞窟”という閉所恐怖症には更に恐ろしい場所を舞台に、次々と襲いかかる人喰い地底人と女たちによるドロドロの愛憎劇を交えた傑作ホラー『ディセント』等。
今までアクションとホラー(それも怪物)を、巧みに融合させた作品でその才能を発揮してきた英国出身の俊英であります。

そんな彼も遂に本格的にハリウッドに進出し、大予算で作ったメジャーな超大作が本作でありましたが…。



予想と期待に反して、全米での興行は大コケ。
作品に対する評価も批判的なモノが多く、一時は日本公開も危ぶまれた作品でした。

洋画不況の昨今。
例えアチラで大ヒットしても、日本では長期間塩漬けにされ、結果的に良くてDVDスルー、下手すればそのままオクラ入りする作品が多い現状です。
個人的にはマーシャルの才能を高く評価しているので、待たされたとは言え、無事に日本で公開されて良かった…と心から思います。

さて、そんな本作を観た感想ですが…。



(注意:以下ネタバレ炸裂!)





いや~噂には聴いてましたが、何なんでしょうか? この猛烈な既視感は?!

ハッキリ言ってコレは、『ニューヨーク1997』+『マッドマックス2』(ある意味『北斗の拳』)÷『地球最後の男 オメガマン』ですわ。



御大ジョン・カーペンター(劇中には“カーペンター”というキャラまで登場する:笑)が、本作を観て「コレは私の作品をパクっている!」と怒って訴えても仕方ないって感じ。

個人的には「パクる」事自体を、そんなに「悪い事」とは思ってはいない。

ただ何処かのシャマラン君みたいに、あからさまにパクっているのに、厚顔かまして「僕のオリジナルだよ」と言う姿勢は確かに反吐が出る程の嫌悪感を抱く。
だが、正直に「そうです、僕はあの作品が大好きです!」と認めてしまうと、今度は「オマージュ」という便利な言葉が使える。

マーシャルの場合、明らかに後者。

カーペンターの監督作品、そして何より『ニューヨーク1997』と『エスケープ・フロム・L.A』が大好きなのだろう。

それは劇中の、ナレーション、テロップ、CGIによるイメージ映像にいたるまで、見事なまでに忠実に『ニューヨーク1997』を再現してくれている。



そこにマーシャルのカーペンターに対する“敬意”、そしてアンチ・ヒーロー:スネーク・プリスキン(オマケに本作のヒロインは「隻眼」やし:苦笑)が大活躍する『ニューヨーク1997』や『エスケープ・フロム・L.A』に対する深い愛情を感じる事が出来る。

だが、それだけでは映画は成立しない。

作品に対する思い入れや影響を、ただ自らの手で映画化しただけでは、それは単なる「贋作」でしかない。
その影響をプラスし昇華して、自らの持つ個性を取り入れないと、単なる「模倣」のままで作品が終わってしまう。

本作はそれだけで終わらせるには、あまりにも惜しい“面白い”要素が満載なだけに勿体無い…と思えて仕方ない。

正体不明の致死性ウィルスにより地獄絵図と化したイギリス、生き残った人々は野蛮な土人化し、エグい人喰いミュータントへと変貌してしまう。



もう一方では狂った科学者の狂気の信奉による、中世への退化。
そんな地獄に、特命を受けて潜入する美しき女戦士エデン、そして裏で暗躍する政府の高官の仕組んだ陰謀。



景気よく脳漿が飛び散り、腕や脚がポンポンと千切れる悪趣味ながら露骨で凄惨な残酷・グロ描写と、動物までガンガン虐待するブラックな笑い(例:牛の装甲車での轢殺し→後の隊員が丸焼き“ミディアム・レア”となる暗示)のオンパレード…コレだけ面白い要素が揃いながら、全く作品に生きていないのはあまりに致命的だ。



個人的には、こんな作品は大好きだ!!(自嘲)。
だから、余計に残念であり、ガッカリしてしまった。



2時間、確かに退屈する事は無く、面白く観れた。
ただ、もっと凄い傑作になる可能性もあったのに、あと一つ何かが足りなかった。

それが顕著なのはラスト。
真の黒幕の陰謀を暴き、結局「壁」の外も中も、人間の理性も正義も失われた“地獄”である事が変わらないと悟ったヒロイン・エデン。
結局、彼女は故郷がある「壁」の中に留まる訳だが、そこで文字通りの新たな「女王」として君臨するのか?
それとも生存者(人喰いです)達を扇動し率いて、「外の世界」への侵略者と化して、殺人ウィルスに次ぐ新たなる“脅威”となるのか?!…今一つスッキリしない結末だった。
御大カーペンターの様に、ここは一発クールは台詞を最後に決めてくれれば、逆転ホームランになったのに。

その才能を高く評価していたマーシャル監督だけに、何とも言えない後味の悪さだけが残った。

本当に残念だ…。


「ねぇ、煙草…持ってない?」




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