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ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

ルパン三世

2014-08-30 19:16:18 | 映画
『ルパン三世」を観た。

ある意味、「今年最大の問題作」と前評判があった本作(苦笑)。
先に公開された本作のヴィジュアルや、予告篇を観て不安があったのも事実。
ただ、しっかり劇場で本作を観ないと何も語れないと思い劇場に駆けつけた。
もう結論から言ってしまうと…。




いや~もう滅茶苦茶面白かったです!!

ここ近年、「ルパン三世」シリーズはTV版のスペシャルだったり。
小生意気な小学生探偵とコラボしたりしてました。
その一方で原点回帰なのか、峰不二子や次元大介と言ったサブ・キャラでシリーズの再構築を目指していました。
言ってしまえば「マンネリ化」した『ルパン三世』というシリーズ。
今回の実写版は非常に大きな意味を持つ作品であり、今という時代において『ルパン三世』というシリーズを再生させる大きなチャンスでした。
ただ『ルパン三世』というシリーズにおいて、良くも悪くも大きな“十字架”が存在がシリーズに絶大な影響を与えたのは事実です。



その“十字架”とは、他でもない巨匠・宮崎駿監督の手掛けた『カリオストロの城』という作品です。
勿論、個人的にはこの作品は大好きであり今も御大・宮崎監督の最高傑作という認識は僕にもあります。
しかし『カリオストロの城』以降、『ルパン三世』と言うシリーズはその呪縛にハマってしまったのは事実かと思います。
“ソレ”以降の「ルパン三世」というシリーズは、あまりにも大きい最高傑作の前でシリーズとしての進化を止めてしまったと思っています。
結局ルパン三世という希代の大泥棒は義賊であって、殺し屋にして盗賊というダーティーなイメージは払拭される形となりました。
これまでの劇場公開版やTVアニメと違い、この実写版は敢えてそこに挑んだ事が大きな成功のポイントかと思います。



「カリオストロの城」症候群を排除した時。
そこに残るのは、荒唐無稽ながらもスカッとする少々ダーティーな冒険活劇としての『ルパン三世』です。
これまで邦画が、かつての人気アニメ/コミックを実写映画化した時のあまりに惨い惨状は何度も目撃してきました(自嘲)。
そう言った過去の作品と違い、この『ルパン三世』が見事にアクション超大作として成功したのは幾つかの理由が存在するのも事実です。
個人的に、その最も大きな要因は監督の北村龍平起用が大きいと思います。
良い意味でハリウッド路線の北村監督は、これまでの邦画にある固定概念に縛られるのを嫌っていました。
そんな彼が「今までの撮影で一番シンドかった」と言う程、製作段階で“諸般の大人の事情”が影響したのも事実かと思います。
あの勢いで全てをなぎ倒す暴れん坊が、ソレほどに苦悩する程に撮影現場は問題の連続だったのは想像出来ます。



敢えて言うと、この北村監督の起用は大正解だったかと思います。
邦画界でアグレッシヴに映画を撮りまくり、拠点をハリウッドに移した北村監督。
ハリウッドに拠点を移してからも、この人の「面白い映画を撮る!」と言うスタイルに変わりは無かった。
言いたくはないが、TVドラマ上がりや映画会社所属の監督には無いものを北村監督は持っていた。
ソレが、単に「猿真似」だけにならないハリウッド的演出方法かと思う。
ここ最近の邦画アクション映画に付きものの、影響を受けたものの作品にソレを「昇華」出来ないと言う現実だ。
今回の実写版『ルパン三世』、他の邦画アクション映画と違う大きな要因がある。
ソレは圧倒的な「スケールの大きな演出」かと思う。



最初から海外ロケがメインと言うのも大きい。
日本国内だけの撮影では、どうしても「画」的にスケールが足りない平面なモノになる。
海外ロケは、作品に相応しいスケール感と画的な奥行きを与えている。
これまでは銃器(薬莢の出方や扱い方)やアクション(特にカー・スタント)に関しても、細かい事だが「アレ?」ってなる事が多かった。
『ミッション・インポッシブル』やリメイク版『オーシャンズ11』ではないが、ソレらの作品からの影響を本作でも確かに感じる。
ただ本作の原作がコミック/アニメである事が、良い意味で荒唐無稽の冒険活劇として新しい邦画の在り方を提示している。
単にハリウッドの模倣ではなく、自身が観て受けて来た影響との融合は本作が他の邦画と異なる大きな要因だと思っている。
「カリオストロ症候群」からの脱却、あと70年代の邦画にあった「面白かったら何でもアリだろ!」という姿勢が素晴しいのかと思えました。



あとキャストのハマり方も見事でした。
やはりコミック/アニメの実写映画化の場合、肝心なのは主要キャストの配役です。
最初、キャストが発表された時。
ハッキリ言えば賛否両論の嵐でした(苦笑)。
しかし劇中に登場する彼らを観れば、コレ以上のキャスティングはないかと思います。
個人的には次元大介(演:玉川鉄二)。
原作通り非常にクールなキャラながら、料理をせっせと作り味に拘る可愛い一面が笑えました。
玉川氏は最も本作において、次元というキャラにおいて「予習・復習」をしてきた俳優だったそうです。
ソレはルパンとの会話や、愛銃を持ってのハットを押さえながらのガン・アクションに遺憾なく発揮されていました。



そして意外に、本作のコメディ・リリーフだったのが石川五右衛門(演:綾野剛)。
現代において、あの扮装で刀を持つキャラは不自然。
しかし本作において、「最強の武器」として登場。
そのソード・アクションもさる事ながら、細かい場面で超人ながら人間らしい五右衛門のキャラは生きていました。
団子が好きだったり、難攻不落の敵の要塞の防犯システムを3日掛かりで見抜いたり。
出撃前、洋食&アジア・メインの晩餐を前に、1人秋刀魚を焼いて日本酒を飲む。
(焼いた秋刀魚をルパンに差し出す描写は、彼がルパンと旧知の仲である事の暗示でもありました)
クライマックスのアクション・シーンでは、正に殺戮兵器のようなアクションとのギャップに燃えました。



そして峰不二子(演:黒木メイサ)。
彼女の起用に関して、最も賛否両論あったかと思います。
個人的には、彼女のエキゾチックな美貌と激しいアクションは本作では重要なポイントだったかと思います。
「女性をエロく、カッコ良く魅せる事」に関して、見事な才能を持つ北村監督。
彼女の持つ魅力を見事に本作に生かしていたかと思います。
彼女自身の努力もあるかと思いますが、この「峰不二子」というキャラは今後の彼女のハマり役になるかと思います。
黒いレザーのジャンプ・スーツが似合う女優って、そんなに居ないと思いました。



そして肝心要なルパン三世を演じた小栗旬。
彼が本作で手本にしてのは、明らかに故・山田康夫版のルパン。
その台詞回し、ちょっとした仕草や視線のやり方を見れば判る。
何より本作に賭ける、俳優・小栗旬の意気込みは凄まじいモノがあるのは良く判った。
アクションの見事なキレ、その台詞回しは見事だったかと思う。
北村監督や他のキャストが言う通り、彼無くして本作という素晴しい作品は無かったと思う。
下手すれば滑稽なコントになるものを、見事のアクション超大作に持って行ったのは小栗旬という俳優の持つ演技力の「才能」だ。
ただ本音を言わしてもらうと、ルパン役には大泉洋が起用されるべきだったかと今でも思っている。
(1stシーズンのルパンを再現するなら加瀬亮!)
自分の中で、大泉洋こそ今ルパンを演じる俳優と言う思いが強いのかもしれない。
それに小栗旬という俳優でしか、今回の実写版「ルパン三世」という企画も実現しなかっただろう…。



問題点が無い訳ではない。
脚本の粗や詰めの甘さ、編集の仕方(上映時間をもう少しコンパクトに出来た筈)は幾らでもあったのも事実だ。
今、ハッキリ言えるのは邦画特有の「あるライン」を見事に超越してみせた事に本作の持つ意味は大きい。
結局、「何故?」と観ていて歯痒い思いを今まで散々してきた事に起因している。
「カリオストロ症候群」、ハリウッド映画の模倣からの脱却。
そして邦画やハリウッド云々ではなく、ただ単純に面白い映画が観れたと言う事実が何よりも大きい。
人によってはアニメのトレースで滑稽と、本作を否定する人も多いかと思う。
今、ここまでアクション超大作が邦画で作れるのかも考えて欲しい。
色んな意見もあるかと思うが。多くの方に劇場で本作を楽しんで欲しいと思いました。
超オススメです!!


「ルパン、その女だけはやめておけ!」


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