ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

BLACK SNAKE MOAN

2008-04-22 23:48:41 | 映画
『ブラック・スネーク・モーン』を観た。

美少女(クリスティーナ・リッチ)を鎖でつないだ中年の黒人ハゲ親父(サミュエル・L・ジャクソン)…と言うあまりにインパクトのあるヴィジュアル。

セックス依存症のヒロインを、中年の親父が鎖でつないで自宅に監禁するという予告篇。

誰がどう考えても、かなりエロい内容の作品だと思うだろう(笑)。

それはボクだってその一人だ(自嘲)。
しかし、本作は全く違う作品であり、思いきっりエロい内容を期待してみると、ハッキリ言うがかなり落胆するのは間違いない。

本作はエロ路線とは全く違う、実に真面目な人間ドラマの映画だから。

エロ路線じゃないから面白くない?
否、トンでもない! 本作は「魂の救済」を描いた傑作です!!

まぁ~映画秘宝のインタビューでもサミュエル叔父貴が「エロいイメージは(ソレを期待し劇場に駆けつける)ボンクラを騙す為!」とジョークにしていたし、一時期『グラインドハウス』のフェイク予告騒動あったりで、かなりのイメージ的戦略があったのは間違いない


個人的にはサミュエル叔父貴の大ファンであり、『アダムス・ファミリー』からのファンでもあるクリスティーナ・リッチの2人が主演と言うだけで、ボクにはこの映画は「傑作」認定でもあるが(苦笑)。







舞台は南部の田舎。
無差別なヤリマンとして有名なリッチは、恋人がイラクに出兵したショックからハメを外し過ぎ、その恋人の友人(コイツが最低)に酷い暴行を受け道端に捨てられる。
それをたまたま妻を弟に寝取られ傷心の中にいた、敬虔なクリスチャンであるサミュエル叔父貴が見つけ、手当をする所から物語は始まる。

サムにとって怪我し暴れ、無差別に男を求めるリッチは「悪魔憑き」の少女にしか思えず、コレも自分に神が与えた試練として勝手にリッチを更正させようとする。

最初は頭の堅いサムに抵抗するリッチであったが、彼の温かく優しい人柄に触れる間に閉ざされた心を許し、2人は鎖につながれた奇妙な信頼に支えられた関係築いていく事になる。

何かこう聞くと、ありがちなヒューマン・ドラマかと思う。

でも本作が他と決定的に違うのが、サミュエル叔父貴が更正の手段として“信仰”や“説教”だけでなく、自身がかつて地元でブイブイ言わしていたブルース・シンガーと言う設定を生かし、何とギターを弾き、渋い声で唄いまくるのがポイント。

コレが滅茶苦茶にカッコ良い。

3ヶ月みっちり猛特訓したと言うギターは、その少々危ない指使いが「吹き替え無し」であるのが判る、意味深なブルース・ソングの数々が、リッチだけでなくサム自身も自らを省みて、己の人生の救済と再生に向けて動き出していく。
この辺りの描写が過度に大袈裟かつドラマティックになる訳でなく、実にナチュラルな展開なのが素晴らしい。

サムもリッチも互いに己の人生と向き合い、新たな人生を歩み出そうとした時、問題の恋人が強制送還されてくる、そして…って後は映画を観てのお楽しみ。

人は誰でも心に傷を持っていて、誰にも言いたくない秘密や問題を抱えている。
でも、それを抱えながらでも過去に捕らわれるのではなく、前向きに未来に向けて不器用ながら生きようとする姿勢が、観終わった後に静かな感動を与えてくれる。

渋いサムの歌声とは全く違い、可憐で可愛いリッチの歌声が心に響くエンディングは感動的。

久々に「良い映画を観た」と言う気持ちになった、素晴らしい傑作だと言っても過言ではないでしょう。


私を輝かそう
私は輝いていよう

PS:渋い! カッコ良い!! 聴いて下さい。


「映画奪還作戦」の真意

2008-04-22 00:20:23 | 本・雑誌
オレ、復活!

とは言え、いきなり自分の前に積まれた仕事の多さ、そして更に困難になった状況に対して戸惑うばかりだ(笑)。

さて、仕事帰りに今月号の『映画秘宝』を買う。

今月号の表紙は意外にも『Hot Fuzz』の2人、他の雑誌では扱わないチョイスだ(笑)。

表紙の「映画奪還作戦」、更には「我々から映画を観る機会を奪うな!!」というコピーが心地良く魂を揺らす。

日本での劇場公開が見送られ、一度はDVDスルーが決定した作品がファンの署名活動により急遽劇場公開される。

オマケに巷で何かと話題となった、あの『靖国』に関する特集も興味深い。

先月号のインタビューが何だったのか?と思える。

ただでなくてもデリケートな『靖国』と言うテーマ、それを日本人ではなく中国人の監督が“ドキュメンタリー”として映画にする…それだけでセンセーショナルに違いない。

ボクも観たかった、結果的にあの騒動は映画のプロモーションになっただけだ(苦笑)。

あまり色々言いたくはない、ただ刀匠の方は監督に騙されて出演した(作品の意図を知らなかった)、今は自らのシーンの削除を願っている。

コレには深い意味がある。
ドキュメンタリーに“主観性”が無いのは嘘だ、本作はある意図を持って作られた映画であるのは変わりない。

もし、本作が何の嘘偽りもなく作られたのなら、編集部の編集後記ではないが「傑作」と言われただろう…ドキュメンタリーにあって最低でも「嘘」の出演依頼は最大のルール違反だとボクは言いたい。

そのせいか今月号は妙に重苦しい内容になっている。

社会と世間に唾を吐く「映画秘宝」、この問題を正面から扱った勇気は絶大かと思う。

でも、今月号には何とも言えない重さ、そしてやり場のない怒りと現状への閉塞感を感じたのはボクだけか?!

「映画秘宝」という雑誌の持つ、もう一つの側面が滲み出た今月号の内容になっている。

深い!!