私は勢いに乗っていた。麻衣さんから女流名王を奪い2冠となり、天女戦も3-0のストレートで防衛。これで4連覇となった。そして翌年、女流名王の座を守り、さらに桜花戦の挑戦権を得て、女流3冠へ王手をかけた。相手は矢沢菜緒。私はこの時を待っていた。
私が19歳で菜緒が17歳。これまでの対戦成績は私の7勝9敗。戦前の予想は、私が勢いで押し切るのでは、と主張する人が多かった。勿論、自分自身は、厳しい戦いになることは覚悟していたが。
夏の暑い盛りに始まった桜花戦は第1局、3局が私、2局、4局は菜緒がそれぞれ制し、決着は最終局にもつれ込んだ。風がひんやりして秋の気配が漂っていた。振り駒の結果、菜緒の先手で幕は開いた。1分ほど考え、2六歩と指した。飛車の道を開けた。オールラウンダーである彼女が、振り飛車ではなく、居飛車で指すことをこちらに宣言してきたのだ。この一手を見て、私は感じた。菜緒の自らの将棋に対する自信、そしてプライドをひしひしと感じた。
私が19歳で菜緒が17歳。これまでの対戦成績は私の7勝9敗。戦前の予想は、私が勢いで押し切るのでは、と主張する人が多かった。勿論、自分自身は、厳しい戦いになることは覚悟していたが。
夏の暑い盛りに始まった桜花戦は第1局、3局が私、2局、4局は菜緒がそれぞれ制し、決着は最終局にもつれ込んだ。風がひんやりして秋の気配が漂っていた。振り駒の結果、菜緒の先手で幕は開いた。1分ほど考え、2六歩と指した。飛車の道を開けた。オールラウンダーである彼女が、振り飛車ではなく、居飛車で指すことをこちらに宣言してきたのだ。この一手を見て、私は感じた。菜緒の自らの将棋に対する自信、そしてプライドをひしひしと感じた。