ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

藤井聡太七段、王将リーグ白星スタート

2019-09-30 23:03:48 | Weblog
王将戦の挑戦者決定リーグ戦で藤井聡太七段が三浦弘行九段を135手で下しました。リーグ初戦、幸先良いスタートです。4勝2敗と予想したものの、この三浦九段戦が大きなカギを握るとみていました。難解な中盤が続きましたが、駒得を生かして自陣に金銀を投入し、三浦さんの龍の働きを殺してからははっきりと形勢に差がつき、投了図では藤井玉は安全な形になりました。17歳とは思えぬ老獪な将棋を見せました。

藤井将棋には大きく分けて2つの顔があります。1つは谷川九段を彷彿とさせる華麗な光速流。そして今日の将棋は永瀬叡王、もっと言えば大山15世名人のような手厚い指しまわし。2人の永世名人の将棋を併せ持った藤井君がもし、この2人の全盛期のレベルまで達するとしたら、これは将棋界最高の天才になれます。大山さんは谷川さんのような斬り合う将棋は指せないだろうし、谷川さんは大山さんのような相手の心を折る将棋は指せないわけですから。

ただ、先のことは分かりません。藤井七段世代以降は人間より強いAIが常に存在します。この恩恵を最も受けた棋士が頂点に立つような気がします。それに藤井君は谷川さん、渡辺三冠と同じで孤高の天才になる可能性が高いです。未だに10代棋士は藤井君1人です。それに対し、羽生九段は同世代に実力が紙一重の棋士たちが何人もいました。結果的には孤高の天才たちよりも、大勢でしのぎを削り合った世代で最も強くなった羽生さんが大きな実績を残しました。よって、5年から10年下に藤井君に憧れた世代が打倒藤井を合言葉に切磋琢磨し合って立ちはだかる可能性はあります。谷川さんと羽生世代の関係性の再現ですね。まだ少し先の話ですが。

とにもかくにも王将リーグ2戦目の豊島名人戦ですね。木村王位の神懸った将棋に屈した豊島名人ですが、決して調子を落としているとは思えません。ここで藤井君が勝てれば一気に勢いがついても不思議ではありません。そうした意味でも大きな対局になることは間違いないでしょう。

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木村一基、悲願の初タイトル

2019-09-26 22:59:49 | Weblog
豊島将之王位に木村一基九段が挑戦した王位戦第7局は110手で木村九段が勝利し、4勝3敗でタイトルを奪取しました。

素晴らしいですね。46歳での初タイトルは、これまでの有吉道夫九段の37歳を大幅に上回る最年長記録です。タイトルと年齢というと藤井聡太七段に代表されるように最年少の方ばかりが注目されますが、最年長タイトルも快挙だと思います。
将棋界では早熟でないと大成しないという考え方があって、木村九段のように23歳という比較的遅い年齢でのプロ入りも大きなハンディだったと思います。中学生棋士がウサギの典型なら、プロ入りが遅く、46歳で初タイトルを取った木村さんはカメの代表格です。遅咲きの棋士たちに大きな勇気を与えるタイトル獲得でした。将棋の神様はいるのかもしれませんね。

また木村九段は解説にも定評があります。藤井フィーバーにより将棋がネットのテレビなどで流れると、木村九段の解説も多くみられるようになりました。話の上手さ、面白さが藤井聡太出現以降の新しいファンを獲得したのは間違いありません。
もちろん千駄ヶ谷の受け師といわれるほど、受けの強さに定評があります。玉の周りにベタベタ駒を打ち込むというよりは、薄い玉形でも守り切ってしまう高度な技術は誰も真似ができないのではないでしょうか。その辺が豊島名人の正確無比な差し回しを混乱させたと言えるかもしれません。

「千駄ヶ谷の受け師」とともに「将棋の強いおじさん」とも言われます。これからの時代、いやすでに現在、人気のある棋士は身近であって、なおかつ一流の芸を持つ人が条件になっています。「藤井君」「おじさん」が典型的な例です。将棋連盟の職員は奨励会時代はOO君、プロ棋士になった日からOO先生と呼びますが、そうした文化は残してほしいです。しかし、OO先生と呼ばれて満足しているような棋士はこれからの時代には合いませんね。

とにもかくにも木村九段、いや木村王位。悲願の初タイトルおめでとうございます。「百折不撓」の棋士としての生き様を見事に実現しました。
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藤井聡太、王将リーグ戦予想

2019-09-22 22:30:32 | Weblog
第69期王将リーグ挑戦者決定戦リーグが幕を開けました。豊島名人が久保九段を下し、本命が順調なスタートを切りました。そして藤井聡太七段がいよいよ今月末に登場するようです。対局相手は三浦九段。ぜひとも初戦白星といきたいところです。

ここで藤井七段の勝敗予想をぼかさず予想します。4勝2敗でいきます。少し欲をかいているようでもあり、29連勝から棋士人生の幕を開けた将棋の神の子にふさわしい彼のこれまでの道のりの華々しさなら、これくらいやれるはずという思いもします。対戦相手を1人1人見れば、藤井君が確実に勝てる相手はいません。しかし確実に負ける相手もいません。
豊島さんもいまの王位戦を見ればわかるように、木村九段と3勝3敗のフルセットの接戦にもつれています。木村さんの粘りが豊島さんにボディーブローのようにじわじわ効いているように見えます。彼にすら隙はあるという証明です。藤井君はこれまで豊島さんに勝てていませんが、今までは今までなので、藤井勝利の可能性も十分あると見ています。

王将リーグ予想として本命・豊島、対抗・広瀬、羽生、藤井。糸谷八段もツボにはまれば強いですが、対抗を3人決めてしまったので外します。最も興味深いのは羽生・藤井戦です。羽生九段もタイトルを失って衰えが隠せないようにも見えますが、実は数年前より好調ですね。中村太地七段や菅井七段にタイトルを明け渡した頃より状態は上向いています。AIでのトレーニングが功を奏しているのだと思います。序中盤で羽生さんがリードして、藤井君が終盤追い上げる展開になるのでしょうか。個人的には広瀬竜王の将棋が好きなので、広瀬さんにも注目したいです。彼がもっと欲を出したら、渡辺三冠と互角に渡り合える才能を持っていると思うのですが。

藤井七段は初戦は負けたくないですね。三浦さんがこれまで王将リーグの相性が良くないので、ここで負けるようだと早くも私の予想に赤信号が灯ります。それにしても二次予選決勝の谷川・藤井戦は熱戦にならず残念でしたが、今になってみると現在の谷川さんの力では厳しい戦いになるので、未知の魅力のある藤井君が参加したほうが見ている側も楽しみですね。甘くはないですが、最年少タイトル挑戦を目指して頑張ってほしいものです。
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鳴かないフミキリ

2019-09-18 19:35:29 | Weblog
遠く取り残された夜更け
鳴かないフミキリが涙していた
フミキリが鳴けなくなったらおしまいさ

「もう少しで大事故だったじゃねぇか」
被害者になりかかった人々に詰め寄られ
弁解の余地がないフミキリ
これまでどれだけ鳴いてきたかなんて
誰も思い出しちゃくれない

昔はこんなんじゃなかった
微かなレールの響きも感じ取り
大きな声で鳴きまくっていたっけ

やがてフミキリは老いた
列車が近づいても鳴かなかったり
近づいてもいないのに鳴いてしまったり
昔からフミキリを知る老列車は
その場に差し掛かると
止まるような足取りで
そして心配そうに振り返るのだ

しかし、その日はやってきた
接近を感じ取れなかった
若い列車は怒り狂った声を上げ
フミキリの上に立ち止まった
怪我人がいなかったことに安堵しながらも、うつむくフミキリ

遠く取り残された夜更け
フミキリは静かに目を伏せた
脳裏に浮かぶのは若き日の老列車
フミキリからかすれた声が微かに漏れた

春の日差しが眩しくレールを包む朝
老列車がいつものように速度を落として通過する
勢いよく鳴いている生まれたてのフミキリ
老列車はスピードを上げ、もう振り返ろうとはしなかった


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MGC 設楽悠太の失速

2019-09-16 19:56:22 | Weblog
昨日、マラソングランドチャンピオンシップが行われ、男子は中村匠吾選手が優勝。2位が服部勇馬選手。女子は前田穂南選手が優勝。2位が鈴木亜由子選手。この4人が東京五輪の切符を手にしました。男子3位の大迫傑選手、女子3位の小原怜選手は内定とはならず、指定の3大会で基準の記録を破られなければ五輪切符が手に入るという微妙な立場になりました。

男子は9月中旬の暑さの中、設楽選手が果敢に飛び出し、30キロ以降に失速、後続にとらえられ出場権獲得はなりませんでした。設楽君はスタートからの一人旅でしたが、ある程度早い段階で独走で行く予定ではあったと思います。推測になりますが、スタートから抜け出したのは自信があったからでしょう。スタートラインに立った本人が「それほど暑くない」「体が軽い」と感じたのだと思います。それに実力では自分が抜けているという自負、ひとつ間違えば過信につながる考えもあったのかもしれません。確かに設楽選手のスケールの大きな走りはかつての中山竹通さんを彷彿とさせます。

ただ30キロ後の未来は誰にも分かりません。設楽選手はまだ大きく後続を離しているとはいえ、すでに「しまった」と思っていたでしょう。オリンピック出場は難しくなりましたが、能力の高い世界で戦えるランナーですから可能性のある限り、基準の記録を目指して頑張ってもらいたいです。

それでもMGCをやってよかったのだと思います。誰に暑さの中での耐久力があるかが見えましたし、なにしろ1位、2位は出場決定という分かりやすさが選手も見ている側も納得がいきやすいと思います。瀬古さんは現役時代は不世出の天才ランナーでしたが、指導者として疑問符(笑)がついていました。しかし、このアイデアは現役時代のスパートのようにキレがありましたね。

女子優勝の前田選手は暑さの中で2時間2時間25分の好タイムでした。まだ23歳と伸び盛りの選手ですから楽しみです。2位の鈴木選手は27歳ですが、わずか2度目のマラソンでの好成績。伸びしろが相当ありそうです。

オリンピック本番は昨日より5度から10度ほど暑くなるでしょうから、男子の優勝タイムは2時間12、3分といったところでしょうか。女子は2時間27、8分出せばかなり上位には行けそうです。異常な暑さの分、外国勢のスピードが鈍るため、日本選手にもチャンスがあるかもしれません。しかし、棄権者続出の過酷なレースになるのは間違いないと思われます。
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スピッツ「ロビンソン」 YouTube再生1億超え

2019-09-11 22:07:46 | Weblog
9月初めスピッツ「ロビンソン」のYouTubeの再生回数が1億回を超えました。90年代のミュージックビデオでは初めての記録だそうです。たしかに再生回数が1億を超えている曲をたまに見かけますが、大抵はここ10年ぐらいの曲で20世紀の邦楽では見たことがありません。僕も80、90年代の曲を懐かしさからよく聴きますが、単なる郷愁だけでは届かない数字ですね。今も生きている曲だからこそ、これだけの再生回数を生み出したのでしょう。

ロビンソンを初めて聴いた時は、少なからず衝撃を受けました。独自の世界観なのに耳障りの良さ、草野さんの澄み渡った高音、そしてスピッツというバンドの実力も含めてやっぱり曲が凄いという印象でした。しかし2回、3回と聴くうちに、歌詞が耳に入ってくるようになり、よりこの曲が好きになりました。

「新しい季節は なぜか切ない日々で
河原の道を自転車で 走る君を追いかけた」で始まるこの歌詞は最終的に
「誰も触れない 二人だけの国 君の手を離さぬように
大きな力で空に浮かべたら ルララ 宇宙の風に乗る」
ここまで行ってしまうわけです。

出だしは青春の香りがしますが、二人だけの国、大きな力で空に浮かべる、最終的には宇宙の風に乗るという、随分、遠くまで行ったなという歌詞のスケールの大きな立体感。そして色合いもセピア色で始まり、仕上げは眩しくも重厚感のある色合いで大きな幅を持たせました。この頃の草野マサムネさんは20代。若く瑞々しい感性そのままに、このスケールの大きな曲が出来上がったのだと思います。

「ロビンソン」はスピッツを短期間でメジャーにし、そして長く人々に愛されるバンドに作り上げた無形の記念碑のような曲なのだという気がします。

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流行

2019-09-08 15:43:57 | Weblog
立体の雲を浮かべ、空は夏を主張する
それでも夜には秋虫の声
季節は止まらない

時間の流れに乗って
数えきれない言葉が流行り
数えきれないものが廃れ

病気や障害も一つの個性と
弁舌滑らかに話す者すら現れ
自分が立場を変えれば5分と持たず
心身の健康を抱きしめる

雲も次第に痩せていき
風を冷たく感じる日も来るのだろう
その頃にも何かが流行り、何かが廃れる
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谷川VS藤井 あっけない幕切れ

2019-09-01 19:29:42 | Weblog
王将リーグ入りをかけた谷川浩司九段対藤井聡太七段戦はわずか57手で藤井七段の勝利となりました。対局そのものは中盤戦で終わってしまいました。

新旧中学生棋士対決として注目を集めた対局でしたが、谷川さんのコメントに「大悪手」とありましたが、ほぼ互角の局面が藤井優勢に傾きました。少し気づきにくい面もあるのですが、これは悪手と言われても仕方がないですね。藤井君が8ニ角と打ち、谷川さんの7三にいる飛車取りとしたのですが、6四に角がいたため、飛車をスライドさせれば9一角成とは出来ないと判断して8三飛車と逃げたのですが、藤井君は構わず9一の香を取りながら角を成りこみました。確かに角は取れるのですが、藤井君の五段目にいた飛車が横から睨んでいて、角のヒモをなくした谷川さんの銀が取られてしまいます。そこからの指し手は谷川さんから見ると不利な状況になります。よって9一の角は取れませんでした。藤井君の角が成り込んだ時には谷川さんもすぐに気づいたのでしょうが、時すでに遅し。数手後に投了となりました。

それにしても谷川さんは諦めが早いですね。将棋に対して凄くプライドが高い人なので、自分のミスに我慢できないのでしょう。それが年を取ってより加速しているようです。藤井君との激しい終盤を期待していたので残念です。

それに対し、藤井君はまだ10代ということもあってか、最後の最後まで勝負を投げません。例えば名人になったらここまで粘る訳にはいかないでしょうが、基本的には今の姿勢を大人になっても続けてほしいです。そして、いよいよ王将リーグ入りです。17歳は加藤一二三さんに次ぐ早さだと思います。メンバーは全員A級棋士になる可能性が高いです。個人的には3勝3敗の五分には戦えるのではと期待しています。勢いに乗ればタイトル挑戦もあるでしょうし、負け越しもあり得るでしょう。しかし結果はどうであれ、これだけレベルの高いメンバーの中でリーグ戦に参加できるのは、間違いなく将来につながる大きな経験になりますね。
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