ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

破れかぶれの雨粒

2017-04-27 00:52:28 | Weblog
天に見放された雨たちが

破れかぶれに地べたに飛び込んでいく

若葉は大きな口をあけて飲み込み、微笑んでいる



人はそこそこの年齢になれば、他人のために生きるようになる

例えば結婚すれば、その人のために生き

例えば子供が出来たら、その子のために生きる

それが幸福のレールではなかろうか?

まっとうな道ではなかろうか?



レールから外れた僕は

未だに自分のために生きようとしている

何かをなしえようとしている

それが何なのかも分からずに

それにしがみつく



僕はとうの昔に天に見放され

破れかぶれの雨粒になったのだ

それなのに未だに自分のために生きようとする

おそらく死ぬまで自分のために生きようとする

誰かのためでなく

破れかぶれの雨粒のままで








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答えは4月の空に

2017-04-19 23:11:03 | Weblog
何十年も生きているというのに

未だに僕は人生の目的が掴めない

何十年も生きているというのに

未だに僕は明日が不安になる

何十年も生きているというのに

未だに僕はどのように振舞えばいいのか迷っている

未だに僕は?

どういうことだよ


これでは、よちよち歩きの遠い日と変わらないではないか

体だけが大きくなって

プライドだけが高くなって


いまさら恥ずかしくて聞けない、数々の疑問の答えは、4月の空にあるという

僕は慌てて、空を見上げる

残念ながら霞んでいて、目を凝らしても答えは見つからない

それでも春の空の眩しさは、新しい輝きは

地上に行き交う希望に似ている



不安と期待が入り混じる季節は、たどたどしく流れていく

まるで小さな子供の足取りのように



 


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浅田真央に花束を

2017-04-11 23:11:35 | Weblog
彼女がなぜ、ここまで皆に愛されたのか?それはいくつかの理由があったと思います。スケートに対するひたむきな姿勢。礼儀正しさ。そして、いつしか纏わりついた悲劇性。これら日本人好みの要素が重なり合い、真央ちゃんは長らく多くの人に愛されてきました。

ここで少し、フィギュア選手としての彼女を振り返ります。ジャンプの3天才、伊藤みどり、安藤美姫、そして浅田真央。伊藤さん、安藤さんが高さなら、真央ちゃんは回転力で勝負するタイプだったように思います。皮肉にもこの3人のうち、1人も金メダルに届かなかったのですから、オリンピックのピークに合わせる難しさを感じます。

そして、浅田選手のライバルといえばキム・ヨナ選手です。評価としては、キムヨナの方が実力的に上というのが通説かもしれませんが、僕はピークの違いという見方をしています。前半は真央ちゃんで後半がキムヨナ。桜に例えるなら、真央ちゃんは3月下旬に満開だった。キムヨナは3月は七分咲きで4月に入ってから、満開になった。バンクーバーオリンピックはすでに4月に入ってからの戦いだったと思うのです。真央ちゃんはこの時、すでに散り始めていた。

むしろ、4年前のトリノオリンピックに出場していたらという思いは、多くの人にあるでしょう。勿論、勝負の世界にタラレバはありませんが。このシーズンのグランプリファイナルで優勝している訳ですから。結局、彼女に年齢制限の壁が立ちはだかり、基準に3ヶ月ほど足りず、出場はなりませんでした。しかし、もし彼女がトリノで早々と金メダルを取っていたら、その後の物語は生まれていなかったかもしれません。

今後、彼女より凄い選手は出現するかもしれない。彼女を超えるような人気選手も出てくるかもしれない。それでも、もう浅田真央のような選手は二度と現れない。ひたむきで、礼儀正しく、重圧から逃げずに立ち向かい、悲劇性まで抱えて。その細い足で、腕で。内面の美しさが、スケートリンクに零れ落ちていくような選手はもう二度と。浅田真央は美しく散りました。真央ちゃんお疲れ様、ありがとう。

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朝ドラと日本人

2017-04-08 00:18:38 | Weblog
NHK朝のテレビ小説は「べっぴんさん」が終了し、今週から「ひよっこ」が始まりました。「べっぴんさん」は初めの方しか見ていませんが、3月に入ってから20%を割るという状況から見て、うまく視聴者をつかめなかったとみていいでしょう。

「ひよっこ」はいいですね。脚本家が違う。朝ドラでも「ちゅらさん」や「おひさま」を手がけた名手・岡田恵和です。彼のドラマをどれだけ見てきただろう。「若者のすべて」「イグアナの娘」「あいのうた」「最後から二番目の恋」。

「べっぴんさん」の失速を受け継いでのスタートとなり、今のところ20%に届いていませんが、このドラマは数字的には尻上りになると予想します。

ヒロインみね子の父が出稼ぎから帰省の折、ふと立ち寄った洋食屋で、宮本信子演じる女主人にかけられた言葉。「自慢していいんですよ」「どうか東京を嫌いにならないでくださいね」。茨城に帰った父の「土はいいなあ」。台詞が生き生きとしています。

主演の有村架純は、どちらかというと童顔で、セーラー服や、昭和の農村の娘がよく似合っています。桑田佳祐の「若い広場」で始まり、増田明美のナレーションというのもなかなか新鮮です。岡田さんは女優を輝かす名人。有村さんにとって、忘れられない作品になるでしょう。

朝ドラの長期低落傾向を回復させた作品は、有村さんも出演していた「あまちゃん」ではないでしょうか。視聴率そのものというよりも、新しい朝ドラの視聴者を掘り起こした貢献がありました。その後の作品は軒並み高視聴率ということからも「あまちゃん」の存在は大きかった。

旧来型の朝ドラは「おしん」に代表される耐える女。「今は豊かだけど、日本にもこういう貧しい時代があったんだよ」という作品が多かった。しかし、近年は「ひよっこ」を見ていても感じますが「昔は良かったねえ」というノスタルジアを刺激する形に移行したと言えそうです。朝ドラは女優の甲子園であり、時代を映す鏡でもあります。今は老いた日本が、かつて輝いていた頃の自国の姿に、胸を熱くする時なのだと思いますね。





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川沿いの桜

2017-04-05 14:04:39 | Weblog
自転車さえ捨ててしまった僕は

長らく歩いて川沿いまで来た

桜は待っていてくれた


散歩する人

ビニールシートを敷いて、楽しむ人

のどかな景色が、桜と共に流れていく


陽光を浴びて、キラキラ揺れる川面に浮気していたら

川の手前の菜の花が、風を味方に

ゆらゆら踊りながら存在を主張する

みんな精一杯生きている


春に咲く人、夏に咲く人、秋に咲く人、冬に咲く人

美しさは刹那で、世界が瞬きをしているうちに、葉人となる

この桜たちと変わりないことを人はつい忘れる


桜並木をUターンして、コンクリートの街に戻る

僕は今年初めて、冷えた缶コーヒーを選択した

夏の予感がした


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