シューズのさえずる音がまだ記憶に新しい
卓球の世界選手権女子団体決勝は、まれに見る激闘となった
決勝まで勝ち上がってきた日本に立ちはだかるのは、やはり中国だ
第1試合に起用されたのは張本美和だった
しかし、大物感漂う15才も、世界最強の前になす術なく敗れた
第2試合は日本のエースとなった早田ひな
伊藤美誠、平野美宇と共に2000年生まれ
黄金世代の1人である
第3試合に出場する平野にも言えることだが、どこぞのアイドルグループにいても、何ら不思議のない顔をしている
ただでさえ日本人は外国人からすれば、若く幼く映る
早田も平野も23才だが、相手からは少女そのものに見えたはずだ
しかし、いざコートに立てば、あどけなさに不似合いな勇敢で圧倒的な強さがあった
力勝負のラリーでも早田の細腕がしなり、試合を制した
そして平野美宇である
伊藤が勝負強く、早田が大器なら、平野は天才だ
しかし、同時にガラス細工であることも否めない
この日は良い方の平野、いや、本来の平野だった
彼女の動きに相手が全くついていけない
平野の才能が台上で爆発した
ベンチで身振り手振りを交え、アドバイスを送る伊藤の存在も大きかった
中国を知り尽くす彼女の言葉に、コートの3人も真剣に耳を傾けた
未来の指導者までが育った
流れは日本に来ている
2対2で迎えた第5試合
張本が1セットを先取する
悲願の世界一まであと2セット
しかし、その道のりは険しく、届かなかった
それなのにどういう訳だろう
この悔しさの中の晴れ晴れとした心地は